ゴンザレスと年貢の納め時①
世界最強と呼ばれる存在がいる。
曰く、全てを見通す千里眼を持つ大軍師。
曰く、万の敵すらも打ちのめす大将軍。
曰く、病の悉くを治療して人を救う聖者
曰く、最強にして無敗、世界の叡智の塔に刻まれるランクNo.1も超えた最強ランクNo.0
だが、その正体は一切不明。
男か女かオカマか、年齢も不詳なら、生まれも公爵様だとか、転生者とか、生まれながらの救世主だとか、魔王を指先一つで討伐したとか、数え上げたらキリがない。
それら全てを合わせて、誰も見たことがないという。
それが、世界最強ランクNo.0
どうも、アレスです。
最近はゴンザレス呼びも増えてしまいました。
詐欺師です。
、、、詐欺師なんだよ?
どっかの公爵様でも、ハーレム王でも、総司令官でも、ましてや世界最強ランクNo.0でもないからね?
誰か詐欺師を信じて、、、?
信じてくれたら騙すけど。
ああ、、、カバに連れられて何処へ行く、、、。
なんでカバに追いかけられたのか、謎は直ぐに解けた。
カバに運ばれて来たのは、懐かしの木の実のなっている巨大な木の下。
つまり、俺に取って来いと。
カバはカバの欲求に、正直に従ったということだ。
ヘビの魔獣に怯えながら、一生懸命に木の実をカバに投げつける。
汗が吹き出して、木から滑り落ちそうだったので、拭く物を探して懐をごそごそ。
マーカーが風に飛ばされ、、、魔王城があった辺りまで、飛んで行くのが見える。
ああ、、、俺の金貨20000が、、、。
魔獣の居そうなあんな場所まで、取りに行く勇気はない。
意気消沈しているとカバは動き出す。
俺を置いて。
まずい!
こんなところに置いて行かれてたまるかと、カバの背に飛び込む。
なんて自由なカバなんだ!
そうして、さらにカバは移動する。
俺は取って来た木の実を齧りながら、世の無常を感じるしかなかった。
ただのチンケな詐欺師だったはずが、本当になんでこんなところに居るのか、さっぱり理解出来なかった。
カバは誰に止められることもなく、懐かしのゲシュタルト王都を横切り海の中に突入。
俺はがぼがぼ、と溺れかけながら、なんとか港の岸に戻る。
そして、、、カバは海に帰って行った。
お前海から来てたのかよ!
ずぶ濡れのまま、俺はとぼとぼ歩く。
宿に行きたい。
たまたま居た衛兵らしき人に、風呂に入れるところを聞くと、案内してくれるらしい。
とぼとぼとついて行く。
でもね?
昔から言われてることだけど、知らない人について行ったらダメだよ?
何処に連れて来られたかって?
王宮だよ!
な〜んか豪華な建物に向かってるなぁと思ったよ!
「ゴンザレス様、、、。」
美人な第3王女様登場!!
感極まったように、抱き着かれました。
嫌じゃないよ?
ちょっとずぶ濡れだから、先にお風呂入りたいかな?
そう伝えると。
「え?ご一緒にですか?」
ポッと顔を赤くされる。
積極的だな、おい。
ヤダよ?王女様国とセットだもん。
「いえ、1人で。」
残念そうにされた。
また、可愛いんだ、これが。
国さえ!国さえなければ!!
ちょっと、つまむぐらいいじゃない?ちょっとだけ、、、。
いかんいかん!
世界の叡智の塔の影響恐るべし!
壊したばかりだけど。
とまあ、色々葛藤したんだけど、結論から言うと、手を出してしまいました。
その日のうちに逃げました。
もう国家レベルの犯罪者となってしまいました。
やっちまった、、、。
「自業自得だよね?あんた、だんだん節操なくなってない?」
紆余曲折、星見の里に帰って来ました。
お金まだ貰ってないし。
そして、里には何故かエルフ女とナユタが居ました。
約束の古文書を広げながら、涙に暮れる。
「世界の叡智の塔の所為なんや〜。」
「あんたの欲望って、、、まあ、そうなんだろうね、、、。」
後ろのソファーで寝転ぶエルフ女に呆れられたが、その通りだから仕方ない!
「S級相手に我慢とか無理だ!
今まで我慢して来た俺の忍耐を褒めてくれ!」
「結果的に手を出したら一緒よね?今度こそもうチンケな詐欺師とか言うの無理よね。」
うう、、、。
「それとさぁ、、、。
そろそろ、そのS級と言うのやめてくれない?」
なぬ?
S級はS級だが?
古文書を広げたまま、思わず振り返る。
エルフ女はえらく優しげな、そしてS級に相応しい魅力的な笑みを浮かべる。
「クズな男に惚れるような女は、S級とは言わないよ?それは本当に見る目を持った女に失礼よ?
それか、、、あんたいい加減認めてくれるの?
アタシたちを『助けてくれた』のが、偶然なんかじゃないって。」
な、なんだと、、、!?
エルフ女!!突然、なんばいいよっとね!?