逃亡者ゴンザレス④
最初の数話抜けてました。
修正出来ました。
荷馬車の馬は良く頑張った。
4人も連れていたのに、街まで素晴らしい馬力を発揮した。
そのことをアピールして、街で即売り払った。
依頼元の馬だが、知らん。
どうせカストロ公爵領の優秀な奴らに、とっくに捕まってるだろ。
なんせカストロ公爵の屋敷の中に、アイツら依頼元の資料があったから、それを盗み見て、あのアジトに行ったんだからな。
クックック、ダメだよ〜?重要書類をその辺に置いてたら。
まあ、不思議なことに、どんな資料も見れる立場にさせられていた訳だが。
とにかく、その金で3人に服を買い、宿で風呂に入らせ身綺麗にさせた。
あまりの汚さに宿の主人に疑われかけたが、盗賊に襲われて、必死に逃げたことを話す。
嘘は言ってない。
屈強な男3人の盗賊だ。
さて、のんびりはして居られない。
すぐに馬を使って、追っ手がかかるはずだ。
とにかく4人で飯を食いながら、対策を練る。
3人には依頼元からの追っ手が、来るはずと伝えた。
多分、来ないだろうけど。
「ブーフーウー兄貴たち。なんとか次の街に入りたいが案はあるか?」
次の街に入れば、ベック伯爵領だ。
領主本人はケーリー公爵の捕虜となってるから、その息子が領主代理となっているが評判は良くないというか、はっきり悪い。
だからこそ、カストロ公爵の追っ手も巻きやすい。
悪人を隠すなら悪人の中、だ。
ブーフーウーの3人は顔を見合わせる。
彼らは実は元ベック伯爵の兵だったらしい。
負け戦で逃げ出し、逃亡兵となり帰らずに盗賊となる道を選んだ。
そしてカストロ公爵領に流れ、最初の獲物が俺という運が良いのか悪いのか。
俺にとっては運が悪い訳だが。
ベック伯爵も捕虜となったので、遅れた帰還兵としてなら、戻ることは可能だと思われた。
3人の帰還兵が、俺を同じ部隊の兵士だと認めれば、疑われる可能性はかなり低くなる。
俺たちは頷き合い、すぐに行動を開始した。
こういうのは時間との勝負だ。
少しだけ仮眠を取り、夜も明け切らぬうちにすぐに行動を開始。
馬は売り払ったので、歩きだ。
どこか警戒の薄い家で馬でも盗みたいが、そんな都合の良い家はなかなかない。
とにかく歩き詰めした成果はあり、数日の内に目的の街に辿り着いた。
入り口で多少警戒が必要かと思ったが、顔見知りらしく簡単に通してくれた。
俺はブーの家の3軒隣の、ろくでなしの三男坊ということで門兵に説明された。
間違っていない。
そんな感じだ。
とにかく帰還兵として本来なら、幾ばくかのお金が出るらしいが、パック伯爵子息の領主代理は敗戦を兵の責任にして一切払っていないらしい。
ふてぇ野郎だ!
とりあえずブーのお家に向かう。
その途上。
「ゴンザレス、様、、、?」
長い黒髪の可愛らしい女性。
滅びたとされる伝説の『古き良きヤマトナデシコ』が現存していればこんな雰囲気であろう。
辛うじてA級。
磨けば光輝くたんぽぽのよう。
要するに可愛い田舎娘。
まあ、うん。
、、、誰?
「あ、、、覚えて、ないですよ、ね。」
A級たんぽぽは寂しそうに笑う。
ズキューンとクル感じ!
誰だ!思い出せ!思い出すんだ、ゴンザレス!!
そうだ!ゴンザレスを辿れば良い。
ゴンザレスと名乗ったのは、、、。
スラム時代、A級なし。
居たら一瞬で何処かに連れて行かれてる。
後は、ゲフタル。
美人揃いだったが、種類が違う。
同様にゲシュタルトも違う。
後は、海賊時代は、、、ジャックか。
これも違う。
後は、、、。
「隠れ里の、、、。」
A級たんぽぽが花が咲いたように、ぱぁ〜っと笑う。
あれ?こんな可愛い子居たっけ?
居たらあの里で骨を埋めてたかもしれない。
まあ、その後、ダムが壊れる『事故』でどっちにしても逃げた気がするが!
似たような感じの娘は、、、居た。
棟梁の娘だ。
里1番の器量良しだったが、それでもガリガリに痩せていて、辛うじてB級だったはずだ。
「綺麗になったなぁ。」
ゴンザレスもびっくりのビフォーアフター。
栄養状態悪かったもんね、あの里。
ダム崩壊の『事故』でもっと壊滅的になっただろうな、、、。
あれ?
この娘なんで、ここに居るの?
もちろん、決まっている。
、、、復讐だ!!
苦渋を舐め、忍び難きを耐え、己を磨き、俺が罠に引っかかるその瞬間を、待ち続けていたのではないか!!
そうして考えてみると、温かさを伴ったたんぽぽスマイルが、ワレェ、覚悟せえや!という恐ろしいものを含んでいる顔に見えなくもなくもなくもない?
「ゴンザレス様ぁぁぁああああ!!」
俺の身体目掛け、涙を流して、特攻を仕掛けてきた!!!
よ、避けきれない!
うわぁぁぁああああああ!!!!!!
見事なタックルで、俺は吹き飛ばされた。
綺麗=魔力が洗練され、強い。
これ大事。
アンタも、世界を狙えるぜ?
俺は気を失った。
意識を取り戻すと、そこは何処か落ち着きのある古びた建物の中で、額に濡れた布が当てられていた。
藁で編んだ敷物に寝かされていた。
トントンと、リズム良くなる音。
漂うスープの美味しそうな匂い。
俺はその匂いで、自分が空腹だったことに気づく。
寝ている位置から厨房が見える。
料理を作っていた人物が、笑顔で振り返る。
「おう!起きたか!」
包丁を持ったブーだった。
「なんでだー!!!そこは普通、美女だろうがぁぁああああ!!!!」
下の星エネルギーをお願いします_(:3 」∠)_