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気づいてしまった

「着きました。」 

碧の家の執事がそう言った。執事にドアを開けてもらい、私は車から出た。

もう結構人が集まっていて、学園の敷地内に植えられている桜がとても綺麗だった。

柳瀬桜燐学園は学園の名前にも入っているが、桜が有名な学園なのだ。

また心がざわついた。やっぱり、あと少しのところで思い出せない。

「ありがとう」

私は連れて来てくれた執事に対して礼をしてから学園の門へと入っていった。

「早く来てください。」

碧は爽やかな笑顔で私を呼んだ。あ、王子スイッチが入ったわ。

今日私が碧の車で来た理由は、女避けのためなのだ。私は別にいらないと思うけど私の男避けのためでもあるらしい。

周りの人が碧を見ては頬を薔薇色に染めている。

でもこの人はやめておいた方がいいと思う。ただの初恋拗らせた残念男子だから。

それと同時に私を睨み付けてくる女子生徒の皆さん。別に気にしないが。

「ええ、わかったわ。」

私は精一杯の笑顔で彼の隣へ行った。私は基本令嬢口調は使わない。なんだか秘書時代の癖でどうもうまく使えないのだ。

一応敬語は使えるし、いいだろう。

そういえば、今日私は新入生代表のスピーチを任されているのだ。

だか、今回は異例中の異例で、成績一位が二人いるのだ。

なので今回は新入生代表スピーチを二人ですることになっている。

まだその人が誰かは教えてもらっていないのだが、今からスピーチをする人は第二会議室に一旦集合するらしいからその時に分かるだろう。


昇降口にクラス表が貼ってあるらしいので、私も見に行きたかったが、私は身長が141センチと背が低いので、たくさんの人が集まっている昇降口に行くのをやめておいた。

(人が少なくなったら見に行こう。)

そう一人で考えていたら、誰かが私の肩をトントンとたたいた。

なんだろうと思いながら振り返ると、そこには髪が青色で、アメピンを両サイドにバッテンにしてつけ、服を思い切り着崩したチャラチャラした男が私を見つめていた。そして、

「ねえ、君。もしかしてクラス表見えない?」

と、とても失礼なことを言ってきた。

「そうですけど何か?」

私はちょっと苛つきつつ返事をした。

「なら、」

そう言って彼は言葉を切ると、私を持ち上げてきた。

(ちょ、いきなり何するの。)

私は降りようとバタバタしてみるも彼はびくりともせず、

「ほら、これでクラス表見えるでしょ?」

彼はへらへら笑いながら言った。

「おろしてください」と言ったら、「君がクラスを確認したらね。」と言ってきたのでいそいで探した。彼は、

「君は髪が赤いから特別クラスかな~?」

とのんきに言っていた。

そう言えば彼も髪が青いから特別クラスか。なんとなく同じクラスじゃないといいな、と思った。

(あった。)

私のクラスは1年の特別科とくべつか「Ⅱ(2)クラス」だった。

「見つけたので降ろしてください。」

私は早口でそう言った。

「そうか~ちなみに何組だった?」

彼はまだ降ろしてくれない。

「はやく降ろしてください。」

私は彼をキッと睨んだ。

「教えてくれなきゃ降ろさなーい。」

なんと言う軽さだ。この、チャラ男め。

「Ⅱクラス」

「やった~!俺と一緒だよ。」

なんと言うことでしょう。

「降ろしてください。」

私がそう言うとやっと降ろしてくれた。はぁ、疲れた。彼は私を降ろすと、「俺、用事あるから、またね~。」といって去っていった。

そう言えば碧がいない。何処へ行ったのだろうか。私は昇降口へ行き、私の番号が書いてある靴箱を探した。靴箱を見つけて靴を履き替え第二会議室へと向かった。


(ここかしら。)

プレートに第二会議室と書かれた場所を見つけた。ドアを開けると、そこには数分前に会ったばかりのあの人がいた。

「あれ、さっきの人じゃん。よろしくね~。」

私は思わず疑ってしまった。この人勉強出来るのか?と。

会議室にいた先生が、「君たち知り合いなのかい?」と聞いてきたが違うと答えておいた。


「僕たちがここで会ったのも何かの縁だと思うし、仲良くしようね。君の名前は何て言うの?」


「私の名前は流川怜花と言います。」

と言った瞬間彼は固まった。

そして「ゲームと全然違うじゃないか…。」と呟いた。

(ゲーム?)

ゲームがどうしたと言うのだろう。また心がモヤモヤし始めた。

「貴方の名前は何なんですか。」

私が名乗ったのに名乗らないのは可笑しいだろう。

「あ、えと、俺の名前は久遠悠仁くおん しゅうと。」


「おかしなこと言うかもだけどさ、君、『ワケあり少女は騎士ナイトを救う』って知らない?」

彼にそう言われ私は驚いた。なんで彼はそのゲームを知っているんだろう。そのゲームは春樹の会社が開発した乙女ゲームだ。

その瞬間私の脳内にいくつもの言葉が浮かんだ。

(久遠悠仁、流川怜花、悪役令嬢、義翁碧ぎおう あおい乙女ゲーム…)


「嘘でしょ…」


私は12歳の春になって初めて気づいた。

この世界が春樹の会社の作った乙女ゲーム「ワケあり少女は騎士を救う」だと言うことを。


そして、私がそのゲームの悪役令嬢だと言うことに…。


彼は…久遠悠仁は、一体何者…?



この世界の設定や髪の色の事や人物紹介などは次回で説明したいと思います。

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