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シスコンと拗らせ幼馴染み

短めです。


ピピピピッ


目覚まし時計をとめて目を開けると、カーテンを開けた。カーテンから朝の日差しが入り込んできて、目が痛い。


今は午前6時。今日は柳瀬桜燐学園の入学式だ。

私は顔を洗い、歯磨きをして、眼鏡をかけて、身支度を整えてからリビングへ向かった。


執事やメイドたちが私を見るなり頭を下げていく。私は皆に「おはよう」と挨拶をしながらもひっそりと「お嬢様、眼鏡変えました?」と言う言葉を待っていた。

ちなみに私の眼鏡はだて眼鏡である。京子のときもだて眼鏡を掛けていた。これを掛けていないと落ち着かないのだ。

若い従業員達は気づいていなかったが、昔からいる従業員達は気づいてくれたらしく、「お嬢様、眼鏡お似合いですよ。」と言ってくれた。

良かった。中学へ入学すると言うことに少し浮かれてしまって買ってしまった眼鏡。

似合っているなら嬉しい。

リビングに行くと幸人兄様と玲奈姉様がいた。


「おはようございます。幸人ゆきと兄様、玲奈れいな姉様」

幸人兄様は高校二年生で、玲奈姉様は中学三年生だ。実はこの家は本家ではなく私達、兄姉妹きょうだいのための別荘なのだ。

お父様は嫌そうだったが、兄様と姉様の熱意に負けて許してくれたのだ。

「おはよう怜花!!これ、新しい制服?!とっても似合ってるわっ!やっぱりうちの怜花は何着ても似合うわね~!さすが私の怜花!」


「おはよう怜花。新しい制服、とても似合っているよ。前の制服も怜花に似合っていたんだけど新鮮味があっていいね。あ、怜花、眼鏡変えたんだね。可愛いよ。」

そう、二人はシスコンだ。


「二人とも落ち着いてください。」

私はいつも二人の暴走を止める係だ。学校や人の目があるところでは二人はもっと、しゃきっとしているのだが、いなくなった途端にこうなるのだ。

「落ち着けないわっ!だって怜花の晴れ舞台よ?!しかも私と同じ学校!幸せ過ぎるわ!」



「玲奈の言う通りだよ。あぁ、どうして僕はもう卒業してしまったんだろう。こうなったらもう高校を休んで乗り込むしかないよね。」


「幸人兄様、学校はちゃんと行って下さい。今日学校の生徒会のスピーチがあるって言ってたじゃないですか。」

私はいきなりぶっ飛んだ発言をした幸人兄様を宥めた。この人なら本当にやりかねない。


「ならせめて今、写真とらせてね。いいよね。とっていい?いや、とるね。」

そう言って一眼レフを取り出すと私を連写で撮り始めた。

なぜか玲奈姉様まで私を撮っているけどそこは気にしないでおこう。

私は二人が一眼レフで連写するなかで朝食を済ませた。

あと少しで車が来る。今日乗っていく車は流川家のものではないのだ。

「あ、怜花。あおい君が来たみたいだよ。」

そう今日は私の幼馴染みの碧の車にのっていくのだ。碧は、お父様の友人の息子で6歳の頃に出会った。彼はずっと昔から思い続けている女の子がいるらしく、その話題を持ち出したら一時間は続くので禁句だ。

「おはよう、怜花。」


「おはよう。」

彼も新しい制服を着ていて、彼の美形顔によく似合っていた。男子生徒の制服はこんな感じなんだなと思いながら碧のところの執事がドアを開けてくれたので車に入った。

でもなぜか心がモヤモヤする。

私がこの制服を着たときもそう。あと少しで分かる気がするのに。


車が発車すると、「美月ちゃんって柳瀬桜燐学園にいたりするかな。」と何回も言っている。美月みずきちゃんと言うのは彼の思い人だ。口を開けば美月ちゃん美月ちゃんと…。

幼馴染みは初恋を拗らせているらしい。美月ちゃんに会えなくなった途端彼女を執事に探させたのだが未だに見つからないらしい。

「あ、そういえば怜花眼鏡変えた?」

碧は眼鏡に気づいたらしい。良かった。

「変えたわ。似合ってるかしら?」


「うーん、普通。」

碧は今サラッとひどいことを言った。私がどれだけ時間をかけて眼鏡を選んだと思っている。

「私、これを選ぶのに三時間かかったのよ。」

そうだ。私はこれを選ぶのに三時間かけたのだ。

「え、う、なんかごめん。」

碧が申し訳なさそうに謝った。分かってくれれば別にいい。

あと少しで学校に着く。

学校に着いたらこのモヤモヤもなくなるだろうか。そんなことを考えながら外の景色を見ていた。

誤字脱字あったら教えてください。

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