ゴンザレスとコルラン④
「嫌ですよ?」
その作戦はパーミットちゃんに、あっさり却下された。
「何でハムウェイさんの前で、他の男とイチャイチャしないといけないんですか?ご遠慮します。」
「何で、、、って、ハムウェイの動きを止めないことには、どうにもならない訳で、、、。」
「どうして、好きな人の前で他の男とイチャイチャしないといけないんですか?」
え?あれ?
じゃあ、前の時って、好意が分かっててイチャイチャしてたってこと?
え?それなら、、、なんで?
「え?だって、別の男と結婚するんだよね?」
「貴族ですから、結婚と恋愛は別です。
それにハムウェイさんは世界ランクNo.1ですから、ただの伯爵の娘ごときが手に入る方ではありませんから。」
え!?貴族ってそういうもんなの?
俺は確認する様にカレン姫と王女様を見る。
「あー、普通の貴族の感覚からしたら、そうかもね。」
「貴族同士の結婚は、家同士の結婚なので。」
カレン姫は苦笑いで答え、王女様は当然ですよ?と首を傾げる。
俺はパーミットちゃんをまた見る。
「そういうの、どうでも良くない?邪神だ、魔王だ、と大変なんだし、、、。」
「、、、アレスさんは、良いですよね。カストロ公爵で、自分で選べる立場で、、、。でも、私は、、、。」
ヤバい!泣かれた!!
誰かー!助けてー!!
フォロー!メリッサー!エルフ女ー!!
フォローぷりーーーず!
2人とも置いて来てしまったぁぁあああ!!
「あ〜、、、泣かない泣かない。大丈夫よ。この件が終わったらアレスさんが、何とかしてくれるから。」
カレン姫がパーミットちゃんをそう言って慰める。
俺は必死に頷く。
この件が解決したら、逃げるから大丈夫!!
パーミットちゃんを宥め、なんとか呼びかけだけでハムウェイを説得する方向で収まった。
「分かった。パーミットちゃん。
他の男とイチャイチャ案は撤回する。
俺がハムウェイに呼び掛けるから、俺が呼び掛けたら、とにかく頷くこと。
良いね?
一瞬でも迷ったりしたら、終わりだ。
とにかく頷く、出来るね?」
パーミットちゃんは、覚悟を決めた目で頷いた。
はー、逃げてぇ〜、、、。
パーミット事件により、俺の精神は限界であった。
これが世界の叡智の塔の恐ろしさか、、、。
エルフ女が、違うんじゃね?とツッコミしそうだ。
、、、なんということだ。
俺はいつのまにか、エルフ女のツッコミやメリッサのフォローがないと、生きられない身体になってしまっていたのだ!
恐るべし!S級調教。
、、、さて、作戦は実にシンプルだ。
今回の解決を邪魔しているのは、世界ランクNo.1のハムウェイに他ならない。
逆に言えば、ハムウェイだけ正気に戻してしまえば、なんとでもなる。
ということで、周りのそれ以外は有志一同に任せ、ナンバーズ2人でハムウェイを足止めとパーミットちゃんの説得で、薬を飲ませるか、潰すか、だ。
オススメは潰すで。
俺?俺が行ってどうする待機だ!
「アレスさんが行かないなら、私たちは行かないよ?」
カレン姫がそう言うので、仕方なく連れて行かれます。
怖いから守ってくれよ!?
そうして、ハムウェイと相対した訳だけど、まー、禍々しいオーラですこと。
ふーふー、と怪しい白い息を吐いてるけど、目は虚ろ。
ツバメとカレン姫が油断なく身構える。
本能のままに攻撃してくるから危険らしい。
怖い怖い、さっさと終わらそう。
世界の叡智の塔は『その人が持っている、もっとも強い欲望を刺激する』というわけで。
それは別に正邪関係なくであって、、、。
ならば、分かりやすく欲望を刺激してあげれば解決する。
「おーい、ハムウェイ!今ならパーミットちゃんが口移しで、薬飲ませてくれるって〜。」
パーミットちゃんは、俺に言われた通りよく考えずに、素直に頷く。
ハムウェイは、ぴたっと動きを止めてこっちを見た。
まだ目は虚ろ。
パーミットちゃんは頷いた後で、え!?と驚く。
詐欺師の言うことを素直に行動したらダメよ?詐欺だから。
「ほら!薬持って、早く!ハムウェイが動きを止めている間に!」
俺はパーミットちゃんに薬を渡し、ハムウェイの方に背中を押した。
こうして、正気に戻ったNo.1により世界の叡智の塔は破壊され、ハムウェイ暴走事件コルランの乱は終わった、、、。
評価お願いします。