ゴンザレスVS世界最強No.0①
世界最強と呼ばれる存在がいる。
曰く、全てを見通す千里眼を持つ大軍師。
曰く、万の敵すらも打ちのめす大将軍。
曰く、病の悉くを治療して人を救う聖者
曰く、最強にして無敗、世界の叡智の塔に刻まれるランクNo.1も超えた最強ランクNo.0
だが、その正体は一切不明。
男か女かオカマか、年齢も不詳なら、生まれも公爵様だとか、転生者とか、生まれながらの救世主だとか、魔王を指先一つで討伐したとか、数え上げたらキリがない。
それら全てを合わせて、誰も見たことがないという。
それが、世界最強ランクNo.0
どうも〜、アレスです。
詐欺師です。
ゴンザレス様と何処かのナデシコ娘が呼ぶので、ゴンザレスも悪くない気がしてます。
現在、船の上で釣り糸垂らしております。
今回はちゃんと客なので、掃除夫ではありません。
驚いたことに前と同じ船でした。
元同僚にモップ渡された時は、思わず掃除してしまいました。
なんでやー!!
「て、てめぇ、、、。美女が1人増えてやがるじゃねぇか。」
前回の船乗りチームも顔を合わせました。
一際体格の良い男に、男泣きされました。
気持ちは分かるが、すっごく気持ち悪かった。
「あんた、ゲシュタルト好きよね?ゴンザレスと呼ばせてるし。」
そうかな?
「里に居る時も、お名前はゴンザレス様と名乗られましたね。」
う〜ん、里の時も意識してのことじゃ無かったが、古き良き田舎みたいに感じてるのかも?
後、詐欺ってないから居心地が良かったか?
あの牧歌的な感じが癒されるのだろう。
ゴンザレス、都会に疲れたのよ。
ま、何処であろうと長く居たら、どうせ金でも盗んで逃げ出してただろうけど。
今回は客なので、そんな感じに話しながら、酒飲んで釣りしてたら、船酔いした。
船が停泊したので降りて、荷物にもたれて地面を満喫してたら、気付かれずに船が出港した。
なお、政情不安定のため、次の船の予定は無いそうで。
こうして、また1人旅となった、、、。
とりあえず、歩いてゲフタル方面に進んで、いくつか山を越えた。
そして、小さな山間の町に着いた。
ここ何処?
とりあえず情報収集には酒場である。
本日の宿も取らねばならぬ。
酒場のミレイちゃんに聞くところによると、グリノアの端らしい。
改めて思うのだが、特に目的もないので、久しぶりに誰かを詐欺にかけてしまおう。
ピンッと俺のレーダーが反応。
S級発見。
ローブを被ってはいるが、大人っぽい色気のある顔が伺える。
少し紫にも見える変わった髪を、前に少し垂らしている。
それがまた大人の色気を感じる。
やはりゲシュタルト連邦王国は美女が多いな。
ふむ?誰も男が近寄っていない。
俺はカウンターに座り、ブランデーを注文。
「へい!マスター。
あそこの美女に、どうして誰も声をかけないんだ?」
ヒゲマスターはブランデーをトクトクと注ぎ、俺を一瞥。
「あんた、他所もんか、、、。
あれは星見の里の女王様だ。」
「星見の里?」
魔法の元祖だと主張する、占星術とやらを使う集団だという。
星を見て、進むべき道を探ると主張するので、グリノアの首脳部とは相入れず、一種グリノアの中でも別部族のような扱いを受けている。
女王は時々、ここにフラッと現れて、誰かを待っているんだとか。
ふ〜ん、という感じだ。
関わらないのが無難だな。
クイッとブランデーを飲む。
さっさと立ち去ろう。
「邪魔するよ。マスター、このお兄さんに私からも一杯。」
マスターは黙って、俺のコップにブランデーを注ぐ。
お〜い!明らかな地雷が向こうから来た!
地雷は普通、近寄って来ないはずなのに!
「ふふふ、乾杯。」
隣に来た美女が、俺のコップにカツンと自分のコップを当てて、妖艶な微笑みをローブの中で見せる。
ふおー、隣から良い匂いが〜!
それを誤魔化すように、クイっとコップを煽る。
「いい〜飲みっぷりねお兄さん、、、。
マスター、もう一杯、お兄さんに。」
ヒゲマスターは黙って、俺のコップにブランデーを注ぐ。
俺はそれを傾ける。
良い匂いのする大人の美女の隣で、飲む酒は実に良い。
「ふふふ、ゲシュタルト王都が救われた日に、星が流れたわ。
宿命の星が囁いたの。」
美女はまた妖艶に笑う。
言ってることはよく分からん。
S級美女だから、まあいいか。
、、、、、、。
目覚めると裸だった。
バタンッと部屋の扉が開く。
スキンヘッドのいかにもなオッサンマッチョ。
「くおらぁああ!貴様、誰の女に手出したとおもってやがんだぁあああ!!!!」
や、やっちまったぁぁぁああああ!!!!