ドミニオで強盗国家から来た誘拐犯を殲滅する④
「動くんじゃ無いぞ!」
リビングに隣にある台所に辿り着いたのは、あの隊長さん達だったりした。
「イリス・・・私の教えチャンと覚えてる?」
「うん・・・銃口が自分を捕らえてる時は、絶対に抵抗したり暴れてはいけないの・・・・・」
すると隊長さんはニヤリとして・・・
「わ・・・解ってるじゃ無ェか・・・・・」
この部屋に辿り着いたのは隊長と部下の2人・・・
「でもチャンスを見付けたら即行動っ!」
隊長の貌が引き攣るがイリスは見て無いだろう・・・自分のコメカミに突き付けられてる銃を掌底で突き上げると、返す刀じゃ無かった肘で隊長の腹部に肘鉄を入れる!
勿論彼女の体躯じゃ工作員として派遣される程のレベルにある隊長を怯ませる力が無い、しかしイリスの掌と肘にはシールで張り付けるタイプの癇癪玉が!
ちなみに潰れると爆発する仕組みにボクが勝手に癇癪玉と言う名前を拝借してるだけ、爆発すると火花と音だけでなくスタンガン並みの電流がシールの接着面と逆の方向に指向性を持って発生する!
つまり隊長さんは脅しの火花と音だけじゃ無くスタンガンと同等の電流も喰らってて、これなら十分に特殊部隊の隊長さんだって怯ませる事が出来るのだ!
「くっ!」
思わずイリスを落とすが、それでも彼女を再び抱き締めて確保し様とする姿勢は立派だよ軍人としてはね。
でも幼女誘拐を企てた連中の手先に落ちぶれた以上はペナルティを受けて貰う、第一弾は幼女イリスちゃんによる反撃・・・イリスは腰の後ろを飾る大きなリボンの中に隠してたチーフスペシャルを抜くと隊長の足の甲を狙って2発発砲!
「うがっ!」
非殺傷のラバー弾と言え至近距離で当たれば普通に痛い、それでも隊長の動きを完全に止められ無い・・・だがその位はイリスも心得ており隊長の手を逃れる為の目暗ましと時間稼ぎだった!
反転して残り3発を隊長の腹部に連射、流石に怯んだ彼女を部下の方に蹴飛ばし、勿論イリスは敵が自分を殺す事が出来無いが、それでも動けなく成る様に重症くらいは負わせる可能性が有る事は心得てて(後の反省ミューティングで判明)だから自分を盾に成る様に隊長を蹴飛ばしたのだ!
「イリスッ!」
「ハイッ!」
アイギスさんが調理台の上を滑らせて2丁の銃を、スパルタな事で最後までイリスにさせる積りの様だけど・・・オイオイちょっと待て!
いくら何でもイリスに、その銃を持たせるのは早くは無いか?
だがイリスは調理台の上を滑って来た2丁の銀色に輝く銃S&W M69コンバットマグナムを左右の手に掴むと調理台を背に座り込んで・・・なるほど反動は調理台に背を預ける事で耐える積りなのか!
ズダンッ!ズダンッ!ズダンッ!・・・
「ううぅ・・・」
「あぐぅ!」
「ぐはっ!」
イリスは正確に3人の腹部に3発づつ撃ち込んで、撃たれた相手は腹を抱えて揃って蹲る・・・まぁそう言う風に造った弾だったからね。
するとコッチもフォスターさんを始め、ファルデウス帝国軍の軍人の皆さんが台所に雪崩れ込むと全員を拘束し連行して行った。
「流石イリス良く出来たわ」
「お母さんっ!」
イリスがアイギスさんに抱き付いて甘えてる所に、心配で様子を見に行ったジェイナス婆ちゃんとミューズが、そして実は途中から台所へ向かってたボクも駆け付けるのだった。
「お兄ちゃんっ!」
イリスがボクに向かって飛びついて来る。
「上出来だぞイリス、ミューズも、あの非固定型ホルスターに入れたまま敵を撃つなんて良く考えたな・・・何時から練習してた?」
一瞬喜んだミューズだが、
「何でソレを・・・」
「しっかり艦内カメラで見せて貰った・・・いや~~~意外とオマエも色っぽい事出来るじゃ無いか、でも今度は小口径の通常弾それも❝彼❞のテクノロジーを使って無い弾でしろよ!そうすればスカートにパンツ丸見えに成るほど大きな穴を開けずに・・・・・」
「いや~~~っ!」
ミューズが可愛らしく泣き叫ぶ。
「イリスにも後で面白い反面教師の映像を・・・・・」
「お兄さまの意地悪っ!そんなのミューズちゃんに見せちゃダメェ・・・」
「大体ナニが起きたのか解っちゃったな・・・・・」
ミューズの反応でイリスもミューズが何をしでかしたのか解って仕舞ったらしいイリスが呆れた感じで言った・・・しかもイリスはミューズが、あのホルスターで射撃する練習にも付き合ってたらしい。
「だからスカートの外に出すかミニスカートの時に使おうって言ったのに・・・・・」
「それじゃ緊急時の隠し武器として使えないじゃない!てかそうなるの解ってたんなら、イリスも忠告してよ!」
するとイリスが大層 呆れた貌で・・・
「だってスカートの中に隠して大口径高火力の銃で撃ったら、それで穴が開く事に気が付いて無い何て思わなかったんだもん!」
「最近イリスが冷たい!」
とコントの様なやり取りを・・・
「もう良いから2人はシューティングレンジ行って銃の手入れをしとけ!」
「は~~い♪」
「お兄さま先程の映像は何卒・・・」
公開しないけど絶対に消さない、まぁボクが個人的に楽しむだけで許して上げるけどね!
さて2人がキャッキャと楽しそうに退室すると・・・
「さてアイギスさん、いくら何でもイリスにマグナムは早過ぎるでしょ?それに流石に敵に拘束させるのは・・・・・」
「ごめんなさい・・・でもアレはワザと囚われた訳じゃ無く、あんなに早く台所まで辿り着くと思って無くて・・・・・」
確かにノスモーの工作員にしては意外と腕の立つ女の人達だった・・・ボクにとってノスモーとは国家にしても軍隊にしても評価が非常に低い、それは単に嫌いだから侮ってるのでは無く先の艦隊戦や爺ちゃんに貰った諜報戦の戦果を参考に出した考えだ。
エッ?
素人のオマエが考えて敵の分析できるのかって?
出来る訳無いだろ!
分析したのはアリスとワイズマンズ・ライブラリーのデータ、何せボクが箱舟で持って来た地球のデータや、爺ちゃんから序に自分達の文明の足跡も残しといてと提供されたのまで・・・だから現在ワイズマンズ・ライブラリーには先古代文明時代のだけじゃ無く、地球とファルデウスのデータも保管されてる。
まあ後者2つは大した文明じゃ無いので、それほどハードを圧迫して無いから良いし・・・爺ちゃん聞いたらヘソを曲げるかな?
「確かにボクも内部構造が解って無いのに、これほど早く台所に辿り着くとは思って無かったけどね。まあ奴等が目指してたのは、台所じゃ無くてコクピットだろうけど・・・それにしてもアイツ等ノスモーの兵隊にしては中々練度が高い」
「イリスには危険防止も兼ねて直前に銃を渡そうと・・・だから思ったより早く来られて慌てた所に押し入られ、しかも普段から携帯してる護身用のチーフSPしか・・・・・」
その銃で対抗出来たのだからイリスも大したモノだ・・・しかもボクが渡しといた❝癇癪玉❞を有効活用してたし、これは後でミューズと一緒にイリスも誉めて上げなくてはね!
「イリスも喜びます♪」
「でもアイギスさんはボクに叱られなくちゃね!」
何で叱られるのか解ってるらしいアイギスさんは背筋を伸ばしてビクンと飛び上り、許してと言う感じでニッコリ・・・叱られるの怖がってたらしくチョット可愛いと思ってしまった!
うんボク女性の守備範囲広いからね!
でも叱る時は心を鬼にして・・・
「流石にイリスに.44マグナムは早過ぎるでしょ、いや.357マグナムだって早いけど!まぁ確かにリロードしてるヒマが無いってのは解るけどさ、それにしても渡すならボクが用意しといた・・・・・」
ちょうど調理台の上に放置されてた黒いリボルバーを手にし、
「このM10で十分だった筈だよ!」
流石にマグナム弾を撃たすのは怖いけど、もう.38スペシャルじゃ物足りないと言い出したんだイリスの奴・・・絶対に教育を間違えてしまったイリスの末が恐ろしい!
それ言われた時に思わず「イリス・・・恐ろしい子」と言う定番のセリフが頭に浮かんで仕舞ったモンな・・・まぁ冗談はさておき流石に幼女にマグナム何てカッコ良いけど絶対間違ってる、だからマグナムを持たせる前にホットロード弾(火薬を大盛にした奴)でお茶を濁そうと思ったんだ。
まあ・・・ソレほど時を掛けずに.357マグナム弾か下手をしたら.44マグナム弾の銃を渡す事には成るだろうけどね、自分だって解ってるんだよ悪あがきか最後の抵抗の類だってのは!
「ごめんなさい・・・でも流石に良いチャンスだから、どうしてもイリスに人に向けて発砲の経験をさせたくて」
これは解かる・・・今後もイリスはミューズと同じく悪い奴等の視線が集中する事は明白、なら自分の身を守る力を持たせる事には異議は無い。
「それに中には.44マグナム弾じゃ無く・・・アッ!」
アイギスさんが思いっ切り❝仕舞った❞と言う顔をしてボクの貌を見ながら苦笑いをして居る。
「何か・・・いや何をやらかしたの?」
アイギスさん苦笑いしながら・・・
「いや・・・その・・・私も流石に対人戦で.44マグナム弾は必要無いかと思ってて、それで.44スペシャル弾に交換しとこうと思ってたんだけど・・・・・」
アイギスさんがステンレスフィニッシュの銀の銃身に、黒いラバーグリップを装備したS&W M69を手に取った・・・この2.75インチの短銃身リボルバーはボクがアイギスさんに預けた銃だ。
その銃の弾倉を開けて取り出した空に成ったカートリッジを出しながら、
「入れ替え忘れたのね・・・最近イリスは大口径の銃ばかり使いたがるから、そう言う物は極力触らせない様にと・・・・・」
「違うんです・・・」
アイギスさんは蚊の鳴くような小さな声で見せてくれた空薬莢は、その❝雷管❞周辺のリムとかヘッドと呼ばれる辺りが赤く塗られてる。
「.44スペシャル弾に入れ替えた積りで、間違えて.44マグナムのホットロード弾を・・・・・」
「いや余計に駄目でしょう!」
思わず叫んでしまうボク!
「そもそも何で間違えるの、マグナム弾とスペシャル弾は間違えない様に色を変えてあったのに!」
.38口径のマグナムとスペシャルはチョッと長さ違うだけ、その点は.44口径に至っても同じで見た目の違いは殆ど無く、だからスターシップでは口径に限らずマグナム弾のカートリッジは銀色で統一して造ってる。
そしてスペシャル弾の方は御馴染みの金色と言うか銅の色、そして更にホットロードは薬莢のお尻の部分を赤く塗ってあった。
そんなに大きさが変わら無いなら中の火薬の量も、引いては威力も反動も大して変わらないだろうと思われるかも知れない・・・だけど違うんだよ❝彼❞のテクノロジーで造っちまった銃弾は!
あの巨大な恐竜を吹っ飛ばしたケースを思い出して欲しい・・・ただ今回使ったのは基本 対人戦用の地球の規格、何せ❝彼❞の技術を使った弾ならラバー弾でも上半身が吹き飛ぶし実弾ならスターシップの壁に大穴が開く!
「アイギスさんっ!」
「はいぃっ!」
思わず大きな声に成って仕舞ったボクに、アイギスさんの背筋がビクンと跳ね上がって伸びる。
「その調理台に手を付いてっ、いくら何でも天然にも程があるっ!お仕置きですっ!」
「あ~ん、キッドさん許してっ!」
そう言いながらも律儀にお尻を突き出すアイギスさん、ギャグマンガかアニメのような展開だが後で聞いた話だけど実はアイギスさん最初は銃に弾を込めて無かったそう。
それで見た目おっとりした貴族のお嬢様であるアイギスさんが銃を持ってると思わなかったらしいノスモーの工作員に隠れ、後ろ手に隠し持ちながら見ないで銃弾を込めちゃったそうだ!
そんなの見逃す間抜けな工作員がいるのかとも思ったけど、この世界でジュリアさんの様な例外は別に貴族のお嬢様が軍に入ったり銃を持つって事は珍しい所か先ず無いそうである。
それなら仕方無いかと思いながらもイリスちゃんみたいな小さな子に、凶悪なマグナム弾を撃たせるなんて非常識なのは変わらないのでジェイナス婆ちゃんもボクの考えに同調してくれている。
「キッドちゃん、アイギスのミスはチョッと罪深い・・・こんくらい使っても罰は当たらないだろうね」
「ひっ!」
そう言って差し出してくれたのは卓球のラケット・・・野球のバットを造った時に余ってた端材で一緒に造った奴、まぁ野球バットで引っ叩いたら普通のだってアイギスさんのお尻が壊れちゃうし流石にヤリ過ぎの凶器である。
かと言って手ではアイギスさんの罪に対し軽過ぎる、そう思った婆ちゃんは最近 射撃場の隣に設えたトレーニングルームと遊技場、そこに置いて有る卓球台の上からラケットを持って来てくれ・・・それを見たアイギスさんが喉を鳴らすような悲鳴を上げた。
「お尻剥くのは大人のアイギスさんには流石に可哀想だから許してあげるけど・・・お仕置きは許してあげませんっ!覚悟なさいっ!!!」
「はい・・・キッドさんゴメンなさ・・・・・」
アイギスさん言い終わる前にボクはラケットを振り下ろした!
バチィッ!
「ひぃぃぃぃ・・・キッドさん許してっ!」
ドキッとしちゃったアイギスさん綺麗だから、でもボクは心を鬼にして・・・嘘です。
この失態は流石に許せるモノじゃ無かったけど、それは置いといてボク結構楽しみながらアイギスさんのお尻を叩いておりました♪
「如何したの?」
と優しそうに聞くアイギスさんを見上げながら、何か不思議そうな表情で抱かれてるイリスにアイギスさんが聞いた。
「ママこそ如何したの?お目目が何かウルウルしてるよ?」
鋭い指摘にアイギスさんが狼狽えてるけど、しれっとしてコーヒーを飲んでるボクは聞こえない振りをしてる・・・今回のお仕置きは我ながら正当なモノと思ってたからね。
まあアイギスさんの可愛い泣き顔と綺麗なお尻を堪能した事は黙っとくけど、そしてボクと同じテーブルでコーヒーを飲んでる❝お仕置き❞の経験者であるミューズ・ジョシュアさん・ジュリアさんの3人は貌を青くしながら・・・
「等々アイギスさんも、お兄様の餌食に!」
「キッドの旦那、年上で母ちゃん格のアイギスさん迄・・・」
「うんキッド君いくら何でも、守備範囲が広過ぎるんじゃない?」
と言ってるので、
「オマエ等、五月蠅い・・・3人揃って共に❝お仕置き❞されたいのかな?」
とアイギスさんをお仕置きしたラケットでは無くバットを肩に担いで見せ付ける・・・すると3人は貌を青くして震え上がってて、マアこんなにハードなモノでお尻叩かれた人は今まで居なかったしする気も無いけど!
すると向こうでボク達の方を涙目に成って見ながらアイギスさんが「イリスに聞こえちゃうから、そんな事をお喋りしないで~~~っ!」と眼で訴えていた。
まあアイギスさんの場合は悪戯や悪乗りしてボクを怒らせた訳じゃ無い、弾の取り違えだって敵に迫られて焦ってたのだろう・・・お仕置きはこの位で勘弁してあげよう。
と思ったらイリスちゃんが・・・
「うんママのお目目ウルウル・キラキラしてて可愛い♪」
うん・・・イリスの教育方針も考えよう、君みたいな純粋な子がボクの様な濁った色の性癖に目覚めては成らない!
と思った事を呟いてしまったボクに、
「お兄さまが関わってる段階で手遅れな気が・・・」
「キッド君が教育してマトモな子が育つ筈が・・・」
「それ以前に旦那が教育に関わってるだけで、悪党・変態・スケベ・策略家のエリート教育に成ってる気が・・・」
とミューズ・ジュリアさん・ジョシュアさんから有難い御意見を頂いた。
「うん妙齢のアイギスさんの時には流石に可哀想だったから、お尻を引ん剝いて直に叩く事は勘弁してあげたけど・・・この後3人は直にお尻叩きねコレでっ!」
と再びバットを見せつけると、3人はコントの様にテーブルの上に飛び乗って土下座する・・・まあ互いに冗談でやってんだけどね!
でも3人の方は「ヒョッとして本当に執行されるんじゃ無いか?お仕置きを・・・」くらい思って本当に脅えてる部分も有るかも知れない・・・いや半分くらい本気で怖がってんな!
その一方アイギスさんも少し離れたソファの上で、イリスに話の内容が感付かれたらと顔を真っ赤にして恥ずかしがっていたけど・・・実はイリスちゃんに聞かれ無い様に音の伝わり方をアリスに妨害させてるんだ!
するとミントさんがリビングに入って来て・・・捕虜を引き取る為ジュリアさんと一緒にクリッパーでドミニオの地表に降下して来たんだけど、彼女にはチョッとお願い事を捕虜の治療を頼んであったんだ。
「捕虜の手当てを済ませて来ましたけど・・・やり過ぎですよキッドさん!そりゃ全部スケベ心からやった訳じゃ無いだろうし、イリスちゃんやミューズ様を狙われて頭に来るのは解ってますけど・・・」
と極太の釘を刺しに来たので、
「今回 彼女達にお仕置きしたのボクじゃ無くってアイギスさんね・・・」
と言うと驚くミントさん・・・うんボクにお仕置きされた後、アイギスさんったら眼を真っ赤にして「幼子を略取し様と企む様な人達にはチョッとキツメにお仕置きしとかないと・・・」と涙を浮かべながらも嬉々としてカーゴベイに向かったのだ。
だけどボクとジェイナス婆ちゃんは知ってる・・・アイギスさんったら彼女達のお尻を折檻しながら、「貴女達が変な事を企んだりし無ければ―――っ!」で怒鳴りながら折檻してたからね!
「それにしたってHなキッドさんの事、ちゃんと(スケベ心を出して)見物してたんでしょう?途中で止める事くらい出来たでしょうに・・・・・」
と言うミントさんだけどボクの方にも止めない理由は二つ程あった。
一つは彼女達の犯した罪は国に命じられたと言え許せない、確かに派手にお尻叩かれて半殺しの目に会ってるけど彼女達には相応の罰だったと思ったからだ!
アイギスさんだって八つ当たりだけで叩いてた訳じゃ無いのも解ってるさ、ボクもジェイナス婆ちゃんもね・・・そして二つ目は!
「あの隊長さんの覚悟が見たくてさ・・・少し彼女を見直してたんだ♪」
彼女は部下を庇って率先して体罰を受けに来てた・・・部下を叩くなら先ず自分の尻を叩いてくれと言って、おかげで彼女たちは全員お尻を真っ赤どころか紫色罹る程お尻を叩かれ所々 血が滲んでたんだけど、隊長さんは部下を庇って倍以上叩かれて紫色処かドス黒く見える程お尻を腫れ上がらせていた。
ただ顔の方はもう涙でグシャグシャ、流石に若い娘に耐えられる刑では無かったと言う事だろう。
「マァお仕置きとしては正当な範囲、国に命じられたと言え彼女達もチョッとは反省して貰わないとね♪」
「でも・・・アイギス女史が折檻しながらも情報を全く洩らさなかったんでしょう?」
戦艦マリンシール館長であるキャンディ少佐が言った。
「おかしく無いでしょ?彼女達だって立派な軍人でアイギスさんは民間人、いくら激しく❝お尻叩き❞されて折檻されたからって早々情報漏らす訳が・・・・・」
「あの~~~っ、私お仕置きはキッドさんに託されてたナノマシン自白剤を・・・足りないのでアリスさんに出して貰って全員に投与してから・・・」
「何故 口を割らなかったんだ?」
アイギスさんには普段から変な奴が接触して来た際、使用して相手の素性や目的を聞き出す様にと❝彼❞の技術特製ナノマシン自白剤を渡してある。
それはミューズやジェイナス婆ちゃんにも渡してあり・・・効果は完全とは言え無いけどアレを投与されて自白を拒むなんて、相当ガッツの有る奴でも中々出来るモノじゃ無い筈で、正直ボクは驚いたと言うより信じられ無かった。
そこに数人の来客が入って来て、先頭に居た女の人が壁面モニターに大写しに成ってる赤く染まったお尻を出して並んでる捕虜を見・・・
「こりゃオレが高重力拘束下でミューズちゃんにお盆落とされ仕置きされた時とは比べ物に成ら無ェわ・・・コイツ等マジで当分使い物に成らないぞ?」
と言うのはパイン・アップルトン大尉じゃ無くて少佐、彼女達もボク達に追い付いて来て衛星軌道上に艦隊(一応輸送艦も随行してるし艦隊と呼んで上げる♪)を待機させてる。
「しかしコレは絶景ですね♪」
「チョッと、見るのは止しなさい!」
ヴァッサー少佐の眼をシナモン大尉が塞ぐ、元々ヴァイラシアン軍人で彼女達は旧知からの顔見知りだ。
そう言えばチョッと気に成ってる事が、さっそくボクはジュリアさんに聞いてみる。
「しっかしコンナのに関わってたら、皆さん戦後に人権問題や捕虜虐待で裁かれませんか?」
「大丈夫でしょ・・・やったのアイギスさんだし抑々これは戦争でも無いし、それに彼女達の立場はキッド君の船を奪おうとした強盗の類って事に成ってるしね」
そうジュリアさんは言ったが彼女の眼は❝今後も彼女達の立場が変わらない❞と言ってる、彼女達が来たのは間違い無くノスモー帝国からだけど奴等が彼女達を自国の軍人と認め賠償金を支払って捕虜交換に応じる可能性は限りなくゼロに近いだろう。
「それに化学が発展しても今の所は自白剤は、それにキッド君の提供したくれた真偽解読器も完全とは言えないしね」
前者は完全な効果が有る訳じゃ無く、後者は完璧な効果が有る事をマダ立証出来ていない。
だからソレを根拠にノスモーを糾弾したって無視されるに決まっているのだ。
「まあ彼女達には可哀想だけど最終的には犯罪者として裁かれる事に成るわね」
ジュリアさんの言葉に流石にチョッと可哀想かなと思ってしまう。
「さてと・・・シャトルに残ってた二人と隊長さんを合わせて総勢17人か?まあ隣国に忍び込んで警護の軽いだろうイリスか、運が良かったらボク達の誰かを拉致してスターシップを奪おうとした訳だろうけど・・・流石に少な過ぎない?」
「まあ他国に大勢送り込む訳にはいかなかったんじゃ無いですか?」
アノンさんの御意見だけど
「違うよ・・・万が一露見した時には知らぬ存ぜぬで押し通そうと、そしてソノ時には見殺しにしても大丈夫そうなのを17人位しか集められなかったんじゃ無いか?」
そう言ったのはパインさんだ。
「この宇宙戦争の時代、たった17人しか集められない筈が・・・」
「思い出しなよキッド、オレも同じ様な立場だったろ?」
そう言えば彼女も母親を人質に取られて・・・
「確かにオレ達みたいのを集めるだけなら簡単さ・・・見殺しにしても自分の懐や戦力が痛まない様に、だけど情報は如何かな?例えばキッドは100人だって簡単に集められると思うだろうけど、その100人の素性を全員隠し切れる?出生や戸籍それに軍に籍を置いてた事をだよ?」
「それを言ったら17人だって隠し切れ無いだろ?」
すると・・・
「それを本人が認めなかったら?最終的に彼女達が「自分はノスモーの工作員です」と拷問されても自白剤を盛られても白状しないなら・・・」
そう言われてボクはイリーナさんと初めて会った時の会話を思い出した。
イリーナさんは当初フェンツから脱出し、自ら自白剤を投与して証言する事でトランサッドの悪事を摘発・糾弾する積りだった。
「そうか・・・彼女達が自白剤を用いられてもノスモーの工作員と認めなかった場合、それはノスモーの無実を証明する大きな根拠に成る!ただのナノマシン自白剤じゃ無く❝彼❞特製の自白剤を投与されても自白しなかった彼女達だ・・・普通の尋問(自白剤使用込み)や拷問じゃ絶対に口を割らない、そんな強靭な精神を持った上での切り捨て要員だから17人しか集められなかったんだ!」
「つまり彼女達は・・・・・」
ミューズの問いの意味は解ってる。
「ノスモーなんかに忠誠を誓うタイプには見えないな・・・ならソウ自分たちを追い込まざる理由があるってこと、それを今から調べるのは普通なら時間がかかるんだけど・・・・・」
ほんの少しだけ捕虜に成ってる彼女達が犯罪者として裁かれる未来に同情しながら考えた・・・それに彼女達の未来が最悪の方へ転がって行っても自業自得だけど、それを指示したノスモーにいる連中が無傷と言うのもチョッと所か可成り面白くない!
そんなボクの考えを察して助言してくれる有難い仲間がボクには有る・・・まあ有機コンピューターだけどね!
「ところでキッドさん・・・アナタがノスモー帝国を軽んじてる一番大きな点はドコでしょうか?」
行き成りアリスが聞いて来た。
「国としての体をチャンと成して無いからかな?もちろん比べるのはファルデウスを始め、この世界でボクと友好的な国がメインだけど、それにしたってヴァイラシアンと比べてさえマトモな国として見られないからだね」
ノスモーは典型的な独裁・圧政・搾取で成り立ってる・・・しかも専制国家だけど国会を開いて民主政治してますと言いながら、出来の良くない専制君主が力業のゴリ押しで国を運営してるような国だ。
そもそも国会が開催された記録は一切無く、民主を謳ってるけど周辺国を始め敵対国だけでなく同盟国ですら民主国家と認めていないギャグみたいな国・・・日本の隣辺りにも同じ様な感じの国があったよな!
「それで軍に限定したらドコが一番成って無いと思います?」
「そりゃ勿論、情報が・・・そうか・・・・・」
ノスモーと言う国は口では御立派な事を言いながら、その実やってる事は何もかも最低な国なんだけどあらゆる点で、そりゃもう軍に限らず政治や内政・外政に司法までに至って!
それで居て軍で一番ドウシヨウモナイ点は組織がマトモに運営されて無いだけでなく、特に情報に関して・・・ボクはリビングの隅っこで得意げにニヤニヤ笑うジョシュアさん達を見て。
「さあボクは何を言いたいのでしょう?」
「旦那・・・お付き合いしますよ」
「任せてくれよ、ノスモー首都星に侵入するんだろ?」
彼女たちは中々優秀なのだ。
「チョットお出かけして来るから、スターシップの事はミューズに一任して・・・」
「そんな軽い調子で敵国の首都星に潜入する人、お兄さま以外居ないですよね・・・」
そんなコト言ってると本当にお尻叩いじゃうぞと脅してみたけど、私ナニか間違ったコト言いましたとミューズに呆れた顔で言い返されて仕舞った。




