さようなら世界
ある日、いつものように学校へ行きいつものように家に帰り、特に変わりのない生活をおくっていた。
「宿題でもやるか」
と、独り言を一言。これが彼なりのなにかをする前のやるきの出し方、いわばおまじないのようなものだった。宿題と追加で予習をするのが日常的となっている彼の生活は学校での高い成績を維持していた。だからといって周りからちやほやされたり、勉強を教えて欲しいと彼に言う人間は居ないのだが。
いつも通りだった。何の変哲もない今まで通りのそれ。勉強を終わらせた彼は親戚から仕送りしてもらっている金で買ったスマートフォンを取りだしいじり始めた。
最近面白いと学校で近くで話していた女子生徒達が言っていた人の動画を見て『こんなもんか』と思ったり、怪しげなアカウントからしかフォローのされていないSNSをみたり。
その後風呂に入り寝る前に少し電子掲示板でも見てみるか、とブラウザを立ち上げいつも見ているサイトに入る。パラパラとタイトルを流して見ているとふと目についたものがあった。
『 』
何も書いていないそれは数あるタイトルの中で異様な雰囲気を醸し出していた。気になって押してみる。
『運命は君を選んだ』
たったそれだけ。それしか書いていなかった。
「何だこれ??何の目的でこんな意味のわからないものを?」
だが、よく見てみると青色の文字列がある。
「URL…だよな??でもどこの国の文字なんだ??」
英文字ではない何かが並んでいて少し薄気味悪さを感じてしまう。
普通はこんなもの間違っても押さない。押すことはない、のだが彼は、智春は吸い込まれるようにその青色をしたURLのような何かを押した。
そして、彼はこの部屋から、この地球上から姿を消した。