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第62話「ナセル、フルバーーーースト!」

 ズドォォォォオオオンン!


 着弾!

 ──着弾!


 ッッッ──ドンッ──ッ!!

 ッッ──ドンッ────ッッ!!




 ────────────着弾!

 ──────────着弾!

 ────────着弾!

 ──────着弾!

 ────着弾!

 ──着弾!


 



 ズッッッッドォォォォオオオンン!



「──思いしれぇぇぇぇええ!!」



 猛烈な爆風と爆音と爆炎!!!

 Vー1を総数で何発撃ち込んだかナセルにも知れない!


 着弾地点は火山噴火のように業火に包まれていた。


「ははっ! ざまぁ、見やがれッ!」


 ただ怒りのままにブチかましてやっただけだ。

 それだけで、すさまじい量の炸薬が街の一角に撃ち込まれて爆発炎上。


 おそらく、10t近い炸薬がその場に撃ち込まれたのではないだろうか。

 当然の如く、街の一個区画が消し飛んだ。


 ──文字通り消し飛んだのだ。


 当然…………全弾が勇者に直撃。

 あの様で勇者は、生きているのだろうか────?


 そんなわけがない……確かに着弾の手応えを感じた────勝った。


 勝ったのだ!

 あの爆発を生き残れるものなどいない!


 ナセルの勝ちだ!


「……勝っ──────」


 ナッツを焼いた様な甘ったるい煙が周囲を覆いつくす。

 地獄の業火の様に燃え盛っている街の区画で、生きとし生けるものなど何もないはずだった。


 だが、


 濛々と噴き上がる黒煙の中……人影が歩き出る。




 ば、バカな……!




「ゲホゲホ……! おぇぇええ……!」


 真っ黒に焼けた人影。

 断じて言うが、人だ。


 そいつは、煤だらけになりつつも、しっかりと地に足を付けている。


 ゆ、

「勇者コージ……!」


 生きていやがる……。


 フラフラとした足取りながらも、顔を起こして、キッとナセルを見据える。


「オッサンよぉぉぉ……ミサイルとか、ふざけてんのかッ!」


 その目にはさっきまであった侮りが消えている。

 多少なりとも本気になったということか?

「あーあーあー……ちくしょうー、伝説の装備が形無しだぜ」

 と、(のたま)う勇者──。


 あの爆発に巻き込まれて「ちくしょうー」だと?!


 なんて、デタラメな野郎だ!


 だが、無傷ではなかった。


 なるほど……。

 奴の言う通り、確かに聖剣と呼ばれているこの国一番の至高の剣がボロボロになっている。


 さらには、近隣国からレンタル中だという数々の伝説装備のいくつかが破損。


 だが。

 そう、だがだ!


 だが、それだけだ(・・・・・)……。

 Vー1の斉射をうけて、五体満足で立ってやがる。


 し、信じられん……!


「ったく……。伝説装備の結界石がなけりゃ2回くらい死んでたぜ」


 そう言ってカランと、首から下げていたネックレスの様なものを投げ捨てる。


 結界石?

 あ、あれは確か……。


「教会総本山製の……、神王の涙(ゴッドオブルージュ)!?」


 この国の教会ではなく、教会の総本山にある───大昔に亡くなった聖女の遺骸から作られたという至高の防御アイテムだ。


 一度だけ、無敵の結界を張り巡らせて、全ての攻撃(・・・・・)を跳ね返すというが……。


 まさかこのタイミングで使うとは!


 聖女の遺骸からしかつくれないため、数に限りがあるほか。

 現在の教会の倫理が遺骸を傷つける事を許さないため、初期に作られたものが少数存在するだけの伝説のアイテム。


 そう、この国にも確かにあった。

 あの神官長がいた教会に保管されていたはずだが……。


 あの野郎ぉ。

 どうやってか知らないが、勇者が入手していたらしい。


「──くッ!」


 ならば第二撃────!!


 あんなもの(・・・・・)で防御しなければ、勇者コージといえども無事ではすまないと言うことだ!

 

 つまり、倒せる!!


 勝てる──────!


「いでよ───ドイ」

「───させるかぁ! ミサイルってのは威力があり過ぎんだよ、」


 ──だからよぉぉお、接近すりゃぁ使えないだろう──!


 と、コージが叫び、再び突貫!


 いくつかの装備が損傷しているためか、さっきまでの速度はないものの───それでも速い!!


 腐っても──いや、腐ってる(・・・・)が勇者ということか。


「くそッ! 召喚している暇はないか」

 ドン、ドン! と石畳を蹴り剥がす様に猛然と突っ込んでくる勇者に、ナセルは現状の戦力で対抗するしかない。


 だが、

「は! なんだ後ろの連中は?……傭兵でも雇ったみたいだなッ!──邪魔くせぇえ! 遊んでやれ、勇者親衛隊(ブレイズ)!!」


 ギュェエエエエエ!!


 勇者コージの叫びに応じる様に空中の飛竜や怪鳥が猛然とドイツ軍に襲い掛かる。


 跨がる騎手らは手に手に騎槍を構えており、練度の高さを伺わせるように整然と隊列を組み急襲してきた。


「ちぃ! 擲弾兵はそいつ等を排除しろ!」

『『了解(ヤボォル)!!』』


 ナセルの援護をする暇はなさそうだ。

 ならば、コージとの決着はナセルがつけるしかない!


「いいだろう! かかってこいクソガキ!」

「オッサンよぉぉ! 俺は勇者だぜぇぇ!」


 (かな)うわけがないだろうがぁぁああ!!──そう言ってナセルに真正面から向かい合う勇者コージ。


 知っとるわッ!

 勇者で、クズで、イカれた間男だろうが!


「──それがどうした!! 俺はドイツ軍召喚士───ナセル・バージニアだぁぁあ!」


 来いッッ!

 クソガキ!


 ハーフトラックの後部に回ると、ドイツ軍が準備していた武器の詰まった木箱を蹴り開ける。


 そこにあるわあるわ!

 大量の武器が!!


 それらを素早く装着していき、第一弾をブチかましてやる。



「って、なんだそりゃ!? じゅ、銃だとぉぉぉお!───っていうか、そいつら自衛隊じゃねーーーーーーか!!??」



 ジエイタイ?


 知るかッ。

「───ドイツ軍だよ!!!」


 これでも喰らえッッ!




 ヴォババババババババババババババババババババババババババ!!


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