ゴンザレスと魔王⑨
星貰ったら一気にゴー( ゜д゜)
「だって、どう考えてもおかしかったじゃないの!
カストロ公爵領に滞在した時も、しきりにカストロ公爵様と何処でお会いに?とか。
カストロ公爵様は素晴らしいお方でしょ?とか。
アタシ、滞在している間、あんた以外にカストロ公爵と呼ばれる人なんて、会ったことないし。
ていうか、どう見てもイリスとか領内の人に慕われてるの、あんたでしょ!!」
エルフ女の猛攻に、俺はついに跪く。
そして、心の叫びを口にする。
「気付くよ、気付くさ!気付くに決まってんだろー!
けどさ!何処の誰が、ただの詐欺師を公爵様と呼ぶんだよ!訳ワカンねえよ!
公爵って何!?貴族で王族の血筋じゃねぇの!?
詐欺師は普通、普通じゃなくても、公爵にはならねぇよ!どうしてこうなった!?」
その俺の肩にエルフ女は、優しく手を置く。
まるで自首をした犯人を労うように、、、いや、ダメ押しするように。
「思ってたんだけどさ、、、。
帝国、エストリア国、コルラン国、エール共和国でカストロ公爵アレスと認められたなら、血筋とか関係なく、もう公爵なんじゃない?
地位とか元々そういうもんだし。
、、、それに結局、カストロ公爵として、色々やらかしてたの、あんたでしょ?」
それは、どうしようもない事実。
始まりは、イリス・ウラハラと行った詐欺。
でも、亡国の唯一となった王女が、公爵って言えば、公爵なんだよね、、、。
なんでか知らないけれど、エストリア国内相ケーリー侯爵が土地をくれた。
これでエストリア国もカストロ公爵アレスを承認したことに。
その領でイリスが俺に指示仰いできて、、、でも、領地経営なんて出来るわけないから、思いつくように適当したら、なんか有能な奴らが揃ってた。
そのすぐ後にコルラン国が攻めて来たから、逃げ出したら、救国の英雄になってた。
その後、メメに乗せられ、帝国貴族カストロ公爵アレスを名乗って、商業連合国に詐欺、、、詐欺?
帝国が承認してるなら、詐欺じゃなくて帝国貴族カストロ公爵アレスが行った会談だよね?
次にエール共和国での詐欺、、、あれ?これも帝国貴族カストロ公爵だから、帝国が、、、以下略。
この後、何故かエルフ女と一瞬にカストロ公爵アレスとして、エストリア国からまた土地を貰った。
最後にコルラン国でNo.1に外交に連れて行かれ、カストロ公爵アレスとして参加しちゃった。
「そうだよ!俺だよ!エストリア国内相から土地もらったのも、領内の優秀な奴ら選んだのも、商業連合国元首から、セントラル川周辺帝国に譲渡させたのも、エール共和国代表と話したのも、何故かサルビア大要塞周辺を貰ったのも、ついでにコルラン国に土地貸出の代わりに奴隷譲ってもらったのも、全部俺だよ!」
ポンと、またエルフ女は俺の肩を叩く。
両手で顔を覆い、俺は嘆く。
「なんでだよ!詐欺する前に、詐欺師に騙されんなよ!もっと、疑えよ〜、、、。」
「アレス、、、あんた詐欺師に向いてない、ううん、向きすぎてんのよ。
、、詐欺師、やめな?」
チャーラーラー♫
そんな物悲しい曲が、俺の頭の中で響く。
「うう、、、俺、この戦いが終わったら、詐欺師辞める。」
「そんなこと言ってると、またフラグ立つわよ、、、?」
またって何?またって。
エルフ女も最後だからって言ったじゃん。
「、、、あと、ここからは私1人で行くから。安全なところまで逃げたら、スイッチ押してね。」
エルフ女は階段の先を見る。
「あ、そう?じゃ!頑張って?」
「今生の別れだってのに、寂しいじゃない。
まあ、あんたならそう言ってくれそうだから、スイッチ任せるんだけどね。」
「今生の?」
「そ、今生の。『剣聖の担い手』意味分かる?」
分かる訳がない。
むしろ、意味あったの?
「聖剣をね、刺した状態で担う人。
、、、つまり、あの聖剣は自爆攻撃って訳。
マーカーもさ、相手が気付いたら、外されちゃうでしょ?
だったら、誰かがそれまで時間稼ぎしないといけない。
その役目が、私ってこと。
勇者が代わりに聖剣を使うのは最終手段。
エネルギーの全ては勇者でも、耐えられるものじゃないからね。」
妙に晴れやかな顔で笑う。
「言いたいことも言ったしね、思い残すことは、ない、かなぁ、、、。
あんたに『此処からが人生の始まりだな。』って言われてからさぁ、本当に毎日、楽しかった。
、、、ありがとね。
こんな運命の私でも、少しは意味あったのかな?って思ったよ。」
少し泣きそうな顔をするエルフ女。
「ふーん、そっか。
じゃあさ、せっかくだし、もしも生きてたら俺の言うこと1つ、何でも聞いてくれよ?」
エルフ女は、呆れたように泣き笑いの顔に。
「何よ?なんでもって。」
「何でも、だ。
忘れてるかも知れないから、先に言っておくが、あの時の契約は期限決めてないから、現在も継続だぞ?」
いよいよ、呆れ顔で、でも今度は泣き顔ではなく、笑顔で。
「良いわよ。
『なんでも。』
、、、あと、忘れてないわよ。
契約だしね。
あの2人、ほんと怖いんだから、配慮してよね?」
それはエルフ女にとって、あり得ない未来の約束。
俺は肩をすくめて見せ、
「契約成立、だな。」
ニヤリ、と笑う。
エルフ女は、早まったかなぁ〜っと苦笑いで呟く。
クックック、もう遅い。
世の中、迂闊に『なんでも。』なんて言ってはいけません。
詐欺師に、はめられますよ?
「そこの天井の向こうに魔王が居るんだよな?」
「う、うん。」
エルフ女は戸惑いながら、頷く。
「あの天井にマーカー貼り付けとけば、良くね?
そのまま聖剣飛んで来て、魔王はフロアごと吹っ飛ぶし。
エルフ女なら、天井までジャンプ出来るだろ?」
直接、魔王に貼り付ける必要、ないだろ?
こうして、魔王は滅びた。
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