ゴンザレスとエストリア②
「あれはそう、俺がまだ純真で、詐欺師の駆け出しの頃だった。」
「純真で、詐欺師って何?
後、詐欺師って、メリッサに宣告して良かったの?」
そこのエルフ女うるさい!
黙って聞くのだ。
俺はある美人と評判の飲み屋の女に、入れ込んでいた。
女も俺に、ことあるごとにアプローチして来て、俺は有頂天になった。
「それってただの飲み屋女の営業じゃあ、、、。」
俺はエルフ女の呟きを無視して、話を続ける。
そして、見事に一晩のデートに誘い出した時、俺はイケると思い、宿の部屋に連れ込んだ。
だが、そこに恐ろしい筋肉ムキムキのマッチョが、突入して来た。
テメェわりゃあ!誰に断って人の女に手を出してんだ、あぁん?と。
「テメェとわりゃって、同じあんたという意味よね?なんで繰り返したの?」
そこはこだわるところではない。
大事なのは、ここからだ。
兄ちゃん覚悟出来てんだろうなぁ?
だが、ワイも鬼やない。
有り金全部とケツの毛で許してやらぁ。
、、、そうして俺はケツの毛までむしられた。
、、、ふっ、俺はその時生まれて初めて、自分のケツの毛を見たのさ。
「、、、心の底から、聞きたくなかったわ、そんな話。」
だが、恐ろしいのは、そこからだ。
「まだ続くんだ、、、。
流石に怖くなって来たわ。」
エルフ女にも、この恐怖が伝わったようだ。
何故、ケツの毛をむしったのか。
考えれば分かることだった。
宿の一階から、とっても野太い声が聞こえて来た。
『あっら〜ん?今度の子もヤンチャしちゃったのね〜?ワタシのアッツ〜イ棍棒でお仕置きしてあげなくちゃ♡』
『アニキ!おねげぇしやす!』
その瞬間、ゴキっと何かが粉砕される音がした。
その後、もっと野太い声で。
『姐さんと言いやがれ!ブチ殺すぞ!、、、いやぁ〜ん、楽しみの前に拳に血が付いちゃった♡』
、、、俺は逃げた。
スラムで生き残るよりも必死に。
窓を身体で突き破り、全力で。
その後は覚えていない。
気が付くと、俺は隣の街の門の前に居た。
無事に生きて、、、。
俺は当時のことを思い出し、自身の身体を抱きしめ、あまりの辛さに涙する。
エルフ女が尋ねる。
「え?それで?」
「わりゃー!!エルフ女!!怖かったんだぞ!本気で怖かったんだぞ!
ケツの毛までむしられて、食べられる準備させられたんだぞ!!
この恐怖が貴様にはわからんと言うのかー!?」
俺は叫ぶ、心から。
「、、、仕方ない。もう一つ、とっておきの話をしよう。
これは今まで、誰にも語ったことがない話だ。」
「え!?まさかさっきの話は誰かに話したことあるの!?
やめときなって、ドン引きされるよ?」
飲み屋の姉ちゃんに笑い話で話したら、ドン引きされたよ、、、。
で、とっておきの話だが。
「あ、話すんだ。」
無論、そうでないと何故俺がS級美女を恐れるか理解して貰えないからな。
「聞いても理解できる気がしないけど、、、。」
それは聞いてからいえ!
「あれはそう、俺が詐欺師に慣れ始めた頃だった。」
「詐欺師は慣れたら、ダメ人間真っ直ぐらよね。」
だまらっしゃい。
美人で評判のお水のお店のお姉ちゃんに、入れ込んでいた。
「アンタの女性遍歴が物凄くはっきり分かったわ、、、。」
そうだろ?
俺もなかなかモテるのだ。
「そのポジティブさが最近、生かされて無いわね?」
俺はエルフ女の呟きを、無視して話を続ける。
女も俺に、ことあるごとにアプローチして来て、俺は有頂天になった。
「何故そこで、お水の営業だと気付かない?」
そして、見事に一晩のデートに誘い出した時、俺はイケると思い宿の部屋に連れ込んだ。
そこで、でっかい壺を売り付けられた。
俺はその女との未来のために、その壺を買った。
「そんな壺を買わされて、その女とどんな未来が存在するのよ、、、。」
そして、女は何事もなく帰って行った。
次の日、店にはもう女の姿は無かった、、、。
俺も悲しみととも、その壺を持って旅に出ようとして持ったら重たくて、思わず落としたら割れちゃってさぁ〜。
あの時は悲しかったなぁ。
「詐欺師が、詐欺られてるんじゃないわよ、、、。」
、、、わかったか?
これがアプローチしてくる女を恐れる理由だ。
ましてや、S級美女だ!
何を要求されるか!?
軽〜く、世界でも救って来いと言われてもおかしくない!
「あんた軽い感じで魔王倒して、世界救って来たところだけど?」
あんなのは、ただ騙されただけだ。
「どんなに騙されても、魔王って倒せないと思うなぁ、、、。
でも、理由は分かった。」
分かってくれたか!
「メリッサいいの?こんな奴で。
すっごく下らない理由で、抵抗してるだけだったけど。」
「下らないとはなんだ!重要だぞ!」
俺の聞くも涙、語るも涙のお話を!!
メメは、こめかみを揉みながら、答える。
「、、、自分でもあまり認めたくないですが、こんなのでも、これが良いのです。」
エルフ女はため息を一つ。
「アンタもほんと難儀な女ね。
分かったわ。
メリッサが良いなら、それでいいのよ。」
エルフ女は馬車を止めさせ、全員に休憩を言い渡す。
「暫く、休憩しておくから、その間に分からせてあげなさい。
じゃ!頑張るのよ、メリッサ。」
そう言って、エルフ女は馬車の扉を、バタンと閉める。
あれ?何が起こるの?
「、、、さて、ご主人様。私が今までの女性とは違うことを、分かってもらうしかないですね?」
隣にそっと座り、俺の足に手を置きにこり。
あっら〜メメちゃん、さすがS級美女!
い〜い笑顔ね!
そして、、、。
アーーーーーーーーーーー!!!!!!!
分かりましたでやんす。