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ノスモーから来た工作員を懐柔する!

 奴の膝を狙ったのは一撃で殺してやる程アイツの罪は軽くないから、人権派とか良識派と言われる人間は人を個人で裁くのは間違ってる何て言いそうだけどボクの行為に文句を言わせる積りは無い。

 だって誰も捌け無いんだもん・・・必○仕○人とかボクは必要だと思うよ、ちゃんと犯罪を取り締まれない様な国家が相手ならさ!

 特に被害者が犯罪を訴えても面倒なのか有耶無耶にし様としたり、身内が「あのジジイ気に入らない」と無実の罪で摘発しても法的に裁かなかった、ボクの故郷の警察には思いっ切り正面から唾を飛ばして言ってやりたいね!


 まあソレは置いといて・・・結果的にコイツ38の命が助かったのは、攫われた子が一人でも生きてればと思ってたボクの予想が裏切られたからだ。

 この奴の別宅の地下牢で攫われた女の子()()()を全員無事に発見出来たから・・・なら両膝を撃ち抜いたのはヤリ過ぎじゃ無いかって?


 とんでもない!


 この攫われた女の子たちが生きて無いと判断したのは38が非常に質の悪いサディストだったから、サディストに関しては女の子のオシリ引っ叩いて楽しんでるオマエが言うんじゃ無いって?


 そんな生易しい変態じゃ無いんだよ38は・・・奴の好みは10代前半から中盤の女の子、ちなみに奴はアラフォーって奴ね?

 そんな女の子を鎖で吊るして鞭で叩いたり・・・そう言う感じの変態だったのさ!


 さっき女の子は無事だと言ったけどソレは命に別条が無いって意味で、その身体は痛々しい鞭の傷跡で縞模様に成っていた・・・そうソレをボクが知ってるのは彼女達を裸にして確かめた訳じゃ無く女の子達は全裸で牢に入れられてからだ!


「あぁ・・・ぐへっ、あがが・・・・・」


 彼女達を介抱しながら牢から出して治療して毛布を与えた後、ボクは上に戻って38の奴を口がきけなく成るまで全力で殴り続けたのだ!

 それでも命を奪わなかったのは、このゲスが攫った女の子達を殺して無かったから・・・まあノスモーが滅んだ後にツケをタップリ払うと良いさ!


「で・・・旦那、如何すんだい?作戦上、生かしとくのはチョッと不味いんじゃ?」


「全員にナノマシン薬を投与して暫く話せ無い様に・・・トリプルHを使おう」


 ジョシュアさんの問いに答えると全員が良い顔で笑う。


「そりゃ酷ぇ・・・」


「旦那オニだな」


「相応の報いだ」


 ナノマシン薬❝トリプルH❞のHは地獄(ヘル)の頭文字、動けない・話せ無い・なのに意識はハッキリと言う三重の地獄を味わう事からのネーミングだ。

 その状況が2~3か月続く筈・・・実際 意識有るのに意思疎通が出来ず身体が激痛を発してる状態なのに動けないってのは、皆が想像してる以上に遥かに過酷な地獄だと思うよボクは♪


「女の子は・・・」


「解ってますって」


 こんな所に放置して口を封じられては堪ったモンじゃ無い!

 取り敢えず全員保護して連れてく事に、ジョシュアさんとトマスさんに屋敷に有った車でピストン輸送して貰い、ボクと残った二人で屋敷の全員にナノマシン薬を投与して行く。


「い・・・命ばかりは・・・・・」


 無傷の屋敷のコックとか女中が居たけど彼等もトリプルHを、地下の閉じ込められてる少女達の事を知らなかったとは思え無いから自由に動けない程度の苦しみ位は甘んじて受けて貰おう!

 これで奴等は暫く動けない・・・


「それで今後は?」


 欲しい情報は手に入ったし、ボクもノスモーをブッ飛ばす動機を手に入れた。

 やる事は一つだけさ・・・ボクは小型艇の離陸準備をしながらスターシップに連絡を、同時に帰艦に係る時間を計算する。


「ミューズ、ボクだけどソッチの状況は?」


「捕虜は大人しくしてます。まあ多少厳しめの尋問をジュリアさん達が行ってますけど、ただファルデウス軍の船に移動すると法的問題が・・・それでマダそのままスターシップでコンテナの一つを監房に見立てて」


 コンテナの中には簡易な宿泊所に使う為トイレとか付属してるコンテナも有り、それを監房に見立てて捕虜を・・・同時にジュリアさん達が、まあ多少は荒っぽく拷問っぽい事もされてると思われる。


「ノーマの軍や司法機関が来るのは?」


「当分来れないのよ・・・ノーマって貧乏じゃ無いけど軍や警察に余力が無い、場合によっては私達に司法を代行して欲しいなんて依頼も来てるのよ」


 そりゃ随分都合が良い。


「それって・・・」


「ノーマのギルドを通してアリオスさんから、依頼主はノーマ宗教国連合のクレメンス最高評議会議長です」


 なら話が早い。


「ミューズ・・・その依頼を受けるんだ。ガバメントオーダーと同時にシークレットオーダーで、あとアイギスさんに代わってくれないか?」


 アイギスさんもコクピットに居たらしく、横からモニターを覗き込んで来た。


「チョッとばかり、お願いしたい事が有るんだけど良いですか?」


「何でも言って下さい」


 まあ彼女がボクの頼みを断る筈無いけどね♪


「捕虜の方々・・・お尻の具合は如何?」


「深く反省して頂く為にミントさんに治療をお願いしたとき、ナノマシン治療薬は必要最低限に・・・・・」


 清々しい笑顔で言うけど、


「なに言ってるの半分は私怨のクセに・・・」


「も・・・もうチョッと少ないですよぅ」


 つまりボクにお仕置きされた怒りを彼女達にぶつけたのは認める訳ね?


「じゃあマダ・・・」


「もう大分 腫れは引いてるでしょうけど多少は残ってるかも・・・・」


 可哀想に・・・


「ボクが帰艦する時間に合わせ彼女を甲板に、もうチョッと彼女等には反省して貰いたい事が出来たから・・・ただ敵の偵察衛星か偵察機が衛星軌道上に来たら、その時は中の駐機ドックに集めとく様にしておいて」


「かしこまりました」


 そしてボクは離陸させながら・・・


「ヤバイぜ旦那、ノスモーの防空隊に見付かっちまった!」


「そりゃ面倒だ・・・逃げるぞ!」


 衛星軌道上に居る防衛艦隊に頭を押さえられたら面倒だ。

 ボクは敵の動きを計算に入れながら、大気圏突破とドミニオへの帰還航路を算出する。




 ノスモーの首都星からドミニオ迄は8時間も掛からない、丸一日ノスモーの首都星で情報集めしてても48時間で帰って来る事が出来た。

 まあ多少は不眠耐性も有るけど、流石に❝()❞特製のクリーチャーボディだとしても睡眠は必要・・・だからボク達は睡眠を交代で取りながら強行軍で偵察をして来たのだ。


「ドミニオ近くで待機してる小艦隊は?」


「まだ動いて無いけど、これ以上はもう我慢出来ないと思いますよ・・・工作員たちの成否を見極めるか、逃げを打つかは判らないけど」


 そのトマスさんの意見にはボクも同感だった。

 工作員のお姉さんたちが成功したか否か、そう成否は敵の元締めに解らない様に偽装してあったからね!


 まあ情報を与えられたら大人しく成るかな?

 それが例えボクが送る偽の情報でも!


 ボク達はドミニオの大気圏を突破するとノスモーの偵察艦や偵察衛星がいない事を確認してから大気圏に突入、そして小型揚陸艇事ごと内部に収容されると出迎えたミューズにタダイマの御挨拶でキスを♪


「お兄さまは敵が見て無いなら甲板でと言ってたけど、ドコで見られてるか判らないから中に集めといたんだけど・・・」


 ボクが何をし様としてるのか不安がってるミューズだけど、


「大丈夫・・・たぶん彼女達にとっても悪い様にはしない、まあ強盗のお仕置きに凄い恥ずかしくて痛い思いはして貰ったけどね♪」


「お兄さまのH・・・」


 そう言いながらミューズは不安そうだ。


 さて工作員の襲撃が有ってから何度かクリッパーと合流してるけど、流石にジュリアさん達はプロだから接触前に敵の偵察には十分留意してる・・・ジュリアさんは一度大チョンボしてるけどね!

 それでも艦船が一隻大気圏に降下してるの位は敵だって観測してるだろう、彼女達が失敗してるだろう事は敵のアタマ(今回の国家ぐるみの強盗を考えた奴)だって想像が付いているだろう。

 それでも奴等が離れないのは、やはり何だかんだ言ってスターシップと先古代文明のテクノロジーが惜しいからだ。


「さてと・・・」


 ボクは格納庫の奥へ向かい・・・・・




 そこには下半身は下着のみで、お尻にマダ多少は赤みを残してる17人の女の子が正座して並んでいた・・・うん可愛いお尻が17人分並んでるのは実に壮観だ!

 でもスケベ心を表情や態度に出して喜んでるとミューズやイリスに叱られちゃうから、ここは敢えて興味無さそうな振りをして・・・・・


「随分と可愛い格好してるじゃない♪人の財産を奪おう何て考えてっから、こう言う目に会うんだ・・・反省しな」


 工作員の隊長さんが一瞬だけキッと睨んで来たけど、別に反抗心からのモノでは無いらしく・・・


「お願いします・・・部下には何も重要な情報は教えていません。如何か部下に無体な事は・・・・・」


「そんなの信じられると思う?第一キミだけが重要な情報を持ってたとしても、キミの口を割らせる為に部下を傷め付けると言う方法もあるよ。試しにキミにだけ何もしないで、部下のを全員裸に引ん剝いて鞭打ってあげようか?」


 彼女が悔しそうに表情を歪める・・・


「そんな事も敵の尋問者が考えない筈無いだろうに、やっぱりボクを子供だと思って甘く見てるよな・・・ジュリアさん悪いけど屈強そうな部下の人10人ばっか貸してくれない」


「そんな・・・お願い許してっ!この子達にはもう・・・お願いですから、もう部下には手を出さないでっ!」


 そう言いながら這いずって来る隊長さん、彼女達を拘束してから両手足首には後ろで手錠を嵌めて有るから立てないのだ。

 年齢的にはジュリアさんと同じ位かな?

 まあ部下といても彼女にとっては本当の意味で身内に近い、立場上 庇いたくなるのも無理は無いんだけど・・・ボクは銃を抜いて彼女の部下2人の額を撃ち貫いて射殺した!


「あああっ!うわぁぁぁ~~~~~っ!」


 隊長そして部下も声を上げて泣き叫び、そして慟哭する・・・まあ今まで仲良くしてたか如何かは解らないけど、それでも一緒に戦って来た仲間が眼の前で行き成り殺されては黙っていられないだろうけどね。


「う・・・うぅ、キサマ・・・・・」


 ボクを殺しそうな目で睨みつけて来るけど、


「酷いと思うかい?ボクの事を残酷な奴だってさ・・・」


「・・・・・いいえ・・・でも!」


 彼女は力無く答えた・・・そりゃそうだろう彼女達だって軍人で最悪命令ならボク達を殺す積りで来てる、それなのに自分達が殺されたからと文句を言うのじゃ話に成らない!

 それでも仲間を殺されたら理屈に関係無く・・・まあ納得行くとは思え無いけど種明かししてやるか・・・・・


「安心しな・・・少なくとも今ボクに殺された二人はアンタ達の仲間じゃない。抑々グランティアの国民でも無いし、今のノスモーの首都星と言うより元はグランティアの首都星か?出身は其処(ソコ)だってのも嘘だし根っからのノスモー人さ・・・彼女達2人はスパイだったんだよ、ティファニー・アーチストン」


 彼女達の眼が驚愕に見開かれた。




 現在ノスモーの首都星に成ってる惑星は元々グランティアと言う名の国の首都星だった・・・それほど規模は大きく無く50程の恒星系を持つ民主国家で政治形態は大統領制、ノスモーの武力侵攻を受けて5~6年くらい前に滅亡した国家だ。


 最後の大統領は78代目だったジョン・アーチストンって人で、写真を見たけど渋い若めのイケオジ・・・ここまで言えば後の説明必要無いよね?


「親父さんとは折り合いが悪くて家に寄り付かず非行少女・・・でもノスモーとの戦争時には10過ぎたばかり位の年齢で義勇軍に参加、そこで活躍し過ぎた所為で征服後は強制的にノスモーの軍隊に・・・」


「別に折り合いが悪かった訳じゃ無い・・・でも大学に進ませたいって父さんと、どちらかと言うと体育会系の進路に進みたいと言う私の意見が食い違って喧嘩しただけだよ!」


 ボクは彼女を見下ろしながら、


「そこ迄は調べても解んなかったよ時間も無かったし、でもさ・・・重税を課すとか脅かされてノスモーに良い様に使われてても、それで国民の一助に成ってると思ってた訳じゃ無いんだろ?」


「そこまで馬鹿じゃない・・・でも・・・・・」


 彼女の苦悩は解かる。


「見てみなよ・・・」


 ボクが顎で指した先ではジュリアさんから借りた部下の人が、ボク達の乗って来た揚陸艇と言うか小型舟艇から20人の少女を介助しながら下船させていた。

 彼女達は自分で歩く事も出来ないほど憔悴してて、その眼はどの子も虚ろと言うしかない色を湛えてる・・・もう悲しむ事すら出来ない状態なのだ。


 ボクは一番年嵩の女の子に来て貰うと、


「悪いけど・・・この人達にキミ達が如何に酷い事をされてたか見せて良い?」


 と聞いた・・・彼女は虚ろな眼をしたまま頷くと、躰に巻き付けてた毛布を自分で開いてハラリと落とす。

 その彼女のお尻から腰と太股に掛け、何条もの痛々しいミミズ腫れが刻み込まれていた・・・それを捕虜の後ろで見てたミューズが思わず眼を背ける。


「ゴメンね・・・」


 ボクは落とされた毛布を拾って再び彼女の躰を隠すと、ジュリアさんの部下に頼んで医務室に連れてって貰う、そこでは救出した20人をジョシュアさん達がフル回転しながら治療してる筈だ。


「放っといても時間さえ立てば傷一つ残らない程度に回復するアンタ達のお尻とは雲泥の差だろ?彼女達は現ノスモー首都星つまり旧グランティアの首都星の一般市民だ・・・つまり」


「私達の・・・」


 隊長さんが悔しそうに唇を歪めた・・・マァあんな酷い拷問の痕を見せられては堪らんだろう、ボクもミューズ達のお尻叩くけどアンナ酷い真似は絶対し無いしし様とも思わない!


「やったのはノスモーの第38皇子だ。奴はボクが二度と悪さ出来無い様に〆たけど、この侭なら他の皇子や貴族も更にグランティア人を餌食に・・・この侭で良いの?如何にかし様と思わないの?」


 隊長さん・・・いやティファニーの頬を涙が伝う。


「如何にか出来るならやってるよっ!それこそ悪魔に魂を売ってでもな!」


 彼女はボクを睨み付けて大声で怒鳴った・・・うん良い貌だ♪


「なら丁度良いじゃ無いか・・・」


 彼女はボクを殺しそうな眼をしながら「何を言ってるんだコイツ?」と云う表情でボクを見てる。


「ここに居るじゃ無いか❝如何にか出来る悪魔❞が!さあ魂を売りな・・・自治権や元のグランディア領を奪い返す何てケチ臭いコトは言わ無いぞ、ボクに魂を売るならガッツリ利子付けてノスモー領を削り取ってやろうじゃ無いか!」


 そう微笑みながら言ったボクにミューズを始め仲間は呆れ顔、そしてティファニー達グランディアの旧国民はドン引゛()いている♪




 その日の午後には・・・


『き・・・気にしないで下さい。キッド様・・・あの二人とは確かに良好な関係の仲間だったけど・・・今から思えば内通者として潜入してる事を隠す為に・・・・・』


『様付けは止めて・・・でも実際そうだよ?丁度キミ達を送って来たノスモーの艦隊と通信が有ったんだ。ボクが帰って来る直前位に・・・聞いてみる?』


 彼女達にはボクのカチューシャと同じ物を腕輪にして貸し与えた、だから口から言語を発し無くても意思疎通は出来る。

 まぁ別に大気圏外から衛星とかで地表の音声を拾う事なんて、この世界の技術では難しい・・・スターシップと言うか❝()❞の技術なら簡単なんだけど!

 それを敵が持ってる筈も無いけど奴等のスパイが地表に降りてて、望遠鏡で見ながら読唇術でも使われてたら堪らない、まあ敵のスパイの類がスターシップに隠れて接近出来るとも思えないけどね!


 それでもボク達が居る地点から星の反対側で大気圏突破とかされたら、流石にスターシップでも感知し辛いからね・・・念を入れて外に出てる時は口を動かさないで会話できるように三時間ほどで仕込んだんだ。

 その機能を使ってスパイと敵の司令官の会話を聞かせたんだけど・・・


「そんな・・・」


「仲間だと思ってたのに・・・」


「裏切り者め!」


 そうスパイだった二人が近くに潜んでる艦隊に送った通信には、明らかにティファニーさん達を嘲ってる感があった。

 最初はボクに騙されてるんじゃ無いかと疑ってたティファニーさん達も、今ではボクの言葉を疑ってはいない・・・彼女達には他にも色々証拠となる情報を提示して有ったからね!


『おい口から言葉が出ちゃってるぞ!いま喋った奴はスターシップ戻ってからお尻叩き10発ね!』


 しおらしく成っちゃう彼女達だったが・・・


『もう態度に表さないのっ!全員お尻叩き10発追加!!因みに❝お仕置き執行人❞はアイギスさんだからね!!!』


 途端に全員無表情に成る・・・彼女達にとってアイギスさんは怖い❝お母ちゃん❞認定されてる様だ。


「ペースが落ちてるぞ、モタモタするんじゃ無い!」


 と怒鳴りながらホバーバイクで達を追い掛けてるのはトマスさん達3人、そうティファニーさん達ノスモーの捕虜はスターシップの乗員から私刑(リンチ)と言うか拷問・体罰を受け砂漠で持久走させられてる風を装ってる。


「オラオラ速度を落としたら・・・」


 ピットさんったら巫山戯(フザケ)熱戦銃(ブラスター)の出力を最小に絞ってジョシュアさんのお尻を撃った!


「ぎゃんっ!」


 ちょっと間の抜けた悲鳴を上げて前に倒れ込んだジョシュアさんだが「もう一発欲しいか?」と言われスグ立って走り出す・・・がピットさんに「後で覚えてろよ!」と言う顔で睨み付ける事は忘れない。

 実はスターライダーのレースチームの中で、ピットさんはキャラ的にジョシュアさんに揶揄われたり虐められてりしてるらしい・・・その仕返ししてるんだろうけど後の事チャンと考えてるんだろうな?


 さてティファニーさん達を虐待してる様に見せ掛けてるけど、これも作戦と訓練の一環だ・・・ノスモーの連中には彼女達の正体が露見して拷問を受けてる様に見せかけ実際には、どの位の基礎体力を持ってるのか測定してるのが現状なのだ。

 その中にボクとジョシュアさんが混じってるのはノスモーのスパイをボクが殺しちゃった数合わせなんだ。


『ティファニーさん達は態度に出さずに聞いて、この先の砂丘で各自視界に赤いマーカーとカウントダウンが表示される筈だ・・・その指示に従いながらマーカーの前で倒れるか立ち止まる様に調整して』


 すぐに目当ての丘が見えて来て力尽きた様に・・・まあ上手な演技じゃ無かったけど、一応そう見える様に全員が停止した。


「仕方無ぇな・・・5分休憩だ」


「これっぽっち走っただけで全く・・・」


 そう言うとピットさん、またブラスターの出力最小でジョシュアさんのお尻を打つ・・・まあ敵に熱戦で風穴開ける武器だけど出力を最小に絞ると火傷どころか痕も残らない。

 でも結構熱くて痛い筈で・・・オイオイお前後の事チャンと考えてるんだろうなピットさんよ、凄い目でジョシュアさんがピットさん睨み付けているんだけど?

 まあ馬鹿は自分の始末くらい自分で付けて貰って・・・


『全員倒れた振りをして砂に顔を突っ込め!砂の中にドローンが隠れてる』


 ホバーバイクの上で美味しそうに水を飲みながら休憩するトマスさん達に対し、こっちは水すら与えられ無いと言う図式・・・でも実は砂の中に待機してた動物型(アニマトロニクス)のドローンが居て、ボク達に水とゼリー状の軽食を与え健康診断をしてくれている。


『マダ行ける?』


 結構診断の結果は全員良好、ただし行けるか如何かには精神的なモノも関係してるから一応聞いてみるけど?


『行けるに決まってるじゃ無いですか♪』


『私達は悪魔に魂売ったんですよ?』


『死んでも走って見せますよ!』


 と全員から勇ましい答えが返って来る。

 精神論を展開する気は無いし抑々嫌いナンだけど、最後にモノを言うのは何時だって個人の気合なのも確かだった。


『じゃあ行くぞ・・・死ぬ一歩手前まで走り込みさせるから覚悟するんだな!』


 そう言ってトマスさん達に追い立てる様に指示を出す。




 そうして6時間走らされて彼女達は全員動け無く成っていた・・・途中で崖や川をコースに取り入れてたから持久力だけじゃ無く全ての身体能力を計測させて貰い、それから弾き出された結果は確かに彼女達はノスモー兵士の平均を大きく上回っている。

 ただし個人的な感想を言うとジョシュアさん達の方が若干身体能力は高い気がする・・・まあ彼等ってドロップアウトしたけど元エリート軍人の士官候補生、それも現地で指揮を取るタイプの現場指揮官だったみたいだしね!

 その証拠に・・・


「テメェこら待ちやがれっ!やいピット人のケツに何発も何発もブラスター打ち込みやがって、いくら威力を最小に絞ってあったって、この野郎・・・絶対に許さねえぞ!」


 そう怒鳴りながら舌を出し挑発しながら逃げるピットさんを、元気に追い掛け回すジョシュアさんにティファニーさん達グランティア出身者の皆はコレ以上無いって位に呆れかえっていた。

 まあボクとジョシュアさんは彼女達と同じだけ走り回ってたしね・・・それに遅れた奴のお尻を最小威力に絞ったブラスターで撃つ事は最初からグランティアの皆にもミューティングで周知してた。

 如何にも彼女達を嬲り者にしてるかって何処(ドコ)かで見張ってるノスモーの偵察隊に見せ付ける為に・・・ただ意外なほど彼女等から脱落者が出なかったので、ピットさんが普段の仕返しに最後尾に居た訳でも無いジョシュアさんのお尻に集中砲火したって訳だ!


 ボク?

 ボクはもう先頭を真っ先に走って逃げてたよ!

 いくら威力を最小に絞ったからって、ブラスター何かでオシリ撃たれたく無いモンね♪


「てめぇアタイに何の恨みが有って・・・」


「恨みが有ったかって無いと思ってるのかよ?今まで人が大人しくしてりゃ、散々オレをパシリに使ったりイビッタリしたクセに・・・今までのツケを利子付けて払わせただけ何だから文句なんて言わせないぞ!」


 と言いながら逃げるピットさんの尻に向かってジョシュアさんがブラスターを発砲、しかしピットさんは華麗に躱しながら一発も当たって無い・・・こう言うのが得意みたいだね?


「よし今日の訓練は終了・・・明日からは体力づくりだけじゃ無く、キミ達には色々覚えて貰うからね」


 そう言いながらボクは皆と同じ耐光服を脱いだ。

 そう言う物を着ないで砂漠を走ったら、みな一時間で火傷並みの日焼けを負う事に成るからね。


「だから今日は晩飯食べてシャワーを浴びたら眠る事・・・もし起きている不埒モノが居たら、お尻叩いてお仕置きだからね!何か質問は?」


 すると手を挙げる人が居たので、


「ナンですかティファニーさん」


「ティファで良いです。そう仲間からも親からも呼ばれてました」


 そう答える隊長さん改めティファさん。


「あの・・・質問じゃ無くてお願いが・・・・・」


 とモジモジ言うティファさんも耐光服を脱いでるんだけど、


「そろそろズボン返して貰えませんか?流石に下着じゃ恥ずかしすぎますよ・・・」


 そうアイギスさんのお仕置きから彼女達は下半身下着なんだ!

 ただ今日だけ砂漠を走る間は耐光服を課してたけど、そもそも耐光服と言っても地球でイスラム系の人が来てる様なパジャマとかクルタとか言うペラペラな生地の白い服でしかない。


「ヤダ・・・こんな良い光景なんだもん、皆もそう思うよね?」


 仲間に同意を求めたけどイメンケさんとアノンさん、それにフォスターさん以外頷いてくれず、そして後頭部にはミューズから一発突っ込みを入れられた。


「痛た・・・こんな良い光景なのに、それに意外と擦れて無くてティファさん達の反応も可愛いし」


「そりゃ同感だけど・・・」


 ピットさんを追い回す事を諦めジョシュアさんも女なのに同意してくれる。


「さて冗談はさておき・・・」


 ボクは仲間を見渡してから・・・


「AD通信なら傍受される心配は無いな?」


「スターシップのなら間違い無く・・・」


 表情を引き締めて言うとミューズもボクの意図を組んで明確に答えてくれる。


「ティファさん達に紛れ込んでたスパイが通信に使ってたのは?」


「この隠し持ってた通信機で・・・」


 ノスモーの軍用通信機に偽装されてるが星間通信が出来る様に造られてる・・・同型の物はティファさんたち全員持ってるけど、スパイ2人の物以外は星間通信出来る様には造られて無かったのだ。


「どれどれ・・・」


 ボクは通信機を操作しながら、自分の肉体をミュータントの力を使って一時的に改造・・・スパイの内一人の声を偽造する。


「こちらアンダーモール、こちらアンダーモール・・・ゲイド司令に緊急連絡・・・・・」


 完璧なスパイの声色でボクが話すのを聞いて再びドン引゛()いてくれるティファさん達、そう言えばターミネーター2でシュワちゃんが同じ様な芸を披露してたっけ?

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