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そろそろ出発する♪

 無事にスターシップを完成させたので試験航行に出ると、その跳び抜けて跳ね上がったスペックと、前以上の操作性の良さに心底驚かされた!


 良い乗機の絶対条件とは使い易さだ・・・創作物で主人公にしか使い熟せない様な専用機が良く出るが、あくまでソレは創作物の話、ただし誰でも簡単に使えると言う意味では無い

 実際は❝操縦者が一番使い易くセッティングされたモノ❞が最高の状態、「ピーキー過ぎて貴様に無理だ」は「この位が俺には丁度良い」の裏返しナンだよね現実は♪


「満足したら早く私の船も完成させてよ!」


 アイスコフィンからジュリアお姉さんの声が届くが、暫くステーションとアイスコフィンに缶詰めだったんだ。

 少しは羽を伸ばさせて貰う。


 十分楽しんでからアイスコフィンに戻ると既にスターシップの場所は奪われ、ストラベリー中尉が新しい船の建造を始め様としていた。


「まだ微調整が済んでませんよ!」


 強引にスペースを空けさせる。


「エルミスシリーズも完成させましょうか。でも一番最初に私達の船よ・・・ねっ?」


 ジュリア中佐が少し怖い顔で詰め寄って来た。

 現在アイスコフィンにはドック部だけでなく、内部中空部や外部には多数の建造中のエルミスシリーズが係留されている。

 エルミスⅡにはA・B・C・Dと4種類のバージョンが有り、エルミスⅡAがジュリア中佐の船、エルミスⅡBが戦艦タイプ、エルミスⅡCが巡洋艦タイプ、エルミスⅡDが駆逐艦タイプに成る。

 また巡洋艦タイプには通常型のエルミスⅡCに、重巡洋艦型のエルミスⅡC/Hと軽巡洋艦型のエルミスⅡC/Lの3タイプを作って見た。


 ちなみに少しズルして高性能化してるエルミスⅡAだが、ジュリア中佐はフリッパーと言う愛称を付け非常に可愛がっていた。


「余程気に入って、同時に前の船にも愛着有ったんだね」


 まだ完成には2~3日掛かるのにドックに来て、エルミスⅡAの艦首に抱き着き頬擦りする彼女を見て・・・父親は残念なモノを見る眼をして言った。


「ドコで育て方、間違えたんだろう」


 言うなら彼女に聞こえる様に言いなさいってば!


「イヤだよ・・・怒ったらケッコウ怖いんだ」


 父親のクセに情けない!


「外に係留してるエルミスシリーズも、1週間もすれば順次ロールアウトして進水(ラーンチ)します。そのデータを基に量産するんでしょう?」


「ああ暫く帝国の軍用艦は、ほとんどエルミスタイプ一色に成るだろうね」


 急ピッチで造船が続くアイスコフィンでは、そこら中で火花が散って造船ラッシュに成っている。

 するとエルミスⅡAの方でジュリア中佐が大声を出し始める・・・だが喧嘩してる訳でなく、どちらかと言うと興奮して話している様だ。


「お兄さま・・・お願いが有ります」


 ミューズさんからお願いとは珍しい。


「お爺さまが来てるのですが、ジュリアさんと一緒にエルミスの前から引き離して貰えませんか?あの二人が合わさると作業に成りません!最悪だと仕様変更とか、今更言い出し兼ねないんです」


 そりゃ迷惑な話だな。

 だが・・・


「ミューズが行方知れずに成って、唯一の趣味だった造船も10年以上手を付けて無かったそうだよ。キミが戻って明るくなって、そして生き甲斐を取り戻したんだから大目に見て上げ様よ」


「ええ・・・そうですね」


 微笑ましそうにミューズが言うが、


「イヤ止めてくれないか?」


 ストラベリー中尉が心底、嫌そうな貌をして言った。


「あの二人は性能じゃ無く、見た眼が美しく無いとか言う理由で仕様変更を」


 そりゃあまた迷惑な方々だ。


「ストラベリー君!悪いが艦橋部の丸みは、もう少し直線的に仕上げられんか?」


「その方が全体的なシルエットがシャープに・・・・・」


 陛下とジュリアお姉さんが喰い付き気味に言った。

 成る程・・・二人は化学反応が起こると、迷惑な物質に成るタイプなんだ!


 彼等が目指してるデザインは、スターシップに近付けたモノの様だ。

 確かにスターシップのデザインは鋭角的だが、それは高速で敵の攻撃を避け、同時に大出力ジェネレーターの恩恵で強力なバリアシールドを張れる強みがある。

 エルミスでは・・・


「お爺さま・・・エルミスの艦橋部分の直線的デザインへの変更は、変更部分の対弾性能4%低下が見込まれ賛同出来ません」


「しかし・・・」


「ダッテ・・・」


「軍用艦に置いて小数点以上の対弾性能の低下は、曲りなりにもエンジニア・デザイナーとしての立場から、絶対に承伏出来ません」


 良く似てる爺孫だ・・・理が無ければ際限なく弱く、理が有れば鬼の様に強くなる。


「一発一発は致命傷に成らなくても、ダメージは蓄積します。兵士の命と見た眼のドチラが大切ですか!?」


 う~む、正論を盾にするとミューズちゃん強いな!

 ボクに叱られて、お尻叩きされ泣いてる彼女とは別人みたいだ♪


「お兄さま、何か?」


「いえ何でも有りません・・・・・」


 声に出さなかったのに気付かれる・・・コイツ変に鋭いトコ有るよね!

 同時に条件が揃うと、とてつもなくガンコで強情だ!


「良いですね!?」


「「ハイ・・・」」


 ミューズの勝ちが決まった♪




 この世界の宇宙船で戦艦が巡洋艦の違いを、過去に解説した事が有ったと思うけど一編お浚いして置こう♪

 B戦艦は武装と装甲にC巡洋艦は速度と機動性に特化したモノだ。

 廃れては無いモノの戦闘機の重要性が狭まったので、その運搬を目的とした空母は減少し、その役は戦艦や巡洋艦が兼業しながら担う事が多く成っているそうだ。

 そして高い対艦攻撃力と防御力を持つ駆逐艦が、戦闘機の持って居た役割を担当してるので、その数が飛躍的に増えてる状態だ。


「旗艦であるフリッパーは除き、戦艦5・重巡洋艦5・普通巡洋艦8・軽巡洋艦12・駆逐艦80・戦闘揚陸艦10・武装補給運搬艦10・・・・・の内、2隻は実質空母か」


 ジュリア中佐が指揮する新艦隊❝ロイヤル・フェンサー❞の陣容で、皇帝陛下の剣として帝国の敵を切り伏せる。

 同時に❝ロイヤル・ディフェンサー❞も設立され、コチラは首都星と帝室の守護を担う皇帝直属の艦隊だ。

 その戦闘艦は全てエルミスシリーズで固められるらしい。


「って普通この規模の艦隊を、2か月で組織出来るって非常識だよね!」


「一番非常識なのは100隻以上の艦船を、その期間で用意してるアナタだから!普通は数年規模の計画なんだけど・・・・・」


 呆れ気味で呟かれる。


「今後は就航中の戦闘艦も、どんどん解体・素材化しエルミスシリーズに造り変える計画です。それでも此の短期間で建造出来るのはアイスコフィンだけですから、全て入れ替えるのに1~2年は掛かるかと」


「いやダカラ1~2年で片付く話じゃ無いのよ!本来は・・・・・」


 ミューズの言葉に、再度呆れるジュリア中佐の声だった。

 アイスコフィンはボクの造った初代を含め3隻就航し起動しているが、それもコピーして現在複数建造中だった。

 建造中のアイスコフィンが数隻おり、最終的には10隻近く稼働するらしい。

 スペックダウンさせたと言え作業用ドローンの利便性は高過ぎ、帝国の建造・改造ラッシュは当分続くのだろう。


「アイスコフィン3が見えて来ました」


 ロイヤル・ディフェンサーの艦艇を建造する為、3隻目のアイスコフィンが首都星に来る事に成っていた。

 コロニーに付属する港湾部ブロックを改造したモノと言う話だが、あの形は何なんだ?


 あの形は・・・多分アレだろう。

 誰がデザインした?

 明らかに悪乗りし過ぎである。


「名前に相応しくって良いんじゃ無いですか?」


 この世界で最も軍用艦の造船に多用されてる鋼材は、氷晶鋼と言われる無色透明の金属だ。

 最も優れているとは言え無いかも知れないけど、それでも構造材に使われる金属の中であらゆる性能が最上位から3~5以内に入っている優秀な金属だ。

 しかも電波・放射線等を完全に反射し熱や衝撃にも強いので、ガラスの代りや塗料としてスターシップやエルミスシリーズにも使っている。


 それを使った直方体状の船体は、透明の構造材と相まって氷で出来た棺桶に見えた。


「ミューズ・・・オマエだな?嘘を吐いたら如何成るのか、良く考えてから答える様に」


「だって本当に採用するなんて、思わなかったんだもんっ!」


 やっぱりミューズだったか・・・こう言う悪趣味な冗談をカマすのは!

 まさか本当に棺桶型の宇宙船造るとは思わなかった。


「キッド君も文句言えない、船に❝氷の棺桶(アイスコフィン)❞なんて名前を付けるからよ!」


 だからって形まで棺にしなくても・・・コチラの棺桶は完全に密閉式の唯の箱である。


「そう言えばコッチの棺桶って、中が見える様に出来て無いんだね?」


「何で見る必要が有るの?」


 とジュリアさん、文化の違いらしい。


「誰かさんの悪戯防止にスターシップのコクピットには、あのボールを常備する事にしよう♪」


 その誰かさんが嫌そうな唸り声を上げている。




 コチラが完全に船を完熟した所で、次々とエルミスシリーズの駆逐艦や巡洋艦が進水する。

 やっぱり戦艦や重巡洋艦は大きい分時間が掛かる様だ。


「ジュリア中佐も一月後には出られるだろうし、そろそろボク等は出立すべきだね♪」


 モニタグラスも有るし操縦方法は帝国規格に準じて造ったが、それでも乗り出した途端に実戦に使うなんて・・・本当はヤッてはいけない事だ。

 ジュリアお姉さんはエルミスⅡ手に入れた時に、ヤッちゃいましたけどね!

 サングラス型・情報ディスプレイであるモニタグラスが有れば、説明書見ながら操作するのと同じだから出来ない事では無いだろう。

 だからと言って戦闘艦では普通はヤラナイ・・・ジュリアさんのケースは非常時の緊急手段である。


 ボク達はハンガーの横に押しやられた荷物を整理した。

 誤って必要なモノを捨てない様、中身を確認していると、


「失礼します!不用品の処理は、当社にお任せ頂けますか?」


 この世界の背広?的なモノは、地球のソレに酷似していた。


「失礼ですが・・・」


(わたくし)はバーカンディグループ商業部のイメンケと申します。ジュリアお嬢様から昨日、キッド様が廃品を投棄をすると聞いて御話をさせて頂けないかと・・・・・」


 何だジェリス艦長の家の関係者か?


「ジェリス艦長か誰かに連れて来て貰ったの?ここは一般人立ち入り禁止区域なんだけど」


「いえ仕事で来ました正式に・・・戦艦や重巡洋艦の主砲を納入する為に来たんです。勿論コチラに入る許可はアリス様から頂いております」


 見ると搬入コンベアーに砲塔らしき物がズラリと並んでいる。

 彼がミューズをアリスと呼んだのは、彼女の事は身体が修復されてから公表する事に成ったからだ。


「それは良いけど本当にゴミだよ?」


「異世界のゴミならプレミアムが付きますよ!」


 ボクが許可を出すと、要らないと放り出したゴミを漁り出す。


「キッド様、コレは・・・・・」


「ただの湯のみだけど・・・お茶を飲むヤツ♪」


「コチラの皿は?」


「灰皿♪ボクは吸わないし、匂いも嫌いなんで艦内禁煙だから不要」


 ボクの物じゃない・・・初代エルミスが地球に落ちて来た時、巻き込まれた船の中に有ったモノだ。

 ドサクサに紛れて頂いたが、利用する宛ても無いので捨てる事にした。


「この紙媒体は・・・ウッ!」


「まあボクも健全な男子だけど、流石に少々早いと思うし・・・・・」


 と言うより有るだけでミューズの機嫌が悪く成るんだ。

 モチロン巻き込まれた船の中身だった。


 でも今考えると・・・あの事故で良く死人が出なかったよな?


「何を言います!これも立派なカルチャーですよ」


 そう言ってゴミをどんどんコンテナに詰めていく。


「しかし不要の食器類ですが陶磁器やガラス器が多いですよね?」


 昔の海上船なら分かるけど、今の技術なら宇宙船の食器を落ちたり割れたりする心配などする必要は無い。

 少なくともスターシップの対G緩和技術なら、しまっといた食器が破損する時は撃沈される時くらいだろう。


 それより食器はダ〇ソーの安物(100円)だぞ?

 ホントに買う気なのか?


「異世界の食器です。間違いなく学者や好事家が涎を流しますね!それに異世界のムフフな雑誌や風景画も・・・・・」


「風景画じゃ無くて剥がしたカレンダーなんだが・・・・・」


 地球の暦が宇宙では意味をなさない事を思い出すまで、カレンダーをチャンと捲っていた・・・今思い出すと恥ずかしい。

 彼はタブレットの様な物を出し、しきりに何かを計算している。


「スミマセンね・・・本社の専任スタッフと話せれば早いのですが、軍のドッグ内は直接連絡禁止なんです。この宝のいえゴミの山も、厳しい検閲を受けなければ外に運び出せません」


 いまコイツ、宝とゴミを言い換えたよな?


「でキッド様、ゴミの査定金額はコチラに成ります」


 どうせ安く買って高く売りつけるんだろな~~~っ!

 どれどれ・・・ホラ3・・・クレジットだって?ゼロの数がひとつふたつみっつ・・・ほら8つしか無い♪


 ・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・・・


 チョッと待って!


「やはり少なかったですか?仕方ない・・・私は商業部ですが仕入れは専門外なんです。だって帝国軍に主砲を売りに来たスタッフなんですよ?私の裁量でだせる最高は・・・よし5億クレジットで如何ですか?私は交渉は専門外なんで出される最高金が・・・」


 だからチョッと待ってーーーーーェ!


「い・・・イイか、イイですか?アレはゴミ、ゴミ何ですよ!それに3億、ボクは3億言われて心臓が止まる位驚いたんです!ここでコメディ独特の勘違いしない様に念を押しますが、高過ぎてです・・・高過ぎて驚いたんです!決して安くて不満が有ったんじゃない、ゴミに3億出すと言われて驚いたんです」


 頭の中が完全にパニックに成っている。


『クスクス、お兄さまったらカワイイ・・・たった3億クレジットで狼狽えるなんて♪』


『そりゃミューズは姫様だけど、ボクは立派な小市民だっ!』


 頭の中でミューズに揶揄われた。

 するとイメンケさんは顔が付きそうに成るくらい迫って来た。


「ただのゴミでは有りません・・・2度と出ない可能性のある貴重な遺産です!例えば滅んだ古代文明の割れて捨てられたグラスが出て来たとします。文明は既に滅び、同じ物はレプリカしか作れません。それは間違いなくゴミですが、出土して競売に掛ければ幾らまで値が上がるでしょうか?」


 イメンケさん、顔が怖い!


「想像も尽きません」


「そうです想像も尽かない程まで、吊り上げる事が可能なんです!もし不服が有るなら、競売の売却益の割合で後日清算する形にしますか?上手く行けば売却益が数十倍に・・・・・」


「結構です!要りません!!今だってギルドに振り込まれた報酬、持て余してるんだから!!!」


『お兄さま・・・そろそろ惑星一つか帝国貴族の上級爵位を購入出来る程、貯蓄が貯まってますよ。もっとも爵位の方は断らない限り、お爺さまが押し付けて来るかと』


 心臓に悪いから止めて頂戴!

 それにソノ爵位って・・・


『間違いなく帝国に繋ぎ留める首輪の代りですね♪』


 そんなモン絶対にノーサンキューだからね!




 それから暫くして最終的なチェックも終了したスターシップは、ステーションコロニーから伸びた桟橋に係留している。

 港に入れると料金が掛かるがケチってる訳じゃ無く、そちらは民間船で溢れているからだ。

 アイスコフィン2隻が近くに停泊し、暫く造船ラッシュが続く・・・それで一気に好景気が来たらしい。


「ウェルム少将が、新鮮なシーフードを大量に持って来てくれました。随分と上機嫌でしたが、何かしたんですか?」


「流石に虐め過ぎたかと少し反省してね(笑)」


 ボクはマダお酒を飲んでも美味しいと思わないしタバコも吸わないけど、成人後は嗜む事も有るかも知れない。

 それに喫茶なら今でも毎日嗜んでいるので、生家で愛用してた食器や両親の酒器に喫煙具など幾つか持ち込んでいた。

 この世界にもタバコは有りウェルム少将の家は夫婦そろって愛煙家、九谷焼の灰皿をプレゼントしたらボクのファンである奥さんから盛大なキスの御褒美を貰ったらしい。


 ちなみに後日、イメンケさんから「要らない灰皿は無いか」と問い合わせが有ったそうだ。

 正直ボクは今後も愛煙家に成る可能性が無いと思うのだが、もう一つしかないクリスタルの灰皿はチェーンスモカーだった祖母の形見で売る気は無い。

 それに休憩室に置き中にメダカとマリモと浮かべインテリアとして使用中・・・と思ったら、今度は卵を産んで増えたメダカを一匹1億クレジットで売れと言い出した!

 その時ボクは金銭感覚が崩壊しそうなったのだった・・・マル!


「ステーションコロニーの管制局から出航の許可が下りました。係留アームを外し射出されます」


 コロニーの回転に引き摺られアームも動くので、アームなど擦らない様に離した時に外に向かって突き飛ばされる。

 軽く衝撃が来てスターシップは宇宙へ投げ出された。


「補助エンジン始動・・・微速前進」


 ボクの指示でスターシップが進む。

 まだ自動操縦・・・と言うよりミューズが操縦してる。


「右舷にアイスコフィンとアイスコフィン3、ヴェラニ大尉とストラベリー中尉から光信号が入りました。貴艦の安全な旅と無事帰還を祈る・・・以上です」


「忙しいだろうから通信は良いでしょ、コチラも光信号で感謝しますと伝えて」


 アイスコフィンの前を通り過ぎ、星系から離脱するコースを取る。

 暫く航行するとアステロイドベルトで訓練してる艦体、全ての船が三角から成るデザインをしている。


「もう出発?すぐに追い着くから待っててね!」


 ジュリアお姉さんの元気な声が、行き成り聞こえて来る。

 ボクもミューズも苦笑いするしかない。


「獲物は全て残して置きますから、手が足りない時には声を掛けて下さい」


「そんな事、言わないで手伝ってよ♪」


 彼女は明るく言うが本気では無い。

 襲われたら戦わざるを得ないが、基本的に内乱には関わる気は無い事は言って有る。

 まあ敵さんは如何してもスターシップが欲しいんだから、見付ったら即襲われて戦闘に成るし、コチラもアイツ等は敵認定済みで戦闘に成る可能性が高いのは分かってんだけど!


「そう成る可能性は非常に高いと思います。お兄さまの性質的に・・・・・」


「トラブル巻き込まれ体質だもんね!」


「泣くぞ!」


 人に言われると頭に来る!

 アンマリの二人の言い草!


「そうだ!お肉と野菜の差し入れ有難う御座います。大事に食べさせて貰いますね」


 ジュリアお姉さんの家からも差し入れが来た。

 今回は穀類しか購入して無い気がする。


「早くミューズ様にも食べさせて上げたいね」


 しんみりジュリア中佐が言った。


「すぐに食べられる様に成りますよ!イイエ、食べられる様にします!」


「二人とも、アンマリ太らせない様にお願いします」


 女の子だなあ♪


「では行って来ます♪すぐ来られるでしょうけど、ジュリア中佐も気を付けて来て下さいね」


「キッド君もね」


 ボクは軽く手を上げ、彼女は正式な敬礼をして映像が切れる。

 彼女も訓練中だった。


「さてと・・・行くぞミューズ、準備は良いか?」


「公認ワープドライブ領域に到達しました。準備良し、チェック・・・オールグリーン、進路クリア」


「目標バーベル宙域ポイントR303-02」


「ワープドライブ・・・開始します」


 周囲の空間が歪み始め、星が一気に線状に滲んで消失する。

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