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一体何者!?

ここは「ワケあり少女は騎士を救う」の世界だったと気づいたのは今日のこと。

今はそのゲームが始まる3年前。このゲームは晴樹が女子向けのゲームを取り入れたいと言って作った最初の作品だった。そして感想を聞かせてほしいと晴樹に頼まれて試供品を何回もプレイした。完成した物が出来たときには内容が私の頭にすべて叩き込められていたほどプレイした。

このゲームに出てくる攻略対象の男子達はなにかしら事情や過去にトラウマを抱えていて、その事情や過去のトラウマに押しつぶされながらも一人で戦っているから攻略対象者達のことを「騎士」と言うのだ。

その騎士に碧と悠仁も入っている。

悠仁はそれを知っているから事情も抱えていない。ちなみに彼は生まれながらに秀才で、周りからの期待が大きく、絶対に上に立たなければならないと言われ続け、それを苦しいと思っている設定だった。一応日本三大財閥だ。だが彼はゲームを知っているし、そんなことを思っていない。

五人いるなかでも一番厄介だったのが私の幼馴染みの碧だった。碧のルートになると私も出てくる。碧の場合は過去のトラウマだった。その内容は、えげつないものだった。

碧は幼い頃美月と名乗る少女に出会い、出会って1週間たった日に突然彼女はいなくなった。

執事に頼んで彼女を探したが情報が「美月」と言う名前しか無かった碧は彼女を見つけられなかった。そして父に呼ばれてついてきたら、日本三大財閥のうちの一つに入る流川家で、そこにいた同い年の流川怜花に気に入られ、碧の意思関係なく婚約が決まった。碧は1週間しか会ったことのない彼女の事が好きだった。怜花と婚約しても思いは変わらなかった。

怜花の性格は悪く、可愛い顔を使ってたくさんの人を利用するような女だった。碧は美月ちゃんはもしかしたら病院にいるかもしれないと言った。


それからたくさんの病院を巡り「美月ちゃん」を探した。美月は本当に病院にいた。入院しているのは怜花のグループの病院だった。しかも見つけたのは怜花だった。それを碧に言わずにバレないように徹底的に隠した。

中学生になった初めての夏に美月は死んだ。飛び降り自殺だった。自殺だったために新聞やニュースなどで取り上げられ碧の目に入った。そして怜花が知っていて隠したことも知った。今までうざいとしか思っていなかった怜花が物凄く嫌いになり、それからはキラキラ笑顔の王子様では無くなってしまった。家族以外に心を閉ざし、笑わなくなった。


そんな彼にヒロインが寄り添って行く、と言うシナリオなのだが碧のルートはハッピーエンドでも「君は僕が二番目に愛している人だよ。これからは僕が君を笑顔にする番だ。」と言うのだ。美月への執着心がすごい。

碧がゲームと同じにならないように美月の自殺を止めなければならない。でも私の家のグループが経営している病院に彼女がいることは分かるのだがどの病院にいるのかが分からない。

彼女の苗字みょうじが分かれば調べることは出来るのだか、苗字が分からなければ調べるのは難しいだろう。悠仁なら知っているだろうか。


「彼女が自殺するのは7月12日だよ。」

「でもゲームには夏としか書いていなかったじゃないの。なんで日にちまでが分かるの?」

「俺は知ってるの。気にしないでいいよ。」

すごく気になるが、今は気にしないでおく。彼の情報を信じてみよう。もしかして悠仁なら美月の苗字も分かるのではないだろうか。

「ねえ、もしかして美月ちゃんの苗字って分かったりするのかしら?」

ダメもとで聞いてみたのだが彼は普通に「知ってるよ~。」と言った。本当にこの人が何者なのか分からなくなってきた。

(チャラいってことは分かるのだけれど。)

「彼女の苗字は音桜杜おとずだよ。音桜杜美月。」

あまり見掛けない苗字だった。流川や久遠もあまり聞かないが。

「なんか、そこそこいい家の子だったはず。」

(何よその豆知識。)

彼がそこまで知っていることに驚いた。

(今、すごい悠仁に貴方は何者なのかしら。と問いたいわ。)

「他に情報は?」

たくさん知っているみたいなのであるかぎりの情報は悠仁から絞り出そうと思う。

「彼女の母親は確か4歳で亡くなっていると思うよ。今は従弟が跡取りなんだって。5歳の時に本家に従弟の家族が越してきたんだけどその両親から良く思われてないみたい。一応父親の方はいるらしいんだけど放置されてるみたいだよ~。」


だんだん彼が怖くなってきたがたくさん情報があったほうがいいのでとても助かった。


「ありがとう。私碧に話してくるわ。一緒に帰るのはまた今度にしましょう。」

碧に会って早く伝えないと碧と会っても彼女は死んでしまうかもしれない。

「やだよ~。俺も手伝う。」

「いいわよ別に。」

「色々知ってるんだけどもう教えないよ?」

それは卑怯ひきょうだと思うがそれを言われたら致し方ない。彼にも手伝ってもらうことにしよう。

「分かった、手伝って貰うわ。」

「急ぎましょう。」

「りょうかーい」

私が許可を出すと彼は気の抜けた返事を返した。

(碧は何処かしら。)



私は早足で碧を探した。

乙女ゲームの詳しい内容はいつか書こうと思います。

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