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第1章−5.夢

 翌朝、三月の目覚めは最悪だった。

 

 

 クラスの重い空気を想像して教室に入ると、いきなり行方不明になっていた筈の彼女が、


「あ、三月くん、おはよう!」


と言いながら笑顔で挨拶してくれた。



左田?!お前・・・、どこ行ってたんだよ!

 

 みんな心配してったってのに、あまりのあっけらかんとした彼女の態度に三月がちょっと声を荒げると、左沢はちょっと驚いた感じで、


「?」


という顔をした。まったく本人には自覚が無いらしい。しかし更に、左沢の近くにいた女友達でさえ、


「みつきー、あんた何怒ってんの?」


などと訊いてくる始末だ。

 


 なにって、お前・・・、左沢は昨日から行方不明だった・・・


 「はあ? あんた何ネボケてんの? なんか夢でも見たんじゃないの?」


 

 夢?


 

 そうか、あれは全部夢だったんだ・・・。そうだよな!そんなクラスメイトが行方不明なんてドラマじゃあるまいし、そんんあ現実に起きる訳無いよな。

 


 なーんだ、夢オチか。


 


・・・三月ははっと目を覚ました。辺りはまだ暗かった。


 

違う!



こっちが夢だ。


 


でも、ひょっとしたら左沢が居なくなったのも本当に夢だったのかもしれない。そうだ!きっと今日学校行ったら彼女が居るに違いたい。

 

いや・・・そう願いたい・・・。

 

 しかし、三月の僅かな願いも虚しく、学校へ行くと今日も彼女の影は無く、クラス中もずっと沈んだままだった。伊折と交わした会話も今日は「よう」と「ああ」だけである。

 帰り際、いつものように三月は伊折と帰ろうと誘ったしたが、


「スマン、今日ちょっと寄ってくとこがあるんだ。」


と断られてしまった。本当に寄る場所などあるのかどうかは知らないが、無理やり伊折についていく程三月は身勝手でも空気の読めない人間でもない。この日は諦めて、一人で帰ることにしたが、何となく面白くない。

 

三月はコンビニに寄って行くことにした。



 コンビニに入ると、同じ制服を着た連中が何人か立ち読みをしていた。


こいつらの勇気にはまったくもって恐れ入る。・・・と言うのも、元々登下校中の寄り道は校則で禁止されているのだが、前々から下校中の買い食いをする生徒が多々いることが問題になっていた。

 そこで、ときどき藤木率いる生徒指導部が見回っているのだ。

 当然いつ現れるかはわからない。最近はあまりやっていないようだが、だからと言って油断しているといつ罠に掛かるかわからない。


 もちろん、制服のままこのコンビニに入った時点で三月も同罪なのだが、恐らくさっと買ってすぐに出れば大丈夫だろう、というのと、左田のこともあったkらだろうか?何となく今日は別に見付かってもいいや・・・なんてちょっと暗黒面が顔を出したりしていたのであった・・・。


 とりあえずそんな立ち読み連中を一瞥しつつ、ドリンクの冷蔵庫の前までやってくる。最近三月が飲んでいるのはとあるスポーツドリンクだ。


 今、これにはオマケに動物のマスコットストラップが付いていて、いくつかの種類がある。別に積極的に集めている訳ではないが、なかなかカワイイ代物なので、最近飲み物を買う時はいつもコレだ。


三月はその一つを手に取ると、ついでに他の物は買うこと無くそれだけをレジに持って行き、お金を支払って店を出た。


店を出ると、早速買ったペットボトルを開けて飲む。



割りと喉が渇いていたせいか、駅に着く頃には150mmのペットボトルはすっかり空になっていた。

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