二人は青空の下笑う
遅れて申し訳なーい!
同年代くらいの女の子が、話しかけたら泣き始めたことに凄く焦ったが、10分ほど時間をかけてなんとか落ち着かせた。落ち着きを取り戻した彼女は自身の事を話し始めた。なんでも、気がついたのが今日の朝らしく、朝方、此処に来た人に何度も存在をアピールするものの、誰にも気づいてもらえず、諦め掛けていた時に俺に会ったそうだ。まぁ、それはいいとして......。
「と言うことは幽霊という認識でいいのか?」
逆に幽霊以外になんて呼べばいいんだろうか?聞いた限りだと、俺以外の人には見えないみたいだし、宙浮いてるし。神さまとか、羽を無くした天使より幽霊と言われた方が普通に納得いくしな。
納得いくのだが、目の前の彼女はどこかなんと言えば分からない微妙な顔をしていた。
「なんでそんな顔してるんだ?」
「え?私なんか変な顔してた?」
無意識だったのか。
「なんか微妙な顔してたけど」
「うーん。まぁ、いきなり幽霊とかって言われたらね」
まぁ、自分でもうすうす思ってたけど。などと苦笑いを浮かべながら彼女はそういった。
今度はこっちが微妙な顔を浮かべる番だった。幽霊と分かって彼女はどうするのだろうか?俺のように見える人をまた探すのかそれともずっとここに居るのか。
そう思った時、その先を考えるより先に声を掛けていた。
「......これからどうするんだ?」
「うーん、どうしよっか?」
目の前の彼女は、どこか困ったような顔をしてそう答えた。
「なら俺の所来ないか?」
多分、知らないふりも出来たんだろうけど、なんというか、ほっとけなかった。
「え、でも迷惑になるよ」
「そんなことないよ。だって両親は俺を置いて夫婦水入らずの旅行するって言っていま家にいないから。それに......」
思わず言いそうになった言葉をなんとか引っ込める。ほっとけなかった。とか恥ずかしすぎて言えるわけ無い!
「それに?」
覗き込むようにして彼女はそう聞いてくる。
「あー、あれだ。その、暇なんだよ」
さっき言いそうになった言葉が尾を引いているからか、俺は少し顔が熱くなってるを自覚して顔を見られないよう、少し横を向き少し早口になりながらそういう。
そんな俺をみた彼女は一瞬キョトンとした顔をするものの次の瞬間には声を上げながら笑っていた。自分の顔がますます熱くなるのが分かった。てか、そんなに笑うことないだろ。
「ひーひー、お腹痛い!はー、ふー、うん。分かった。なら私が君の暇つぶしの相手になってあげるよ。よろしくね。えーっと......」
そこまで言って何故か言い澱む彼女......。あぁ、名前か。そういえば言ってなかったな。
「俺は鈴木 新田。まぁ、新田って呼んで」
「新田か。私も名乗りたいところなんだけど、その、自分の名前のことは覚えてないのよね。他のは点々とは覚えてるんだけど......あ、なら君が考えてよ!」
「俺が!?」
「うん!」
まるで名案とでも言うような表情でそう告げる。そんなに期待したような目で見られても......そうだな。スマホのメモアプリを使い思いついた名前を打ち込む。
「......玲夏ってのはどうだ?」
幽霊の霊を玲に変えて、それに今は夏だからって言うなんとも言えない理由なんだけどな。
「玲夏......ね。結構いいね!うん、気に入った!じゃあ、今から私の名前は玲夏ね!それじゃあ、改めてよろしくね新田!」
「あぁ、よろしく玲夏」
そう言って、俺と彼女は軽く笑いあった。
お盆終わるまでに間に合わせる予定なので、かなり連日投稿すると思います