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ドミニオから戦争が始まった①

「作戦は失敗です・・・我々はキャプテン・キッドを始めファルデウス帝国軍に全員捕縛されました」


「何だと!」


 これで奴等は逃げ帰る事は出来ない・・・少なくともティファさん達、最悪生きてると思ってるスパイを含めて口を封じないとね!


「私達は連日キャプテン・キッドから性的なモノも含めて連日拷問を・・・ただ今の所ティファ隊長を始めグランティアの隊員は全員口を割ってません、自分達が口を割ったらグランティアの国民が酷い目に会うと思ってるようです」


「マヌケな奴等が・・・・・」


 ゲイドと言う敵の司令官が嘲笑う様に言った・・・うんコイツ嫌な奴に決定!


「しかもアノ間抜けなティファニーは仲間を庇って自ら拷問を・・・おかげで私達は殆ど拷問的なモノを受けておらず・・・・・」


「見事な心意気じゃ無いか・・・褒めてやらんとな」


 自分で相手しながら頭に来るオッサンだ。


「しかしキャプテン・キッドは確かにガキですが、ファルデウスの士官が尋問に口を挟んで来るかも・・・そうしたらティファニーには彼女本人を責めるより部下である私達を責める方が効果的と助言するかも」


「そこ等辺に気がつかん辺りキャプテン・キッドも所詮ガキに過ぎんと言う事・・・だが、そんなガキが性的拷問を?」


 疑問に思った様だったので、


「それがガキはガキ何ですが年齢に(そぐな)わないスケベなガキでして・・・隊長のティファニーをはじめ自分の好みで拷問する捕虜を選んでる節が、ですから情報を得ると言うよりは自分の楽しみで拷問を・・・だから趣味では無い私は殆ど拷問らしい事はされて無いのです」


 うっわ~~~!ボクって何て鬼畜な奴なんでしょ(笑)


「おかげで私達は脱出の手筈を・・・ただ私達2人以外は見捨てる事に・・・・・」


「優秀なコマだったが所詮使い捨てだ・・・だが何とかしてキッドの持つテクノロジーを・・・・・」


「お任せ下さい・・・そちらも手筈が、アッ!切ります」


 途中で通信をブッタ切ったけど誰かが近付いたとでも思ってくれただろう。

 さて・・・


「これで奴等はアソコから逃げられない。そして奴等が流石に怪しんで来る迄、どの位の時間を稼げると思う?」


「キッドさんの演技次第だけど一月は無理だろうな・・・」


「精々半月・・・準備間に合うか?」


 イメンケさんとダーグが言った。


「簡単ですよ・・・そりゃティファさん達が一か月間も尋問・拷問の類に耐え続けてる何て信じやしないだろうけど、途中で脱出しドミニオを逃げ惑ってると言われたら?」


「そりゃ拷問よりは現実味が有るけど・・・それでティファ達に下手な演技をさせてたら、あの子達の訓練に時間が取れないだろう?」


 婆ちゃんが疑問を提示る。


「その演技が訓練に成ってたら?」


 婆ちゃんを始めコッチの仲間だけじゃ無く、ティファさん達がキョトンとした顔をしてる。

 だが・・・


「あっ・・・私、解っちゃったかも」


 ミューズが嬉しそうに言う。


「流石ミューズだ・・・では君が次にやるべき事は?」


 彼女は少し考えてから・・・


「いくら彼女達を鍛え一騎当千の強者に仕立て上げたとしても、たかが15人じゃ手駒が足りない・・・・・」


 それで皆がハッとした貌をする。

 ボクが何を企んでいるか解かったのだ!


「なら如何するんだ?」


「まず会社の資産を整理して当分の運営にかかる経費以外を・・・続いて決行に合わせて情報を流し、私達みたいな傭兵を兼業してる船乗りを誘き寄せとく。一応こんな所かしら・・・・・」


 ミューズはボクの考えを正確に把握してる様だ。


「でもソレなら陛下に出させた方が良いんじゃないか?」


「これ以上お爺さまに負担させると話が済んでからグランティアの取り分が大幅に削られます・・・最悪独立出来無くて自治何て話にも、だからティアさん達は自分の力でノスモーを撃退しなくてはならないのです。例え❝お兄さま❞に借金してでも・・・・・」


 ジョシュアさんもボクの考えをチャンと理解してる、と言うよりスターシップのメンバーは全員ボクのやろうとしてる事が解っているらしい。


「でもキッドさんに借金か・・・悪魔に借金するのとドッチが安全ナンだか、まぁ私に言わせれば悪魔の方が常識人で紳士的だと思うけど・・・アババッ!」


「比べるなんて悪魔に失礼ですよ!せめてキッドさんと比べるなら魔王位じゃ無いと・・・イビビビビッ!冗談です冗談ですってばぁ!」


 軽口を叩くイメンケさんとアノンさんに、此間イリスがティファさんに使った癇癪玉を使って背中を思いっ切り引っ叩いてやった。


「今度からイメンケさん達もジョシュアさん達と同じくポイント制にするかな?」


「ご・・・御冗談を・・・・・」


「可愛い部下の冗談じゃ無いですか♪」


 2人とも成人してるクセにローティーンのボクにナニ卑屈に成ってるんだか・・・


「そんな事より2人にだってやって貰う事が有るんだからね、先ずは2人で・・・」


「いえ私が一人で赴きましょう・・・こう成る事は予想してたのでノスモーに潜んでる反乱分子、旧グランティアの残党やソレ以外のノスモーに反意を抱いてる組織はリストアップしてあります。まぁ一人で回るんは少々骨が折れる数ですが・・・・・」


 彼が壁面モニターに有力は反ノスモー組織を掲示して説明する。


「わかってんじゃない、でもソレなら猶更アノンさんと二人で」


「アノン君には御婆様やポットさんを警護して貰わないと・・・」


「誰が❝御婆様❞だい!」


 ファルデウス老人の代表的な特徴「年寄り扱いすると気分を害する」を露呈しながらジェイナス婆ちゃんが不機嫌そうな声を上げた。


「それはジーンさん達から出して貰おうと」


「ファルデウス軍人が同行したのでは別の意味で警戒されますって、それよりかは彼の様なフリーランスの元犯罪者を・・・」


「な・・・なんか言葉選びに悪意を感じるんですが!」


 そこまで理解してくれてると思わなかったけど、ただ彼一人だけ同行させるのは少し心配だから・・・


「ジョシュアさんも一緒に婆ちゃんと行って貰うかな」


 ジョシュアさんは捕虜と一緒に走らされ無く成ると喜色を浮かべてる。


「じゃあ捕虜の人数が合わない分は?」


「外で行う捕虜の拷問は二部制にして、ジャンケンでもして負けた一人には犠牲になって貰うのさ!トマスさん達はティファさん達に拷問する看守と言うか尋問者役を・・・そして残りの半分はスターシップの中で訓練を、一応ジーンさん達にもノーダーや戦闘機の操縦や格闘の素養有るでしょ?」


 最初はノーダーの適性が低かったジョシュアさん達も、今ではボクに扱かれた甲斐が有って十分実用可能なレベルでの戦闘が可能に・・・それにジーンさん達にもノーダーの訓練を受けて貰ってた。


「訓練や扱きってより・・・」


「旦那の場合は猫がネズミを甚振る様な・・・」


「アレは虐めです・・・タダの虐めです!」


 そ・・・そりゃチョッと意地悪く追い回したり、摸擬弾を打ち込んだりはしたけど・・・・・


「とにかく工房にゃ余剰パーツでティファ達のノーダーも用意してる・・・2~3日で組み上がるから整備と修理はアリスに任せな、そして私はピットと一緒に・・・・・」


「それでOK、ところでティファさん達にはカブリヌスを組んだの?」


 一応スターシップの艦載機なので聞いて置こう。


「ダーグ達も腕を上げたからカブリヌスでは物足りないだろ?それにエクセリオン乗れるのはキッドちゃんとミューズの2人だけだと割り切った、予備に一機残して残りのエクセリオンとカブリヌスは解体した・・・後はダーグ達が使うのにエクスカリバー3機とキャリバーンを20機ほど造ったんだけど・・・」


 そう言えば暫く格納庫の中見て無かったな・・・いつの間にか整理されてたらしいけど、所有者であるボクに一言位は有っても良かったんじゃ?


「なに言ってるんだい!ダーグがカブリヌスに不満を持ってるからと、更新して良いか聞いたら「良きに計らえ」の一言で丸投げしたのキッドちゃんじゃ無いか!」


「そう言えば言ったね確か・・・でもカブリヌス全期処分するなら、それでも一言欲しかったんだけど」


 カブリヌスはロイヤルフェンサー1を通して、ロイヤルディフェンサーに流されてったそうだ。


「細かい事言うんじゃ無いよ!まぁ同じカブリヌスでもスターシップで組み上げた分は、ほんの少しだけど他で造った機体より性能が良いからね♪どうせ今回ジュリアの奴スターシップから出たカブリヌスは自分の手元に置いといて、元々持ってた方のカブリヌスをディフェンサーの方に送ったんじゃないか?」


 モニターの中で衛星軌道上に居るクリッパーの面々も会議に参加してるのだが、ジュリアさんったらソッポを向いて口笛、だからソレで誤魔化せると思っちゃいないだろジュリアさんも!


「それに整備性や故障時の使い廻しを考えたら同じ機体で揃えた方が良かったけど、ダーグは流石に先古代文明の生き残りだ・・・他の連中よりは一日の長が有るからキャリバーンよりエクスカリバーの方が良いと思ってね」


 そう言いながらボク達を誘って格納庫に向かった。


「だがティファ達にノーダーを使わせるに当たっては、流石にスターシップやファルデウスの機体を使わせるのは少々問題が有るだろ?」


 そりゃそうだ・・・ノスモー辺りがファルデウスの侵略行為とか言い出しかねない、自分達は堂々とグランティアを侵略しといてさ!


「だから全く新しく私とポップで最初からくみ上げた機体を用意しといた・・・訓練はキャリバーンでする事になるだろうけど、彼女等をレジスタンスとして旧グランティア領に放り込む時にはコイツを使わせるんだ!」


 そして開かれた扉の向こうにはエクセリオンに比べてチョッと武骨な、如何にも軍用と言う感じの新型アサルトノーダーが並んでいた。


「カ・・・カッコイイ♡ボクもコッチに乗り換えようかな?」


 思わず呟いちゃったらジェイナス婆ちゃんとポップさんが凄い良い笑顔を浮かべた。

 でも・・・


「申し訳無いけど性能を言ったらキャリバーンとカブリヌスの中間位なんだ、実際に実戦で使ったらキッドちゃんからは不満が出ちゃうだろう。まあ今後カブリヌスも更新して少し性能上げてやる積りなんだけどね」


 それは残念だ。


「ただね・・・」


 新型ノーダーの前を通り過ぎて次のブロックへ、そこにはボクとミューズのエクセリオンが並んでいたんだけど・・・・・


「実はチョッとエクセリオンにも手を・・・」


「流石にソレは一言言ってよ!」


 そこに並んでた3機のエクセリオンは、前腕・肩部・胸部・下腿と背面機動ユニットつまりバックパックの形状が変わってる。


「いやチョッと手直ししただけで・・・キッドちゃんがイヤならスグに戻せるよ、ただ性能的にコッチの方が機動性と速度が良く成っててね」


「あと装甲は光学兵器に対し15%、実弾耐弾性に至っては30%の向上を・・・キッドさん一度乗って頂いた方が解って貰えるかと」


「それ以前にコッチの方がカッコイイから許す!」


 言った途端にミューズに背中を引っ叩かれた。




 その日の内にイメンケさんとジェイナス婆ちゃん達は、ティファさんのビデオレターを持ってスターシップを離れて貰った・・・現ノスモー領内に点在する旧グランティア勢力の残党を纏め上げる為だ!


「これは最後にして最大のチャンスだと思います・・・いえグランティアを取り戻す最高のチャンスかも、この戦いに私は命を懸ける積りです」


 ちょっと眼付が悪いとか言っちゃったけど着飾らせると中々のお嬢様ぶり、眼付が悪いんじゃ無くて鋭かったんだね!


「高い出費に成りましたがキャプテン・キッドを雇う事が出来たのは僥倖でした・・・ただ戦火でグランティアの民を焼く訳には行かない、その事に関しては他にも協力を求めて・・・・・」


 元大統領令嬢であるティファさんの切実な訴え・・・だがグランティアの民の権利を守るためと言え、ノスモーの走狗に成り下がってた彼女の声に耳を傾けて貰えるか疑問だった。

 ボクの予想では7:3で振られる可能性の方が高いと思っていたんだけど・・・


「お嬢様・・・」


「こんなに苦労させてしまい・・・」


「もっと我らグランティアの軍人が確りしてれば・・・こんな辛酸を、お嬢様に味合わせる事も無かった!」


 と泣いてたらしい・・・人望って大事だよね!

 そんな感じでイメンケさんが残党勢力に纏まる様に依頼しながら、合流した後は婆ちゃんとポップさんが・・・・・


「さあ一か月で5倍のノスモー軍に対抗出来る軍艦に改造するよ!」


「いえスターシップとキッドさん達の組み合わせみたいな非常識艦を造る気は在りませんが、それでも計算では12倍まで対応出来る様になります・・・破壊と蹂躙はキッドさんに任せて、取り戻したグランティアの領域を守る必要があるんですから!」


 シャトルに満載したスターシップの作業用ドローン(船の整備と改造用)と、後からボクの依頼で合流したアイスコフィン4で新生グランティア艦隊の魔改造をして貰ってた!


 勿論グランティアの艦船を強化し海賊や地方の反乱軍に身をやつしてた旧グランディア軍に再訓練して貰ってただけじゃない!

 スターシップの艦内では・・・・・




「グランティアの取り分は75%!ファルデウスの取り分は25・・・それ以上は認めません」


「我が軍もグランティアより多くの兵力をもって参戦するのだ!5分と5分でも否ファルデウスの取り分の方が多くても可笑しくない筈だ!」


 モニターに映るファルデウス皇帝の爺ちゃんを相手にミューズが交渉をしており、他にもノーマ宗教国の議長クレメンスさんやノーマ教皇のパーロさんも一緒に並んで映ってる。


「確かに集められる兵力の数だけ見たらグランディアの兵力はファルデウスの一割にも満たないでしょう・・・でも先のグランティア大統領令嬢ティファさんは、お兄様を正式に雇い入れました!機密性が必要な案件につきギルドには開戦後に話を通しますが、お兄さまが参戦した時点でファルデウス全軍と比べても五分五分!いえ下手をしたらグランディア側の方が・・・それにマダ話は通して無いけどギルドに動きがある事くらい、お爺様だって聞いてるのでは?」


「ぐぎぎ・・・」


 そうミューズはボクに指示される迄も無くスターシップ・コーポレーションの余剰財産を計算し、ボクの指令を受けてから船乗りや傭兵のギルドに近々割の良い仕事があると情報を流したのだ!


「お爺さま達に期待してるのは、お兄さまが露払いした後のノスモーに降下して歩兵を駆逐するだけ・・・艦隊戦は血に飢えた お兄さまが食い散らかしちゃうんだから楽な仕事なんてモノじゃ無いでしょう?」


「それはそうだが・・・・・」


 流石に自国の利益を確保する事に関し爺ちゃんも簡単には妥協できない。


「所詮ノスモー何て旧グランディア領を抜いたら恒星系300程度の小国に過ぎません・・・もちろんグランディア領だった聖域はグランディアが返して貰うとして、お兄さまが本気で暴れたらノスモー領の一割二割は噛み千切るでしょう。その2.5割を殆どロハで手に入れられるのに何の不服があるのですか?」


「いや艦隊を動かすのだって莫大な費用が・・・」


「その艦隊を動かすだけで恒星系の7から15が手に入る・・・まさに濡れ手に粟、美味しい話じゃ無いか!」


 ミューズの交渉に手を貸してやるが、それでも爺ちゃんは苦い顔をしてた・・・すると、


「別の良いのですよ?ファルデウス軍に参戦して頂かなくても・・・私は大好きな お爺さまに少しでも利益をと思って話を向けたのですが、ファルデウス軍が参戦しないなら参戦しないで、お兄さまと私でノスモー相手にチョッと荒っぽい手段を・・・・・」


「オマエ大分キッドの悪い影響を受けておるなっ!」


 うん・・・ミューズさんアンタがやってるのは交渉じゃ無くて脅迫だったよ(汗)


「で・・・如何致します?」


 ニッコリ笑って爺ちゃんを見詰めるミューズ、うんもう爺ちゃんの敗北は決定された様なモンだ♪


「ノ・・・ノーマとだって割合わねば成らんのだ・・・頼むからせめて7:3で妥協して貰いたい、もちろんノーマとファルデウスの取り分を合わせて3だ」


「「やったぁ!」」


 ボクとミューズが嬉しそうにハイタッチしてるのを見て爺ちゃんが(ブス)っくれた顔をして拗ねている。


「で・・・決行は一か月後だな?だが間に合うのか?」


「私としても、もう少し慎重に時間を掛けた方が良いと思うのだが」


 と言ったのはノーマ最高評議会議長のクレメンスさんだ。


「間に合わすのさ・・・これ以上時間を掛ける訳には行かない理由も有るんだ」


 虐げられてるグランティアの国民を一刻も早くと言う気が無い訳じゃ無いけど、それどころじゃない理由も存在してたりする・・・ボクはノスモーで手に入れた奴等の醜悪な会話を聞かせてやった。


「重税やライフラインの閉鎖で旧グランティア国民を・・・」


「それで飢え死にさせるか牙を抜いて奴隷化とは・・・外道な!」


「しかも旧グランティアの指導者に連なる者を抹殺する計略まで・・・人の心が無いのでしょうか?」


 ノーマ教の教祖パーロさん迄が話を聞いて憤慨してる。


「基本ノーマ教は平和主義と言われてますが・・・人道的立場から戦う事に異を唱えるつもりは在りません」


「虐殺を止める為に侵攻するのだ・・・後で侵略だ内政干渉だと言っても無視してしまえ!」


「今回の件に関しノーマは領宙域をファルデウス軍の艦船が通り過ぎる事を正式に許可します」


 これでファルデウスおよびノーマとの共闘がいとも簡単に成立する。


「じゃあ決行までティファさん達を虐め抜くとするか♪」


「程々にしとけよ?お前の場合・・・身体に傷を残すとは思わんが、終わった時に精神を病ませて無いか心配で心配で」


 爺ちゃんアンタ、ボクの事を何だと思ってる?


「自分でグランティアの小娘に言ったんだろ?悪魔だって・・・全くその通りじゃ無いか」


 次に会った時は熱の入ったプロレスごっこしちゃる!




 状況が許してくれそうもなく、予定の一か月を繰り上げ3週後には作戦決行する事に計画を繰り上げた。

 ティファさんの母親とお姉さんを始め、旧グランディアの有力者を暗殺する計画が進行し始めたからだ。

 だけどソレ以上にティファさん達の物覚えと言うか訓練への熱意が凄まじかったから、当初ひと月で教える予定のカリキュラムを習得し終え+αを仕込んでた所だったからね!


「やっと支給してくれたぁ!」


「うぅ・・・長かった」


 奪ってた奴じゃ無いけど下半身の着衣を配布してやったら喜ぶ事、まあ3週もパンティー露出させた侭じゃ恥ずかしかっただろうからね!


「じゃあ覚悟は良いな・・・始まったら成功するか失敗して全滅するまで止まらないからな」


「「「「「はいっ!」」」」」


 全員良い顔で答えてくれるのを確認し・・・ボクはアリスに声を編集させるのではなく自分のミュータントの力で声帯を改造して声を殺したスパイのモノに、声って機械で変えても逆編集されてバレる時が有るんだスターシップのでも!


「暫く連絡が無かったが一体何をしてたんだ?」


 敵の司令官ゲイドの少し怒ってる声がした。

 ボクはスパイの声で・・・


「申し訳御座いません!ティファニーの奴が部下を引き連れて脱走を・・・ただ今回はソレが良い方向に向かいました」


「どう言う意味だ?」


 声から…簡易のウソ発見器(αトライシクル)でゲイドが疑ったり疑問を感じてない事を確認しながら話す。


「ティファニー達を追い掛けるのに、この船の乗員がほとんど出てるのです!今なら私たち二人だけで船を奪う事が出来るかも知れません」


「何だと!」


 明らかに動揺してやがんな・・・・・


「しかし何でお前たち二人は船に残って・・・」


「それが・・・私たち二人はキッドの好みじゃ無いので放置されてたのではなく、逆に好みだったので最後に取っとかれたらしいのです!それでキッドに媚びを売って彼の性的な奴隷になると約束を・・・それを聞いたティファニー達は怒って私たちを放置し脱走して仕舞いました!」


 自分で言っててボクそんなに酷い奴じゃ無いよねと思ってしまう。

 まぁ口にしたらミューズやジョシュアさん、ここに居ればジュリアさんも否定しただろうけどね!


「あ・・・呆れたガキだな?」


 そ・・・そこまで酷いガキじゃ無いんだからねっ!

 と思いながらボクは自分で言ってて笑うのを我慢してる(笑)


「ですがチャンスです・・・残ってた乗員は全員射殺し、だからキッドが戻って来たら私たちも!至急 スターシップを艦隊で鹵獲しに・・・・・」


「了解した。だがその前に・・・」


 凄く不穏な空気を流しながら、


「そろそろティファニー達を休ませてやろう、彼女達は働き過ぎた・・・・・」


 自分達で酷使してたクセに何を言ってるやら!


「口を塞ぐのですね?」


「あぁ・・・一人でも生き残ってたら、ワシ等に裏切られた事に気付いて余計な事を喋るかも知れんからな」


 安心しな、そんな日は来ないよとボクは内心思った。


「ティファニー達はスターシップより南西に300㎞の岩礁地帯を逃亡中、ノーマ・アカデミーの観測隊員たちに救助を求める様で・・・」


「解った・・・お前たちはワシが向かうまでスターシップの確保を・・・・・」


 アホが自分から罠の中に飛び込んで来た!

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