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邪魔な害虫を片付ける♪

「ミューズさん・・・・・」


「ゴメンなさいっ!」


 シィーゲルに戻って、ボクとミューズ互いの第一声だった。

 シィーゲルの衛星軌道上に反乱軍の艦艇が待ち構えている。


「どうせ研究所が見付かる事は無いだろうし、弱い敵しか居なくても敵地なんだからせっせと離れたくて・・・・・」


「行き成りハイパードライブ決めたのね!」


 ここで言うハイパードライブは超光速(ハイパー・レイ)での航行(ドライブ)の事で、ちなみに超音速はハイパー・ソニックと言う。

 真空である宇宙空間は基本ワープでもしなければ簡単に見付かる事は無い。

 しかし静止または徐行状態(宇宙空間での徐行は音速以下)から、行き成りハイパー・レイを出して宇宙船を走らせると、ジェネレーターの莫大な負荷が掛かり結果としてソレの反応を探知されて仕舞う。


「すぐジェリス艦長が来て一網打尽にしてくれると思ったから・・・・・」


 オマエ・・・油断して気を緩めたな!


「段階加速は宇宙船乗りの基本だろ?エンジンや船体に負荷を掛けない様に・・・・・」


「ハイ・・・」


 まあ落ち込んでるボクを見てられ無く早く出たかったんだろけど、かと言って許す訳にも行かないかな♪


「まあ100叩きは厳し過ぎるから、30で許してやる。今の内に覚悟しとく様に♪」


「ア~~~ンッ、お兄さま許してよ~~~ぅ!」


 半泣きに成って必死に許しを乞うミューズ・・・カワイイ♪

 お兄ちゃんの意地悪回路が起動してしまったw


「マア冗談は置いといて、如何するかな・・・この状態で地表に降下し調査に向かったら、流石に衛星軌道上から空爆で袋叩きは必至だし」


 流石にソレは勘弁して貰いたい。


「ホントにゴメンなさい・・・・・」


「そう思ったら、今後は気を付けろよ♪」


 この地に残っていた反乱軍は大型戦艦を核に1052隻の艦隊で、正直言って練度は極めて低いだろうと予想される。

 別に舐めている訳で無く「今の皇帝の下では貴族特権を悪用して旨い汁が吸えない」と考えてる俗物達、しかも自分で戦いに出る事はせず金だけ出して後方に引っ込んでる奴等だった。

 そんな奴等でも衛星軌道上からマウントを取られれば、スターシップとてタダでは済まない!


「ジェリス艦長が半数の艦隊で包囲殲滅とか考える程度の連中よ。常識では考えられ無いケースだけど、それほど弱いと考えても問題無いと・・・・・」


 ミューズの言い方も辛辣だ。

 そんな奴等が放った艦砲でも、当然当たれば穴が開いて最悪撃沈する。

 こっちは早く地表に降りたいのに・・・・・


「ジェリス艦長はワープで来るのかな?」


「近場を巡回し場合によっては平定しながら来るから、ワープする事は無いかと思うけど・・・・・」


 なら指向性レプトン通信で、敵に傍受される可能性を抑え会話出来る。


「ミューズ、ジェリス艦長に連絡だ。正確な到達時刻と到達ルートを問い合わせて」


 早い所、奴等を小惑星群から追い出すとしよう。




「一体何が起きたんだっ!」


「わ・・・解りません敵影は全く見えません。熱源・エネルギー全て反応無し・・・レーダーにも反応有りません」


「じゃあドコから攻撃されてるんだ!」


 反乱軍の首脳陣は大慌てだが、


「左舷より対艦ミサイルっ!回避は間に合・・・・・」


 戦艦が火を噴き、その船体が二つに折れる。




「こんな陰湿な手段、良く考え尽きますね・・・・・」


 ミューズに冷たい眼で見られて、微妙にダメージを受けるボクであった。


 マアやってる事は単純だ。


 対艦ミサイルにセルフタイマーとエネルギーセンサーを装備、時間が来るか敵が動こうとジェネレーターをアイドリング以上に起動したら動く様にセットしてそこら中に放置した!

 攻撃された時に船からミサイルを撃たれたのなら、すぐ探知出来るが宙空を漂うミサイルまでは余程近付かないと探知出来ない。

 飛翔してるミサイルなら判るだろうけどね♪


『戦艦ケーニステ中破・・・ただし動力部につき航行出来ません』


『巡洋艦ボステル轟沈!』


『巡洋艦バトコ、小惑星群外へ針路を・・・逃げる気かっ!』


 傍受してる敵の通信は、敵が慌てふためいてる様子を利かせてくれた。

 この世界にもレーダー的なモノが有るが、大概気にするのはエネルギー反応と移動している金属反応だ。

 感知した金属反応が動いて無いか如何かはAIが計算するが、それにエネルギー反応が無い場合は問題にされる事は少ない。


『バトコ轟沈しました!攻撃された気配は有りません』


『機雷か?』


『周辺にらしき反応は無し・・・・・』


 機雷的は攻撃も考えたが、よほど敵の行動を調べて尚且つ大量に設置しなければ意味が無い。

 適当に撒いたんじゃ広大な宇宙では当たらない方が多いのだ・・・だからコッソリと狙いを付けたミサイルを、仕掛けして放置しとく方が効率は良い筈だ。


「それにバトコってのは、お兄さまが先程・・・・・」


「アレか♪」


「もう二度とやらないで下さいね!」


 小惑星に在った基地か何かの跡に着陸してサボってたので、忍び込んでジェネレーターに細工して置いた。

 航行途中で暴走する様に・・・・・


「着陸と言っても地面に接触してる訳では有りません。それに急浮上でもされたら、お兄さまは黒焦げですよ」


 まあ地球のジェット戦闘機のエンジンじゃ無いから、直接アフターバーナーに炙られ焦げる心配は無いだろう。

 それでもアノ質量を動かす出力が掛かるのだから、その下に居た人間はバラバラにされる事は間違い無い。


「こんな戦い方する人なんかいませんよ!お陰で反乱軍の中でシィーゲルの亡霊だの言う人が・・・・・」


「まあ相手が全く見えないからね♪とは言ってもコレ以上こんな事を続けても、いい加減気付かれるだろう。ミューズ放置ミサイルで爆発して無いのは?」


「後2発在りますが如何します?セルフタイマーの時間は後5~6分ですが・・・・・」


 ボクは操縦席に座ると兵装リストを見て起動準備をする。


「ミサイルが動き出したらコチラも敵を掻き回そう。後2発くらいなら、動き出す前に見付かる事も無いだろ」


 残骸や金属片が浮遊し捲くる小惑星帯だからこそ取れる戦術だよ♪




 10分後・・・1000隻以上の敵艦に追い回され、スターシップは小惑星群の中を逃げ回っていた。

 攻撃はしないし、する必要も無い・・・ボクを追い回す敵艦隊は小惑星や岩や沈没船にぶつかって、地味に数を減らして行く。


「敵の通信を傍受してますが・・・艦内で視聴する必要ないと思う。お兄さまに対する罵詈雑言のみだから」


 大分ヘイトを稼いでいる様だ♪


「少し勢いが減って来ました・・・追い回すのに疲れた様ですね。精神的に・・・・・」


「じゃあ攻撃しよう♪」


 敵艦の追い回す勢いが陰って来た所で、小惑星の影に入りながらジェネレーターを切る。

 同時にダミーミサイルを発射、単純な手だが頭に血の昇ってる奴等には良く効く。


「敵艦隊、頭上を通り過ぎます・・・・・」


 真空である宇宙空間で聞かれる事は無いだろうが、何故かミューズの声がヒソヒソとしたモノに成るトコが可愛いね♪


「これまでは万単位の敵に飛び込んでたけど、流石に頭上を飛び越えられると1000隻は壮観だよね?大迫力だな・・・・・」


「普通は単身で艦隊相手になんか、喧嘩売らないからね?」


 頭上を艦底が通り過ぎて行くが、ボク等は暢気なモノである。


「喧嘩なんか売って無い、揶揄っただけだよ♪」


「如何違うのかしら・・・・・」


 心底呆れた様に言うミューズ、


「喧嘩ってのは対等にするモンだ。アイツ等がボクと対等かな?コレは一方的な虐めだと思うね!」


 と言いながらも少し緊張しながら敵が通り過ぎるのを待つ・・・飛び出したらマダ後続が居て、後ろからオシリを齧られるなどギャグにも成らない。

 レーダーも目視も出来ないから、ミューズが船外に出した有線ドローンで目測カウントする。


「出るよっ!ジェネレーター全力、出ると同時に後方索敵」


 後ろを念の為に確認しながら飛び出した。

 ジェネレーターが起動した途端に敵艦が大騒ぎに成るが、その頃には艦隊内に飛び込んでミサイルを打ち捲くる。

 更に艦隊内で急旋回、敵艦隊の進行方向とは逆に向かって飛び出した。


「せ・・・戦闘艦なんですから、敵にだって後方攻撃力もソコソコ有りますよ!ミサイル跳んで来ま、アッ!艦砲射撃も・・・・・」


 そう言ったモノを躱しながら、小惑星群の影が濃い部分に逃げ込んだ。


「アアッ、て・・・敵ながら酷い状況です!艦隊が急旋回し衝突事故を・・・アッチでは岩礁に飛び込んで自滅!ぶつかった事に怒って友軍艦に発砲、アレは酷い・・・・・」


 敵艦隊は酷い状態だ。


「ホ・・・ホンキで怒って追い縋って来ますよ!前から思ってたんですけど一言言って良いですか?」


 その間も敵をオチョクル様な行動や攻撃を繰り返す僕にミューズは言った。


「どうぞ♪」


「お兄さまは悪戯者で意地悪で最高に性格が悪い、正にトリックスターです!」


「正しい評価だよ、ミューズ君♪」


 深々とした溜息を吐くミューズの顔が、モニタに大写しにされる。


「こう言うのをオンラインゲームでトレインって言うんだっけ?」


 ボクを追いかける敵艦隊が、隊列を長くさせながら追い掛けて来る。

 何とか頭を押さえる為に前に出様とするが、今一歩で前に出られない・・・状態を演じている。

 スターシップの性能なら、よっぽど千切って消え去る方が楽なんだけどね!


「小惑星群の中でシィーゲルから、最も遠い地点に到達しました。前方で艦隊が待ち伏せてますが・・・・・」


「ジェネレーターも切らないで隠れてる積りかな?」


 いや実際切ってるんだが余りに遅過ぎてバレバレ何だけど、まあ最初から気付いてる上に計画の一環だ。


「待ち伏せの艦隊が展開、前方に覆い被さって来ます」


「了解、了解~~~っと♪」


 囲まれそうになり小惑星群から押し出された様に外へ出る。

 何も無い宙域では大勢で囲み放題と思ってるだろ?


「ジェリス艦長の艦隊が小惑星群より浮上、敵艦隊を外へ押し出します!」


 ハイ終了!

 ボクの役目はね♪


 小惑星や岩に隠れながら艦砲射撃で打ち合いに成れば、後は部隊の練度がモノを言う。


「ジェリス艦長より入電、後はコッチで適当に料理すると言ってます」


 じゃあ任せちゃって良いかな?

 ボクは進路をシィーゲルに向けた。

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