表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/18

#4 「事件に巻き込まれた件について。」

「…い、今なんて言いました…?」


「彼女にはICがない。彼女はアイドルにはなれない。」


 先輩の一言はあまりに重く、思わず目眩を感じてしまう程痛烈だった

『IDOL CHARM』…通称『IC』

 生まれながらにしてアイドル活動に必要なスキルを発現させる特殊能力

 それがないということは、即ち今の世界において()()()()()()()()()()()()()()()()と言われているようなものだ


「だ、だけど…テルの歌はあんなにも魅力的で…立ち止まって聞いていたお客さんたちも笑顔で…。」


「知り合いだらけの商店街の片隅と、今日のようなきちんとした舞台は同じか?」


「それは…っ!!」


 思わず言葉に詰まってしまう


「公、俺はな…もう見たくないんだよ、足元が浮ついたままステージに立たされて、右も左もわからないまま批評されて、()()()()()()でこの業界を理解したときには既にお払い箱。わかるか?」


「先輩…。けど、俺…それでも!」


「納得がいっていないのは()()()()()()()()にか?それとも未だに()()()のことを…。」


「違います!!」


 ()()()の話題が出そうになり、思わず勢いで否定してしまう

 先輩は一瞬驚いたような反応を見せたが、すぐに元の呆れ顔へと戻った


「…昔のことは関係ないです。俺はただ…信じたいんです、テルを…テルの夢を。」


「…公、お前…。」


『キャアアアアア!?』


 突如として生まれた二人の沈黙を割くように、ステージの方から女性の悲鳴が聞こえてくる


「なんだ!?」


 テルに何かあったのかもしれないと思い、俺は急いでステージの方へと向かった


 _____


 ステージへ向かうと、そこには仮面舞踏会でつけられていそうな目元だけのマスクをつけた謎の男と、その男の手によって拘束されている司会進行担当のアイドルがいた


「た、助けて!!」


「不審者か…?嫌がってるだろ!その子を離せ!」


 仮面の男は不思議そうにこちらを見つめてくる


「あれ?うーん、()()()()()()()()()()()()()()?」


 動けている…?どういう意味だ…?


「…まー、いっかァ。ルートビ!ミュージックスタートだ!」


『かしこまりました…。』


 スピーカーから別の男の声が聞こえてくる

 相手は二人組か…


「何をする気だ!?」


 問いかけを無視するかのように、スピーカーからクラシック音楽が流れ始める

 それと同時に、拘束されていた子や観客たちが一斉に踊り始める


「な、なんだぁ!?お前、何をした!?」


「…なんか知らんけど、やっぱり君には()()が通用しないみたいだねェ。邪魔だなァ。」


 …何が起こってるんだ…?

 周りのやつらは…どう見ても好きで踊ってるって感じではなさそうだな…

 となると、こいつが言ってた()()ってやつで踊らせているのか…?

 一体何のために…?俺はなんで動けている…?

 いや、そんなことよりもテルは無事なのか…?


 とにかく警察に通報をしようと、俺はすかさず携帯を取り出す

 が、どこからか現れた糸のようなものに取り上げられてしまった


「なんだ!?」


「あははッ!通報なんてシラケる展開、させないよォ?」


 くそっ…どうなってやがる…?

 今この場で動けるのは、きっと俺だけだ…

 それなら…!!


「…お前をぶっ倒せば、なんとかなりそうだな。」


「出来るものなら、ね。」

《制作秘話》

【呼音テルの名前の由来】

だいぶ昔に考えていたオリキャラで、ボカロっぽい名前をつけたくて、ちょうど目に入った電話から考えた。 (呼音=着信音、テル=TEL)

ちなみに電話要素は特に考えていない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ