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チョッと敵国に乗り込んで、オマケに害虫を一匹駆除して来る♪

 ノスモーはヴァイラシアンに比べたら小さな国で領宙も狭く国力も低い、それでも数え切れない程の恒星系を抱えてるからワープを使わなければ移動していられない。

 ただスターシップの搭載艇である小型揚陸艇は単体でのワープも可能なうえ、隠密性も高く敵国の惑星に侵入するには打って付け・・・それでノスモーの首都星に降下した。


「簡単について来たアタイが言うのもナンだけどさ・・・アタイ達は士官候補生であって兵士としての訓練なら未だしも、潜入や諜報・情報収集の訓練は受けて無いぜ」


「そんなのボクだって受けて無いさ♪でもボクには❝彼❞から譲り受けたテクノロジーがある、従来の諜報活動を踏襲する必要なんか無いさ!」


 ノスモー帝国の宮殿に軍や政府機関の施設・官公庁にアニマトロニクスを駆使した本物にしか見えない小さな蜘蛛をバラ撒いた・・・それ等は施設に勝手に侵入し中を探索、そして会話や情報を自分で分析し重要なモノを見付けるとコッチに連絡してくれる。


「この時代に新聞とかなら兎も角、国家機密を記載した紙媒体の資料があるとは流石に思って無いけど・・・こんな無防備にデータ化した情報を置いといて良いのかな?」


「いや全然無防備じゃ無いでしょ?」


「旦那じゃ無ければ手も足も出ないって・・・」


 あっと言う間に蜘蛛型ロボットが情報や会話を盗んで来てくれる。


「アリスがいないから難渋するかと思ってたけど、この程度なら必要な情報を回収しても一日で戻る事出来そうだな」


「確かに早く帰った方が良いですよ、まさかアンナ所に隠れてるなんて・・・・・」


 考えて見たら居ない筈が無かった・・・ドミニオ近くの高重力アステロイド帯に、あの工作員達を乗せて来た艦隊が隠れていたのだ。

 そしてジョシュアさんの読み通り国境付近の艦隊は囮だったけど、その艦隊もノーマに侵攻しそうな雰囲気を出している。


「多分だけどスターシップを奪っても逃げ切れないと踏んだ日にゃ、あの艦隊が応援に侵攻して来るって手筈なんじゃ無いですか?」


「それ以外に何か有るなら是非ご教授頂きたいね♪それよりジョシュアさん・・・アンタ本当に捕虜たちみたいに、お尻叩きで再起不能にされたい?」


 そう又してもボクは女装を強いられ、どこかの貴族令嬢に扮装させられてるのだ!

 ボクに脅かされてブルッてるジョシュアさんにトマスさんが助け舟を出す。


「今回は勘弁してやって下さい・・・ノスモーって首都でも非常に治安が悪い、たとえ男の子でも旦那みたいに綺麗な貌してたら即行で誘拐されちゃいます。でも相手が貴族令嬢なら・・・・・」


「報復が怖くて誘拐される心配はないって事だろ?そんなん解っているけどさぁ・・・って何でジョシュアさん達って、そんなにノスモーの内情に詳しいの?」


 するとジョシュアさんだけじゃ無く彼女のレースのチームメイト全員、貌を赤らめながらソッポを向くがリーダー格のトマスさんだけが口を開いた。

 ちなみにジョシュアさんのチームって、名目上の頭はジョシュアさん何だけど彼女よりトマスさんがリーダー的な中心人物らしい。


「コイツがファルデウスのレースで出場禁止に成ってる間、治安悪いから来たく無かったけど他に出られるレースが無くてノスモーに・・・その後でワメリカーノそしてジョンブルソンに移動して旦那に拾われたんだ」


 全く仕方無い人だなジョシュアさんは・・・そう言えば!


「そうだジョシュアさん!アンタ雇用契約の時にワメリカーノでも出場停止に成ってるとか言ってたけど、本当はラフプレイが過ぎてワメリカーノのレース界から❝永久追放❞に成ってるんだって!」


 もうギクッ!って言う擬音が聞こえた様な気がしたくらい表情を変えてくれる!


「契約の時に嘘ついてただろ!全くこんな詰まらない嘘を、第一すぐバレちゃうだろうに」


 実際すぐバレる事になったしね・・・ボクに叱られながらジョシュアさんは貌が真っ青、しかもトマスさん達チームメイトにも囲まれて・・・・・


「オマエ何でそんな下らない嘘を!」


「どうせ見栄だろ、全く下らない見栄を張って!」


「しかも旦那は今スポンサーじゃ無くてオーナーに成ってくれてるんだぞ!その旦那に経歴で嘘吐くなんて最低だぞ!」


 みんなに叱られて涙ぐみ始める・・・そうイグニアさんに任せたら元から有ったスターシップ貿易をやたら大っきくしちゃって、現在はスターシップ・コーポレーションと言う財閥に発展させてしまったのだ!

 そして彼女からの提案でジョシュアさん達と交渉し友好的に合併吸収、まだ発表して無いけど来月にはボクがオーナーになってチーム❝スターシップ❞が発足する予定だ。


「旦那~~~旦那の気が済む迄お尻叩かれるから契約解除だけは・・・・・」


「これ位でオシリ叩かないし、契約も白紙に戻さないから・・・それにしても下らない嘘を」


 泣いて縋って来るジョシュアさん可愛く思えるが、どう考えてもコレはペットか妹枠なんだよな・・・歳上のクセに!

 だけど感極まって「旦那アリガト~~~ッ!」とか言いながら抱き付いてきた彼女は、ボクの耳元に口を寄せて素早く囁いた。


「旦那の正面、左10度30メートル・・・」


 やっぱり彼女達は優秀だ・・・そこには黒スーツの怪しそうな男が二人、こっちを見てる風じゃ無いけどジョシュアさんが口にした以上は監視されてるのだろう。

 ボクはカチューシャの機能で皆と相談・・・・・


『何者だろう?』


『キッドの旦那を貴族令嬢に仕立て上げれば、下手なチョッカイ出されずに済むと思ったけど逆効果だったかな?』


『他の貴族が眼を付けて?いくら何でもソレは無い、オレ達この星に降り立ったばかりだぜ?』


『でも犯罪組織や旦那を誘拐して身代金なんて考える類の人間じゃない・・・明らかにプロだ』


 困ったな・・・逃げ様にもマダ情報を集め切っていない、せめてもう少し時間を稼ぎたかった。


『最悪、貴族じゃ無くて・・・』


『皇族か・・・』


 なら貴族に扮してるボクにチョッカイ出す気に成っても不思議じゃ無いな。


『全く女装した男に釣られるなんて情けない、もっと人を見る目を養うべきだ!』


『いや旦那なら十二分に需要が・・・』


『むしろ見る目が有るから旦那に狙いを・・・』


『そこらの女襲うより旦那を押し倒したくなるって気持ち、見た目でしか判断して無いなら理解は出来ますよ!中身見て思う奴等は頭がオカシイか自殺志願者だと思うけど・・・』


 コイツ等・・・貴族令嬢に化けてる以上ボクが蹴っ飛ばしに行けないこと解ってて揶揄ってるな?

 でもこう言う時、一番に失言しそうなジョシュアさんが何も言って来ない事を不思議に思って彼女を見ると・・・・・


「だって()っきの経歴詐称でマイナス稼いだばかりだもん、ここで変な事を言ったら・・・あの❝バット❞と言う奴でケツ叩かれるのだけは絶対イヤだ・・・殺されちまう!」


『こらチャンとテレパス通信使ってよ、それに・・・あんな(モン)でオシリ叩き何て絶対しないから・・・・・』


 コイツ本当に怖がってるな(笑)


『取り合えず・・・失言ポイント-3で3人は一発減俸ね♪』


 途端に絶望の色を表情に浮かべる3人、手や足が出せないからってボクには❝こう言う❞仕返しの仕方だってあるんだよ!


『とにかく裏道にでも誘い込んで・・・』


『向こうの方が地理に明るいかも、こう言う場合は悪手では無いですか?』


『それよりかは接触を待って・・・』


 仕方無いのでボク達は陣取ってた茶店のテラス席から宿に向かって歩き出した。




 あまり素行の良くない貴族令嬢がチョッとヤサグレている手下を引き連れてる風を装ってたけど、まさか声を掛けて来る奴がいるとは思っていなかった・・・どうやら相手はノスモー帝国の皇子らしいけど?


「見えます?キッドの旦那・・・」


 ジョシュアさんに言われて窓の外をカーテンの陰から窺う・・・先程の黒服に凄い出っ歯の若い男がアレコレ支持をしてる様に見え、その顔はボクも予め学習してあった顔だった筈なんだけど・・・・・


「アレって第36皇子だったっけ?」


「いえ38皇子です。名前は・・・思い出す必要無いですね、貴族の娘だろうと気に入ったらお構いなしで誘拐する強姦魔です」


「何だよ・・・自国の貴族なら身元くらい調べ無いのか?」


 トマスさんの説明にジョシュアさんが疑問を投げかけるけど、実際調べられたらボク達の方が困る事に成る・・・そこまで情報操作とかして無いからね!


「腐った貴族は腐った貴族同士で仲良くしてるから、互いの親族や身内の顔くらい覚えてるんですよ!媚びを売る様な力の無い貴族もね・・・逆に自分が知らない顔なら襲っても揉み消せると思ってるんじゃない」


 とんでもないクズだけどトマスさんヤケに詳しく無いかい?


「言っちまいなよ・・・アタイは気にしてないから」


 ジョシュアさんが言う・・・つまりそう言う事か?


「ジョシュアってガラが悪いけど中々見た目は整ってるでしょ?あの38番目が目を付けやがって、それで被害を被る前にノスモーから逃げ出して・・・まあアノ38番目ってジョシュアみたいな生意気な女を無理矢理ってのが好きらしい!で、それでムシャクシャしてたジョシュアがワメリカーノに移動したときにラフプレイで・・・・・」


「あれっ?そう言う事ならボクよりジョシュアさんこそ変装させといた方が良くない?」


 4人揃ってアッと言う感じのリアクション・・・いやオマイ等ちょっと考えれば判る筈だろう?


「減給したばっかで悪いけど、4人ともマイナス1ポイントね・・・」


「えっ!さっきの即減給は冗談じゃ無いの!」


「そんなぁ・・・おれ来月の支払いが・・・・・」


「いやこの38番目って道を歩けば眼に付いた女を襲う様な奴で、ジョシュアの事なんか覚えて無いと・・・・・」

 

「ああっ、累積で3ポイント!アタイも減給だぁ!!キッドの旦那・・・お願いだから、お尻叩きで勘弁してぇ~~~っ!!!」


 阿鼻叫喚の4人組だけど勿論 減給は冗談だ!


「冗談は置いといて・・・38は如何する?攫って人質に・・・・・」


「面倒だし人質としての役に立つかな?結局ノスモーの今の皇帝って種馬で、皇子は50人以上・・・・・」


「いやオレ達がワメリカーノにいた事の情報だろ?」


「既に70人超えてるぜ」


 ホッとして饒舌になるジョシュアさん以外の3人がスラスラと説明してくれた内容に寄ると、如何やら皇帝は随分お元気なオッさんらしく、その息子も随分と下半身に節操のない男らしい・・・


「攫っても面倒臭いだけだよ、サクッと殺しちまうか行方不明にしちまった方が早いって・・・・・」


 おいジョシュアさん、アンタ随分物騒なコト言うなぁ・・・まぁボクが言う事じゃ無いけどさ!

 アナタも相当 恨みが溜まってるんだね?


「だって旦那が見逃してやろうと親切心を起こしても、アイツは絶対に旦那を見逃さないぜ・・・いっちゃあ悪いけど旦那は女装したらアタイなんか足元にも及ばない絶世の美少女なんだから!文字通り地の果てまでも追いかけて来る、何せアタイ程度にもワメリカーノまで逃げた後にもチョッカイ出して来たんだから」


 随分しつこい奴なんだね?

 親切に説明してくれてアリガト、でもその説明に何だかムカッと来た!

 そうだ、そう言えば・・・ちょっとムカッとさせられたから教えて上げるにもタイミング良いかな?


「そうか・・・それでイライラしてワメリカーノでラフプレイに、先行してたライダーの前に出て急制動掛けたんだな?」


「は・・・反省してるよぅ」


 これはスターライダーレースに於いて非常に危険な反則行為だった。


「ジョシュアさん・・・ワメリカーノの永久追放は、被害者のライダーとチームが嘆願してくれたので3年間の出場停止に減刑されたから♪」


 驚愕の表情を浮かべて固まる4人だったけど、いち早く現実に戻って来たジョシュアさんが大型犬が甘えるみたいに飛び掛かって来た!


「だ・・・旦那ぁ、心から感謝します!一生ついてくよ♪」


 もの凄く豪い良い笑顔でボクに抱き着いて来たけど・・・ジョシュアさんボクが最高に最悪なトリックスターである事を忘れて無いかい?

 対する残りの3人は解ってるのか凄い不思議そうな顔で・・・


「旦那一体どんなマジックを使ったんだい?」


「こんなに簡単に永久追放を撤回させちまうなんて・・・」


「キッドの旦那って正体は悪魔?」


 最後のセリフ宣ったピットさんには後で肉体的苦痛を伴うプチ悪戯お見舞いしてやろう!


「別に大した事して無いよ?ただジョシュアさんは十分反省()()ましたってメッセージと一緒に、この映像を送っただけだけどワメリカーノのスターライダーレース協会と被害者のチームに・・・・・」


 そう言って彼等に動画を再生したタブレットを渡す。

 そこには・・・・・


「ゴメンなさいっ!ゴメンなさいっ!ゴメンなさいっ!もう悪さはしないよ、だからキッドの旦那・・・お願いだから勘弁して下さいっ!ねぇ旦那,ねぇってば~~~っ!」


 と泣きながら訴えるジョシュアさんのドアップが、その画像に大写しに成ってるジョシュアさんの表情の上部・・・頭の上には背後にあるジョシュアさんの裸のお尻が映ってる!

 それがボクに引っ叩かれて震える度にジョシュアさんが悲鳴を上げて・・・・・


「これ見せてタップリお仕置きして反省させたので如何か許してやってと・・・・・」


「だ・・・旦那の意地悪っ!いくら何でも酷いっ!鬼っ!悪魔っ!」


「ジョシュアさん後でオシリ叩き30発ね・・・そもそも契約時に永久追放を出場停止だ何て嘘吐く君が悪いっ!」


「まぁこの程度なら妥当なお仕置きだな・・・」


「そもそも下らない見栄張って永久追放隠したジョシュアが悪いよ」


「むしろこの程度で済んで・・・旦那のお仕置きとしては軽い、運が良かったんじゃないのか?」


 途端に跳ね起きたジョシュアさんが恥ずかしいのを隠したいのかチームメイトを追い掛け回してオシリを蹴っ飛ばしてる。

 まあ正直に言えば映像も送って向こうを笑わせて上げたけど、実際はジョシュアさんでは出せなかった賠償や慰謝料に協会への多額の寄付が減刑の理由だ。


「でもあの38番目は如何するかな・・・流石にホテルに押し入って来る事は無いと思うんだけど?」


「多分 恐らくですけど・・・このまま奴が順当に行動するなら、旦那を自分の別荘に招待して来ますね。その招待を旦那が受けたなら別荘で、断ったら攫ってドコか人気のない場所で手籠めにしようと考えてるでしょう」


「男のボクに対して何て無意味な計略を・・・・・」


 トマスさんの予想にボクは溜息が出てしまうが、


「いっそ旦那を拐かさせちまうってのは如何(どう)ですか?」


 おいピット・・オマエ随分と面白い冗談を言える様に成ったな?


「いや旦那だったら貞操を奪われる前に暴れて敵を無力化出来るでしょ?」


 そりゃそうだけど貞操とか言うな!


「確かに・・・それに襲った美少女に〇✖〇✖付いてたら、腰を抜かして面白い事に成るかも!」


 おいパプア・・・オマエ今のセリフ宣った代償が、いかに大きな物に成るのか想像出来ない様だな?


「それどころか精神的ショック受けて再起不能に成らないか?勿論アソコがさっ♪」


 いやジョシュアさん・・・それ女の子のアンタが言ってはいけないセリフね?

 すると・・・


「オマエ等バカか、よく考えろっ!」


 おおっ!

 流石はリーダー格のトマスさん、言ってやって・・・・・


「旦那じゃ逆に38が本気に成っちゃう事だってあり得るだろうがっ!」


 おいトマスお前チョッと待ちなさい・・・・・


「アレが付いてたって旦那なら・・・それに38が❝そう言う趣味❞を持ってる事だってあり得るだろ!イヤ持って無くても旦那なら見ただけで、そう言う趣味に目覚める可能性が無い訳じゃ・・・いや目覚めちゃう可能性の方がムチャクチャ高いだろうがっ!」


 命が要らない様だな?


「そんな事に成ったら後でオレ達がどんな悲惨な目に会うか・・・38が目覚めた所で旦那に敵う筈無い、だから事が済んだ後にオレ達にキッドの旦那の八つ当たりがフルコースで・・・・・」(ト)


「お前が気が付けっ!」(ジョ)


「何発地雷を踏み抜いてるんだっ!」(ピ)


「トマスッ!後ろ後ろ・・・」(パ)


「エッ?」(ト)


 ガィィィ~~~ン・・・・・


 どこかで聞いたセリフに反応し振り向いたトマスさんの顔面を、お盆でボクは思いっ切り振り抜いた・・・非常に良い音を立てて後ろにブッ倒れるトマスさん!


「スゲェ・・・」


「お盆にトマスの顔拓が・・・」


 そう・・・お盆にはトマスさんの顔拓が綺麗に刻まれていた。


「旦那いくらムカ付いたからって、やり過ぎだよ・・・」


「ジョシュアさんに言われる様に成っちゃボクも終わりだね!」


 辛うじて嫌味を反したボクにジョシュアさんが脇の下を軽く小突くのだった。




「いや~クソ生意気な小娘でね、殿下だったら買って下さるんじゃないかなと思ったんですよ♪どうですか、もし良かったら好きな所へ連れて行きますよ?」


 そう黒服に告げるとスグ38に取り次いでくれる・・・相手が無能のゲスで助かったと思いながら逆に騙された振りをして、こちらを騙そうと思ってる可能性は常に警戒しなくてはならない。


「オレ達の中にいた女もですか?そりゃ惜しい事しちまったな、殿下が欲しがるなら生かしとくべきだった。アイツは堅物で雇い主を裏切る何てとか言うモンだか殺しちまったんですよ、まあ確かに見た目は悪くなかったけど・・・」


 ジョシュアはオレ達から離脱してドローンや蜘蛛型ロボットを回収に行ってる、ジョシュアを38が過去手籠めにし様とした逃した女と気が付たら、同様に出会って思い出されたらコッチにとってトッテモ不味い事に成る。


「えっ!あんな女に興味が御有りでした?それとも見知った相手だったとか・・・・・」


 コッチから話を振ってみたが奴は「知らん顔だが中々好みだった」と答えた・・・そうハッキリ38が言ったがαトライシクルの測定値はα線から一切ブレて無い、つまりコノ馬鹿は本当にジョシュアの貌を覚えて無かったのだ。

 こんなのが皇族とは呆れる限りでファルデウスを見習って欲しいモノだと一瞬浮かんだが、我らが女将さんミューズ姫の父親みたいな例もあるしファルデウス帝国もあまり大きな事は言えない・・・最も口を滑らせて皇帝に届いたらアノンの二の舞で関節技掛けられるから絶対に言えない。


「なら今度・・・また似た様な女を見付けたら声を掛けますよ♪全額前金で・・・アリガトウ御座います、では仰せの通りアノ小娘は殿下の別宅にスグ運びますので・・・・・」


 時化(シケ)た野郎だヒト一人攫わせといて、たったの300かよ・・・キッドの旦那が誘拐何て依頼する筈無いけど、それと同程度の仕事を通常業務以外でさせたら確実に500はボーナス出すぞ一人頭で!


「今晩中に必ず・・・」


 そう言ってオレは奴らと別れて・・・流石に見張り位は着いたのでスグに合流はせず、旦那たちがジョシュアを拾うのを待って見張りを撒いてから合流したのだった。




「トマスさん先程のボクに対する失言と言い今回といい意外と鈍いね?」


 そうトマスさんに言ったんだけど彼は何でと言う貌をしてる。

 でもスグ解かるさ・・・トマスさんの首にジョシュアさんの腕が巻き付いて、そのコメカミに銃を突き付けたのだから!


「トマスさんよぅ・・・あんな女に興味があったのか?とは随分と面白いコト言ってくれるじゃ無ぇか♪」


 (いた)くプライドを傷付けたらしい!


「そりゃオマエにゃ悪いけど38は旦那を狙ってるんだぜ?目の前に極上のローストビーフがブラ下がってるのに、オマエみたいな屋台の焼き鳥を・・・・・」


 いやホントあんた良い加減にしろよ!

 それ以上ジョシュアさん煽って引き金引かれたら・・・と思ったけど流石に引き金を引く程ジョシュアさんも単細胞じゃ無かった、その代わりトマスさんの耳の傍で思いっ切り大きな声で・・・


「Bang!」


 と怒鳴ってトマスさんの目を回し、そして床の絨毯の上に胡坐かいて座り込むと眼に涙を浮かべ拗ね始める・・・流石に可哀想になって頭を撫でてやったら大型犬みたいに擦り寄って来た。

 最近これでミューズを拗ねさせてるんだけど今回は許してあげよう・・・やがて床に座ったままボクの脚にスリスリと、この人ホント犬か猫みたいな感じのお姉さんだな(苦笑い)


「で・・・」


「この後ヤツの別宅に旦那を連れてく事に・・・」


「そこでダンナは手籠めにされ・・・痛ぇっ!」


 ピットさんの頭にお盆を振り下ろした・・・縦にしてね!


「「「オマエな・・・」」」


 皆が呆れた様にピットさんに向かって言うけどオマエ等は全体的に余計な一言多いよ?

 誰かしら失言してボクにお仕置きを・・・まさか狙ってやってる?


「とにかくだ・・・今後の計画に変更は無し」


「でも良いんですか?思いっ切りオレ達の行動は犯罪ですよ」


 それはそうなんだけど、


「そりゃ司法が確りしてる国でならボクもやらないさ・・・いくらボクが子供でも正義の味方ゴッコするほどガキじゃない、それでもね・・・・・」


 ボクはパプアさんが調べてきた資料を放り出し、そこには38が手籠めにして行方知れずに成った少女のリストが18人分・・・・・


「司法がマトモに働いてない国に大きなコト言う資格なんて無いね!」


 ボクは思いっ切り冷たく言い放った。




 流石に中を確認された時の事を考えてボクは縛られた振りをし、そして転がされてるボクの下に敷いてある毛布にジョシュアさんが隠れた状態で木箱の中に閉じ込められてる。

 中を見られて毛布の膨らみがオカシイとか言われたら仕方無いので、その時は即攻勢に転じる、その場から38の首を狙って強行突入する手筈だった。

 だけど38の手下は中を確認する事も無く、それどころか金属探知機や内部スキャナーに掛ける事無くボク達を内部に通すのだった・・・まあドッチもジャミングと言うか中には縛られたボク一人しか居無い様に見える偽装して有るんだけどね!


「皇子で有る事を盾にして今迄逆らう相手が一人もいなかったんだろ・・・大丈夫だよ今日までさ、今日でアイツの息の根を止める」


 幾ら何でも奴等が不用心過ぎる事を不安に思うジョシュアさんを落ち着かせながら自分の腕を縛ってた縄を外した・・・いや元々 縛って何か無かったんだけどね!

 そしてジョシュアさんから渡されたM78/83を、そして彼女は原形を留めて無いほど改造したM16-A1が・・・何で参考にするにしたって旧式のM16を使ったのかって?

 あの型がM16のラインナップの中で一番好きなシルエットだったから、欠点や性能は彼の技術で修正・底上げ出来るしね・・・でも自分で使うならまだしも人に使わせる事を考えて性能を突き詰めてったら原型が殆ど無く成っちゃったんだ!

 すると・・・


「何で箱の中に・・・」


「イヤ風呂場にいる所を襲ったので・・・流石に全裸で縛られてる小娘抱えて来たら、殿下だって体裁が悪いでしょう?」


 話してる相手は38番目だろう・・・今日から39番目以降は一つ番号が繰り上がる。


「ナニッ!早速見せるがよい・・・」


 いやボクも子供とは言え男だから気持ちは解るんだけど・・・そんなにガッ付くなよ!

 スグに木箱の隙間にナイフが差し込まれ、トマスさんは動いて無いので開け様としてるのは38かも知れない。

 そしてボク達は瞳孔が開かない様にチャンとライトを見て、いきなり明るい所に出ても眼が眩まない様に準備してあった!


『行くぞ!』


 ボクはジョシュアさんにカチューシャのテレパス機能では無くアイコンタクトで意思を伝え、彼女が頷いたのを確認すると思いっ切り木箱の前面板を蹴り飛ばした!


「ぐへぇ!」


 汚らしい声を上げ板ごと後方に吹き飛んで行く痩せた下品な男・・・日中、宿の窓から覗いた時に黒服たちに指示してた奴だ!


「こんにちは・・・え~~~っとノスモー帝国の第38皇子さん、お元気?」


 ボクは白いドレス姿のまま・・・黒いM78/83を腰だめに構えながら笑顔で挨拶、もともと声変わりして無いから女声なので思いっ切りシナを作るだけで女の子に化けられる。

 まあボクの場合ミュータントの身体ナンで、永遠に声変わりは来ないんだけどね・・・ただ寿命は有るし同程度までは成長を、厳密に言えば子孫をギリ子を残せる迄は成長するよう造られてるらしい。


「よぅ・・・久し振りだな、えっと・・・38番目!」


 いやジョシュアさん、ボクは敢えて名前聞かなかったけどアンタは誘拐されかかった被害者だろ?

 コイツの名前くらい聞いてた筈・・・如何やらマジで忘れちゃったらしい!


「お礼参りに来たぜ・・・あの時の恨み、一瞬でも忘れた事は無かったぜ♪」


 と言ってボクに続いて箱から飛び出して来たジョシュアさん、例の最早M16と呼べない銀色の小銃を両脇に一丁づつ抱えていた。

 オイオイそんな非現実的な持ち方をしては・・・なんてボクに言う権利は無い。


「えっ・・・いやキサマは誰・・・・・」


「忘れたのかよ・・・散々追い回した挙句ワメリカーノまで手下を寄越して嫌がらせを・・・・・」


 如何やら38番目の方は本気でジョシュアさんを覚えていないらしいが、ジョシュアさんに恨み言を言われて彼女の事を思い出したらしい。


「貴様トルーニー!でも貴様はキャプテン・キッドの庇護を得て・・・まて!なら、この小娘は・・・・・」


 自分が逃した得物がボクに拾われたと言う情報と、なら今彼女の隣にいるボクは誰かと連想する知能程度は持ち合わせていたらしい。


「こんにちは、その彼女の雇い主です♪」


 ボクは彼に銃を向けて・・・


「こんのロリコン野郎が・・・18人も女の子を攫って何をしてやがる!生かしといて貰える何て思って無いだろうな?」


 ボクは奴の膝に銃を向けたまま引き金を引いた・・・・・

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