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6、走りだした気持ち

その夜、私はほとんど眠る事ができなかった。


布団をかぶって、何度も何度も唇を触って温もりを確かめた。

確かにさっき、私の唇に彼の唇が触れた。

とても嬉しくて、ドキドキして夏が待ち遠しい気持ちになって

ああ…女の子でよかったと思った。


夜中だけど…メールを送ろうと決心した。


『もう、家に来ないでください。』

大朝さんにそう一言メールすると、私はすぐに大朝さんのナンバーを着信拒否にした。


よかった。

これで前を向いて歩ける…。

私は、もう一度布団をかぶると思い切り目を閉じた。


自分でもびっくりするぐらいに、大朝さんに未練はなかった。

もう走りだした気持ちは止まらなかった。


まぶたの裏には、本田君の笑顔が浮かんだ。


『今日は、ありがとう。すごく楽しくて幸せを感じたよ。』

本田くんには、ドキドキしながらメールをする。

すぐに、本田君から返信。

『こちらこそ、自分も楽しかったよ!はっきり言ってオレも幸せを感じたよ。』

明日も、本田君に会いたいな。会いたい気持ちで心がいっぱいだよ。



拓を好きになって、私はちょっとしたことで、世界で一番幸せ者だと思ったり

辛くてもうしんじゃいたいって思ったり…。

精神的にも忙しい一年だった。

でも、拓がいなくなってから私が一番守りたかった事に気が付いた。

あの時こうしていれば、こう言っていれば。

もっと一緒にいられたのかもしれない。

毎日悔やんでは、涙を流した。

毎日、拓の事を考えても当たり前のように私はひとりだった。

でも、ひとりでいるのは今までの自分への罰のように感じたから、

この罪を背負って生きていこう。そう思った。

私は、一生拓のことは忘れることはないのだから。


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