第80話「ラストマン」(完)
堂々完結───……ッ!!
そして、
本作、ドイツ軍召喚ッ、3巻発売中ッ!!
※ 書籍版
なんと、ほぼ全てのドイツ語セリフにルビふりましたぁ! ※
↓ ↓ こちらが表紙です ↓ ↓
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是非とも書店にてお手に取ってください!!
あと、新作も投稿中!!
スピンオフ作品(タイトルはだいぶ違いますけどw)です
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(それと、感想欄は指摘とかを書くとこではなく、丁寧にお使いください。また、わかりやすくなるべく平易に書いております。諸々が理解できない方は……削除ブロックさせていただきます)
王都の一角……ナセルの家があった場所にて。
ザザ───。
『殲滅を確認。残存兵力は当初の5%以下。───敵騎兵の残余、撤退する模様』
「了解した。ご苦労だった────」
ボタボタと鼻血を垂らしながら、ナセルは無線機を返しつつドイツ軍に礼を言う。
その顔色は、もはやすさまじい。
Lv7の召喚は、これほどまでに負担となるのか……。
いや、それだけじゃない。
勇者コージを封じているティーガーⅠはLv6の召喚獣。
それを維持し続けるコストもあれば、アリシアを歓迎するために召喚しまくった『ナセル戦闘団』もかなりの数に上る。
単純に、魔力の使い過ぎなのだろう。
これで、ナセルの復讐は取りあえずの終わりを見たが……。
まだ重要なことがある。
いや。本来なら復讐よりも重要なこと。
もっとも重要で、必ず達成しなければならないこと。
そう───────リズの救出だ。
「待ってろ……リズ。必ず助けに行く、すぐに行く……飛んでいくさ───」
だが、山道はもう使えないだろう。
だから、帝国よりの陸路でリズを救いに行かなければならない。
それでも、ドイツ軍の機動力なら何日もかからないだろうが……。
前線までいくには障害が多すぎるな。
くそ。空を飛べれば───。
メッサーシュミットやスツーカは地上には降りれない。
どうすればいい……。
リズを一刻も早く地獄から救い出さねば。
もう、アリシアはいない……。
ならば、ナセルが気に掛ける女はこの世界にたった一人だけ。
リズ──────!!
ゴフッ……。
ブフッ……。
く──せめて、ドラゴンが使えれば……。
飛んで行けるのに……!
ゴブゥッ……!
吐血するナセル。
鼻から零れ落ちる血と目からは血の涙。
魔力枯渇の────いや、魔力欠乏症か。
限界を超えての魔力の消耗。
生命維持に関わるほど、魔力を消耗すると陥る症状だ。
くそ、このままでは意識を失う。
それはまずい。
「まずは、列車砲────……」
召喚獣を少しづつ帰還させていく。
巨大な列車砲が、キラキラとした召喚光を残して彼らの世界に帰っていく。
途端に大量の魔力がナセルに還元されるも、一度体にかかった負荷は魔力を回復させたところで、即座に直るものではない。
だが、多少なりとも体の負担が減ったのは間違いなかった。
次に戦闘団の兵を少しづつ帰還させ、ティーガーⅠだけを残す。
おかげで銃などの武装もなくしてしまったが、ナセルに敵意を向けるものはもう王都には残っていなかった。
だから、彼は剣を一本ぶら下げてヨロヨロと王都を進む。
ティーガーⅠの元へ行き、少し休むのだ。
Lv6とは言え、一体だけなら継続して召喚し続けることができるだろう。
幸いにも、召喚獣を帰還させたことで還元された魔力は潤沢にある。
体調も徐々に戻るはずだ。
だが、魔力が体に馴染むまでもう少しかかる。
「はぁ、はぁ、はぁ……」
今日はなんて日だよ……。
ドイツ軍を召喚してたったの一日。
あれ程、胸を焦がしていた復讐心すらスッキリと消えた。
だが、まだ胸の呪印は光り続けている。
『ド$%&』…………。
彼らは、まだナセルに何かを成せというのだろうか?
復讐のために来てくれたのだとばかり思っていたが……。
ドイツ軍。
おそらく史上最強の召喚獣だ。
勇者を降し、王国を滅ぼせる力を持つ最強の召喚獣────。
「───魔王……か」
アリシアは言った。
俺が魔王だと。
「違う……違うともさ」
魔王は勇者に勝てない。
だが、俺は勇者を倒した。
ならば魔王なんて生易しいものじゃない。
「俺は何だ? 俺は……一体に何者になったんだ?」
ヨロヨロと歩くナセルはついには剣を杖代わりにして辛うじて歩いているだけ。
ティーガーⅠまでの距離が恐ろしく遠く感じる。
いっそ、サイドカーでも召喚して移動した方がいいのかもしれない。
だが、魔力欠乏症を発症した状態で新たに召喚獣を呼んでも大丈夫だろうか?
魔力そのものは戻って来ても、体に循環しきっていない。
しばらくは体に馴染むまで時間を要するだろう。
(本当は休んでいる暇もない……。今すぐにでもリズを救いに行きたい!)
だけど、
「──だけど、ごめんよリズ……。ひどく疲れたんだ……。少しだけ、」
少しだけ休ませてくれ────。
目が霞み始め、体の芯がふらつき始めた。
だが、
あぁ、見えた。
あの猛々しい鉄を纏った陸の王者が──。
ドルドルドルドルドルドル…………。
ティーガーⅠはその場で勇者を封じてくれていたようだ。
忠実に、……一言半句の文句なく。
勇者はその下で何度も生と死を繰り返しているのだろう。
復活に制限があるかどうかは分からない。
だが、このままでは倒せない────。いつかは復活するのだ。
何とかしなければ、最後にはナセルが負ける……。
「国王、神官長、ギルドマスター……連中を生かしておいて正解だったな」
連中なら何か知っているに違いない。
吊し上げてでも情報を吐かせてやる。
「リズ────もう少し、……もう少しだけ待っててくれ」
フラリと傾く体。
ナセルはティーガーⅠを前にして、ついに力尽きる。
だが、意識を手放す前にティーガーⅠの魔力を維持することだけは忘れない。
勇者を解放するわけにはいかない……。
「必ず息の根を止めてやるからなッ」
ゲフッ……。
パタタタッ、と口から溢れた血が王都の割れた石畳に飛び散っていく。
「くそ…………せめて──」
戦車の中に──……。
意識が定まらず、召喚獣との意思疎通がうまくいかない。
呼べば乗員が出てきてくれるのだろうが、声も──────。
ふらっ…………。
意識の帳が降りるころ、ティーガーⅠの頼もしいエンジン音を聞きながらナセルは倒れる────。
ガシッ。
「なッ?!」
が、それを支える人影があった。
……こ、こいつ────。
「──ようも、やりにやったのぉ? 満足したか?」
な、なんでお前がここにいる?
殺戮翁────……。
「ば、バンメル元帥──────?」
ニィと、笑うバンメル元帥に支えられてナセルは意識を失った。
ほぼ同時に、ポツポツと石畳に広がる黒い染み……。
王都全土に突如として黒い雨が降り、燃え盛る王都を静かに鎮火していった────。
ポツ、
ポツ、
ポツ、ポツ、ポツ、……ザァァァァァアアア────。
復讐編 王都戦線───完




