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電気椅子に座らされる

 ファルデウスとヴァイラシアンの戦争は、大きくファルデウス側に傾き続けていた。

 平民出身を含む低位貴族出身の軍人が、次々とヴァイラシアンを見限って合流に動き出したのだ。


「次は志が高くて閑職に追いやられていた高位貴族や軍人を、篭絡してコッチ側に引き込みませんか?」


 パイン・アップルトン大尉がジェリス艦長やジュリアさん、そしてウェルム少将に進言した。

 ボク達は現在ギブスン指令の防衛ラインにコッソリお邪魔し・・・と言っても実際居るのは近くの古戦場址で、防衛ラインに直接行ってる訳じゃ無い。


 カペターズ大将やビジーズ大将はファルデウス首都星ミューズに帰還し、防衛の任に戻っていた。

 そもそも本来ロイヤル・デフェンサーである彼等はソチラは主任務だった。

 ドチラが優れているとか上位であると言う事は無く、彼等が防衛線や鉄壁の守りを布く戦術に優れているだけである。

 適材適所と言う奴だ。


 すでに帝国内の反乱軍は殆んど鎮圧済み、後はピスタ艦長率いるロイヤルフェンサー第4艦隊が狩り残しをキレイに片付けている。

 ちなみにジュリアさんが第1艦隊、ジェリス艦長が第2でウェルム少将が第3艦隊・・・そしてフェンサーとディフェンサーを合わせた独立艦隊群を❝ロイヤルガード❞と呼称する。



「ファルディウス帝国もそうでしょうが、ヴァイラシアンも一枚板じゃない・・・立派な志を持つ貴族や軍人も居ない訳では有りません。残念ながらファルディウス帝国に比べれば微々たるモノなのは確かですが・・・・・」


「「「「「ははっ・・・・・」」」」」


 うすら笑って誤魔化すボク達だった。


「遠慮なく言って構いませんよ・・・なにせヴァイラシアン帝国民である我等が、そう思ってるんですから」


 ギブスン指令も言うが、


「ファルデウスも大きな事は言えません。先の内乱で搾り上げたらタップリ腐汁が出ましたし、皇帝の息子がアノ腐り様なんですから!」


「ミューズ様っ!お願いですから、それをアナタが言わないで下さい・・・・・」


 ジェリス艦長が苦々しそうな顔で止めに入る。


「まあドコのリンゴ箱の中だって、腐ったリンゴが一つ二つ紛れ込むのは仕方ない事でしょう♪でヴァイラシアン産の美味しいリンゴとは?」


「マルティーニ侯爵、スクード伯爵、T・サンアップ少佐にT・サンダンウン大尉の兄弟など・・・・・」


 そう言う立派な人はヴァイラシアンでは主流派から目障りに思われ、閑職に回されたり、領地は有っても帰る事が許されずヴァイラシアン帝国首都星に軟禁されているらしい。

 まあ反旗を翻される事が怖いのだろう。


「つまり救出すべきだと?」


 ジェリス艦長が言うが、


「救出は必要無いでしょう」


 なんでだ?


「首都星が混乱しさえすれば、自分で脱出したり行動の出来る人達なんです。実はキッド君と出会ってから、この様なケースを想定して既に連絡も取り合ってるんです。ただ現在は監視が厳し過ぎて・・・・・」


 首都星の防衛システムが、テーブル天板を埋め尽くす大きなモニターに表示される。

 その他にも❝防衛要項書❞や❝警備状況❞、他にも・・・・・


「嘘だ・・・コレだけの情報が用意出来てる!前から反乱を起こす事、考えてはいたのでしょう?」


「当然です♪」


 イヤ当然じゃ無いだろ?


 さて情報を整理すると首都星の防御は決して薄くは無く、コレを破かないと話が進まない。

 要は警備拠点を潰して、彼等が脱出し易い様に騒ぎを起こす必要がある。


「一応ギブスン指令と私で考えたのは、分解して小さくしたオルキュロスを大気圏突入させ、首都星に落下させて潰したい」


「その作戦は民間人の被害が多過ぎると考えます」


 軍人で無いミューズが止めに入る。

 彼女は皇族としての教育もロクに受けて無いし軍人で無いから、こう言う考えを認められないのだろう。

 人間としては当然の感情だ。


「首都星と言っても、市街地では無く軍事拠点を狙って落とします。軍事拠点は艦の打ち上げ等の施設も有り、市街地から離れて建設されてます。また衛星は隕石と違って中身はスカスカ、あの大きさが落ちる割には被害は限定的です。そして首都星全土の基地を攻撃するのでなく、軟禁されてる連中の周囲を混乱させる事が・・・・・」


「つまり被害は思ったより少なく、更に帝都周辺の基地だけで良いって事ね?」


「そこ等辺はコチラでも調整して有ります。全基地を落としては、彼等が逃げる脚も無くす・・・・・」


 ギブスン指令の言う通りだが、


「で・・・そんな事ボク等に言うのは・・・・・・」


「コレが問題なんだ」


 モニターに大きな人工天体が表示される。


「人工衛星・・・いやスペースコロニーだな」


 まあ厳密に言えばスペースコロニーは人工衛星の一種だろうが、コチラの世界では前に上げた条件をクリアしたモノをコロニーと呼び、比較的だが小型・簡略型のモノを人工衛星と呼んでいる。

 コロニーの条件とは「大きい事(最低一辺がKm単位)」「遠心力で人工重力を作ってる事」更に「継続して人が生活していける環境である事」の3つだ。


「実際には定義上コロニーなんだが、衛星軍事拠点❝テュホーン❞と言う名称が付いている。3基あるコイツ等が帝都の上を交代で警護し、オルキュロスの残骸が近付いたら一発で消滅させられる」


「衛星軌道を廻ってるから、ずっと帝都上空には留まれ無いモンね♪それで3交代制か・・・常に2基が帝都の上空を警護できる位置に成ってるんだ?」


 テュホーンには1~3のナンバーが振られ、それを末尾に付けて呼ばれている。

 軍事基地であるだけじゃなく、軍需工場も兼ねているそうだ。

 するとミューズがトンデモナイ事を言い出す!


「いっそ3基とも奪って帝都に叩き込みません?中身は衛星と違ってスカスカのコロニーだし、ソレほどの破壊力は無いんじゃないですか?下手すりゃ大気圏突入で燃え尽き・・・・・」


「「「「「ません!ません!ません!」」」」」


 全員で必死に否定する。

 確かに中身は空洞だが、アレだけの質量を支える外装や骨格等は頑丈過ぎるほど頑丈に造られている。

 大気圏突入で分解ってパターンは有るだろうが、それでも主要部分は殆ど燃え尽きる事無く地球に音速以上で突き刺さるだろう。

 伊達に何処かのアニメで❝コロニー落とし❞何て必殺技が考えられた訳じゃ無い!

 さっきは人道的見解を示したのに、知らないってのは恐ろしい!


「オマエは大した被害に成らないと思って言ったんだろが、確実に帝都の人間皆殺しだから実行しちゃ駄目だヨ!」


「ハ・・・ハイ」


 夜空を脅しに成る花火が彩る程度にしか成らない、と思ってたミューズが恥ずかしそうな貌をする。


 ちなみに有名なツングースの大爆発は、直系100m未満の隕石が大気圏突入に耐えられず大気中で爆発した為に起きたと考えられている。

 爆発は爆心地から直系100㎞弱の範囲を巻き込んで、その原因は直系100m未満の隕石か何かと考えられている。


 そう直系100mの隕石が直系100㎞の範囲を破壊出来るのだ!


 つまりドッカの一辺でも1000m超えるコロニーが落ちたら・・・確実に核弾頭以上の破壊力を持つだろう。


 人里離れた軍事基地を攻撃するならまだしも、流石に首都や都市の近くに落とすのはマズ過ぎる。


「どの道だが作戦が予定通りに住むとは限らない・・・余裕をもって破壊するには・・・・・」


「テュホーン1から3まで、3基とも全て占領しましょう♪考えて見りゃ奪ったテュホーンの武装を帝都に向けて脅かせば、それだけでオルトロスなど堕とす必要も無くなるでしょ?」


 そこまでされヴァイラシアンの奴等が、戦闘を継続する根性が有るとは思えなかった・・・良い案だと思うのだが、ミューズ以外の職業軍人達が呆れた様な貌をしてる。


「逆に難しく無いか?」


 ウェルム少将が言うが対するボクの返答は、


「そんなの簡単ですよ♪」


 再び職業軍人達が深く溜息を吐いた。




 ボクは格納庫へ向かうと、アサルト・ノーダーからシートを引き剝がした。


「ついに使う時が来たか・・・・・」


 アサルト・ノーダーは所謂ロボットと言う奴で、デザインはカメラアイがバイザータイプの人型をしていた。

 日本産ロボットアニメなどの分類を適用するならリアル系ロボットの部類に入り、アニメのヒロイックなデザインよりゲーム等に出て来る実用品っぽいデザインをしている。

 コロニーや軍港などの制圧・占領の為の兵器で、身長が5~6m位有るので通常サイズの艦内の通路を闊歩する事は出来ないが、それでもコロニーや宇宙基地・天体上そして超大型艦の中では有用な戦力だ。


「人間は手足が吹き飛べば戦闘継続出来ないけど、こう言うのは手足が無くなっても、痛みも感じないし戦闘継続も可能だからね・・・それに最悪、脱出して乗り換えれば熟練の兵士が引き続き戦闘可能だし・・・・・」


 元々アサルト・ノーダーは、テレパス能力が強い先古代文明人の兵器だった。

 操縦桿やコンソールでも❝ある程度❞は操縦出来るが、実際実用的はレベルではテレパスで動かす必要がある。


 この世界でもロボット兵器である❝ポッド❞は存在するが、自立型(勝手に戦ってくれる)歩行兵器や無線操縦型(リモコン的な)兵器が殆どで、拠点防衛などで使われるケースが殆どである。


 その中で二足歩行の兵器は数種存在するが、ダチョウっぽい腕が無い奴(武装は本体に直接マウント)や某ハリウッド映画のロボット警官物の第一作目に出て来た奴の様な形をしていて、押しなべて完全な人型をしていない。


 そして何より兵器としての精度は、アサルト・ノーダーに比べ、怖ろしい程お粗末だった!


「さてと・・・結局のところジェリス艦長さん達の懸念は・・・と♪」


 テュホーンを武力鎮圧するには、中に軍需関係企業に従事してても実際は民間人ってのが多過ぎる事が問題なのよね!

 実質コロニーだが衛星軍事拠点テュホーンには、軍需企業や付随する企業や商店等に一般人・民間人の類が多く住んでいる事が問題だ。

 勿論だが軍人さんは、必要なら情け容赦などしないで民間人ごと攻撃出来るかも知れない・・・しかしソレでも極力殺さない方にすべきなのは人間として普通の思考だろう。


 テュホーンはコロニーとしては密閉円柱型して、軸の部分が無重力の宇宙港と、外壁は全てハリネズミ並みの武装である。

 それ以外に大きな羽の様な太陽光パネルが4枚連結されていて、ソレでエネルギーを蓄電してるのだ。


『外から攻撃すれば、間違いなく派手な戦闘に発展する。そうするなら最初から民間人の犠牲を覚悟で、テュホーンごと撃墜すべきだな』


 冷酷にジェリス艦長が言い、ウェルム少将とジュリアさんが顔色を曇らせた。

 ある意味ジェリス艦長が一番軍人として優れているのかも知れない・・・彼は敵国の民より自国の民、敵兵より仲間、そして皇族貴族より民と冷酷に優先順位が切り分けられている。


 ただ彼が冷たい人間と言う訳じゃ無く、爺さんに対して忠誠心が強いだけに思える。

 そして爺さんの思想を一番強く継承してるのだ。


「そんな彼だって望んで虐殺したがってる訳じゃ無い・・・併呑すればヴァイラシアンの民だって、後のファルディウス帝国民に成るんだから・・・・・」


「その為に私達がやらねば成らない事は?」


 いつの間にか後ろに来ていたミューズが声を掛けて来た。


「必要なパーツは一つ、ただ今のところ必要なスペックを持ってるか不明・・・・・」


 アサルト・ノーダーの整備をしてるボクを見たのだ・・・ボクが何を企んでいるのか、ミューズは分かっている筈だ。


「お兄さま」


 ミューズはボクに長さが1m程のカーボンアンテナを差し出した。


「私・・・お兄さまの足手まといに成る積りは毛頭ありません!もし成っているなら、遠慮なくそれで頬でもオシリでも引っ叩いて下さい」


 形状から言って鞭の代りに成るだろうが、ハッキリ言ってコンナ物で叩かれたら痛い何てモノじゃ済まない・・・スカートの上からでも洒落に成らない傷痕が残るだろう!

 可愛いミューズのオシリに、そんなモノ付けられて堪るもんか!

 ボクはカーボンアンテナを圧し折りながら言った。


「アホな事を言って無いの!」


「私は本気ですよ!お兄さまの事だから、優秀なパイロットをジェリス艦長達に借りて急ごしらえしようと思ってるんでしょうけど・・・私にも相棒としてのプライドが有ります」


 そう言うとボクの腕を引いてコクピットに向かった。


「さあ時間が有りません・・・私にお兄さまの相棒たる資格が有るか無いか、確認に向かいましょう!」


何処(ドコ)へだ?」


「ポイントD-3-105で数百程度の艦隊が集まってます」


 成る程・・・相棒のテストとしては申し分無い。




 ミューズにはスターシップの操縦を、一から全て教え込んで有った。

 彼女の操船技術も人並みでは無い・・・正直かなりの上級パイロットだ。

 ただ戦闘と成れば話が違い、冷酷な判断を瞬時に選択させられる場合も有った。

 彼女にはマダ自分で操縦させて、戦闘を経験させた事は無いのだ。


「行く先はギブスン指令の防衛ラインの様です・・・如何やら明確に疑われて無い迄も、怪しまれてはいる様です」


 まあコレだけ首都星近郊で暴れられてたら、何かを疑いたく成るのは仕方ない事だろう。

 ただ彼等が疑われる事は一度もして無く、軍監や監察官は防衛ラインに近付く前に全て撃沈・拿捕した。

 それだけじゃ無く全ての艦隊が首都星近郊から離れた途端に迎撃されている。

 疑われる要素は少ないだろうが、それでも疑心暗鬼に成ってるのだろう。


「総数287隻、オマエ一人で沈黙させられれば合格だ。ボクは一切手を貸さないし、ジュリアさんも手助けしない・・・失格するまではね」


 ミューズは本来はボクの席、パイロットシートに座って頷いた。

 ボクはコ・パイ席には座らずミューズの後ろに立つ。


「使用武器はレールガン・ブラックホールダウン以外の全ての兵装、実力で全て黙らせろ!」


「了解・・・戦闘を開始します!」


 緊張した声で言うと、ミューズはスターシップのエンジンを全開で廻した。

 敵艦隊に向かって・・・・・


「いやミューズさん、チョッと行き成り正面から・・・・・」


 真正面から全速力で敵の艦隊に飛び込むと、擦れ違いながら次々とブリッジを撃ち抜いて行った。

 艦体の最後尾から飛び出すまでに数十隻の敵艦を黙らせる・・・ボクには出来ない芸当だ!


「反転し再突入します!」


 今回戦闘を含む全ての行動を、ミューズの選択に任せてある。

 彼女の行動自体が審査の対象だ。


「アリスさん・・・敵旗艦と主だった士官の船、その位置を正面ディスプレイに表示して」


「畏まりました」


 マーカーが数隻の船を赤く発光するマーカーで囲む。

 ミューズは再度飛び込むと、マーカーで示された船で無く、その警護艦のブリッジを全て正確に撃ち抜いた。


「レプトン通信を傍受、敵の会話は・・・・・」


「正にパニックと言う所です」


 ミューズはボクの様に敵艦隊内を泳ぐ様に掻き回す事は無いが、艦隊に突っ込んで突き抜けるまで確実にダメージを艦隊に与える。

 ミューズは旗艦とマーカーが表示された半分のに当る艦の警護を、全て撃墜し丸裸にした。

 そしてそのまま艦隊進行方向、真正面に突き抜ける。


「ビームとレーザーだけで・・・大したモンだよ」


 ミューズはファランクスやブラスターで大量に弾をバラ撒く事はしなかった。

 打った砲撃はアリスが制御するオート状態だが、それでも明確に指示し狙いを示した。


「艦首大型ブラスターにプラズマ弾を選択、圧縮開始して下さい」


 二つに分かれた艦首両サイドの大型プラズマブラスターが、青白い光を発しながらチャージされて行く。


「再突入・・・正面から旗艦そのモノを狙い・・・・・」


「敵艦隊から降伏の通信が有りました。既に全艦隊の艦船は武装の充電・装弾を解除し、エンジンを半停止状態にしました」


「オマエ敵が簡単に降伏する様に、あえて偉そうなの残したんだな?」


 なかなか腹黒いボク好みの戦術だ♪


「そこまで考えてた訳じゃ無いんですが、これでも降伏しないなら今度は旗艦を撃沈して選択させようと・・・・・」


「ブリッジを?」


 ミューズがニッコリ笑った。


「イエ完全な撃沈で、爆発四散させる事まで想定してました」


 ソレで脅しをかけるって事ね。

 大きい方のブラスターを使うって事は、その周辺の艦も巻き込んで大量に殺して脅かす気だったんだ?


「ミューズ・・・」


「何でしょう?」


 ボクが声を掛けると、ミューズはパイロットシートから立ち上がった。


「合格だ!ミューズはボクの相棒として、十分以上の知力・技術力・判断能力を持ってる・・・今後はボクの代りに操縦して貰う事も有るからね」


 ミューズはボクの胸の中に飛び込むと、そのまま床に押し倒してしまった。


「ミューズ・・・痛いよ・・・・・」


「ゴメンなさいっ!ワザとじゃ・・・・・」


 ワザとじゃ無いだろうが、オシリを痛打したボクが苦情を発する。

 だがミューズはボクに圧し掛かった侭だった。


「如何した?何か御褒美でも欲しいのか?」


「出来たら前みたいに撫でて欲しいな・・・・・」


 そう言うスキンシップをミューズは好む・・・ボクは喜んで優しく撫でた。

 ミューズのオシリを・・・・・


「お兄さま・・・最低です!」


 ボクは撫でてた手の甲を思いっ切り抓り上げられた。

 そしてパイロットシートに座らされると、膝の上に座ったミューズに良いと言うまで頭を撫でさせられる。

 暫くすると・・・降伏した艦隊を引き取る為、ジュリアさんのロイヤルフェンサーが到着する。




 スターシップの二つに分かれた艦首の間は大出力レールガン、であると同時にアサルト・ノーダーを射出するカタパルトの代りでも有った。

 ボクは珍しくパイロットスーツに身を固め、ヘルメットを被ってシートに座った。

 当然ながらアサルト・ノーダーは、船よりは被弾時に気密を破られ易い。


「テュホーンは円柱ボディの芯の部分と、その両端が軍事施設に成っています。外部パネルで発電した電力は、その芯の部分にあるエネルギー・プールに蓄えられてるんです」


 シナモン中尉、パイン大尉の副官さんが言った。


「勿論ですが衛星各所にバッテリーや発電・充蓄電システムが有りますが、メインのエネルギー経路を破壊されれば出力は大幅に下がります。特にメイン・ジェネレーターからの出力伝達経路を破壊されたら衛星は我等に対抗出来ない。ただジェネレーター自体を破壊したらテュホーンが・・・・・」


「まあ今までコロニーの中に入り込んで破壊する何て、考える奴ァ居なかったしな!」


 パイン大尉が呆れる様に言った。


「今後再利用する事を考えたら、ソーラパネルを完全に破壊する事は下策でしょう。接続ケーブルかアームを破壊し、最悪宇宙空間に放流させ大気圏に落下する前に回収しましょう」


「落下の可能性は低いな・・・・・」


 シナモン中尉の発言にジェリス艦長が否定をする。


「周回軌道は円実点(重力影響下で一番遠い地点)でパネルは軽い・・・破壊されたら重力に引き寄せられる前に、解き放たれて外へ飛んで行くよ!最初から回数班を配置して有るから彼等に任せよう」


 と言う事の様だ。


「そろそろ見えて来るぞ・・・・・」


 ジェリス艦長が言うと、首都星の外輪に小さな黒い点が現れる。


「来たね・・・さあ行こうか?」


「ハイッ!」


 ミューズは緊張した面持ちで答える。


「安心しろ、ミューズは十分ボクの代りに成る力を持ってるよ♪それともボクの保障じゃ心配かな?」


「そんな事有りません!」


 ミューズは操縦桿を握り締める。


「では行こう!」


「了解・・・スターシップ、先行します!」


 スターシップが加速を始める。




 すぐに敵からの応戦が始まった。

 成る程・・・パイン大尉やギブスン指令が懸念するだけ有って、凄まじい攻撃能力だ。

 雨のような攻撃がスターシップに振り注ぎ、シールドのエネルギーをドンドン減退させていく!


「インナーシールド展開します!」


 バリアシールドが限界を迎える前に内側に次のシ―ルドを展開し、外が破られたら大きく展開させシールドを常に展開出来る様にする。

 シールドジェネレーターを複数装備し、尚且つ展開してるシールドの内側に同時にシールド展開出来るスターシップの装備だ。


「良いな・・・これ欲しい!」


 ジュリアさんが言った。

 ボクがスターシップを離れる為、ミューズが心配で乗り込んでくれたのだ。


「皇女様を1人で船に乗せて戦わせられないでしょ?ってより普通は皇女様って戦わせない存在なんだからね!」


「それ言ったら、一応ジュリアさんだって皇女様じゃ無いか!」


 直系では無いかも知れないが、十分に皇帝の椅子に近い方の皇族である。


「まあ二人とも、お姫様っぽく無いのは確かだけど・・・・・」


「「如何言う意味ですかっ!(よっ!)」」


 二人が同時に金切り声を上げた。

 その間もシールドの耐久力が凄まじい勢いで減退して行く・・・コレだけの攻撃は全て避ける事なんて出来る筈も無い。


「お兄さま・・・アナタは避けてたじゃ無いですか?」


「いや流石にココまで激しい攻撃には・・・やってたかな?さすがにコノ量はギリギリ無理だと思うんだけど・・・せめて半分なら・・・・・」


「いえキッド様は、この148%の攻撃でも避け切ってました!」


「キッド君・・・普通この10分の1でも無理だからね・・・・・」


 敵が大型光学兵器(ビーム砲)をチャージする気配を見せ、打ち出す瞬間にミューズは機首を巡らせた。

 さすがに光速で飛来する光学兵器は、発砲後に交わす事は不可能に近い。

 それでもミューズは何とかビームを避け切った。


「ホントに・・・スカウトしたく成って来た」


 ジュリアさんがボヤいた・・・考えて見りゃそうだよな。

 今の攻撃を避けるパイロットは、ファルデウス・ヴァイラシアン両方合わせても数える程しか居ないだろう。

 しかしミューズは確実にスターシップに馴染んで、その才能を開花させている・・・ボクとは正反対のタイプでは有るが、間違いなく超一流のパイロットだ。


 余談では有るが・・・この世界で軍の艦船を、実際に操縦桿や舵を操って操縦してるのは、操縦士(パイロット)と呼ばれる上級士官だ。

 地球では操舵手と呼ばれる下士官がそれに当たるが、この世界では技術が進んおり基本一人でも操船が可能なのでパイロットと呼ばれる様に成ったらしく、同時に地位も上がって上級士官化したらしい。

 もっとも軍艦を効率的に運営するには多くの人が必要で、スターシップの様に数人で賄う船は皆無に等しい。


「それにしても・・・弾幕の薄い所をキレイに飛び込んでくわね?よろしかったらミューズ様、フリッパーの操縦士としてスカウトしても良いかしら?待遇は副官相当として・・・・・」


「ミューズはやらんぞ!」


 思わず父親の様な事を言って仕舞い、ミューズが愉快そうにクスクス笑っている。

 皇女だとしても軍務経験も士官学校の卒業もして無いミューズは、従軍しても階級が付けられない状態だった。

 かと言って皇女様が一兵卒なんて出来る筈も無い・・・でこう言う表現に成るのだ。


「敵の攻撃が遠距離兵器から切り替わりました・・・コチラの攻撃が届きますので、攻撃を開始します。お兄さまを射出出来るポイントが見付るまで、もう少しお待ちください」


「何時でも出られる様にしている」


「ミューズ様はレーザー兵器に慣れてる様だから、ビーム砲塔は私が担当します。ブラスターやミサイル・魚雷は随時任意で・・・・・」


「その他の小火器は私が操りましょう」


 アリスがサポートを申し出る。


「ところでジュリアさん、ビーム砲塔ナンか操作出来るの?」


 この言葉に気分を害したらしい。


「私の経歴は知ってるでしょ?撃沈されたパトロール艇を操って、海賊船の側面に風穴開けた女よ!」


 そう言いながら砲塔をグリグリ操作している。

 動きは滑らかだ。


「ホントはミントも連れて来たかったんだけど、彼女は私が居ない間に第一艦隊指揮して貰わないと成らなかったしね」


 ミントさんはジュリアさんの副官だ。


「さあパーティーを始めましょうか!」


 美少女と美女?が血に飢えて吠えている。

 ちなみに美女はジュリアさんの方だが、クエスチョンを付けたのは彼女もマダ若いので本来美少女だからだ。

 もっとも精神年齢は・・・見た眼に反し大分幼い!


「チョッと・・・キッド君、私に何か文句でも有る」


 まてっ!

 何で考えている事が解った?


「お兄さま、顔に出過ぎです何ですって・・・特に私達に失礼な事考えてる時は!」


「ナニ考えてたのか、キッチリ白状させるからね!」


 この(ヒト)達、怖い!




 衛星の警備艦隊が展開している。

 軍事拠点なのだから当然なんだが、それがまあ多い事・多い事、ココを堕とされたら本当にヤバイ事ぐらいは分かっているらしい。

 その中を掻い潜りながら応戦してるミューズ達だったが、正直言って今一つ責め込めない状態だった。


「キッド様なら掻い潜ってテュホーンに接近出来るんですが・・・・・」


「一回ノーダー降りて、スターシップのコクピットに戻ろうか?」


 と言うが二人のプライドを傷付けてしまったらしい。


「「お兄さま(キッド君)は大人しく其処で待機してて下さい(なさい)!」」


 強情だなあ・・・まあ本気でヤバク成っても意地を張る程、二人は愚か者では無いから取り返しが付かなくなる前に泣き付いて来るだろう。


「ミューズ様は動きが直線的過ぎます。キッド様の様に攻撃を避けながら敵に接近し・・・・・」


「アリスさん・・・普通、人間にそんな事出来ません」


 ジュリアさんがミューズをフォローする。


 正面にしか攻撃を展開しない戦闘機戦と違って、艦船での戦いは前後上下左右・全周囲が対象に成る。

 だから技術が進んでも軍艦には多数のクルーが乗船してる訳だ。


「ミューズ・・・最悪オマエは操縦のみに集中して、攻撃は全てジュリアさんに任せるんだ!ボクだって操縦に集中してる時は、上下左右後方の攻防はミューズに任せているだろ?肩の力を抜いて・・・・・」


 その瞬間からスターシップの動きが滑らかに成った。

 ほれ見ろオマエはヤレば出来る娘なんだ!


 と・・・チョッと褒めた途端に衛星からの長距離ビーム砲がシールドを掠める。

 アレ喰らったらシールド完全消滅だったな・・・・・


「ミューズ・・・後でオシリ叩き50な!」


「エ~~~ンッ!」


 敵の中を掻い潜りながら、眼の前のテュホーン2に近寄って行く。

 そろそろ良い頃合いだろう。


「ミューズ出るぞ!」


 艦首からノーダーでレールガン射出口に出た。

 本来攻撃兵器であるレールガンの砲口、正直言って怖いよね。

 人間ロケットとか人間大砲ってサーカスであったな・・・・・


「間違ってもレールガン撃たないでよね!」


「お兄さま、私の事を馬鹿だと思ってますか?」


 モニターの中のミューズが頬を膨らませた。


「射出エネルギーは0.05%、圧力250キロ・・・文句ありますか?」


 ミューズが本気で怒ってる。

 機嫌を取ろうと思ったが、


「テュホーンに肉薄してます・・・ソロソロ射出します!」


「良い・・・ぞ?」


 ここでボクは重要な事を思い出す!

 定番の台詞の事を考えて無かった!

 これは格式美、マニアとしてコレだけは言わずに居られない!

 と言うのも当然アサルト・ノーダーは固有名詞じゃ無いんだ!

 これを呼び名に使う事は、ボクの美学に反する!

 コイツに相応しい名前は・・・・・


「如何したの?」


 ジュリアさんが言ったが、


「何でも有りません!チャンスが来たら出して」


「了解・・・お兄さま、行きますよ!5・4・・・・・」


 その時ボクの頭に、コイツに相応しい固有名詞が浮かんだ。


「セイ・ヤフネ、エクセリオン出る!」


 やった!

 一度言って見たかった♪


「ゼロッ!射出っ!!!」


 エクセリオンに凄まじいGが掛かるが、


「ミューズ待て、放電が足りないよ!」


「えっ、だって!お兄さま、搭乗者も機体も耐えられるって・・・・・」


 背中・オシリ・脚の背面から、かなり強めに電撃がビリビリと・・・・・


「耐えられるからって実害が無い訳じゃ無・・・・・」


 やっぱりノーダーや戦闘機の専用カタパルト造ろう!


「ミュ~ズッ!オシリ叩き30追加~~~~~ァ!」


「フェ~~~ン!」


 ボクは芸能人がバラエティー番組でやる様な、罰ゲーム的な電撃を浴びさえられながら宇宙に投げ出された。




 流石に射出されたボクを撃墜する余裕は無かったらしく、ボクはテュホーン2に取り付いた。

 攻撃用のビーム砲台がズラリと並び、スターシップを攻撃してるが手を出さない。

 一々潰すのは無意味だし、彼女等なら対応出来ると信じてる。


「ボクがやるべきなのは・・・・・」


 ボクは衛星の外装上を滑る様に移動した。

 内部に侵入して電力区画を沈黙させる!


 円柱状衛星の先端に移動する。

 スペースボートに成って、内部に侵入出来る筈だ。

 最も警備が厚いであろうが・・・・・


「前方、敵守備部隊が展開しています」


 無機質な女性の合成声、ワイズマンズ・ライブラリーの管理者を組み込む前のアリスの声を、愛着も有ったので使い廻している。


「自立型歩行兵器24機、展開中・・・・・」


 大砲付きの箱に逆関節の2本脚を付けた様な、首の無い鉄のダチョウが展開している。


「自立型浮遊砲台35機、展開・・・モタモタしてると増援で溢れ返りますよ?」


 訂正・・・コイツも現在のアリスの影響を受けてる様だ。


「了解、せっせと黙らせよう!」


 ボクはエクセリオンが右手に握る、携行型レールガン(リニアガン)を発砲する。

 こう言うの憧れてたんだ♪

 男の子なんだモン、仕方無いよねw




 敵の二足歩行兵器とUFO染みた浮遊砲台を叩き落としながら、ボクは宇宙港から内部に突入した。

 最初は某ロボットアニメの主人公に準え撃墜数をカウントしてたりしたが、すぐに100を超えて仕舞ったのでやめた!

 わらわら数だけは出て来るが、全く戦闘に成っていない。


「不謹慎なのは解ってるけど・・・こう言うのを鴨狩って言うんだろうな」


 いや野生なだけ鴨の方がまし、出て来ては応戦する間もなく撃破されて行く。


「コ・・・コイツ等、出て来る意味有るのか?」


 むしろ構内を埋め尽くすゴミを増やす事にしかなって無い気がした。

 それとも残骸でボクの進路を塞ぐのが目的か?


 さて宇宙港を抜けて軍事区画に入ると、流石に敵の応戦が激しく成って来る。

 この先にエネルギープールの区画が有る筈なんだが・・・見付けた♪

 太過ぎるほど太いケーブルに繋がれた、台形の箱が並んでいる。

 箱の大きさはタンカーほど、ケーブルの太さは3m以上あるだろう。


「つまりケーブルが集中してるのが変電・配電の為の・・・・・」


 一際目立つ赤茶色のブロックをリニアガンで吹き飛ばした。

 そこで内部の証明が非常等に切り替わる。


「正解♪」


 ボクは背面と脚部のバーニアをふかして、奥の方へ進んで行く




「こう言うのは私が一番得意なんだ♪」


 ウェルム少将が自分の艦アルマゲドンでテュホーン2に取り付いた。

 配下の海兵隊をテュホーンに突入させ、内部を掌握して行く。

 すぐ予備電力が起動し非常灯から通常灯に切り替わったが、また非常灯に戻ってしまった。

 ボクが遮断したからね♪


「コッチで使う時は修理するから、遠慮無くぶっ壊して仕舞え!」


 ウェルム少将が怒鳴ったが、予備は一基しか無いらしい。

 勿論だが軍事施設で非常時に電力が足りないので砲塔が動かないなんて洒落に成らない。

 その為に予備どころか予備の予備の予備まで造られていたが、ヤッパリ主電源を潰されると徐々にパワーが不足する。


「外部砲塔は沈黙しました・・・港湾部も鎮圧済みです。内部は・・・もう少々お待ちください」


「ウェ・・・ウェルム少将、アンタ何時からウェイターに成った?」


 少将との会話がファミレス店員との会話染みて来たので言って見る。

 程なくテュホーン2はコチラの手に堕ちる。

 だが仕事は終わって無い。


「次行くよ!拾って」


「了解!次はテュホーン3ね?」


 テュホーンから出た途端に掠める様にスターシップが来る。


「危なっ、もうチョッと余裕持ってよ」


「ゴメンなさいっ!近過ぎた?」


 艦底ハッチから内部に入る。

 戦闘は彼女等に任せて、コッチはノーダーの補給と簡易点検だ。


「テュホーン3へ向かいます。近付いたら声を掛けるから休んでて♡」


 頼もしいミューズの言葉である。

 さてリニアガンの弾を補充すると、機体のチェックはアリスに任せてベンチに座った。

 すると壁の一部がモニターと化し、可愛い女の子の全身像が表示される。

 彼女はニッコリ微笑むと、


「キッド様、お飲み物でもお持ち致しましょうか?」


 ボクは盛大にズッコケながら、


「アリス・・・だよな?」


「そうです♪」


 立ち上がりながら質問する。


「その女の子は何?」


「ただのイメージです♪その方が親しみが持って頂けるかと・・・お飲み物は炭酸飲料でよろしいですか?」


「ハイ・・・」


 ボクは呆れながら答える。

 すると艦が微細な振動を伝えた。

 戦闘が始まったらしい。


「テュホーン2が陥落したので敵も危機感を持った様です。ミューズ様が近付くには少し時間が掛かるかと・・・飲み物が届きました」


 作業用の小型ドローンがボトルを下げて来る。

 アームでボクに手渡すと今度はエアダクトのカバーを開いてソコから帰って行った。


「ドコから帰るんだよ」


「スミマセン・・・そっちの方が早いので・・・・・」


 やはりアリスは生まれ変わって性格が歪んだ。


「チェック終了しました。要・整備項目は上がりませんでしたが、左ヒザ関節のパワーモーターがへタリ始めてます。放置し過ぎですね・・・もっとコマメに乗って上げて下さい」


「スミマセン」


 今度はコッチが謝る事に成る。


「ところでコクピットの様子が気に成りませんか?面白い事に成ってますよ♪」


 如何言う事だろう?

 すると女の子の姿は消えて、盗撮されたコクピットの様子が映し出された。


「オラオラオラオラ!」


 ジュリアさん、それ女の子が言ってはいけないセリフです。

 それにA木先生に叱られちゃいそうだし・・・・・


「イッケェ~~~ッ!」


 ミューズが叫ぶとレールガンが発射され敵を薙ぎ倒して行く。

 乗り捲くっとるやんけ・・・ほかにも「女王様とお呼びっ!」とか「クタバれ~~~っ!」って叫んでいる。


「如何です?面白いでしょう」


「アリス・・・」


「勿論、録画してます」


「上出来だ!」


 後で楽しみだな♪

 さてトイレも済ませて、アサルトいやエクセリオンのコクピットシートに収まる。

 そのまま暫く眼を瞑るが・・・・・


「お兄さま、丁度良い位置に付けました」


 ボクはシールドを降ろしてコクピットを閉鎖する。


「射出口に移動、打ち出しイツでもOKだ。ただしチャンと放電する様に・・・・・」


「もう・・・チャンと放電しましたってば!」


 ミューズが不満そうに言うが、コッチもミューズが何度も同じ失敗を繰り返すとは思っていない。

 同じ失敗については・・・


「チョッと待てミューズ、右のレールが一か所スパークを放ってるんだが・・・・・」


「えっ?」


 こちらもカメラを望遠モードに切り替える。

 するとレールガンのリニアレール、その外縁に貼ってある絶縁シールが・・・・・


「大変だっ、絶縁シールが破損してるぞ!」


「お兄さま、ゴメンなさい・・・既に圧縮電子を開放中で!」


「つまり止まらないと言う事です」


「冷静に言うなアリス!」


 次の瞬間ボクの躰がシートに押し付けられると同時に、背面からビリビリと電撃が襲って来た!


「ワザとヤッてるだろ~~~っ!」


「そんな事無いモン・・・」


 ジュリアさんも通信の向こうでケタケタ笑ってやがる!

 ボクはGに耐えながら力の限り叫んだ。


「ミュ~ズッ!オシリ叩き30追加~~~ァ!」


「ビェ~~~~~ッ!」


 戦闘が終わったら、あんの天然ボケ娘・・・絶対に許さん(怒)

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