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世界最強、その名はランクNo.0彡☆  作者: パタパタ
邪神編
110/163

帝国とゴンザレス⑧

 メリッサ元皇女が帝国諸官に述べた内容は、あまりに衝撃的なものだった。


 世界ランクナンバーズすらも、敵わない相手にただの一撃。

 にわかに信じ難い話であった。


 だが、帝国が誇る3人のナンバーズがそれを認めた。

 ましてやその1人は帝国皇女カレン・シュトナイダー、世界ランクNo.2。

 虚偽を述べる筈がない。


 今回の式典は、事情上今まで表に出て来なかったNo.0に対するものでもあった。


 帝国はカストロ公爵アレスであると同時にNo.0への無条件の支援を公式に認めた。


 それが世界にどんな影響を及ぼすか、人々が知る日はそう遠くないだろう。


 暴かれ始めた世界の叡智の塔の謎。

 果たして、人類は生き延びる事が出来るのか。


 蠢き始めた邪神に対し、人類はなす術はあるのか?


 世界の叡智の塔、そこに刻まれた世界ランクナンバーズ。

 そこにNo.0の名は、ない。







「あんたも大変ねぇ〜。惚れた男といるための正当性を用意しないといけないんだから。」


 エルフィーナは相変わらずソファーに寝そべり、何個目か分からないフルーツを齧りながら、メリッサにそう言った。


 アレスは祝典の前に準備のために、用意された部屋に戻るや否や、豪華な服のままばったりとエルフィーナの対面のソファーに倒れ込み、すぐに気絶するように眠りに落ちた。


 メリッサはアレスが寝転ぶソファーに座り、アレスの頭を太ももに乗せる。


 アレスは既に気絶しているのか、誤解だー、誤解なんだーとうなっている。


 その頭をメリッサは優しく撫でながら、エルフィーナの言葉にはそっぽを向く。


 いくらレイド皇国が滅びたとは言え、帝国に保護され、社会的な立場を保ったままのメリッサには、立場というものが残っている。


 この辺りは世界ランクNo.8のイリス・ウラハラとは、同じ亡国の王女であっても立場が大分違う。


 ましてや、すでにイリスがカストロ公爵の庇護下にあることは、カストロ公爵の名が世に出て来た時から、周知の事実だ。


 個として、アレスに付き従ったとしても、正式に、となるとそういう訳にはいかない。

 だが、今回の出来事により、公式的にメリッサは、カストロ公爵アレスの側に控える者としての立場を示して見せた。


 そしてまた、カストロ公爵アレス、いや、No.0がそれに足る人物であることも。


 明らかにアレス本人は、望んでいないことではあるが。


「ま、アタシは面白かったら、どっちでも良いけどね。」

 エルフであるエルフィーナからすれば、立場云々などただの面倒ごとに過ぎない。


 エルフィーナにしてみれば、役目故に魔王との戦いで死ぬ事になるとばかり思っていた。


 それをS級美女に膝枕をされながらも気付かずに、誤解だと唸りながら眠る男に強引にくつがえされてから、もはや人生はボーナスステージである。


「なーにが、誤解なんだか。

 きっちりあんたが『やっちまった』ことでしょうに。

 メリッサもさっさと、こいつにNo.0ではなく詐欺師って分かってるって、伝えたら?」


 こいつとアレスを指差し、メリッサを見る。


「このお方はNo.0です。」

「あん?」


 メリッサはそれ以上何も言わず、アレスの頭を撫で続ける。


 エルフィーナはそんなアレスを呆れながら見る。

「おーい、あんたの大好きなS級美女にここまでされてるんだから、ちょっとは頑張りなさいよ〜。」

「、、、良いのですよ。ご主人様は十分頑張ってくれてます。」


「アンタねぇ、、、。それがダメ男をさらにダメにするのよ?

 まあ、こいつも女を不幸にしている訳ではないから、まだ良いんだろうけど。」

 むしろ、何故か関わる相手を幸せにすらしてる。


 ちょっと自覚があるのか、メリッサは目を逸らす。



「まー、この男も魔王を『やっちゃった』時点で、どう取り繕うと誤解も何も無いほど、世界的な英雄になっちゃってるんだけどね。」


 アレスのことだ、気づいていない事だろう。

 彼だけは気付いていない。

 既に詐欺師と名乗ろうが、英雄の実績が本物である事に。


 そして、彼以外にこの世界に、No.0を名乗った者が過去現在、ただの1人もいない事に。


 彼だけは気付いていない。


「いや、気付けよ!」

 思わず、エルフィーナは唸りながら眠るアレスに、突っ込んでしまった。

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☆【世界最強、その名はランクNo.0彡☆の真相編先行版はこちら、近い内全て再掲予定。
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世界最強、その名はランクNo.0彡☆真相編女神陥落
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