逃亡者ゴンザレス①
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世界最強と呼ばれる存在がいる。
曰く、全てを見通す千里眼を持つ大軍師。
曰く、万の敵すらも打ちのめす大将軍。
曰く、病の悉くを治療して人を救う聖者
曰く、最強にして無敗、世界の叡智の塔に刻まれるランクNo.1も超えた最強ランクNo.0
だが、その正体は一切不明。
男か女かオカマか、年齢も不詳なら、生まれも公爵様だとか、転生者とか、生まれながらの救世主だとか、魔王を指先一つで討伐したとか、数え上げたらキリがない。
それら全てを合わせて、誰も見たことがないという。
それが、世界最強ランクNo.0
どうも〜アレスです。
荷馬車でのんびり旅です。
いえいえ仕事中なんですがね。
今、最大のピンチです。
「へっへっへ、有り金全部出しなぁ。」
3人の汚いオッサンに、刃物を突きつけられて囲まれております。
通常、この手の盗賊にはパターンがありまして。
1つは、地域密着型。
地域を牛耳る一族などが、土地に無断で通る者に対し、見せしめに盗賊をする。
この場合、案内人をつけたり、挨拶を怠らなければ、むしろ旅の安全を保証してくれる。
そしてもう1つは、根こそぎ奪うタイプの盗賊。
村が冬の時期に収穫代わりに人を襲う村人型もこのパターンだったり、隣の国の村や町を襲う略奪型もこれだ。
これの問題点は交渉が、通じないことが多いこと。
奪うことが目的だからだ。
前にあった棟梁たちは前者で、今回は後者である。
どうする!どうするー!!!
やべぇやべぇええ!!!!
エストリア国、怪物と呼ばれたグローリー元宰相はどうしてこうなったのか分からずイラ立っていた。
兼ねてより計画していたクーデターである。
そもそもでいけば、レイド皇国を滅亡させる時から、計画していたことだ。
頂点に立ちたい。
王となりたい。
裏の権力者としてだけではなく、表の頂点としても。
権力を得ることは容易ではない。
前段階の宰相に上り詰めるだけで、何十年と掛かってしまった。
これでは王になる前に、寿命が来てしまう。
欲望は妄執となり、更なる欲望を生み出した。
勇者召喚を使い、邪神の力を利用してでも。
その秘術の秘密が、レイド皇国にあった。
1000年を超える昔、正邪の戦いがあったという。
それは神々の代理戦争?
勇者と魔王の戦い?
やがて邪神は封印され、次元の彼方へ。
だが、邪神の力を得た者は、多くの恩恵があった。
それは別の神話における天使と悪魔の関係に似ている。
悪魔は契約により人々に力を与える。
だが、天使は奇跡は起こせど、何も与えはしない。
グローリーが、どちらを選ぶか明白だった。
計画は順調であった。
レイド皇国は滅び、勇者召喚以外の秘術はグローリーの手の中にあった。
全てとは言わないが、世界の叡智の塔を使い、邪神を操る手法も。
エストリア国でも、怪物と呼ばれ、宰相の地位は不動の物となり、多くの優秀な者を自陣に引き込んだ。
狂い出したのは、いつからか。
魔王も邪神の出現も、予想外ではあってもグローリーの栄光へと繋がっていたので、何も狂ってはいない。
ナンバーズなど不要だ。
グローリーは単純な力など信じてはいない。
それはすぐに衰えるし、何より人ならば後ろから刺されれば死ぬのだ。
最強など、お笑い種だ。
だが、そうだ、あの名が愚民どもから聞こえ始めた辺りだ。
世界最強No.0。
曰く、全てを見通す千里眼を持つ大軍師。
曰く、万の敵すらも打ちのめす大将軍。
曰く、病の悉くを治療して人を救う聖者
曰く、最強にして無敗、世界の叡智の塔に刻まれるランクNo.1も超えた最強ランクNo.0
だが、その正体は一切不明。
男か女かオカマか、年齢も不詳なら、生まれも公爵家の捨て子だとか転生者とか生まれながらの救世主だとか、数え上げたらキリがない。
それら全てを合わせて、誰も見たことがないという。
なんだそれは?
グローリーは思った。
それではまるで頂点ではないか!
その場所はNo.0などのものではない!
この栄光の名を冠するグローリーの物だ!!
グローリーはその妄執こそが、世界の叡智の塔の影響であることに気付くことなく、己の欲望を肥大させ、ついにエストリア国に反旗を翻した。
それはある時まで、上手く行っていた。
ある時、、、それは無能なる者どもが、エストリア国王女を、取り逃がすという大失態をした辺りからだった。
さらなる致命的なズレが生じ始めたのは。
その頃から、王都の娼館辺りから、派閥の貴族の醜聞が流れ出した。
貴族は名誉を第一とする。
それが醜聞により貶められる。
それがなまじ事実であるために始末が悪かった。
ただでさえ、反乱側ということで、イメージは良くない。
中には表を歩け無くなった者も居る。
華々しい戦果でも有れば良かったが、あるのはその真逆。
3倍以上の兵が、一方的に機略により叩きのめされた事実のみ。
当然、その噂はこの王都まで流れて来ている。
それ故に、反乱時は勇んで王都に集まった派閥の貴族たちも、今では隙あらば理由を付けて領地に帰ろうとする始末。
しかも、しかもだ。
カストロ公爵領にコルラン国、帝国のナンバーズを集め、戦いになれば大国2国も援軍を送る様子を見せる。
それだけでなく、エール共和国、バーミリオンからも非難の声が上がり、カストロ公爵を支持する声明を発表。
冒険者や傭兵も、グローリー派には付かないと声を上げている。
エストリア国の2/3を手中に収めながら、逆に世界から見れば、全方位を囲まれ、完全に孤立してしまったのだ。
それを仕掛けたのが、カストロ公爵アレス。
だが、如何に優れた者であろうと、暗殺してしまえば良いのだ。
しかし!奴は何故かカストロ公爵領に、全く姿を見せない。
少しだけの間、領内で姿を見せたと思えば、また忽然と姿を消した。
これでは暗殺のしようがなかった。
そもそもカストロ公爵アレスとは何者なのだ!
ケーリー侯爵が、土地を譲渡した元ウラハラ国の公爵の遺児と言う。
コルランを追い返したのは、良くやったと言っても良かったが、事あるごとに、様々な場所で名前が上がる。
時には、元レイド皇国皇女メリッサを愛人として連れ回して、会談を行ったというよく分からない噂まで。
元レイド皇国皇女メリッサを手元に置いているならば、もしや真実を知ってしまっているかもしれない。
だが、それも本当のところは分からない。
まるで、そうまるで世界ランクNo.0のような奴だった。
噂通り奴が世界ランクNo.0だとしたら、、、。
No.0は魔王すらも指先1つでダウンさせた、という滑稽な噂まである世界最強。
派閥が崩壊するのは、時間の問題であった。
だが、軍を動かし、勝てる見込みもなければ、派閥貴族も完全に尻込みしてしまっていた。
軍を派遣したくても出来なくなってしまっていた。
その結果、何の手も打てず、グローリーはイラつく事しか出来なかった。
これがとある詐欺師の『嫌がらせ』の意外な効果であった。
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