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ドミニオで強盗国家から来た誘拐犯を殲滅する②

う~~~ん仕事忙しくて書いては休んで継ぎ足してったら、グダグダと長くなってしまった(笑)

 搬入や整理を刺してるメインハッチから中に入ったのはジュリアさんの副官の男性が中に入ってくのを見かけたから、もちろん彼にもジュリアさんと同じく自由にゲストとして艦内に入る許可を与えて有った。

 彼がボクに気が付いて笑顔を向けてくれたので・・・・・


「そう言えば挨拶して無かったね・・・ご存知でしょうけどキッドと名乗ってて、本名は夜船 星と申します」


「これは御丁寧に・・・私はジェイソン・アールベックと申します。気軽にジェイとお呼び下さい」


 この艦隊にジュリアさんの副官と言える人間は8人居て、ただしミントさんだけは筆頭の副司令官と言う肩書も持ってるから他の人より下駄一つ穿いてる立場らしい。

 副官8人って多そうに見えるけどロイヤルフェンサー第一艦隊は、ロイヤルフェンサーの中でも一番少ない規模ながら、それでも200隻以上の艦が居るので8人でも少ないと思われているらしい。

 ちなみに普通の艦隊では司令官・副司令官は艦隊全体の指揮をするモノで他の事は部下に任せる、まあソレが当たり前だけどジュリアさんとミントさんはクリッパーの艦長・副艦長を兼任してる異例中の異例だった。


「あの二人に関しては天才と言うかソレが出来る才を御持ちですので、でもまぁファルデウスのみならず世界であの二人しかいないかも知れませんよ・・・艦長と艦隊司令官を兼業する変態は(笑)」


 イヤそんな恐ろしい事を良く本人が聞いてる前で・・・・・


「先輩っ!じゃ無かったジェーソン大尉っ!誰が変態ですって誰が・・・・・」


 艦内に入ったとは言えメインハッチのある搬入口と倉庫であるカーゴベイの間、ジュリアさんが解体し分類した恐竜のお肉のパッケージコンテナをロボットカーゴで移動してる所・・・当然ながら聞き付けた彼女に怒鳴られたジェイ大尉は首を竦めて逃げ出し面白そうだから後に付いて行く。


「これで分かっただろうけど私は士官学校で彼女の上級生、そしてファルデウス中で飛び級し捲くる彼女に唯一追い越されないで卒業出来たんだ・・・だから彼女も私を先輩として多少は目溢ししてくれている」


「そう言えばジュリアさんは飛び級制度を利用し捲くってたんだよね・・・」


 確かに学生で任官したとしても彼女(ジュリアさん)はマダ十代だ・・・学制任官と言う制度が有ったとしても十代の内に仕官で任官してる者は異例中の異例、その上まだ彼女は卒業して無いんじゃなかったかな?


「もう単位は取り終わってるから今年で卒業・・・と言うより文部大臣もアヴァ元帥も多少狡い事しても彼女を学生の侭にゃしとけない、何と言ってもキッド君(キミ)に並ぶファルデウスの英雄なんだからね」


「背中がこそばゆいので英雄呼ばわりは止めて欲しいな」


 どっかの悪戯者のクランキー大尉(兄貴分)と違い、ジェイ大尉は割と気さくだけど落ち着いてる感じの兄貴分的な人だった。


「じゃあ真面目な話をしようよ・・・ジェイ大尉はノスモーの連中・・・・・」


「私は来ると思ってる」


「ヤッパリそうなるよね」


 ボクは溜息混じりに言った。


「何だ解ってるんじゃないか・・・じゃあソノ答えに辿り着いた公式を聞かせて貰いたいな」


 ジェイ大尉は何か途端に先生じみた口調に成った?


「幾つか有るけど一つは・・・その中で一番最大なのは長年いがみ合ってたファルデウス帝国が、ボクからもたらされた技術や資産で国力が膨らみ捲ってる事じゃ無いかな?いずれノスモーはファルデウスに飲み込まれるかも知れない、なら今の内に何とかしようと思うのは不思議じゃ無いでしょう?その原因が比較的近い隣国にいるなら・・・・・」


「ノーマはファルデウスとノスモーの間に挟まれてるからね・・・勿論ファルデウスと国境を接してる部分もあるが、ファルデウスと喧嘩するなら国力の劣るノーマからと考えるのは不思議な事じゃない」


 ロイヤルフェンサー1が来た事で諦めてくれるかと期待してたけど、どうやら流石に甘い考えだったらしい。


「二つ目はノーマでの騒動を片付けて、爺ちゃん達と一緒にロイヤルフェンサーが撤退しちゃったことかな?ロイヤルフェンサー1は引き返して来たけど、そもそもロイヤルフェンサー1はロイヤルフェンサーの中でも艦数が一番少ない小さい方の艦隊だからね」


 数が戦局を決定する絶対的な要素じゃ無いけど、それでも大きな要因である事は想像に難しくない。


「その通り・・・護衛の艦隊が引き上げてスターシップが残ってる、その段階で卑しいアイツ等が黙って見てる筈が無いんだよ。そしてロイヤルフェンサー1が戻って来たのを見ても、この位ならと・・・・・」


 元々ジェイ大尉はノーマ国民だったそう、ファルデウスに留学して適性を認めた教授に勧められて士官学校に進んだそうだ。

 ノーマは立地?上ノスモーには大分イビられていたそうで、ファルデウスに帰化した現在でも故郷に愛着がある大尉には害虫であるGより嫌悪感を持ってる国らしい!


「そして最後は・・・結局ボクとスターシップはファルデウスの敵対国から甘く見られてる、単艦だから大勢で囲んでしまえば何とか成ると思ってるんだろうね」


「そうコレは艦隻数が少ない我がロイヤルフェンサー1にも言える事なんだけど、残念ながら我等は敵国から絶対的な数で取り囲めば何とかなると思われてるんだ。まあ一度でも戦えばキッド君に関しては、そんなコト思ったりは出来無いだろうけどね」


 それは流石に買い被り過ぎだろう。


「そりゃ無いでしょ?ノスモー帝国が全力を振り絞れば数万隻程度の艦隊なら、少なくとも5~6っ回は編成出来る筈・・・ボクだって万単位の艦隊を殲滅させる事は・・・・・」


「殲滅を前提に考えるなっ、殲滅を前提に!」


 途端にジェイ大尉が大声で笑いながら言った。


「いきなり殲滅まで出来無くったって、艦隊行動が出来無くなる程度の打撃は与えてしまうだろ?その後に一旦逃亡して隙を見付けたら再び背後から襲い掛かる・・・そうして敵の艦隊維持能力を最大限に梳るだろ君は?」


 まぁ・・・その手ボクなら間違い無く使うね!


「普通はソレ単艦で出来る事じゃ無いからね・・・」


「おかしいな・・・ファルデウスの反乱軍にもヴァイラシアンにも、何度もボクが使ってる常套手段ナンだけど?」


 そう言えば・・・・・


「そうか・・・ワメリカーノに行った時にウェッセルさんが言ってた、ボクの情報が流れてる友好国の中でもボクの活躍が出来過ぎだと半信半疑で、誇張されてる英雄像だと思われている節もある」


「そう言う事だ・・・だから君だけなら、またはロイヤルフェンサー1だけなら何とか取り囲めば如何にか成るんじゃないかと思ってるんだ。まあ馬鹿な奴等だと思うけどね・・・・・」


 まあ国境付近に集結してる艦船は数万程度でノスモー帝国の国力なら総力戦と言う訳でも無い、先程の数万の侵攻なら5~6回出来ると言うのは他国への防衛・けん制から治安維持の余力を差っ引いての計算だ。

 それでも数百万の大軍を組織出来たファルデウスの内乱やヴァイラシアンに比較すれば明らかに見劣ってる・・・元々国力の低さに加え、独裁的で強権的な国を国民が見限り他国への脱出してるのが原因である。


「まぁ現状は理解したけど問題は何時(いつ)アイツ等が動き出すかだな・・・国境周辺に集結してるのはボク達の位置を正確に把握したいから、そうして決行時には即ボク達の近くにワープアウト出来る様にしてるんでしょ?」


「だろうね・・・あんまり距離が短いとワープは逆に難しい、短い距離を全力疾走して急に近場で止まれないのと一緒かな?アウト地点に誤差も出るし、だから国境周辺の丁度良い距離で、いつでも君の尻を噛付ける様に狙っているんだろう」


 あんまり短い距離を移動するのにワープ航法を使うのはエネルギーの無駄遣いだけで無く技術的にも難しい、近い場所をワープする方がワープ後の出現地点に誤差を生じさせ易いのだ・・・ただし行き成り敵の近場まで移動出来るのだから戦略的意義は大きいのだろう。


「やだなぁ・・・」


「そう言えば極短い地点で二度ワープを繰り返し、長距離移動では無く方向転換にワープを使った面白いケースが有ったな?あの距離で周辺の艦に突っ込む事も無くワープ出来たのは一体、如何言うトリックだったのやら・・・・・」


 おや爺様の進路を塞ぐ悪戯に同じく悪戯で返したアレがワープの応用である事は理解してたらしい。


「簡単な事さ・・・ごく短い距離では無く、思いっ切り長距離意をワープしてたんだよ何回も!最初のワープで爺さん達を飛び越え遥か後方まで飛んで行き、その後にステーションコロニーと爺ちゃん達の艦隊の中心線上その遠い所までワープで移動、更にワープしてコロニーと艦隊の間に一瞬顔を出して再度遠くへ逃げて行くと一体どう言う風に見えるんだろうね?」


「やられたな・・・ごく短いたった2回のワープで方向転換したんじゃない、思いっ切り長距離を4回もワープして方向を()()()()()()()()()()()んだな!まんまと一杯食わされたよ・・・・・」


「あの艦隊に居たの?」


 確かエンドラ・コロニーで爺さまに悪戯し返した際、ボク達を取り囲んでたのは爺さま直属の近衛艦隊とジェリスさんの指揮するロイヤルフェンサー2だけだった様な気がしてたんだけど?


「いや後でデータを送って貰い皆で情報を解析してた、いつだって君の戦闘は突拍子も無くて新しい戦略の勉強に成りそうだったからね。ただトリックの予想はついても正解は君から聞かないと・・・・・」


 まあ答え合わせは正解知ってる人間じゃ無いと出来ないかんね。




 偶々ボク達は大物を仕留める事に成っちゃったけど本来は恐竜ハンティングを楽しみに来た訳じゃ無い、抑々襲われたから対応しただけでボクも魚釣り位なら楽しめるけど哺乳類や鳥類相手に狩りを楽しむ事は出来なかった。

 まあ肉なら食うくせに差別だの何だの言われる事を承知の上で言うけどさ、哺乳類や鳥類って自分で仕留めるには生々し過ぎるんだよ相手にすると考えると、その点 魚類なら無機質感があってマダ仕留めるのに抵抗が少ない・・・何度も言うけど差別なのは承知の上で言ってるんで魚さんゴメンね。


 で翌日早速アカデミーからシャトルが派遣されて来て今まで集めた調査結果と大半のお肉を引き渡し、それらのコンテナを積み替えるのにロボットカーゴが何台も動いている。

 ただし今日は自動で・・・ミューズやジェイナス婆ちゃんはロボットカーゴやノーダーに指示(プログラム)するのに忙しいし、ジュリアさんはミューティングとかあって一旦クリッパーに戻っている。

 この為スターシップは暫く開けた砂丘にアカデミーのシャトルと並んで停泊中、それが終わったらボク達は引き続きドミニオの調査に・・・と言っても調査何て学も無い素人のボク達が来て一朝一夕に出来る訳じゃ無い、この惑星に配備されてる自動観測器のデータ収集と故障機の回収に修理と再配備が主な仕事だ。


「旦那にしては地味な仕事だな~♪」


「そんなに斬った張ったの荒事がしたいの?まあジョシュアさんの言いたい事は解るしボクも地味で退屈な仕事だと思ってるけど、本来は仕事ってこんなモノじゃ無い?」


 するとジョシュアさんは意外そうな顔で


「まあ荒っぽい事ばっかりじゃ疲れちゃうかも知れないけど、退屈な仕事は退屈な仕事で飽きるし・・・それにしてもキッドの旦那って意外と真面目だよな、こんな退屈な仕事を黙々と(こな)してる。年齢的にも性格的にも一番最初に飽きて文句言いそうに思えるけど、実際文句一つ言わずに淡々と仕事するんだから・・・本当に十代前半(ローティーン)のガキなのかよって思っちゃうよ」


「ジョシュアさん言葉遣い悪いよ!まぁ子供なのは間違い無いし実際ガキだけど、仕事としてやってる以上は真面目に・・・」


 するとジョシュアさん深々と溜息を吐いて、


「イヤだからソコが違うんだって」


 ボクが首をかしげると、


「今時の子供・・・・じゃ無くても旦那位のオチビが「仕事である以上真面目に」何て普通言わないんだよ!自分がローティーンだって自覚ある?それに旦那の場合は大人びてるってより、なんか捻くれてるって感じがして・・・・・」


「オチビと捻くれてるで一寸ムカッとした・・・スターライダーのノーズに括り付けて、お尻火炙りの刑にされたい?」


 そう言われた途端に半泣きなってボクの下半身に(すが)って来るジョシュアさんを可愛いと思いながらも、本気で掴みかかってる所為でズボンがズリ落ちそうに成ってる所は勘弁して欲しい。

 だけど彼女が半泣きに成って縋って来るのはボクの冗談が原因なので本気で叱れない、最も切っ掛けである「スターライダーに括り付けて・・・」も冗談でホントに実行する気は無いんだけど♪

 そうタダの意地悪だったので・・・まあ暴露(バレ)たらミューズに叱られるけど、ジョシュアさんの可愛い泣き顔を楽しみ、ボクはズボンを掴み上げながらスターシップのコクピットに向かった。


「もうジョシュアさんもボクの冗談だって事は解ってんだろ?そんなに本気で泣いて縋って来なくても・・・・・」


「だって旦那のお仕置き、スターライダーに括り付けてオケツ火炙り本当に怖いんだもん!」


 相当トラウマ化してるな・・・ボクは下半身にすがって泣いてるジョシュアさんを無視し、


「アリス、ノスモーの艦隊は国境を越えてないよな?」


「今の所ノーマの領宙域に一歩たりとも入ってませんね・・・・・」


 何かジュリアさんからデータを受け取って以来、何か嫌な感じが首筋の辺りにチリチリ触れて来る様な気がしてたんだ。


「この情報(データ)を見る限り奴等がボクを狙ってるのは間違い無い様に思えるんだけどな・・・・・」


「何か違和感を感じますか?私の方では何も無い様に思えるのですが・・・・・」


 ボク達が真面目に考えだすとジョシュアさんも漸くボクのズボンから手を放し、そして一緒に壁面モニターを覗き込んだ・・・・・


「まぁ国境付近に艦隊が終結してんだから侵攻を視野に入れてる事は間違い無いと考えられるよね・・・現にコイツ等が集結し始めたの皇帝陛下の爺様がノーマに来てからだろ?なら隙有らばとファルデウス皇帝を狙って集まったってのが一番無理の無い考え方だよな・・・・・」


 そう言うジョシュアさんの考えは軍学上は一番筋が通ってるのはアリスも認めている。


「でも爺ちゃんがファルデウスに帰還しても、まあソレ以外の要素を考慮して狙いがボクの方だと言う可能性が高いと爺ちゃん達も考えたんでジュリアさん派遣して来たんだよな・・・なら何でコイツ等は何もアクションをして来ないんだ?」


 そう艦隊何て派遣や集結をさせるだけで天文学的な費用❝戦費❞がかかる・・・それこそ燃料代に将兵の給料、戦闘が発生すれば武器弾薬にエネルギー、動かした艦船から戦闘機の整備代まで・・・・・


「こうやって国境付近に集まって隙を狙ってる・・・のかと思ったけど、確かに言われてみたら来て睨み付けてるだけって感じですよね?」


 ジョシュアさんもモニターに色々なデータを表示させ読んでいる。


「ジョシュアさん何か感じるモノは無い?」


「そんなコト言われても・・・・・」


 と本人は言うけどボクはジョシュアさんの観察力や考察・推理力を高く評価してる・・・先のマルドゥース()()所領の鉱山惑星で、地熱発電プラントの暴走と惑星崩壊を予想したのは彼女の洞察力だった!


「でもマァ旦那の言う通り確かに違和感が有るんだよな・・・スターシップや旦那の身柄を狙ってるなら、こんな場所で集まって茶飲み話をしてる場合じゃ無いと思うんだけど・・・」


 まあ実際に茶飲み話してる訳じゃ無いと思うけど、やっぱりジョシュアさんも違和感を感じているらしい・・・でもソレが何か迄は解らないと言うボクと似た様な状況だった。


「まあ何か気が付いたら教えてよ、奴等が何もして来ないならボクは別に良いんだ・・・でもミューズや仲間に何かし様ってんなら」


 と言いながらも奴等が何かし様としてる事だけは確証してたりする。




「王手っ!」


「むぐぐ・・・」


 ジェイナス婆ちゃんの一手にダーグが唸る・・・この2人いや最近 皇帝の爺ちゃんも含め、ファルデウスいやソレ以外でも大勢の人間が将棋にハマっている。

 いやハマるのは良いんだけど爺ちゃんったら和装まで再現してて・・・和装で正装して将棋を打ってるのは違和感有り有り、そう爺ちゃん金髪に碧眼だから丁度日本文化にかぶれた外国人がコスプレのノリで和装してる様にしか見えないんだ!

 まあ害が有る訳じゃ無いから好きなだけ日本文化にハマって貰ってても良いんだけどさ、ミューズが地球の民族衣装とかセクシーなのイリスと一緒に再現してるのを見て興味を覚えたらしい。

 ただ2人はセクシー路線で決めてる積りなんだろうけど、年齢が低すぎてセクシーじゃ無くかわいいと言う感想しか出て来ない・・・そんな二人も真面目に仕事してる今は普通のファルデウスのファッション、色違いの可愛いミニスカートのワンピースとブーツとチョッとSFチックだけど一般的な装いだ。


「ジョシュアさんはコクピットに()もって敵の動きを分析を、だからコッチには私とイリスで手伝いに来てるんです」


 ミューズとイリスが空中に浮遊してる観測ポッドを回収し、そのデータを回収しながら機体のチェックをしてた。

 それを手伝っているトマスさんが・・・


「意外でしょうけど士官学校の成績はジョシュアが一番良かった、特に相手の動向や状況を分析する事に掛けちゃ他の奴等の追随を許さなかった」


「頭良い上に野生的な感も働く奴だからアイツは・・・・・」


 パプアさんも同調する。


「あの国境線からは出来無い訳じゃ無いけど微妙に近いから、一足飛びでワープするのはチョッと難しい・・・かと言って超光速航行で来るには遠いから一旦後退するか」


「それならば、もっと遠い所で布陣してたんじゃない?」


 それもボク達が感じてる違和感の一つ・・・何かムズ痒い様な嫌な感じを覚えながら、ボクは異常の無かった観測ポッドを再起動させて空中に放った。

 そうボク達は今全員スターシップの甲板上に居る・・・将棋に興じる婆ちゃんとダーグも仕事してるボク達も、一応コクピットに詰めて貰って操縦席に座ってるアイギスさんと難しい課題に頭を悩ましてるジョシュアさんの2人以外全員がだ。


「こう言うゲームも青空でする方が健康的だしね♪」


「こんな真昼間からポケットウイスキーをコソコソ飲んでて何が健康的なのさ」


 呆れながらボクが言うとジェイナス婆ちゃんは口を付け様としてたスキットルを懐に戻した。


「さてと・・・まだ残ってる観測ポッドは2機で・・・・・」


「この大陸内だけどチョッと離れているよ」


 お手伝いしてくれてるイリスがタブレットを差し出した。


「微妙に遠いな・・・スターシップを廻すのも面倒だし、何なら片方はボクがアイアンイーグルで・・・・・」


「じゃあもう片方は私が小型艇(ランチ)で・・・・・」


 もう片方の観測ポッドにはミューズが向かおうとする。


「いやメインとサブ2人のパイロットが同時に船から離れる訳には行かないでしょ?ミューズの方はスターシップで向かえば良くない?」


「それがアカデミーから追加で地質調査用のドローンを配布する様に依頼が有ったのよ・・・もうすぐアカデミーの小型シャトルが、さっきのシャトルと入れ替わりで大気圏突入してくるし」


 そう言えば追加で頼みたい事とか通信で言ってたな・・・・・


「じゃあボクが両方とも拾って来る・・・チェックして壊れて無ければ、その場で再起動して放り出せば良いんだからさ」


 と予定を変更してボクが一人で回る事にしたんだけど、スターシップからイーグルに乗り込もうとした途端にジュリアさんから通信が入る。


「キッド君、自分が狙われてる自覚あるの?」


 ちょっと小言っぽく言われて仕舞う。


「んなの襲われたら真っ先に逃げるさ・・・流石に艦載機で艦隊相手に戦う気は無いし、それ以前に敵の艦隊が動いたら流石にボクだって警戒を・・・・・」


「それだっ!」


 と怒鳴ったのはスターシップのコクピットでボク達の通信を聞いてたジョシュアさんだった。




「良いか?この小娘がターゲットだ!名前はイリス・・・ファルデウス皇室にとっては反逆者の血脈に準ずるが、一応遠いモノの皇室の血が流れている」


 タブレット状のタクティカル・ディスプレイに表示されてるのはミューズそっくりの愛らしい美少女ならぬ美幼女、我らがアイドルのイリスちゃんである。


「本来なら毒杯でも煽らせて殺される立場の人間、なのに生かされたと言う事は皇帝も多少の情は残っているのだろう。愛しい孫娘に瓜二つだしな・・・・・」


 そう取り仕切っているのは少し目つきが悪いモノの中々の美人のお姉さま、と言うよりシャトルに乗り込んでいる工作員は全員が若い女であった・・・如何やら誘拐または人質にする対象が幼い幼女である為に相手が恐怖感を覚え難い様に若い女性で工作員を揃えたのだ。

 それに何と言っても敵対する相手もローティーンの少年で戦闘の素人、若い女を相手には引き金に掛けた指も動きが鈍るのでは無いかと考えての事だ・・・そう言えば古いアニメで主人公の少年を動揺させようと際どい水着で襲わせる話が合ったな?

 タダそこはキッドと言う非常識人を甘く見ている事は解って無い、敵対するのが若い女だろうが自分の意志で襲い掛かって来たら彼は絶対に必要以上の手加減をしてくれない・・・ちなみにココで言った「必要」とは彼と仲間の安全マージンの事だ!


「皇女ミューズは正式に帝室の後継者候補に列席させられた・・・船乗りゴッコを楽しんでいても実質は次期皇帝の椅子に一番近い筈、なら相当厳重に警護の兵が宛がわれてる筈だ」


 この話を聞いてたら・・・いや実は思いっ切りバッチリとキッド君達に盗聴されてて、ミューズがコメカミに薄っすら青筋を浮き上がらせている!

 スターシップと先古代文明のロストテクノロジーを甘く見てはならない・・・・・


「勿論チャンスが有るならミューズ姫を・・・いや機会が有るのならキャプテン・キッドを拘束、更にスターシップごと拿捕出来るのなら最高だろう。だが無理をする必要は無い・・・先ずは一番スターシップで警護の緩そうなイリスを、そしてキャプテン・キッドを相手に交渉して船を奪うのが我々の任務だ」


「スターシップとのランデブーポイントに接近中・・・あと5分です」


 楽な仕事だと思っているのだろう・・・全員の貌に余裕の色が浮かんでいた。


「私と副長がアカデミーの会員の振りをして接触する・・・お前たちも私の後ろで何時でも銃を抜ける様に・・・・・」


 最後の打ち合わせをし洋上に浮かぶスターシップの隣に着水、そしてタラップを接続させ乗り込む準備を始めた。


「さあ行くぞ・・・遅れるなよ」


 シャトルに乗ってた十数人の工作員が隊長格の女に続いてタラップを登りスターシップの搬入口に、小型の戦闘艦と言えシャトルよりは圧倒的に大きなスターシップには登る様な感じで移動する事になる・・・全員アカデミーの研究員に扮してるが研究資料を収容するケースや測定器を持ってるので武器を隠す場所には困らない。

 そんな感じで歩いて行くが・・・


『何か静かすぎやしないか?』


 ハンドサインで部下に指示しながら工作部隊の女隊長は思った・・・いくら小型艦と言え普通この規模でも100人は乗組員がいる筈、なのに囁き声一つ聞こえて来ずにシンと静まり返っている・・・まぁ実際居ないけどね。

 それでも隊長まるで幽霊船の様と考えてる・・・もしや作戦が漏洩してて搭乗員が避難してるのでは?と一瞬考えたが漏洩してるなら、敵の大部隊が一人でも多く自分たちを拘束し様と手ぐすね引いて待ち構えている筈だ。

 ただソレなら例え隠れていても気配位は感じる筈、なのにコノ船(スターシップ)からは一切人の気配が無い・・・のは底意地の悪いキッド君たちが戦闘に参加しない者を全員コクピットと背後のリビングに待機させてるから、しかも今回はスペシャルゲストまで招待されている。

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