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あじさいの花びらって、「がく」なの知ってた?
「それなら、私たちは見せかけを褒めそやしているのね」
両脇につらつら連なる花に合わせ大したことのない雑学を披露すると抑揚のない声が返ってきた。
声はまるで今まさに降りしきる水のように何の色も宿さなかったが、その口元には淡く、やわい笑みが浮かんでいる。雨の気配のようなかすかさだ。
「あじさいって人間みたい。周りの環境に染まって色を変え、見てくれだけは立派なんて」
人間をそんなふうにくくるなんて、かわいそうな人だ。でもそうせざるを得ない来し方だったんだろう。
この人は、花びらがちゃんと美しい花だ。あじさいとは違う。
でも、少しの毒を含んでいるところだけは似ているのかもしれない。
厚労省の報告でもあじさいの毒についてはよく分かっていないようです。そもそもあるのか無いのか、そこからの話。
もっと色々書き込もうか悩んだんですが、これくらい関係性や人間性がふわっとしてる方が合うかなあと思いとどまりました。
いいねありがとうございます。
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