あやめとショウブは別の花。
あやめはアヤメ科アヤメ属。ではショウブは? なんとサトイモ科。漢字は同じ「菖蒲」なのに。似ている花として挙げられるカキツバタはと言えば、こちらは同じアヤメ科アヤメ属、でも漢字は燕子花、杜若。
根津美術館の「燕子花図屏風」に焦がれていた。金一色のまばゆい背景に、つらつらと咲き並ぶ濃い青色の花。まだ暑さの伴わない日ざしと風を感じる初夏にふさわしい絵。今年は展示の時期がコロナで休館になってしまった。枯れない花は、次いつその姿をあらわすだろう。
青と金の取り合わせは、ただただ美しく、無性に心ひかれる。
なんて書いてあるかも分からないのに、紺紙金字の経典に目を奪われたことがある。深みのある青の紙と、整然と並ぶ金の漢字はまるで星空のようで、その教えが理解できずともこの経典を貴んだ人はいたと想像するのは容易い。美はつよさである。
青と金なら、宇野君とトゥーランドットの衣装もすてきだ。
「誰も寝てはならぬ」と過ごした夜と、まだ暁の遠い空に浮かび煌めく星を彷彿させる色遣い。これ以上なく選曲にふさわしい二色だった。あの夜、きっと、確かに彼は一等星を戴いた。
夢のように魔法をかける色。生まれ変われるなら、こういう存在になりたい。
早口で語るオタク。
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