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世界最強、その名はランクNo.0彡☆  作者: パタパタ
魔王編
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ゴンザレスとケーリー、おまけでエルフ女④

 ケーリー侯爵は握り拳を作り、ぐぬぬ、と震える。


 勇者召喚は禁忌である。


 よって、キョウ・クジョウは偶然、迷い込んだ移転者である、、、とされている。

 それがエストリア国の公式発表。


 事実は違う。

 コルラン国はNo.1、帝国はNo.2、今はもう居ないが、No.3、No.4も他国だ。


 大国エストリア国が他の国に遅れをとるような事があってはならない。

 そう提唱し、禁忌の勇者召喚を王に意見したのは、他ならぬケーリー侯爵だ。


 かくして、王家500年の秘宝を使い勇者召喚は成された。


 勇者は10代ぐらいの、実に扱いやすい少年であった。

 線も細く、少女にも見えなくはないほど。

 この時、ケーリー侯爵に欲望が湧いた。


 それがあの時のTS細胞の件に繋がる。


 その件は別にしても、エストリア国はキョウ少年、今は少女だが、を実に良いように使った。


 彼女もそれに疑問を持たず活躍し、今では、世界を代表する勇者の一人として活躍している。


 彼女は、自分がエストリア国に拉致され、使役されているということを知らない。


 だが、No.0は、勇者キョウを解放しろとそう要求してきたのだ。


「、、、貴殿は、どこまで、、、知っている。」


「いえ、何も?」

 白々しい!!


 何もかも知っているという訳か!

 魔王討伐後、即ち、用済み後は勇者の末路は決まっている。

 従順ならば、貴族の末席として飼い殺し。

 少しでも危険だと『想定』すれば処分。


 今回、勇者が女になってしまったことで、その『用途』は様々。

 王族の嫁でも良いし、貴族へ下賜しても良い。


 それを無しにしろ、と。


 もしかすると、No.0は元の世界へ還せと言いたいのかもしれない。


 偶然での転移ならば不可能だが、禁忌召喚には、送還召喚はセットになっている。

 喚んだ者は還せるのだ。


 無論、そのためには、最後となる王家の秘宝を使用しなければならないのだが。



「分かった、、、。国には私から働き掛ける。だが、今、確約は出来ない。」

「あー、はい。じゃあ、せめて、このエルフ女を会わせる事は出来ますか?」


 始めから即答など、期待していなかったのだろう。

 No.0はそう答えた。


 そこで初めてケーリー侯爵は、No.0の隣に居た女をまじまじと見た。


「え?アレスも一緒じゃないと嫌だよ?」

「いや、もう金無いし。」

「えー?」


 イチャイチャとしているようにしか見えないが、その女を見て、ケーリー侯爵は目を開く。


 、、、迂闊だった。

 No.0はただの一度も、普通の女を連れていた事は、ない。


「そのお方は、、、?」

 ケーリー侯爵の記憶違いでなければ、伝説のエルフ。

 そして、エルフと言えば、剣聖の担い手!


 世界の危機が訪れる時、勇者を導く者。


 ケーリー侯爵は、前回同様、戦慄する。

 このタイミングで勇者のこと、そして剣聖の担い手を連れていること。


 No.0は魔王を討伐する気だ。


 エストリア国の要人としてではなく、この世界で生きる一人の人間として、それを邪魔する訳にはいかない。


 邪魔するという事は、自らの滅びを意味するのだから。


 であるならば、勇者解放の件、国としては断る事は出来ないであろう。


 No.0の邪魔をするという事は、エストリア国は勇者惜しさに、魔王に与したと言われかねないからだ。


 だが、、、ケーリー侯爵も内務大臣としての自負がある。ただでは転ばないと意思を固める。


「カストロ公爵殿の言いたい事は分かった。だが、それとは別に報酬を貰って頂きたい。


 貴殿の功績に報いねば、エストリア国がケチと思われても困りますからな。」


 大要塞サルビアのあった地域一帯を、カストロ公爵領とすると。


 大要塞サルビアを含む地域は、国の要衝であり、重要地点であり、肥沃な大地の広がる広大な土地であった。

 魔王の件より前は。


 魔獣大量発生のおり、大要塞サルビアは多数の兵とNo.5とNo.6ごと潰され、周辺は廃墟となり、魔獣が彷徨うろつく危険地帯となった。


 しかもコルラン国とも領地を接している。

 復興には、巨万の金と年数を必要とする事だろう。

 つまり現状は、エストリア国にとって、大きなお荷物なのだ。


 土地の広さと肥沃さだけ見れば、破格の報酬と見えるが、実際は現在のカストロ公爵領の土地の数倍以上の、お荷物を背負わせたのだ。


 No.0も予想外の一手だったのであろう、女共々、驚いた顔を見せる。


 そうして、言い返されないうちに、ケーリー侯爵はこの会談を締め括る。


「では、カストロ公爵領にまでお送りする手配をさせて頂きます。

 部下の方々には直接ご報告していただけたらさぞかし喜んで頂けるかと。

 、、、勇者キョウにも、後日カストロ公爵領に赴くように手配します。

 では、これにて。」


 そう言って、ケーリー侯爵は席を立った。



 去り際、そのケーリー侯爵の反撃が効いたのか、初めて、No.0はほんの一瞬だけ嫌そうな顔をした。


 僅かではあるが、ケーリー侯爵もそれに溜飲りゅういんを下げた。





 この日、カストロ公爵が大要塞サルビアのあった地域一帯を拝領した事で、カストロ公爵領は、現在の数倍の所領となった。

 それはかつての小国ウラハラ国の倍。


 同時に、秘密裏にではあるが、勇者解放の打診が為され、王がそれを認めた。


 これにより、勇者キョウ・クジョウ本人は知らぬことではあるが、魔王討伐の折には、勇者の元の世界への帰還が認められた。


 勇者と剣聖の担い手、それにNo.0が会合する時、如何なることが起きるのか、世界はまだ知らない。


 世界ランクを示す世界の叡智の塔。

 そこには未だNo.0という番号は、ない。






 ガタゴトと揺れる馬車でエルフ女が俺に聞く。

「ねえ?あのケーリーって侯爵。

 なんで急にあんたに、土地渡したりしたの?

 なんかやたら震えてたし、太り過ぎて病気?」


 俺は、ため息をつきながら、

「俺が知る訳ねぇよ!

 あ〜、ほんと、カストロ公爵とかカストロ公爵領とかってなんだよ、、、。

 なんで、いつもこうなるんだ。」


 それを聞いて、エルフ女はキョトンとして、

「日頃の行いじゃない?」と言いやがった。


 うるせー!!

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【外伝】キョウちゃんのその後の話をリンク貼っておきます。 カクヨムサイト かなりガッツリ恋愛系なのでご注意を!
親友だったはずの女の子とイチャイチャな日々!?〜キョウちゃんの憂鬱〜
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☆【世界最強、その名はランクNo.0彡☆の真相編先行版はこちら、近い内全て再掲予定。
ネタバラシになりますので、先が気になる方はこちら】☆
世界最強、その名はランクNo.0彡☆真相編女神陥落
― 新着の感想 ―
[一言] ふと見つけて読み始めたらもう止まらない止まらない! 楽しすぎるんですけどォ!!! ちなみにキョーちゃん、女の子になっちゃってますけど日本に帰れるの?(TS的な意味で)
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