軒下のツバメの巣が、夢。
いつかはバレるだろうと思っていた五股がとうとうバレた。
恋人達はこぞって自分と結婚しろと捲し立てる。さて、どうしたものか。穏当に四人の男に諦めてもらうべく、ここが正念場、腕の見せ所である。
〝では、私のほしい物をいち早く用意できた人と、そのまま結婚しましょう〟
淑女のほほ笑みを忘れずに提案する。
家柄でも資産でも顔でも地位でもない条件に、全員が平等だと納得した。そこで早速、要望を述べる。
一番地位のある男には――――滑らかな手触りと高いデザイン性でまさしく西洋磁器の頂点に君臨する、マイセンのティーカップ&ソーサのセットとプレートを。
一番家柄の優れた男には――――まるで銀糸を刺繍したかのような葉が美しい、今では入手方法が限られている育てる宝石、宝石蘭を。
一番土地を持つ資産家の男には――――色・ツヤともに上質で毛皮の中で最も高級な素材、黒貂のコートを。
一番顔の良い男には――――あてた光の種類でコニャック色から緑・ピンク・赤・黄と五色にカラーチェンジし、産地が限られているため流通数の少ない希少なジュエリー、ズルタナイトを求めた。
そして最後の本命には。いたって簡単に入手できる物を願おう。その上更に、あなたの子供を産みたいと出産をほのめかす品を。
「子安貝の一つとりて給へ」
元ネタを鑑みるにこのままでは本命が死にますね。
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