ゴンザレスVS世界最強No.0②
「、、、とまあ、それは冗談なんだが、起きたようだな。」
俺は一足飛びで窓に足をかけて、飛び降りる直前の体勢で振り返る。
「お酒こぼして、自分でパージとか言って、服脱いでたわよ?」
スキンヘッドの後ろに、腕組みした妖艶な美女が居る。
フードこそ被っていないが、昨日見たS級美女だ。
俺は恐る恐る確認する。
「ケツの毛、、、抜かない?」
「ケツ、の毛?そんなの抜かないけど、、、抜けるの?」
それなら、良いんだ、、、。
俺はベッドの横に散らかっていた服を、ビクビクしながら一枚ずつ胸に抱えながら、集めてからベッドの影で着ていく。
そして、黙って見守っていた2人にキリッと、顔を向けた。
「俺に一体何のようだ?」
「それを見ていた私たちは、何を言えば良いのかしら?」
見なかったことにして下さい。
部屋を見回すが、取っていた宿ではない。
ベッドがあるだけの殺風景な部屋だ。
残念、泊めてもらえるなら、宿なんて取らなかったのに。
妖艶美女は呆れた影で、こちらを見ている。
隣のスキンヘッドマッチョは旦那であろうか?
手を出さなくて良かった。
危うく、樽に入れられて埋められるか、海に沈められるところだった、、、。
世界の叡智の塔が、不思議パワ〜を放ち出して、我慢があまり効かなくなっている。
恐るべし!世界の叡智の塔!
本当だよ?
そうでないと、いくら何でも帝国の皇女様に手を出したりしないよ?
本当だよ!
あ、考えたら恐怖で寒気が、、、。
来る、、、皇帝陛下が大剣持ってしばきに来る、、、。
おっと、ここはゲシュタルト連邦王国だ。
いくらなんでも大丈夫なはずだ、、、多分。
青くなったり震えたりする俺を見て、妖艶美女はため息を一つ。
「星が貴方を呼んだのよ。」
「お邪魔しました。」
なんだ、宗教の勧誘かな。
そんなのは、何処かの邪教で間に合っています。
ワタクシ、それの教祖様でしてよ?
アレスは逃げ出した!
しかしスキンヘッドに掴まれた!
逃げられない!!
万事休す!
「まあ、ゆっくりして行けよ。」
スキンヘッドの説得!
「ご遠慮します!」
だが、断る!
まあまあと言いながら、スキンヘッドは俺をぶら下げて、ベッドに置く。
妖艶美女が胸元から、どこかで見たスイッチとマーカーを取り出す。
「これのお話もあるからねぇ。」
「それ今すぐ渡してもらって、良いですか?いえ、ちょっと触るだけで良いので。」
いえ、スイッチとマーカーは要らないですが、今だけ、それに触れたい気分でして。
ふふふ、と妖艶美女は笑う。
朝見ても色気があります、お姉様。
「どうしよっかなぁ〜?」
「少し触った後は好きにして構いませんから、少しだけ、、、。」
「へぇ〜、、、。少し触ってどうするのかしら?スイッチでも押すの?聖剣発動スイッチの。」
ご存知でございましたか。
「いえいえ、流れで持ったままだっただけなので、金貨20000で如何でしょう?」
スイッチとマーカーを眺め、妖艶美女は言う。
「本物なら、その価値は有るわよね。
例えば、、、星見の里を壊滅させるとか?」
、、、なんですと?
「さて、吐いて貰いましょうか?
何の目的で私たちに近づいたの?」
俺は首を傾げる。
連れて来られただけだけど?
スキンヘッドが妖艶美女を見る。
「、、、ミランダ?」
「ええ〜!?だって、星見の夜に、マスターに私たちの話を聞いて、即座にブランデーを一気に飲む。
接触した星見の者の酒を勧められたら、それも即座に一気に飲む。
これが私たち星見の者への、接触のための合図じゃない!」
「いや、知らないから。」
妙齢美女が突然、若い娘のように狼狽し出した。
見た目と年齢が違う?
大人っぽく見せていただけか?
どうやら、詐欺の一種に引っ掛かてしまったようだ。
「じゃ、じゃあ!貴方はナンバーズだったりNo.0だったりしない?」
「違います。」
断固として否定させて頂く。
「ど、どうしよー、セバスチャン!
この人嘘ついてない!
星見では、救いの主が現れるって出てたのに!!」
星占いは参考にしたとしても、人生の指針にしてはいけません。
そして、昨日の妖艶な雰囲気は何処へやら、すっかり年若い娘がそこに居る。
S級は変わらないけど。
「、、、では、貴様は何者だ?」
何者と言われても、、、。
「旅の者としか、、、。」
「嘘よ!チンケな詐欺師にしか見えないわ!」
「ソ、ソンナコトナイヨ?」
「やっぱりだ!この人、詐欺師だ!」
な、なんでバレる!?
嘘を自然と見破る力があると言うことか!?