ゴンザレスとNo.1、あとエルフ女③
「君たちの言う通りだ。」
え?何が?
エルフ女が耳打ちしてくれる。
「経験不足のことじゃない?」
ああ、そうか。
「ハムウェイ、、、。お前もハーレムを作りたかったんだな。
でも忠告しておくぞ?
マジで怖いからやめとけ。
なんでそうなったか全く理解出来ないから。
チョー怖い。」
「なんでここでハーレムの話になるのよ?
それは、アンタが手当たり次第に騙すからでしょ?」
「いやいや普通、そんな簡単に引っかからないよ!?
酒場のお姉ちゃん落とすのに、どれだけ金注ぎ込んだか!
アイツら知ってるか!?
S級のくせに注ぎ込まれるどころか、俺に注ぎ込んでくるんだぞ?
こえーよ?
俺、詐欺師じゃなくてホストだったっけ?」
「似たようなもんじゃない?」
ち、ちげーし!
知ってるか?ホストは結構、マメなんだぞ?
あと女性を食い物にする奴も、多いから気を付けろよ?
チンケな詐欺師の俺はそんなことはしない。
せいぜい、一時の夢を一緒に見るだけだ。
「チンケなホストって言い換えればいい?」
何か微妙な言い方に変わるからやめて?
「まあ、アンタは相手を幸せにしているから、まだ良いかもね。」
「へ?」
「自覚なしかい!」
そこで、おずおずとハムウェイが手を挙げる。
ハイ!そこのハムウェイくん。
「No.0はつまり、自分は詐欺師と言いたいのかい?」
「YES!」
「アンタ、No.1の前でそこ肯定したら、ダメなんじゃないの?」
、、、、、、。
「しまったぁぁぁあああ!!!」
ひーえー!命ばかりはお助けを〜!
だが、ハムウェイは今度は睨む訳でもなく、笑い出した。
頭おかしくなった?
「いや、もういいから。
君が本当はどうあれ、僕自身が未熟なこととは関係がない。
世界ランク1位だとか何とか、持ち上げられて、調子に乗って大切な人を失うところだった。
君の意図がどうであれ、僕が救われたことに違いはない。」
イケメンフェイスで、イケメンスマイルを浮かべる世界最強の男ハムウェイ。
あんた、、、騙されるよ?
「そう?それなら良いんだけど、、、。」
まあ、何にしても俺に害が無ければどうでも良いや。
そのタイミングを狙い済ましたように、馬車がノックされる。
いつの間にか馬車は停止していたらしい。
扉からひょこりと顔を半分だけ覗かせるように、ツバメが顔を出す。
「あの〜、、、もうお済みでしょうか、、、?
外にまで、イクとか昇天とか散らすとか聞こえたので、大分激しかったようですけど、、、。」
ん?
お済みってなんだ?
ツバメは扉を開け、俺たちを見てホッとしたような顔をした後、指をモジモジさせる。
「その〜ですね、、、。アレスさんが元男でも愛せる慈愛の人とは、噂で聞いてましたけど、、、。
その〜確かにハムウェイさんはイケメンさんですけど、、、。
お互い相手が居る身ですから、、、。
もう!エルフィーナさんも、ちゃんと止めないとダメですよ!
自分だけ一緒になって!
あ、いえ、私はアレスさん以外はご遠慮しますので、混ざったりはしませんが、、、。」
俺の背中に冷たい汗が流れる。
ははは、いやぁ参ったな、とハムウェイは苦笑い。
おい、まず否定しろよ?
エルフ女は堂々とした様子で。
「私は混ざってないわよ?
アレスが必死になるのを見てただけよ?」
おい!エルフ女ぁぁあああ!!!
お前、絶対分かって言ってるよな?
ふざけんなぁ!!
ツバメはエルフ女の言葉を受け、よろめく。
「な、何ですって!?見てた?
なんて羨ま、じゃなくてけしからんことを!
ど、どうするんですか!これでアレスさんが完全に覚醒して、真実の愛に目覚めちゃったら!
皆で見学するしかなくなるじゃないですか!」
「何をだ!?」
「え?ナニを?」
何処で覚えたんだ、そんなこと!?
ツバメは田舎出の純朴少女だったはず!
「帝国親衛隊で流行ってまして〜。特にNo.0とNo.1の伝説の絡みは1番人気で、チェイミーなんて3冊も購入して、、、。」
なんの流行り!?
外に出ると、3人の皇女王女元皇女が円になって、シクシク泣いている。
「ご主人様が〜、、、男に走ったぁ、、、。」
「どうしよ〜、皇帝候補が男に走ったぁ、確かに一部の国では男色は嗜みとか真実の愛とか言うけど、、、。」
「うう、、、やはり初恋は実らないのですね、、、。」
俺はどうして良いか分からず、円になった皇女集団に指を差したまま口をパクパクした。
あとカレン姫、俺は皇帝になんかならないからな!
絶対にならないからなぁ!!!
エルフ女は俺の肩をポンっと叩き、ニヤニヤ笑う。
「いやぁ〜、面白い事になったねぇ。」
誤解を解けやぁあああ!!!!