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少将を少々泣かせてみる♪

 選別の終わって無い捕虜を全て処刑すると言う強引かつ残酷な意見も出た・・・だが後に大きな遺恨を残す事は間違いないだろう、遺族や関係者その全員口を封じる事など出来やしない。

 だからこの際・・・最小限の見張りを残して、首都星へ向かう事に成った。


 余談だが指揮官以上の者はテラフォーミング中の惑星に降ろす事にした。

 尋問を続ける余裕は無い・・・スターシップの艦内工房で真偽解析器は製造して置くが、届くのは戦後に成るだろう。

 軌道上に残る投降した艦隊、それを見張るのだから最小限と言え可成りの数を取られる事に成る。


「先行しますね!その方が都合が良いでしょ?」


 ボクの言葉にジェリス艦長の顔が曇った。


「キミの船は私達の艦より倍は速いと計算している・・・それでも10日は掛かる事に成る。最悪陛下だけでも・・・・・」


「あの爺さんがソレを望むかな・・・言ったら逆に拒否されると思いますね」


 あの爺さんは骨のある爺様だ!

 心臓は間違いなく鉄で出来ている!


「エルミスⅡも続きます!とにかく急いで出発を」


 スターシップとエルミスⅡは先発した。

 ただしエルミスⅡとは、見る見る距離が開いて行く。


「ジュリア大尉、無理をして到着時に戦闘不可能じゃ笑い話にも成りませんよ!時間的余裕はありますから、余力を残して航行して下さい。ボクは先行しますが、反乱軍も10日で首都星には迫れません」


 彼女に自重を促す。


「了解・・・キッド君お願い!陛下のお命だけは・・・・・」


「こう言う❝言い方❞は不敬罪が適用されるかも知れないけど、ボクはアノ爺様が気に入ってるんです。簡単に殺させる訳には行かない・・・それに殺しても簡単に死ぬようには見えないですけどね♪」


 お道化た調子で行って見た。


「お願い・・・キッド君、お願いね」


 彼女は孫の様に可愛がられていた。

 さぞ心配だろう。


「了解、スターシップ先行します」


 レプトン通信を切って首都星に向かいワープする。


「亜空間に潜入・・・ワープドライブ開始、各セクション異常なし」


 アリスの声が状況を知らせる。


「フェーズ4まで亜空間潜航をすれば、最短3日で首都星まで着けますが・・・・・」


「早く着き過ぎてもやる事が無いよ・・・このまま行こう。アリスとも少し話したい事が有る」


 亜空間で他の物体に衝突する事は無い。

 ボクは自動操縦にして背後のリビングに向かった。




 コクピットの後ろは休憩室っぽい部屋でリビングとして利用している。

 清掃等は家事用の小型ドローンがしてくれるが、基本的には自分の事は自分でする仕組みに成っている。


 ボクはオートクッカーから吐き出された、ピザとコーラを手にソファに戻った。


「お昼は高カロリーな食事だったので、晩御飯はコーラやピザの生地とチーズも殆どノーカロリーの合成素材を中心に料理しました」


「アリガトウ助かるよ♪」


 そう言いながらコーラを一口・・・この味でノーカロリー、地球なら革命が起きるな!

 数種類のチーズのみで作られたピザは大好物、このチーズもジュリア大尉と見学したコロニーで購入したそうだ。


「出航前も無事物資を横取り出来ました♪我ながらパーフェクトな仕事です・・・・・」


「少将には少々嫌われたかも知れない」


 我ながら大人げない事をした・・・洒落を言ってる場合じゃ無く、反省すべきかも知れない。

 しないけどね♪


 出航前にアリスは輸送部隊が持って来た物資で、ウェルム少将が特別に送らせた大好物の大型海老(プロゥーン)を取り合いしていたのだ。

 AIを相手に冷凍パックを抱え込んで死守する海軍提督・・・この人とも友達に成れそうな気がする。


「これは地位や職権を乱用して送らせた訳じゃ無い!ちゃんと家族に頼んで送って貰ったんだ・・・取り上げられる謂れは無いぞ!」


「アリスもエビ位で大騒ぎしなくても・・・・・」


「ストックしていた冷凍エビが終わって仕舞いました。別に構いませんが、今後五目餡かけやブイヤベース・パエリア・シーフドカーレーはエビ抜きで作る事に成ります。当然エビフライや天ぷらも・・・・・」


「ウェルム少将っ!必要な軍需物資は全て帝国が揃えてくれる約束だったじゃ無いですか!」


何時(いつ)から海老が軍需物資に成ったんじゃ~~~っ!」


 そう叫んで冷凍パックを抱え込んだ少将に皆が大笑いしていた。


「そう言えば・・・・・」


 ボクは少将の耳元に口を近付け囁いた。


「女の子呼ばわりして悪かった。後で埋め合わせする・・・って誰かさん言ってたなァ」


 ボクが言って、彼は泣く泣く冷凍パックを手放した。


「悔しいからせめて代金は軍部に請求してやる・・・キッド君、受け取りにチャンとサインしてくれよ!」


「ハ~イッ♪」


 その中には大型海老(プロゥーン)でなく特大海老(ロブスター)が入っていた。




「悪い事しちゃったかな~~~っ、少将ったら少々泣いてたし♪」


「そのギャグ、気に入ったみたいですね?ところで私に話が有るのでは・・・・・」


 ボクは食べ掛けてたピザを口に押し込んでコーラで強引に流し込む。


「これ何だと思う?」


 ジャケットのポケットから出した果実をテーブルの上に置く。


「形は違いますがマスターの郷里で、アボカドと呼ばれる果実かと・・・・・」


「ファルディウス帝国ではバタープラントって呼ばれているらしい」


 バタープいやアボカドをテーブル上で駒の様に回す。

 地球でも「森のバター」と呼ばれる事も有る。


「アリス・・・ボク達は何語で話している?自動翻訳機能を使わない、素の状態でだ・・・・・」


「ファルディウス帝国・公用帝国語です・・・・・」


「そうファルディウス語で喋ってる。ただし日本語フォーマットを変換させたファルディウス語だ」


 ボクはコーラを一口飲んだ。

 他にも違和感が有る言語や、言い回しが多々存在した。


「つまりマスターが言いたいのは・・・・・」


「この世界の技術でもスターシップの技術でも、現在は極一部の知識や記憶の書き換え操作は出来ても総合的な知識や記憶・人格までコピーする事は出来ない。もちろん地球でもネ・・・つまり地球人だったボクの言語をファルデウスの言語に書き換える事は出来ない筈だ!せいぜい小型化した翻訳機を耳や脳内にインプラントする位だ。でもボクの躰は完全な作りモノで、ファルディウス帝国の技術では歳相応にしか見えないが、アリスがチェックすれば生後数か月!そんな体に日本人の記憶をインストール、もしくはアリスでも解らない様な進んだ技術で脳髄を移植したなら・・・その超越技術を誰かが持っている?そして本来は日本言語な筈のボクに、ファルディウス帝国語への変換は何時・誰が行った?」


 不自然極まりない状況なのだ。


「ボクの想像では・・・・・」


「キーパーソンがミューズ姫ですね?」


 悲劇の王女、悲しき漂流者・・・ミューズよキミは何処へ行った?

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