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ミューズ姫の手掛かりを握る!

「アリガトウ、お兄ちゃん・・・後は私が・・・・・」


「却下する!一人で行かせない」


 少年と少女が浜辺で話している。

 よく似た二人・・・まあ兄妹なら当然だろう。


「良いのよ・・・ここからは私の・・・・・」


「関係ない!これは渡さん」


 一握り位の大きさの輝く石を持って居る。

 いやガラス玉なのか?


「でも私は・・・・・」


「だから何だ!ボクはキミを守ると決めた」


 自分に誓った。

 誓いを(たが)える事は無い。


「でも、この先は・・・」


「それが如何した!ボクの仕事、ボクのやりたい事だ。誰にも文句は言わせない。行くぞ・・・・・」


 そう言って長い髪をかき上げると、その額にバンダナを鉢巻の様に一文字に縛り上げ・・・・・




「ウ・・・ん・・・・・」


 重い瞼を無理やり開ける。

 頭が微妙に痛い。


「大丈夫?」


 覗き込んで来るジュリア大尉の貌、如何やら心配をかけた様だ。

 だが今一番問題なのは、


「敵は?」


「大丈夫、まだ余裕は有る。ワープアウトは明後日か明々後日よ」


 逆算し2~3日眠っていた事を知る。


「陛下も心配されてたけど大丈夫なの?身体は可笑しくない?」


「お腹が空いてる以外、到って健康だと思う」


 お腹は本当に減っている。

 枕元を見ると、あのガラス板が置いてある。


「この病院で原因がアレなのか検査していたの。一体何が有ったの?本当にアレが原因なの?」


 ボクはガラス板に触れ様とするとジュリアさんに止められた。

 だが大丈夫と留めると、再度ガラス板に手を伸ばした。


「確かにボクが倒れたのはコレが原因だけど、大丈夫コレは危険なモノじゃない。確かに今回は危害を加えられたけど、その機能は今停止させた」


 手に取ると色が失せ、表面に光のパターンが刻まれた。

 すぐに医者が雪崩れ込んで来てボクの状態をチェックする。

 その後に陛下達も現れた・・・戦争前にヒマと言う事も無いだろう。


 ボクの見舞いなど来てないで、するべき事をすべきだと叱ったら、


「バカモンッ!その戦争に投入する最強戦力を心配して見に来たんだ。本当に大丈夫なのか?」


 逆に叱られてしまった。


「ところで陛下・・・このガラス板はミューズ姫が居た時から、あの場所に置いて在ったんですよね?」


 陛下は真面目な顔をする。


「そうじゃ・・・この星には有史以前の古代文明が有り、その遺跡から発掘されたのだ。彼女はロクに物を持っておらず、置物代りに置いてやった」


 そうか・・・これが何か知らないのか。


「ボク以外にもコレを使えた人、または触って倒れたりした人って・・・・・」


「そんな奴が出たならミューズの部屋に置くモノかっ!キミが倒れるまで不思議と色が変わる、タダのガラス板だと思って居った」


 まあ当然だよね。


「キッド君、これは一体ナンなの?」


 ジュリア大尉が聞いて来た。


「実はコレは・・・」


「コレは?」


「古代文明の・・・」


「古代文明の?」


「子供用の教科書です」


「「「・・・・・・・」」」


 皆が絶句した。


「キ・・・キッド君?」


「本当は安全装置的なモノも付属してるんだけど、御覧の通り壊れてるからソノ機能が動かなかったんだ。それで1年間かけて覚える3教科分の知識を、一気に流し込まれたんでボクの頭がキャパシティーを越えちゃったの」


 テヘッ?と言う感じの表情をすると、背後から陛下のゲンコツが落ちた。

 痛い・・・・・


「陛下に伺いた・・・・・」


「もう良い・・・疲れるから普通に話せ!」


 陛下が呆れた顔をする。


「では、お言葉に甘えて・・・陛下に聞きたいんだけど、ミューズ姫は消える直前位にコレを上げたの?」


「確かソノ筈だ・・・ミューズの余命宣告が迫ってた時期だったからな」


 ボクは考えて言葉を選ぶ。


「多分だけど、その時ミューズ姫もコイツに触れて起動させちゃったんだ。そして強制的に勉強させられちゃったんだよ」


「一体何を?」


 ジュリア大尉もガラス板に触れたが、色が変わるだけで何も起きなかった。


「本来コレは持ち主以外には使えないんだけど、壊れてるんで稀に持ち主以外にも使える事が有るんだよ。適性の有る人だけだけど・・・・・」


「適性ってのは何だい?」


 ビジーズ大将が聞いて来た。


「テレパシーみたいなモノの適性です。古代文明の人々は普通にテレパシーを使っていたらしい」


 そうやって頭の中に知識や記憶を書き込んだんだろう。


「で、この教科書の中身は何なの?」


 ジュリアさん、中身が気に成る様だ。


「銀河連合・共通初等教育全教科・・・ただし殆ど破損して使えない。残っているのは社会科系の3教科のみだよ」


 多分だけど地球ではエレメンタリィ・・・小学校の教科書だ。


「それでアンな事しちゃった訳だ・・・・・」


 漸く全てが繋がった。

 だが・・・何でアイツが黙っている?

 アイツだって・・・・・


「陛下っ、大変です!」


「何じゃ、騒々しい」


 アヴァ元帥にカペターズ大将が飛び込んで来る。


「何かトリックを使われた様です。亜空間振動が・・・何者かがアステロイド向こうの空白宙域でワープアウトし始めてます」


 予定より三日ほど早く来たって訳だ。


「ユックリ寝てる訳には行かないね」


 ボクはベッドから立ち上がると、自分のアウターを引っ掛ける。


「大丈夫なの?」


「ウン♪」


 ボクはアヴァ元帥に向かって行った。


「当初の予定通り一番大きな艦隊に、飛び込んで中で掻き回します。それで良いですか?」


 アヴァ元帥が頷く。


「私もエルミスⅡで、外側から援護します」


 ジュリア大尉も立ち上がる。


「キミが言った通り敵の盟主を始め、有力者とその船をリストアップして有る。優先的に頭を潰せば、残りは降伏しやすく成るだろう。今までキミが行ってきた戦術だ」


 カペターズ大将からスターシップにデータを送ってあると告げられた。


「そうです簡単なモノでしょ?」


「「「「「イヤイヤ」」」」」


 全員で否定された。


「そもそも普通は頭を潰す前に、逆に潰されるから!敵艦隊の中に飛び込んで、その中で逃げ捲くりながら旗艦等を堕とすなんて普通は出来ないから!」


 人の事をバケモノみたいに言うな!


「そうだ陛下・・・もう一度ミューズ姫と話が出来るとしたら、アナタはソレを望みますか?」


 一気に空気が凍り付く。


「もし・・・もしソレが叶うなら、私は皇帝の座も命も要らん!それが出来るなら、私は自分の魂なら悪魔に売っても良いだろう」


 良い眼をしている。

 こう言うのが男の眼なんだろう。

 ボクにはマダ無理だ。


「ボクの思い違いかも知れないし、約束は出来ません。ですがミューズ姫の足跡の、手掛かりを掴んだかも知れませんよ♪」


 そうボクは皇帝に告げると、病室を飛び出しスターシップに向かう。

 ここまで大口を叩いたんだ・・・これで簡単に死ぬ訳には行か無いよね!

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