ゴンザレスVS世界最強No.0④
「逃げ出したいのは山々なんだけど、そういう訳にもいかないのよねぇ。」
妖艶残念娘ことミランダは、そう言った。
なんでも、星見の里は別名星守りの里と言って、古来から世界の守護を司っている聖地であるとか。
後、邪教認定だから、ここから逃げても、ずっと迫害の未来しかないのだ。
ふ〜ん。
グリノア天門と言って1000年前などは、日にちの基準にもなったそうな。
それにはちょっと興味がある。
古文書などあったら、是非読ませて頂きたい。
「あるよ?でも、里を守らないと読んでいる時間ないと思うよ?」
ぐぬぬ!?
本を人質に取るとは卑劣なやつだ!
「それにさ、特に古文書なんて、向こうからしたら邪教の教えそのものだから、真っ先に狙われると思うよ?」
ムムム、、、。
どんな本なのか案内して貰った。
日の当たらない、さりとて湿気に気を付けてよく管理されてはいるが、やはりぼろぼろの本たちである。
気になる本だけかっぱらったとしても、選別するのも持ち運ぶことも難しそうだ。
読みたければ、守れと。
「、、、仕方ない。報酬に追加だ。里を守れたら、好きに読ませてもらう。」
「もちろん、いいよー。守れなかったら、どうせ全部燃やされるんだし。
あげるよ。」
そんな軽くで良いのか?
まあ、確かに守り切れなければ、どうにもならないし、守り切れる公算も少ない。
なんと言っても、相手は世界最強だ。
「多くは期待するなよ?」
「もちろん、残って考えてくれるだけ上出来だよ!
戦える人はいるんだけど、軍事的なことなんて、誰も分かってないからね!」
ニカッと笑う。
妖艶な容姿と違って、随分、天真爛漫な娘だ。
酒場での雰囲気はどうした?
「容姿がこんなだからね。母様から雰囲気を作るように教えられてるんだ。」
ほほー!お母上には是非お会いしたいですな。
「残念ながら、随分前に流行病で星に還って行ったよ。」
残念だ。
ベッドで是非お相手して欲しかった、、、。
「人の母上を狙わないで欲しいけど。
何年かしたら、妙齢の妖艶美女になれるから、そしてら考えても良いよ?」
少し寂しそうに笑う。
「本当だな?約束だぞ?」
「考えるだけね。」
どれほどヤバい状況か、本当は理解してるんだろうな。
「里の人には最期まで希望を、ね。
同じ終わるにしてもさ。」
そういうのは、好きではないな。
例えどのような絶望であれ、生きてこそ、だ。
「指示には従ってもらう。少なくとも俺は本を読むことを、諦めては居ないからな。」
妖艶娘は、ちょっとだけ泣き笑いの表情をして、俺の顔を見る。
「、、、ほんとだぁ。
自分で詰んでると言っておきながら、本気で諦めてない。
なんとか出来るの?」
「さあな。諦めるのは、とりあえず死んでからにしてくれるか?」
妖艶娘は了解、と嬉しそうに笑った。
里の周りを案内してもらいながら、妖艶娘とスキンヘッドの3人でいくつか前準備について話をする。
防衛するにしても、援軍がないなら守り切れるものではない。
日和見でも、粘れば状況が変わるかもしれない。
そのためには周りへのアプローチが大事だ。
よって、グリノアの本体とゲフタルへ手紙を送る。
「そもそも、なんでゲシュタルトはそんな野心を持ち出したんだ?
あそこのお姫様そんな感じに見えなかったぞ?」
会ったことあるの?と聞かれて、少し躊躇ったが、あるとだけ答えた。
「う〜ん、私もそんなに詳しくないけど、聞いた話では、お姫様と婚約したNo.0の意思だって。
後、司令官に前任者の息子が就任してその人がイケイケらしいよ?」
前任者?
俺の息子か!
そんな訳ない。
あの魔獣に名乗りを挙げてた、なんとか伯爵の息子か。
馬鹿そうだな、見たことないけど。
「とりあえず、地形を利用するのが大事だな。戦闘要員を集めてくれ。」
分かりました、とスキンヘッドは走って行く。
ちなみにスキンヘッドは、妖艶娘の叔父に当たるそうだ。
全く似てない。
「どうするつもり?」
「少数が大多数にぶつかっても、消しとばされるだけだ。
だったら、取れる手なんて一つしかない。
頭を潰す。」
「お姫様暗殺するの?」
首を横に振る。
「あんな小娘を暗殺しても、仕方ない。
それに流石に暗殺は警戒しているだろう。
こちらには王宮での協力者のツテがない。
だったら、戦場で討ち取るしかない。」
「討ち取るって誰を?」
そりゃあ、決まってる。
「世界最強No.0だよ。」
妖艶娘は驚愕の顔をする。
そして。
「そんなの無理だぁあああああ!!!!」
涙目で叫んだ。
諦めるの早ぇえよ!