奴隷ゴンザレス②
まあ、No.0がどうであれ、それは憎しみの対象だ。
特に羨ましいのは、美人と噂の滅びたレイド皇国のメリッサ元皇女を愛人と言って、連れ回していることだ。
くー、羨ましー!
俺もメメちゃん、連れ回してたけど。
ああ、あの日に帰りたい。
あの娘も俺にご褒美くれるとかやり過ぎ、詐欺師の俺ですら、罪悪感感じたわ。
、、、またご褒美くれるならもらうけど。
そんなかつての夢も見るが、奴隷では永遠にその夢は叶わない。
そんな訳で当然、俺はここから抜け出す方法を考える。
今居る場所は、帝国の何処かの鉱山だ。
奴隷は100いや、もしくは1000とか居るかもしれない。
いくつかのグループに分けて、掘削しているはずだ。
俺のところでは、監視というか看守は10人程度が2交代。
掘っているのは魔石、だよな?
何かが掘れたら、監視の一部が潜って確認している。
逃げるにしても、地形の把握が必要だ。
さてどうしたものか。
ゆっくりと情報を集め、チャンスを待つか。
数日後、、、。
なーんか疲れたなぁ。
働いて働いて飯食って働いて寝る。
風呂入りたいなぁ。
風呂ないなぁ。
3日に一度布で拭くだけ。毎回真っ黒。
これが〜、噂の〜ブラックかー。
気力を失いつつも情報収集。
看守に饅頭貰わないとなぁ。
女奴隷とは部屋別だしなぁ。
なーんか、一団の中には、薄汚れてるけど、美少年ぽい子を囲ってる奴隷たちもいる。
囲っている奴らも、堅物っぽいけど人は見かけによらんよなぁ。
あー、ヤダヤダ。
男の娘でも人気ってか?
愛の形は人それぞれだけどなぁ。
俺は遠慮しとく。
他の奴隷も、動く気配ないなぁ。
あー。
そんな日々についに救世主(?)が現れた。
ドタドタと看守たちが走り、奴隷たちがなんだなんだ?と様子を伺う。
「看守の旦那?一体どうしたんで?」
知り合いの看守を引っ掴んで、尋ねる。
「魔獣だ!魔獣の大群がこの山に!数百以上は居るぞ!」
あー。
そうかー、このままだと死ぬなー。
、、、そうか、これが奴隷の気分か。
何もかもどうでもいいや、という気持ちにされる。
「看守さん。逃げ道は?」
「駄目だ。唯一の出入口から魔獣が迫っている。周りは崖だし、それこそ何処から魔獣が来るか、、、。」
解説ありがとう。
いざとなりゃ、ここの奴らを囮にしている間に、無理矢理崖下りだな。
「ふーん、看守さん。防衛と援軍については?」
「え?ああ、、、両方当てはない 。」
ないって、、、そりゃあ、拙かろう。
「ここの代表もしくは指揮官は?」
「へ?いや、ここにはそんな大層なもんは、、、。強いて言えば、、、俺かな?」
「おお!あれ?アンタただの看守じゃなかったのか?」
「あ、ああ。貴族の権力争いに負けて、僻地のここの責任者に。
要するに左遷されて、、、ジャック、お前、なんか話し方が。」
どうでも良いだろ、そんなこと。
それより助かる方が大事だ。
何か策とか持ってるなら、聞くけどないよな?
そういうのは苦手?
うん、見れば分かる。
ついでに政治的なものが弱いのも。
だから、援軍来ないんだろ?
俺は奴隷たちや他の看守から集めた情報を元に、現在の状況を推測。
つまり、奴隷鉱山はいくつもあれど、元手を抑えて、発掘は進めるけど、そこまで重要視していない。
帝国でも僻地だし、管理側もあまりやる気がないし、美味い蜜もほとんど吸えない。そんな土地。
だから、能力があったり、野心がある奴は絶対来ない。
程の良い左遷先でもあるし、魔獣を追い込むにも丁度いい鉱山、しかも犯罪奴隷たちばかり、救援を出す必要性は皆無、と。
概ねその通りって、やだわぁ、当たっても嬉しくないわぁ。
「看守さんが責任者なら、話が早い。皆をここに集めてくれ。死にたくなけりゃあな。
、、、後、何か服貸して。」
身形が奴隷では、格好がつかんだろ?
看守は何も、俺の言うことを全面的に信用した、ということではない。
どのみち、なんらかの対処をしないことには、魔獣のお腹の中に入るだけだ。
俺は借りたぼろぼろの看守服を上から羽織り、奴隷と他の看守たちをそれぞれのエリアごとの区分で並べさせる。
ちなみに看守(コード準男爵というらしい)の隣に立って、腕組み。
さも看守の腹心のように。
俺を見たことのある他の看守は戸惑い気味だが、コード準男爵が口を挟まないので、戸惑いつつも従っている。
「よし!集まったな!じゃあ、看守さん、いや、コード準男爵!ここの連中に恩赦を出すんだ。」
恩赦、つまり、奴隷解放しろってことね。
犯罪奴隷でも。
「ば、バカな!?そんなこと出来るわけがないだろ!」
「おや、だったら死ぬの?」
この奴隷たちが居る前で、それを宣言しちゃう?
ちなみに、このやりとりは演技である。
奴隷たちを集める前に、コード準男爵だけにコッソリとある提案をしていた。
そのまま、奴隷に指示したところで、命懸けで戦う訳がない。
よって、それなりの餌が必要となる。
ここで金銭云々は、僅かながら効果はあるかもしれないが、奴隷にお金を使う機会がどれほどあるか?
、、、そう考えてしまう奴隷も多いだろう。
そこで!恩赦を出すと言えば、生き残りさえすれば、解放されるというイメージを、夢を持たせられる。
しかも!戦わずに逃げ出せば、恩赦はなく、逃亡奴隷の烙印、もしくは、そのまま処刑となってしまう。
ならば、必死に戦い未来を自らで掴み取る方が良い!そう思わすのだ。
当然、恩赦など出来るわけがない。
準男爵風情の権限でそんなこと出来るか!
そこで、準男爵の看守は一度は出来ないと叫ぶ。
しかし、それ以外に自分の生きる道が無い。
故に、こう言うのだ。
「、、、ぐぬぬ。
、、、しかし、私はこれでもカストロ公爵アレス殿と懇意にしている。
あの方のお力を借りることが出来れば、、、あるいは。
しかしそれでは、私の立場はさらに、、、準男爵とは言え、一族は、、、。
いや!いいや!!それしか無い!
よろしい!!
無事にこの苦難を乗り越えれば、皆に恩赦を与えられるように、カストロ公爵アレス殿に頼んでみせる!
彼は帝国の英雄!必ずや恩赦をもぎ取ってくれることだろう!!」
俺はビックリしたように皆を見る。
さもそれが、可能であるかのように。
「聞いたか!皆!俺はこの看守さんから、カストロ公爵アレス様のことを聞いたことがある!
懇意にしているのは、間違い無い!
俺たちは解放してもらえるぞーー!!!」
俺は拳を高くあげる。
この時、雰囲気が大事だ。
事前に看守がカストロ公爵アレスと懇意にしているかのように、俺が行った会談の内容とか奴隷たちに洩らしておいた。
そんな深い内容まで知っているのならば、看守がカストロ公爵と懇意なのも、あるいは事実であると考えることであろう。
というか、そう考えて下さい、奴隷の皆さん。
会談の話とか事実だしね。
俺がカストロ公爵の名前で詐欺しただけで。
後、サクラとして、何人かにタバコと交換で俺が拳を上げたら、合わせて拳を上げて雄叫びを上げてくれと頼んである。
話の流れで、拳を挙げても問題無さそうとサクラ共も判断したのだろう。
一緒に拳を挙げ、雄叫びを上げる。
釣られて殆どの奴隷が拳を挙げ、雄叫びを上げる。
他の看守は困惑。
美少年を囲む一団も困惑しているが、気にしない!
流れで押し切れ!俺が生きるために!
こうして、奴隷解放宣言が為された。
無論、詐欺だが。




