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次はデズニーの映画かな?

 平和だなぁ・・・そう思いながら新たな薪を焚火にくべるボクにミューズがコーヒーを淹れて金属製のカップに注ぎ渡してくれ、その向こうでは皆にもジョシュアさんがコーヒーを配りアイギスさんが茶菓子か軽食を用意してる。

 ちなみにボクの膝の上ではイリスが丸まって可愛らしく寝息を立てており、ジェイナス婆ちゃんはミューズから渡されたコーヒーにコッソリと懐から出したスキットルから酒を加えていた・・・ちなみに使ってるスキットルはボクからのプレゼントだ♪


 ここはノーマ宗教国領宙内に在る❝ドミニオ❞と言う名の難居住惑星、そこの生物分布を調査する仕事を請け負ったのは先の仕事で監獄にブチ込んだ




マルドゥースの生き残りの一人でテロ組織のトップに収まってたマルドゥース本家の男と元マルドゥース分家のメイドでミューズを虐待してた女の裁判が終わるのを見届け様と思っていたからだ。

 こっちの世界では地球の様に裁判に長い時間を掛ける必要は無い、科学的検証(DNA鑑定など)は数分で終わるし情報も速やかに集められるから、そもそも逮捕に至るまでの行程で証拠も集め速やかに裁判に持ち込める様になってて裁判が始まってから忙しいのは弁護側の方だろう。


「それにしてもコノ世界における惑星分類で、ボクは❝難居住惑星❞と言うモノを少々勘違いしてたな・・・酸素供給型の密閉式宇宙服(スペースギア)でも着て無いと行動出来無い星の事を指すと思ってた」


「それだったらオレ達が旦那の手下に成って、最初に仕事した星だって難居住惑星に分類されてるよ」


 先の地熱発電プラントで吹っ飛びかけた氷晶鋼の鉱山惑星も水は無いけど普通の服で歩き廻れたが、あの星も難居住惑星に分類されてる様、どうやら難居住惑星と分類されるのは素の状態では生活する事が困難な星の事の様だ。


「高温とか低温で地表に降りられないとか抑々ガスで出来てる天体は難居住惑星とは言わ無い、そう言うのは居住不可能惑星です・・・地表に降り立つ事が出来るけど生きてくのが不可能な星それが難居住惑星です」


 この世界では如何やら一般常識らしくミューズ先生が教えてくれる。


「成る程つまり宇宙服(スペースギア)気密防護服プロテクティブクロースを着てれば降りられる惑星も、そう言うの着なくても水が無いとかで生きていけない星も・・・・・」


「水が有っても飲み水を確保出来無いほど少ない様な、先の氷晶鋼の鉱脈がある地熱プラントで吹き飛びかけた星も難居住惑星です」


 と先生に成った積りで講義してくれるミューズ、


「じゃあ大気も十分人類が呼吸出来る者で・・・・・」


 ボクは腰に差してた非実用的な銃を引き抜く・・・リボルバーなので安全装置(セーフティ)は付いて無いが、代わりにトリガーにはクリップを挟んであってソレを指先で弾き外した。


「危険な物質や細菌が蔓延してる訳でも無く・・・・・」


 ダーグもブラスターを抜いて電源を入れ・・・・・


「食料も水も十分に集められそうな、この星が難居住惑星に指定されてる理由は?」


 ジョシュアさん達も対人用の軽機関銃で無く大型のレイガンを構えた所で・・・・・


「ブグヒャラララッ!」


 怪獣映画で敵役の怪獣が出すような鳴き声を上げながら、明らかに地球産のより倍くらい大きなティラノサウルスレックスの復元模型の様な恐竜が飛び出して来た!

 言い方が回りくどいって?だってボクは本物のTレックス知らないし地球に流布されてるのも学者たちの想像図に過ぎないだろ!


「アチチッ、このヤロッ!」


 運悪くコ-ヒーを零しそうになった為に手で受け止めながらボクはM500を撃つ、だって仕方が無いじゃない零したら膝の上にいるイリスが被る事に成る!

 ボクが左手を(ヒリヒリする程度だけど)火傷しながら撃った500マグナム弾は・・・と言ってもコレも彼の技術で異次元仕様のパワーを持ってるけどね、現に体長が25m大型観光バス二台分の偽ティラノが眉間を撃ち抜かれて転倒している。

 まぁ地球のティラノが如何言う外見してたか判らないけどさ最近じゃ恐竜には羽毛が生えてたとか言う学説も出て来たし、でもマァあの恐竜を復活させてテーマパークを作る映画に出てきたのと同じ外見の奴がボクの目の前でもんどり打って倒れている。


 だけどマダ油断は出来無いんだな!


「油断するなよ解ってるな?」


「勿論だぜ旦那っ!」


 ジョシュアさん達が偽ティラノと距離を取り警戒しつつも、その銃口は決して偽ティラノからは外していなかった。

 そしてボクも銃の中の()()()を排出、そして通常弾をシリンダーに押し込んで銃を構え・・・すると偽ティラノはガバッと起き上がり一声吠えてから周囲を見渡した。

 そして眉間をから血を流したまま撃ったボクに向かって詰め寄ってくる!


「タフにも程があるだろ・・・弱装弾と言え頭蓋骨貫通して中で跳ね回る様に造られた特殊弾だぞ?」


 貫通能力の低い弱装弾は頭蓋骨を破って中に入ったモノの、もう一度破って外に出るほどの力は残って無い・・・だから中で頭蓋骨の内側に当たって跳ね返り捲り頭の中身はグチャグチャにする仕様の銃弾なのだ。

 なのにコイツは立ち上がってボク等に詰め寄って来る・・・だが然程オカシイ話では無いのかも知れない、実は恐竜は爬虫類では無いと言う説も有るけど、それでも脳以外にも神経節が発達してて頭切り落とされても動いてたと言う説もあるから!

 それでも脳ミソをグチャグチャにされた彼はフラフラ、まあ彼等って人間の3分の1程度しか脳ミソ無かったらしいけど、ちなみにステゴサウルスに至っては50分の1程度しか無かったそうだし?


「襲って来たのはオマエだからな」


 今度は首の辺りに爆裂弾頭の通常弾を撃ち込むと着弾と同時に奴の頭が半分吹き飛んで、立ち止まって痙攣すると漸く崩れ落ちて動かなくなった。


「全く・・・こんなのがウロウロしてたら居住なんて出来る筈が無い!」


「難居住惑星の名前に恥じないですよね」


 アイギスさんやジェイナス婆ちゃんをガードしてたイメンケさんとアノンさんも来て言った。

 そう・・・この惑星が難居住惑星に指定されてる理由は正しくコノ恐竜ども、現在この惑星は地球で言う白亜紀の最中(さなか)に成って居るのだ!


「イリス大丈夫か?」


「うん大丈夫、お兄ちゃんが銃を抜いた時に起きたから」


 ボクが偽ティラノを刺激しない様こっそり隠して銃を抜いた(まあティラノに解ると思わ無いけど)時、イリスも眼を覚ましテゴソゴソと耳栓をして上から両手で耳を覆う様に押さえ付けていた・・・それが見得てたから遠慮無くブッ放したんだけどね!

 そうじゃ無きゃ膝の上でイリスが寝てるのにM500別次元Verを撃てやしない、そんな事したらイリスが難聴どころか耳が聞こえ無く成っちゃう、そう成ったら可哀想・・・まぁ現在こっちの世界の医療技術なら簡単に直せるけどね!


 このM500P(Pはパチ物の略)は最初はS&W社に敬意を表しソックリに造ったんだけど、その後に改造しまくって外見が全く・・・イヤそれ以前に性能も❝彼❞仕様で全く違いドコかの宇宙海賊がサイドに使ってるリボルバーより遥かに強力なピストルなんだ。

 なにせ角を落とした四角柱つまり八角形の砲身が吐き出す弾は超弱装弾でも人間相手で胸に直撃させれば上半身、弱装弾でもゾウの頭を・・・そして現に今も地球の倍はあるTレックスの頭を半分軽く吹き飛ばしてる。

 まあ弾頭が爆裂弾頭だったのは確かだけどコレを耳栓もしないイリスの頭の上でブッ放したら良くて完全な失聴、下手するとショック死しても可笑しくないレベルの衝撃に・・・実はボクも初めて撃とうとした時に耳栓やイヤーカフするの忘れており、当時自分がアリスと思い込んでたミューズが(イメージ的に)真っ青になって止められた経験がある。


「これ・・・強装弾なら確実に奴の頭が・・・・・」


「そりゃそうでしょう・・・先の件でラバーコーティングのスポンジ製弾頭でも、身長2m近いテロリストを数m吹っ飛ばして背後のシャッターや壁に叩き付けてたし」


「キッドさん惚けてるけどアレは弱装弾じゃなくて超弱装弾でしたからね、しかも相手はバイオニック強化改造されてるバイオノイドでしたから・・・・・」


「後でマクレーン警部が報告書のコピーを送ってくれたじゃ無いですか・・・骨格は特殊軍用装甲素材のスチール、軽量とは言え体重は200㎏近くあったんですから」


 そんな会話をしながらもイリスとアイギスさん、それにジェイナス婆ちゃんを中心にして皆で外側を向いた円陣の様な形態になり周囲を警戒する。

 その理由はマダ周囲の密林の中から色濃く漂って来る殺気、その密林の中には明らかに人間以外の巨大な生物の目玉が光を反射してる。


「コイツが殺されたんで死肉を狙って集まってるのか?」


「イヤ多分最初から()いてたんだよ!コイツのおこぼれ、食べ残しを狙ってね」


 そう言う事にも詳しいらしい意外と博識なジョシュアさんが教えてくれる。

 取り合えず腹ペコの恐竜さん達が飛び出して来ない内に船に戻りたいけど、猛獣から逃げる時に背中を見せるのは愚策だよね?

 そう思って森を睨み付けながらジリジリと後退してた・・・まぁこの地に危険生物が溢れてるのは最初から判っていたし、それを承知で野営してたのだから準備と心構えはしていたさ!


「悪意が無いモノは出来る限り殺したく無いんだけどな・・・・」


 コイツ等はボク達を餌と見てるだけ、もしくは餌を持ってると認識してるだけで悪意を持ってる訳じゃ無い。

 だから出来る限りは殺したく無いんだけど襲い掛かって来るならソンな事は言ってられない、宅地や人口密集地に現れたヒグマを射殺しただけで殺さず山に返せ何て言ってる非常識なエセ道徳家やヒューマニストじゃ無いんだよボクは!


「ただ襲って来たら遠慮無くブッ放す積りだけど、これ使ったら確実に虐殺フルコースだもんな・・・・・」


 ボクは携帯型バルカン砲の弾倉バックパックを背負うと、そこから引っ張り出した給弾ベルトをバルカン砲に・・・これで何時(いつ)でもブッ放す事が出来る!

 このバルカン砲は航空機などに搭載されるM61A2を、人が携行火器に出来るよう無理矢理M134ミニガン風に改造した様な感じに・・・もっとも本物のM134も人の手で持って撃ち捲る銃器じゃ無いんだけどね!

 だけど砲身だけで2mもあるから取り回しはボクでも結構大変、あんまり囲む様にかかって来られると対応し切れなく成るかも知れないな・・・・・


「この偽ティラノが倒される所を見ただろうに、それでも逃げないと言う事は頭が悪い動物のようだな・・・・・」


「そう言う動物の方が始末に負えないかも知れません・・・ところでティラノってのは?」


 地球の恐竜の名前を説明してるヒマは無さそう、コイツがティラノサウルス・レックスに似てたからそう呼んだだけでコッチでの名前もチャンと有るだろうしね!


「どんどん殺気が高まってる・・・そろそろ臨界だな、突破すれば襲い掛かって来るぞ!みんな・・・・・」


『その前に追い払っちゃいましょう』


 相変わらずド派手な、ソレでいて可愛らしい配色のピンクと紫を基調にしたエクセリオンがスターシップの上に立っていた。


「ミューズの奴いつの間に・・・おいノーダーの火器なんか使ったら、それこそ大量虐殺の環境破壊に・・・・・」


『そう成らない様にチャンと調節したので使用許可を・・・・・』


 思わず


「使用許可も何も・・・もう使ってるじゃん!」


『火器の使用許可です!それとも発砲許可と言い直せば・・・』


「分った分かった、だから早い所・・・」


「了解♡」


 ミューズのエクセリオンは手の持ったロケランっぽいミサイルランチャーが、シュワちゃんが娘を誘拐されて落とし前を着けに行く映画に出てた様なヤツを肩に担ぐとスグに引き金を引いた。

 ただし砲口の穴は4つの四連発では無く九連発、更に発射後に弾頭が展開して中に仕込んだマイクロミサイルが一発に就き16発、つまり全弾発射すれば9×16で144発のミサイルが飛び交うのだ!


 かくして案の定ミューズも全弾発射し9発のミサイルが次々と森の中に、そして見得無いけど森の中で144に分裂して深い森の中で眩い光を放っていた。


「凄ぇ・・・」


 思わずボクは呟いた。

 流石に先程の偽ティラノほど大きく無いけど、それこそ大型のは地球の標準ティラノサイズから半分くらいのモノまで・・・そしてボク達の身長とあまり変わらないヤツ迄が必死で泣き叫びながら逃げ惑う姿がミサイルが着弾した時の炸裂光に照らし出されている!


「対人殺傷兵器ですけど彼等なら簡単に死ぬ事は無いでしょう」


「いや野生の生物なら少しでも傷を負えば死に繋がる事も・・・・・」


 ミューズの言葉にジョシュアさんが反論するけど・・・


「んな事言っても()らなければコッチが()られるんだから反撃しない訳行かないでしょ?それに多少は痛い目に会わせて置かないと、またコッチを狙って来るかも知れないし」


 今回ミューズの判断は間違って無いと思うんだけど、


「それ・・・アイツ等に解かると思います?」


「馬鹿だからなぁ・・・」


 何となく三日もしたら忘れて襲って来そうな気がする。


「それよりコノ恐竜は如何しよう・・・食べてくれそうな掃除屋(スカベンジャー)は追い払っちゃったし、この陽気じゃスグに腐って臭いを発するぞ」


「埋めるのも手間だし、いっそスターシップごと他の場所を探して移動するしか」


「それより解体して食肉に出来ませんか?」


 この惑星は研究以外の目的で一般人は入れ無いし狩猟も禁止されてるが、それでも殺した獲物は有効活用する様に言われてる・・・勿論ノーマの学術局の役人さん、つまり今回の依頼主さんからね!


「AD通信で学術局に問い合わせを」


「もうしてるよ、お姉ちゃん♪」


 最近すっかりイリスがミューズの子分と化してるので先日あんまり変な事をするとミューズとお尻並べて叩くからなと脅して置いたが、今の所イリスにはミューズと違ってお尻叩き等のお仕置きを執行してない。

 その事に触れてみると早速ミューズが・・・


「差別だと思います・・・・・」


 非難がましい眼を向けて来るが、


「お仕置きされる様な事するオマエが悪いんだろうが・・・けっこうイリスも悪戯者だけどオマエと違って実害伴なって無い軽微な悪戯だからお仕置きしないだけ、そんならミューズもイリスを見習って良い子に成りなさい!」


 と言っておくがミューズが良い子に成るとボクの楽しみが無くなってしまう、だから本当にミューズが良い子に成っちゃったら・・・まぁ実際はミューズは本当は良い子ナンだけどさ、それでもチョッと実害(主にボクの精神的な)を伴う悪戯が多過ぎる。

 それでボクも(喜んで)お尻を叩かせて貰ってるんだけど、実際ミューズが良い子に成って悪戯しなくなったら、ボクは自分の楽しみの為ミューズの失敗や悪戯を捏造しなくては成らないかも知れない!


「お兄さま最低!」


 それを言ったら当然ミューズが頬を膨らませ文句を言って来るがジェイナス婆ちゃんが、


「ナニ言ってるんだいオマエの方こそお仕置きされてると見せながら、その実キッドちゃんとジャレてるじゃないか!キッドが捏造しなくてもオマエさんがカマって欲しくて、自分の方からワザと失敗したり悪質な悪戯するんじゃないのか?」


 途端にミューズが口笛を吹いてソッポを向く・・・エクセリオンに登場してるミューズの行動が何で判るかって?

 こっちの世界での通信は基本TV電話が定番、音声と一緒に相手の姿はロボットアニメやSFの電話の様にリアルタイムで映し出されている。

 もっとも映してるのはモニターでは無く、いや普通は民間から軍用・国家機関でもモニター画面や立体映像・映写されるんだろうけど、ボク達のは脳内に直接関与し視界の一部を切り取った様に表示される。


「もしやこの間また勝手にボクの映画許可して、ボクの役やってる女優さんにシャワーシーンを許可してサービスカット入れたのも・・・・・」


 ボクをモデルにした映画では仕方ない事だけどボクの役を女優さんがしてる事が多い・・・と言うより❝ほゞ全部❞が女優さんで一部子役の男の子が演じてる位、そんな状況で女優さんにサービスシーンを撮らせたら解ってる事だけど結果❝ボク女性説❞が保管されていた。


「ミューズ降りて来なさい・・・お仕置きも補完だ!」


「え・・・映画のサービスシーンを勝手の許可したお仕置きなら受けたじゃ無い!二重処罰は人権的に問題ありかと・・・・・」


「前回のは悪戯で女優さんにボクのサービスシーンを勝手に演じさせた罰、今回はボクにかまって欲しいからって悪戯した結果ボクが女性だった説を補完する様な真似をした罰だっ!とっとと降りてこい、このトリックスター娘めっ!」


 アリスに外部からエクセリオンの動力を停止させ、コクピットに攀じ登ったボクはハッチをフルオープンさせたエクセリオンのシートの上でミューズのお尻が真っ赤に成るまで・・・そしてミューズが本気で泣くまでオシリを叩いたのであった!




「うちの娘もキッド君の毒牙に・・・・・」


「すぐにノーマに戻るぞ・・・キッドの奴に文句を言ってやる」


 そりゃ私の娘であるジュリアは皇帝陛下にも孫の様に可愛がられている。

 それは本物の孫娘であるミューズ様が帰還された後も、だが同時にキッド君だって2人の孫と同等かソレ以上に可愛がられてる。

 そしてキッド君が健全な男の子にしても少々過剰にスケベなのは周知の事実、そのキッド君がジュリアを毒牙に掛けたからと言って一体今更何を文句を言う気なのだろう?


「ジュリアに手を出すのは良い・・・抑々コッチも、そう仕向けジュリアを側室にし様としてたのだからな!だが手を出すならミューズが先だろう?いや実際ミューズは幼過ぎるから、もう少々待って貰わなければ成らないが・・・それでも順位的には先にミューズから手を付けるのがマナーと言うモノじゃ無いか?」


「なに言ってるのです?ミューズ様なら、とっくにキッド君は手を付け・・・・・」


 自分が仕える主君の、こんな間抜けな貌を見たのは初めてだ・・・だがコノ貌を見て私は主君がとんだ勘違いをしてた事に気が付く。


「違いますよ・・・キッド君がジュリアを抱いたんじゃありません!キッド君が隠して造ってた新型ノーダーをデータ集めと行って半場 無理矢理借りといて、それでウェルム少将と合同で制圧した先の事件に勝手に導入し情報を漏らすどころか大放水したじゃ無いですか?その罰としてジュリアは部下も見てる前でお尻叩きのオシオキを・・・・・」


 これまた間抜けな貌をして我が主君は盛大に溜息を吐いた。


「あのチビ介は一体ナニしとるんじゃ・・・」


 まぁ一国の軍人しかも艦隊司令官の立場にある貴族令嬢を部下の前で、余程 腹に据えかねたと言ってもオシリ叩きに処するのは普通の神経じゃ無いだろうけど。


「お前の財団傘下の企業にいた社員からの情報か?」


 身バレして仕事を続けられ無く成った諜報員を自分の企業の一社員として雇い、そして一般人として身を立てられる様に私が尽力したのはファルデウス軍の上層部では有名な話・・・当然陛下の耳にも届いていた。

 その男は今キッド君の配下で楽しそうに仕事をしてるのだが、もちろん我が社を円満退社してから、そして何気に我が財閥に利益が回るように気を使ってくれている。


「いえ娘本人が泣きながら休日時に私用通信を・・・もう❝お嫁❞に行けないとか、こんな姿を晒して部下に舐められるとか、いくら何でも叩き過ぎだとか」


「何をやってるんだ、あのバカ娘は・・・・・」


 思わず大きな溜息を吐く主君は私に、


「で・・・お前は如何返したのだ?」


「お嫁に行けないには、退職願を書くなら何時でも相手を世話してやるぞと・・・部下に舐められるに関しては、その程度跳ね返せないなら軍服を脱げと・・・そして幾ら何でもに関しては、自業自得だし足りない位だと・・・・・」


 言いながら私も溜息が出そうに成って来た。


「それに・・・」


「それに?」


「キッド君の所にチョッと素行の悪いレーサーの一団が加わったでしょう、そのリーダーをしてた娘を覚えてますか?」


「トランサッドに雇われてた奴等だろう?」


 しっかり覚えていたらしい。


「その娘とジュリアがマルドゥースの阿呆の手がキッド君に届くか賭けてたみたいで、その事もキッド君の尻叩きを誘発した一因らしく・・・・・」


「不謹慎な話だが不謹慎な事に掛けてはキッドも他の奴の事は言えんだろ?」


 確かにその通りだが、


「その後で改めて二人並んで、アナタの お孫さんにも尻を叩かれて泣かされてたそうですよ・・・その事に対する懲罰として」


「ミューズや・・・お前はそんな娘では無かったのに!」


 まぁ逞しく成られてた事には変わりが無い。


「自分の母親と、その一族に殺されかけたんです・・・逞しく成らなくては殺されてたのですから仕方無い事かと、むしろ生き残り・・・・・」


「私の記憶の中にいるミューズは可憐な野花の様な・・・・・」


 また現実逃避を始めたので、


「どんなに可憐で美しかろうと野花とは結局 野草や雑草の(たぐい)なんですよ?」


 すると余ほど気に障ったらしく途端に声を荒げ怒鳴った。


「喧しいっ!正論ばかり並べ負って抑々オマエ私に嫌味を言う為に国境超えて迎えに来た訳じゃあるまい、いったい何の用なのだっ!」


「正論諭されたからって大声出さなくても・・・コッチだって世間話しに来た訳じゃありませんよ」


 そう言って立体映像の星域図を3Dモニタ上に映写して見せる。


「ご存じの通りヴァイラシアンが滅んだ所為で我がファルデウスはノスモーと隣接する国境が広がりました・・・その上 今まで国境を接して無かったヴィエントとも大きく国境を接する事に、あんな国でもヴァイラシアンは緩衝材の代わりには成ってたみたいですね」


「毒入りの緩衝材なんて要らんわ・・・まぁヴァイラシアンを併呑し領星域が広がったのは良い事だが、それで奴等も危機感を覚えてるのだろうな」


 この所ファルデウスと仲の悪い国が活発に敵対国同士で接触している。

 その事は他国の政治だし文句を言う気は無いが、その会話の内容は想像が付くだけに忌々しいモノを感じさせられていた。


「ノスモーはノーマとも国境を臨してる上に、その国境付近に艦隊が集結し始めています・・・私が迎えに来る十分な理由でしょう?」


「むしろ国境を越えてくれんかな・・・そうすれば正々堂々と奴等に宣戦布告してから、思いっ切り奴等の国土を蹂躙してやるのに!贅沢は言わんから恒星系の二つや三つくらい・・・・・おいジェリスや、その顔は何だ?」


 余程ヘンな顔をしてたのだろう、と言うより自分でも変な貌してたと思う・・・陛下の発言を聞いて!


「なんだかんだ言って陛下が一番キッド君の悪い影響を受けてますよ・・・プライベートなら兎も角アナタは政治に関し、そう言うジョークを言う人じゃ無かった。少なくとも私が仕えた陛下は・・・・・」


「元々こう言う人間だったんだよ私は・・・公務中は出さない様にしてただけで、そして確かにキッドに会って自分の理想の国家君主増を演じる事が馬鹿らしくなったのだから影響受けたのかも知れん」


 面白くも無さそうにグラスを二つ出してウイスキーを注ぐと一つ渡して来た。


「抑々お前だって人の事は言えん・・・お前の父が死んで後を継いだ時、お前は面白みもへったくれも無いクソ生意気な堅物だったじゃ無いか!」


 嫌な所に飛び火して仕舞った。


「私に付き合って角が取れただろう?まあ認めよう・・・私は元々キッドと同じ様な、性格が破綻してる部類の人間だったんだよ」


 そう言うとウイスキーを傾けながら、星域図と集まった敵の陣形に艦隊規模を表示したレポートを読み始める。


「しかしコイツ等は・・・まぁ私が大した警護も就けずにノーマに来たからチャンスと・・・・・」


 そこまで言うと何かに気が付いたらしく文官を呼び、そして私に身体を向けると・・・・・


「ジェリスよ・・・読み違えておるぞ」


 と静かに言った。

 その目は真面目に語っている・・・私は3Dモニタを覗くが何も可笑しい事が有るとは思えない。


「私が居たから陰に隠れてしまったか・・・奴等の狙いは私では無い、キッドいやスターシップのロストテクノロジーだ!」


 そう言われれば・・・確かに陛下を狙ったのなら集まるのが遅いし、陛下が離脱したのに国境に屯ってるのが物語っていると思えた。


「これは確かに私のミスですね・・・さすが陛下、素晴らしい御慧眼で・・・・・」


「煽てたって何も出んぞ」


 面白くも無さそうに陛下は言うと、


「私が生き延びたってスターシップが敵の手に落ちれば、ファルデウスを征服するのに一年も要らんな・・・・・」


「ならスグに救援に向かいますか?幸いロイヤルフェンサー第二艦隊は、ほゞ全ての戦力を率いて来ていますが・・・・・」


 暫く無言になった後、


「要らんか?」


「要らないですよね?」


 そう我々が警護に行くよりはキッド君一人に任せた方が収拾が早い、それどころかノスモーの艦隊など蹴散らしながら・・・下手すると壊滅まで持ってくかも知れない子だ。


「流石に壊滅は無いだろ壊滅は(笑)」


「そうですよね流石に壊滅は無いですよね(笑)」


 2人して乾いた笑い声を暫く上げてたが、暫くして声がトーンダウンして来た所で我が頼もしい部下であるココ少尉が一言宣った。


「そうやって笑ってられない辺り、それが有り得る未来だと御自覚してるんですよね御二人は!」


「・・・・・」


「・・・・・」


 そう・・・あの子なら単艦で艦隊群を殲滅しかねない!


「旧ファルデウス首都星・・・現ファルデウス首都星ミューズの防衛線でスターシップが手傷を負ったのは、惑星ミューズを守って戦ってたからでしょう?抑々自由に動けたなら、簡単にヤラれるキッド君じゃ・・・それに事実あの時のキッド君は、手傷を負ったと言うより武器の過剰使用で自爆してったと言った方が正しいじゃ無いですか」


 そうあの子は百万単位の艦隊を平気で相手出来る非常識な子なのだ!


「守る者が無い状態で自由に戦えるなら怖い物無いだろうし、鈍重なファルデウス軍やロイヤルフェンサーの応援など反って迷惑・・・イダダダダ・・・・・」


 オペレーター席のココ君、可哀想に陛下からキッド君直伝の「ウメボシ」を食らって悲鳴を上げている!


「そのファルデウス軍の最高責任者は私なんだが?お前もファルデウス軍の軍人なんだが?」


 今のはココ君が悪い、陛下のストレス解消の為に少し痛い目に会って貰って・・・・・


「かと言って何も言わないと後でヘソを曲げられますよ?」


「チャンと伝えるわい、通信じゃ傍受されるかもしれんからジュリアにフェンサー1ごと向かわせろ」


 まぁそう言う事に成るだろう。

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