ゴンザレスと年貢の納め時②
「分かんないと思ってた?そりゃあ、あんた、アタシらのこと馬鹿にし過ぎよ?
アタシらS級なんでしょ?」
な、なんのことでござりましょう、、、!?
ソファーに座り直し足を組んで、こちらを見るエルフ女はS級の名に相応しい美しさ。
だが、俺には死刑執行を言い渡す処刑人のように見えてしまう。
「密林の中の結界、、、偶然で行ける場所じゃないのよねぇ。」
いえ、、、偶然です。
砂漠を迂回しようと思って、、、。
「、、、ふ〜ん。
アタシさぁ、魔王対策の装置みたいなもんで、1000年間をいつか来る勇者を鍛えて、自爆するだけの役目しかなくて、それを疑問に思うことさえなかったのよ。
元々、そういう存在なんでしょうね。
それをあんたが覆した。
契約っていう方法で。」
それはエルフ女が、詐欺に掛かっただけです。
ご馳走様です。
「、、、ふ〜ん。まあ良いけど。
楽しかったわ。
1000年で初めて、自分が生きてることを知ったわ。
だから、役目の呪縛が剥がれても、この世界なら、あんたが居る世界を守るためなら、魔王と共に消し飛んでも良いかなと思ったわ。
まあ、それもあんたに覆されたけど。」
それも詐欺にかけただけですが?
「ついでの話。
この世界は前回の魔王で滅びかけた。
そのため、やがて復活する魔王に備えて人々は聖剣装置を作り、そのナビゲーターとしてアタシを作成した。
エルフなんて種族は、この世にアタシ1人。
アタシは作られた存在って訳。
だから、アタシは邪神なんて知らないし、世界の叡智の塔もどうしたら良いか知らない。
知ってたでしょ?
今まで、聞きもしなかったし。」
全く興味がなかっただけです。
「、、、ふーん、ま、最後までそう言いはるなら良いわよ?
クズに惚れた馬鹿な女って事で、我慢しといたげる。
でも、今後、アタシたちをS級と言うのやめてよね?
本物の見る目のある良い女に失礼だからね。」
俺にウィンクを飛ばし、エルフ女は立ち上がる。
それは何処からどうみても良い女のそれだ。
「あ、、、あと、あんたさぁ、アタシらを助ける時、目付きがね、、、。」
目付き?
目付きヤバいか?
エロい目はしているのは自信ある。
エルフ女はニンマリと笑う。
「気付いてないみたいね?
目付きが、ね。
すんごく優しいの。
アタシら全員、あんたのその目にやられてんのよ?
ホイホイしたくなかったら、気をつけな!」
バイバイと手を振って、エルフ女は部屋を出て行った。
呆然としていると、ナユタが食事を持って来てくれた。
「どうされたのです?ゴンザレス様。
エルフィーナ先生が、何やら嬉しそうにされておりましたが。」
食事を並べてくれるナユタ。
なんだが、お屋敷でお世話されてる偉い人な気分。
「いや、特大の死亡フラグがね、、、。」
「死亡フラグ、ですか?」
お盆を胸に抱え小首を傾げるナユタ。
この娘も可愛くなったな、立派なS級と言って良いレベル。
つまりとんでもなく強くなってる。
エルフ女すげぇー。
「いやさぁ、俺って詐欺師じゃん?すげぇ買い被られて、命が流石に危ないかなぁ〜っと。」
「ゴンザレス様は私がお守りします。
いえ、私だけではなく、エルフィーナ先生も、ここにはいらっしゃりませんが、イリス様も、ゴンザレス様のことを命賭けで、お守りする所存でしょう。」
お、俺、ほんと、、、色々やり過ぎちゃったんだなぁ、、、ハハハ。
「誤解、なんだけどね、、、。」
俺はつい詐欺師に、あるまじき一言を言ってしまった。
ナユタの父である棟梁に悪いと思ってしまったのか、最近、詐欺らしい詐欺をしていないので、ヤキが回ったか。
だが、ナユタは怒りもせず、クスリと笑う。
「、、、あの日、里が終わりを迎えた日。
ダムからゴンザレス様は、里の様子が見えたのではありませんか?
見えたのなら、迫る魔獣の大群が里を襲う様子、見えぬはずはないかと。
まあ、、、それが本当に誤解だったとしても。
あの後、山を降りて私たちを実にタイミング良くイリス様たちが、迎え入れてくれました。
毛布など食事など、実に都合良くお持ちで。
カストロ公爵様から、ご連絡頂いたそうですよ?
身に覚えはございませんか?お館様。」
うぐっと息を飲んでしまった俺。
否定しても肯定しても、俺的に苦しい立場だ。
「あの日から、いいえ、あの日より前から、ゴンザレス様をお慕いしております。
、、、もしも、ゴンザレス様が真に自身を詐欺師と仰るのならば、最後まで騙されとうございます。
私はそれで十分にございます。」
あうあう、となんとも言えず戸惑う俺にまたクスリと笑みを見せ、これ以上、お調べもののお邪魔をしてはいけませんね、とナユタは立ち上がり部屋を出て行った。
エルフ女だけではなく、ナユタからも特大の死亡フラグをぶち込まれた俺は、心の中で叫ばずにはいられなかった。
な、なんでこうなったんだぁぁあああ!!
下の星エネルギーお願いします_(:3 」∠)_