帝国とゴンザレス⑦
「なんでだー。何故だー。」
「あんた、また面白いことになってるわねぇ〜。」
俺が昨日よりも豪華な服を、メイドに着せられている間、エルフ女は優雅にソファーに寝転びフルーツをかじっている。
「おい!こら!エルフ女!立場変われ!」
「むーりー。大体、これはカストロ公爵に対する祝典でしょ?
アタシ関係ないもの。
カストロ公爵なのは認めたんだから、諦めなさいよ。」
認めてない!認めてないぞ!
あんなのは、気の迷いだ!!
「ご主人様、ご用意出来ましたか?」
ドレス姿のメメが、いや、とーっても高貴な雰囲気たっぷりだから、メリッサ様と呼ぶべきか?
「はは〜、メリッサ様。本日もお美しい!」
心底そう思う。
メリッサ様はとーっても、複雑そうな顔をする。
「お褒め頂くのは嬉しいのですが。
メメです、ご主人様。
今更です。」
今更、、、、今更なのか、、、。
どう見ても上級貴族のメリッサ様に散々、ご主人様呼ばわりされた俺って、一体誰だ!
「それはともかくとして、陛下をお待たせしてはいけません。
行きますよ、ご主人様。」
ずるずると連れて行かれる俺。
おい!エルフ女!ハンカチ振るな!!
是が非でも、逃げるんだった、、、。
絶対、逃してくれない気配タップリだったけど。
お!No.9ツバメに、ソーニャちゃんに、チェイミーも。
チェイミーはちょっとだけ笑顔を見せてくれて、すぐ真面目な顔に戻る。
居並ぶ大臣及び文武諸官、貴族たちも居るね!
そこに豪華な服を着た詐欺師が登場!
はっはっは!
ちっくしょーーーーー!!!
何で、何でこうなった!?
騙された!騙されたんや〜。
詐欺には気をつけて!
後ろからは付き従うように、高貴バージョンメメが付いてくる。
その前を行く、俺って何?
そうすると周りがざわざわし始める。
「何故、メリッサ皇女が!?」
「噂は本当だったのか!」
「では、奴が。」
真ん中まで来ると、見えないように後ろから、メメが服を引っ張る。
ここでストップらしい。
しばらく待つと、皇帝陛下と年増の美女と初老の神経質そうなハゲた爺さん。
帝国皇女様は、高貴っぽい男女沢山と一緒に横に並んでる。
あれ全員子供か?
皇帝陛下すげ〜。
居並ぶ人々が一斉に頭を下げる。
慌てて俺も頭を下げようとして、後ろから。
(ご主人様は、声をかけられるまで、そのままで。)
メメがフォローしてくれるらしい。
だから一緒に歩いてくれたのね?
でもそもそも、俺、何でここに来させられたの?
説明プリ〜ズ。
「皆の者、面をあげよ。」
全員が顔を上げる。
「カストロ公爵アレス殿。」
(返事。)
「はい。」
「まずは、礼を言おう。帝国火急の折、帝国皇女と帝国そのものを救って頂き感謝する。」
皇帝陛下が頭を少しだけ下げる。
おー、、、!と周りが騒つく。
ちょっとおおお!!
なんで皇帝陛下が俺に礼を言うの!?
誤解!誤解だから!!
(メメ!誤解が!)
(しっ!黙ってて下さい。)
誤解がー、誤解なんだー!!
「帝国としては、貴殿が必要と思う事があれば、何なりと力を貸すことを誓おう。」
おおお〜!!と先程よりずっと大きなざわめき。
ただの詐欺師に何を約束してんの!?
あり得ない!あり得ないと言ってーー!!!
「時に貴殿は、魔王討伐に於いても、多大なる功績を挙げたとか、、、。」
「それについては、わたくしからご説明させて頂きます。」
高貴メメが進み出る。
(た、頼んだメメ!)
俺、魔王討伐なんて何もしてないから!
ちゃんと説明してくれ!
コクンと頷くメメ。
すっと皇帝陛下を見、メメは口を開く。
「多大なる貢献など、とんでもない。」
(おお!!メメちゃん!)
俺は感動。
信じてたぞ!メメちゃん!
メメはさらに告げる。
「魔王を討伐出来たのも、ひとえにアレス様のお力によるもの。
アレス様が居なければ、ナンバーズも含み、我々は全滅していた事でしょう!」
メメーーーーーーーーーー!!!!!
あんた、なんばいいよっとぉおおお!!
「なんと!?それは真か!」
皇帝陛下がわざとらしく驚く。
皇帝陛下、あんた絶対事情聞いてるよね?
「はい。
アレス様は1人また1人と脱落していく中、剣聖の担い手と最後に魔王の下に辿り着き、更には、剣聖の担い手も諦めようとしていたその時、ただ1人諦める事なく魔王を討伐致しました。
それもただの一撃でもって。」
1人1人足止めで、残っただけやないかーい!
諦めようとしたって、倒すことを諦めようとした訳じゃなかったけど?
話聞いたんだよね?
「バカな!!それほどの?」
皇帝陛下が椅子から立ち上がり、実にわざとらしく驚く。
周りもそんな!!とか、バカな!これがNo.0!とか言いながら驚く。
そこで、並んでいたドリームチームのメンバーが進み出る。
代表で帝国皇女様が口を開く。
「事実です。私たちは最初に脱落し、もうダメだと思ったところを救われました。」
皇女様まで救うとは!とか。
ナンバーズを救って見せるほどの力か、とか。
あああああああああ!!!!
もうどうしてこうなった!?
あんたら、マーカー付けた後に、一緒に魔王城から逃げただけやないか!!
それを救ったと言うんか!言うんかー!!
皇帝陛下は、俺を真顔で見て尋ねた。
「アレス殿。魔王を一撃とは、真か?」
(嘘だけは、不敬罪になりますからダメですよ?)
メメ〜、、、。
一撃か一撃じゃないかって、、、?
「、、、真です。」
一撃だよ!
聖剣ぶっ放して、どかーんだよ!!!
皆の者!!話に嘘が一つも無いけれど、騙されてるぞーーーーー!!!!!!