どうやら、異世界のようだ
まずは、情報収集だ!!
と、息巻いて行動し、行き交う人々の誰かに白羽の矢を立て質問しようとしたとき、ふと疑問に思うことは思った。
「あれ?言葉は通じるのでしょうか??」と。
ついうっかり敬語になってしまった頭の中での疑問はあまりにも根本的過ぎるものだった。
「うわぁ、もし言葉が通じなかったら相手からみればいきなり謎の言語で喋りかけてきたヤベー奴みたいな印象にならないか?そんなの異世界で生活どころじゃないじゃないかぁぁ~アワワワ」
なんてブツブツと一人で話していると、
「オメー、なに一人でブツブツ言ってやがんだ?」
なんと、何やら店番をしてる風なムキムキの方に声をかけられてしまった。そんなことよりもこの人の見た目、ムキムキでツルッパゲで上半身裸!
まるで漢を体現したかのようなその風貌に畏怖の念を覚えざるを得ない。そして、いま相手の言葉は俺に通じたのだ。何故か言語は一致しているのかもしれない。などと考えつつ話せるチャンスなのだ。質問をさせて頂こう。
「一体ここはどこなんだ??」
「アァン??!聞こえねぇよ!」
学校で話すことをしなかった者のコミュニケーション能力である。自分はどうやら人ほどの声が出ていないのかも。
「もっとハッキリしゃべれや!!」
後なんでこの人キレ気味なんだろう…。今度は腹から声をだして、
「一体ここはどこなんですか?!!」と。
さっきと打って変わって敬語にしたのはこのオッサンが怖かったからではない。自分よりも歳が上のものに然るべき態度を取ろうとおもったからだ。そう、決して怖かったのではない。
「お前、変なこと聞くなぁ。ここはヘキサルドだろぉ??あと、何だその服装は?何か全体的によれよれだな。」
おやおや、私パジャマじゃないですか。いま気づいたよ。それはそうと、ヘキサルド?聞いたこともない。地球にそんな地名は目にしたことがない。やっぱり異世界というところなのだろうか。
「とりあえず、店の邪魔だ!買わないんならそこをどけ!さっきからちっとも売れやしないじゃないか!」
だからさっきからキレ気味だったのか。店だと分かっていたのに配慮ができていなかったようだ。いや、いきなり異世界に来て配慮もくそもあるかって話だが。
「とりあえず、店の中で話をさせて頂けませんか?店番も手伝いますので。」
おおー。久しぶりの会話でよくここまでしゃべれたな俺。
「まぁ別に構わねぇけどよ。ちゃんと手伝えよ?」
どうやらすんなり手伝わせてくれるようだ。質問したいことが山のようにある。早く色々聞きたいな。何て考えながら最初の仕事は呼び込みだった。こちとら会話をするのも久しぶりでいきなりこんなことさせんなっつーの。と内心毒づきながらも情報のために一生懸命通り掛かるひとに声をかけるのだった。