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1、切りすぎた前髪

「ねえ、藤崎さん髪切れる?」

「うーん、前髪くらいなら切れると思うけど。」

「今度、身だしなみチェックがあるのよ。んで、この髪じゃなあ…と思って。」

確かに、本田くんの髪はかなり伸びていて前髪は目にかかるぐらい。

さすがにうっとうしそう。

私たちは、バイトの秘密の休憩室

従業員入り口傍にある木の木陰にいる。


ここでみんな色んな話をして仲良くなる。

私、藤崎直は今年の春から大学生になった。

まー、それまで一人暮らしので気楽なフリーターってやつで…。

昨年の9月に受験を決意し…3カ月の勉強の末、12月の試験で大学に受かった。

決して勉強が出来るわけではないけど…3流大学だし。

なぜか、大学受かってからはバイトの高校生達に勉強教えるようになっていた。


そして今、バイト仲間の高校生本田拓君に髪切ってと頼まれたところ。

「うーん、どうなるか保障はしないけどいいよ!」

「ありがとう!じゃ、今日ね!」

「はいよ。じゃ、バイト終わったら家きてね。」


休憩が終わりバイトに戻ると、一つ年下の涼子ちゃんが声掛けてきた。

「藤崎ちゃーん、拓と何話してたの??」

「あー髪切ってといわれたよ!家は、完全に高校生のたまり場だよ。」

涼子ちゃんは、かなりぽっちゃりしていて小柄なグラマーな女の子。

「そうなんだあ。他の子にも勉強教えたり大変だねえ。」

「いいんだよ。頼りにされるの嬉しいし、教えるのも楽しいんだよね!」


ピンポーン。


「はーい!只今お伺いします!」

「じゃ、オーダーいってきます。」

…涼子ちゃんは何か話したそうな困った表情をしていたけど

けれども、その日は話せず仕舞いだった。



春の始まりのこの季節は、大好き。

風が暖かくて、桜が咲いている道を自転車をこぐ。

気持ちいい。


家に帰ると、もう本田くんが家のマンションの入り口で待っていた。

「ぎゃー!お待たせ!ってゆうか早くない?」

「あがってそっこーで来た。」

「ごめんねー色々買い物してて。さ、入って入って!」

本田くんは、少し口元でニコリと笑うとなんだか謙虚そうに部屋に入った。


「人の髪を切るのは初めてだよ。」

「まじで?!お願いします。」

「よし藤崎さんに、任せなさい!」

本田くんの髪は、サラサラで黒くてなんだかサクサクと切れてしまう感触だった。

それにしても、こんな美少年と至近距離でいるのもドキドキするなあ。

前髪を切るたびに、本田くんの目を閉じるしぐさや、少しこまったようにまつ毛を伏せるのがやたらかわいらしく見えた。


15分後。

「はい!できたよ!」

「ありがとう。」

二人で並んで、姿見の前に立った。

あ…切りすぎた?

やばいぼっちゃんカット。

「…明日は帽子かぶって学校いくわ。」


〜本田くん、しばらくは帽子かぶって登校?

ごめんね。〜


〜大丈夫だよ。〜


次の日のこのメールが、きっかけで本田くんと頻繁にメールをするようになっていった。












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