おはよう
――おいおい、言わんこっちゃない。死んじまったぞ、君の自信作は。
画面越しに見た一部始終。
それでも彼はふっと、いつものアルカイックスマイルを浮かべた。
――計算通り? おいおい馬鹿を言うな。結局奴は目覚めないまま終わってしまったんだぞ。
「さて、それはどうでしょう」
――なに?
彼が指さした画面を見て、私は持っていた煙草を落とした。
――ど、どういうことだ、これは……?
「『反転昇格』。ある特定の条件を満たすことで姿を現す特殊役職です。この場合で言いますと、『戦士のプレイヤーにより、村人のプレイヤーが死亡した』際に発現するクラスです。これにより、戦士は『狂戦士』に、『村人』は『復讐者』へとなります」
――それでは、やつは生きているということか!?
彼は表情を崩さず頷いた。そして言葉に喜色を滲ませながら続ける。
「ゲーム開始直後から、彼の“魂”は最後まで安定していなかった。おそらく、予想より“斎藤悠馬”の人格の自我が強かったのが原因だろう。なるべく自己肯定感が弱く、自我が弱い人間を選んだつもりだったが、人間の精神とは存外強大らしい。だが、クラスメイトに殺されたあの瞬間、斎藤悠馬の自我は今度こそ完全に消滅した。ならば」
――君の自信作、作られし自我”が発現すると?
彼は、満足そうにうなずいた。
私は落とした煙草を踏みにじり、新しい煙草に火を点けた。
つまり、本当のゲームはここからだということだ。
「さぁ――おはよう、“ユウマ”」
ここまで読んでいただきありがとうございます。
モチベーション的に御意見御感想等で更新ペースが前後するといっても過言ではないので、早期完結目指して是非是非御感想お寄せ下さい笑




