第1章−6.WHERE AM I ?
私がいたのは、どこかの部屋だった。
机やベッド、本棚、コンポなどが置いてあるのはわかるが、今までの記憶にまったく無い部屋である。
自分の部屋に置いてあるような、可愛い小物類はまったく無い。部屋の雰囲気から察すると、どうやら部屋の主は男の子のようである。
ふと、光が差し込んだ。ドアが開いて誰かが入ってくる気配が感じられた。
電気が点いて・・・
私はその人に見覚えがあった。
名前は、確か三月・・・慎太郎くんだったと思う。学校のクラスメイトの男子だ。頭が良くて、テストでは毎回上位の成績に入っていたように思う。彼自身は、どちらかと言うと冷静沈着なイメージだが、いつも一緒にいる伊折君が結構お調子者だったりするので、クラス内においても、それなりに存在感はある。
なんで、その三月君がここに・・・!?
そう言えば、ごく最近彼に会ったことがある! もちろん学校では毎日のように当然なのだが、そうじゃない。
どこかもっと別の場所。確かどっか屋外の・・・そうあれは・・・。
三月君は、どかっ、とベッドに寝転ぶと、おもむろに学校のカバンの中から何かのプリントを取り出し、横になったままそれを読み始めた。
その時である。
「慎太朗!ぐずぐずしてないで、さっさとお風呂に入りなさい!」
遠くの方から女性の声が聞こえてきた。
・・・ひょっとして、ここって三月君の家?今のってもしかしてお母さん?
私はようやく察しが付いた。
しかし、だとすればどうして私が三月君の家に?
と、言うかそもそももっと根本的な違和感を私はさっきからずっと感じていた。
見える景色が明らかにおかしい。
何というか・・・部屋の中のありとあらゆる物が大きい。三月君はとてつもなく巨人だ。さっきまで、今の自分の状況にまったく頭が付いて行かなかったが、これはまるで自分が小さくなってしまったよう・・・。
私は、とりあえずこの状況を何とかしようと思った。とりあえず、私の存在を彼に気付いて貰うしかない!
でも、そこで私はまた一つ気が付いた。
体がまったく動かなかった・・・。