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探し物を見付ける!

 望遠観測では艦砲はマダ飛び交ってる。

 簡単には終わりそうも無い。


 それでも戦争は軍人さんの仕事、後はジェリス艦長にお任せする。

 スターシップは戦闘を無視してシィーゲルに降下した。


「荒涼として何も無い星ですね・・・・・」


 ミューズの感想は正しく的を得ていたが、実際には荒涼等と言う生易しいモノでは無かった。


 この小惑星群は一輪の朝顔の花が咲いている様な形をしていた。

 花の付け根の部分がブラックホールの発生地点、花の部分は吸い込まれかけた星や岩礁、そして枝の部分は吸い込まれ粉砕された星々の残骸がブラックホールから吐き出されたモノだ。


 その重力の嵐に飲み込まれかけたシィーゲルは、山も谷も起伏に乏しくヤスリで削り上げられた様に表面がツルツルだ。


「もっと大きな星や密度の高い星も有ったんだろうけど、そう言う星は先にブラックホールに飲み込まれるんだよね?シィーゲルは中途半端だから生き残れたんだ」


「衛星が捥ぎ取られなかったのが奇跡ですね」


 ブラックホールの影響何か受けたら、普通は衛星など先に吸い込まれて仕舞う。

 後で判った事だがシィーゲルが吸い込まれかけ、いざ滅亡の瞬間にブラックホールは限界を迎え消滅した。

 その時・・・現在地はブラックホールに向いており、衛星はシィーゲルの陰に隠れていたのだ。


「お兄さまの探し物は、果たして無事なのでしょうか?」


「判らない」


 安易に適当な事は言いたく無く、ボクは正直に言った。

 だが地下深くに設置され、必要以上に頑丈に作られているらしい。

 当時も「ここまで頑丈に造るのは、税金の無駄使いでは無いか」と非難されてた記事が残ってたのだ。


「ポイントX7482Y1258・・・この辺りの筈ですね?」


 辺りには何も無く、スケート出来そうなほど滑らかな地表が続く。


「何も見当たらないな・・・じゃあ地下をスキャンして見て!同時に当時の記事もチェックして貰える?」


 スキャン画像を見ながらミューズに頼んだ。

 ミューズがする訳でなく、彼女にアリスへ指示する様にって事だけどね♪


 暫くすると・・・


「お兄さま・・・例のタブレットに残されてた新聞記事を、アリスに再チェックして貰ったんだけど・・・この地点の施設は建設途中で軍事基地に転用され、その後爆撃された様です。その前に別の地点へ移動され・・・・・」


「余計な事しないで欲しいな(怒)」


 ボクは毒吐くと記事を全てチェックさせ、施設の正確な地点に移動する。





「ジェリス艦長より入電、反乱軍はほぼ鎮圧出来たが若干逃走した艦が有り。全艦拿捕するしソチラには行かせないので、安心して使命を全うされたし・・・以上です」


 それは有難い、全力で全うさせて貰おう♪

 ボクの使命は当然ミューズの復活だ!


「今度こそ間違いなく目的地です」


 ド真っ平の平原だ。

 着陸するには楽で良いかも知れない。


「惑星の表層をブラックホールに数百メートル削られた様です。おそらく施設は・・・・・」


「施設は地下1500メートルの場所に建設された。希望はあるさ!」


 周辺の地表にスキャンを掛ける。


「しかしソレを発掘するのに如何ほど時間が掛かるのか、お爺さまに発掘隊の組織をお願いした方が・・・・・」


 それは当分無理だろう。

 内乱も有ったし、それもマダ収まり切っても居ない。

 しかも軍の組織もガタガタ、陛下には他にやる事が一杯有る。


 だからこそボクに投げたんだ。

 どんなに孫が可愛くても、私情で優先順位を変える人じゃ無い。


「こりゃ何だ?」


 ミューズがスキャンに夢中に成って気が付かなかったが、外部から通信が入っている。

 いや信号か?

 取り合えず応答して見る。


「アナタ・・・は・・・誰ですか?」


「一応キッドと名乗ってるけど」


 音声信号で流れて来たのは、先古代文明人の言語で語る女性の声だった

 アリスが有れば簡単に翻訳出来る。


「アナタは・・・軍人ですか・・・」


「違うよ?」


 言葉が段々明瞭に成って来てる様だ。


「アナタの目的は?」


「妹を治療し助ける為に知識を求めている。その為に❝ワイズマン・ライブラリー❞を探している」


 すると暫く沈黙された。

 この間が少し怖いな・・・・・


「アナタを❝知識を求める者❞と認め、ワイズマン・ライブラリーの閲覧を認めます。侵入口を開きますので少々お待ちください」


 すると同時にミューズが叫ぶ!


「地下から高エネルギー反応っ!逃げてっ!!早く、早くっ!!!」


 ボクはスターシップを急上昇させる!

 程なく地面が大爆発した!


「危ないぞっ!何を考えてる?」


 すると全く悪びれず、のほほんとした返答が来た。


「マニュアル通り浮上時に地表を爆破しただけですが・・・・・」


 随分と物騒な入口の作り方だ。

 高度数千mの上空まで爆片が届くほどの爆発が必要なのか?


「誘導に従って侵入して下さい」


 爆破された後は直径300m程のクレーターと化しており、その中を殆どドーム状の建造物が出現している。

 その上部が左右に割れ開くと中に入るように誘導される。




「ふへ~~~っ、ギッリギリだあ!」


 クレーターの直系は300m有ったが、建造物の出入り口は200mチョッとしか無かった。

 そしてスターシップは200m級の宇宙船、入るのにギリギリのサイズだった。


「確かにスターシップは200m級と銘打ってるけど実際には185mしか無いよね・・・だけど普通202mしか開口部が無いゲートを潜ろうと思わないわよ!」


 艦載機で向かうべきだと提案するミューズに逆らい、スターシップで強引に着陸したモンだから怒られた!

 17m余裕が有れば入れると思ったし、ビクビクするミューズが可愛かったからつい・・・・・


「帝国では前後左右に船体の50%の余裕を・・・・・」


 ミューズが怒ってお説教を始める。


 さて施設は直径217m程の球形をしていた。

 上半分は宇宙船を含む発着施設、下半分がライブラリーに成っていた。


「衛星ミローのシィーゲル研究所に行かれたのですか?備蓄のメタモルファ酸は耐用年数を過ぎてたでしょうが、あそこなら製造施設も有った筈です」


「戦争かブラックホールかマタは両方かが全て消し去ってね、種子(シード)コレクションが残ってただけでも見っけモンさ」


「全く愚かしい事です」


 ボクは地下の施設に案内された。

 だだっ広い何も無いホール、その中心が光り出すと光る部分が競り上がり高さ1メートル直系30㎝の円柱が建っていた。


「コレが私の本体で有り、そしてシィーゲル・ワイズマン・ライブラリーの蔵書です。この中にアナタ方が先古代文明人と呼ぶ人類の、全ての英知が収められてます。」


 施設の割には小さい。


「ミューズ様の状況は先程本人から説明頂きました。治療法・プロセス共に蔵書の中に、間違い無く御座います。また治療に必要なメタモルファ酸No2804の備蓄は有りませんが、当施設の設備とアナタの船に在るアミノ酸合成ベースを使えば再現可能です」


「やったあっ!」


 思わず握り拳を高く掲げ飛び上がった!

 カチューシャからミューズの啜り泣く声も聞こえてくる。


「ですが渡すには条件が有ります!」


「OK、ボクに出来る事なら何でも言ってくれ♪」


 そう言いながらボクは、にこやかに銃を抜きソレを円柱に向けた。


 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・


「無理な要求や非人道的な事を言う積りは無いので、その銃を引っ込めて貰えますか?」


 彼女の放つ光が寒色系に変わり、その声が引き攣って聞こえる。




「また改装か・・・・・」


 ワイズマン・ライブラリーの中で、スターシップを分解している。

 もっとも今回は本格的な解体では無く、コクピット周辺とコンピュータールームのみの改装だ。


「これがアリスですか・・・疑似人格は未装備なんですね?」


 アリスには人格を設定して無く、最初はミューズがアリスの疑似人格だと思ってた。

 まあミューズ自身も、そう最初は思い込んでいたんだ。


「ミューズ様の治療を開始しました。要求を叶えて頂いた以上、責任を持って間違いなく健康な身体を構築します」


 ミューズの身体も元がボロボロ過ぎて、多くの部分が人工パーツに大分置き換えられている。

 彼等の基準では既に治療では無く❝構築❞と表現するレベルなんだそうだ。


 ところでワイズマン・ライブラリーの要求、それは自身に貯め込まれた英知を世に広める為、外に連れ出して欲しいと言うモノだった。

 それが彼女の存在意義、生き甲斐なのだそうだ。


 だが地球より遥かに進んだ化学力を持つ❝この世界❞も、彼女に言わせると時代遅れも甚だしいそうだ。

 彼女の英知を広めるには、段階的に数百年以上掛けて進歩させないとと駄目だそうな。


「と言う訳で私もスターシップに乗せて頂けると有難い」


 そう言って半強制的にスターシップの改装を始めて仕舞ったのだ。

 まあ現在ミューズが人質状態、治療が終わったら恩人に成るので結局永遠に逆らえない。


「そう言えばキミは完全機械のAIなの?それとも・・・・・」


「何台かベースを入れ替えましたが、私は有機生体(バイオ)AIです」


 道理で人間臭い部分が有ると思った。

 完全機械AIと有機生体AIでは、例え疑似人格を搭載しても人間っぽさが段違い。

 それも当然で有機生体(バイオ)AIはAIで有りながら生きてると言っても過言では無い存在だ。


「艦内の医療施設(メディカル・ルーム)を完全改装します。現在ミューズ様の身体チェックをしてますが、明日の治療開始までには新しいメディカルルームを完成させますので・・・・・」


 改造プランを説明される。


「ミューズ様は口には出されてませんが、軽度ながら片頭痛や倦怠感が有ったと思います。本人も気付いて無かった様ですが、脳基幹部の破損が原因です。その為に記憶障害や性格変貌・二重人格化が起こる可能性が有り、速やかな治療が必要と判断、強制的に眠らせ休ませました。」


 何だと!

 身体に異変が有ったら些細な事でも言えと言っといたのに!

 これは治療が終わったら、お尻ペンペンしなくてはね!


「キッド様・・・失礼ながら楽しんでませんか?」


 そ・・・そんな事は・・・少しだけ有るけど♪


「正直1~2年でミューズ様は手遅れに成る可能性が有りました。罰を与えるとしても意見する積りは有りません」


 話の分かる子だ♪


「ミューズ様の治療関係の設備を最優先として、余裕が有れば並行してコクピットとコンピュータールームも改造します。実はキッド様にスターシップを造船する知識を授けられた❝彼❞は、科学・工業技術に関しての知識はワイズマンライブラリーより遥かに進歩してました。その❝彼❞が残した英知と私の持つ❝彼❞の専門外だった医学・自然科学・歴史・風俗を統一化し、内容を精査・整理して新たな大型知識データベースを構築します。つきましてはキッド様からデータベースに名前を付けて頂きたい・・・・・」


 なら名前は決まっている。


「ワイズマン()・ライブラリーの侭で良いんじゃない?彼は自分の名前を残す事など考えても居なかったし、そもそも教えてくれなかったよ」


 別に名前を残そうとしてる事が俗であると言う気は無い。

 名誉欲・功名心が有ったて、良いじゃないか人間何だもの!


 単に彼が残す事を本望では無いと思ってただけ、そしてワイズマン・ライブラリーだって開発者の固有名詞で無い、ヒョッとしたら同じ考えだったかも知れない。

 ただ建設者の思いは大切にして上げたいと思う・・・なら賢者達(ワイズマンズ)が残した英知の集合体、その名前は❝ワイズマンズ・ライブラリー❞が相応しいんじゃない?


「感謝します。そしてワイズマンズ・ライブラリーの管理人であるキッド様には知識の探究者を意味するSage(セージ)を名乗って頂きます」


 なにそれ、厨二病っぽいし面倒臭そう!


「ナニか・・・随分失礼な事を考えませんですか?」


 何かミューズに似て勘が鋭い奴だな?


「ハッキリ言わせて頂きますと私達が鋭いのでは無く、キッド様が正直過ぎて顔に全て出てますから」


 何だって、全く気が付かなかった!


「ワイズマンズ・ライブラリーは只のデータベースに過ぎません。今後もスターシップの管理はアリスが行います。そこで相談なのですが、キッド様さえ良かったら私をアリスに組み込んでも良いでしょうか?」


「如何言う意味?」


「アリスには疑似人格が搭載されて居りません。勿論優秀なAIである事は認めますが、それでも緊急時・平時問わず物事の優先順位・柔軟な対応をする事には難が有ります」


 それはそうだよ、機械なんだからプログラムされてた以上の事は出来ない。


「更にプログラムを優先するあまり、逆にオーナーの不利益に成る可能性も有ります。私をアリスに同一化すれば、先古代文明最高の有機生体AIを疑似人格として組み込む事が出来ます」


 それは確かにそうだろう。

 だが・・・


「最優先はボクの利益で無く、ボクの意志を最優先する・・・それが絶対条件だ。何が有ろうとボクの意志を最優先で尊重する、それが守れるなら認めるよ」


「畏まりました!アナタが(マスター)ですから、当然アナタの指示を最優先として従います」


 ここにスターシップの新クルーが誕生した。

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