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”ザナフ” 第一話

  〜7年前〜



――ゴォォォォォォォ…パチッ…パチッ


辺り一面が燃えている…。

ここは何処かの事故現場だろうか。

元の形が何だったのかが分からないほどぐしゃぐしゃになった金属片。

点在する元は人だった物。その周りに溜まっている血液。

そして…奇跡的に大きな怪我も無く、意識もある状態で呆然とこの惨状を眺めている少年。

……少年は何を思ったのだろうか。

自分の近くで死に掛けていた親友のもとに歩いてゆき、その身体を揺すった。


「なぁ…キリク。返事…してくれよぉ…」


なぁ…、なぁ…と少年は親友の身体を揺すり続ける。

数十秒揺すっただろうか。

キリクは数秒だけ、意識を取り戻した。


「…カフッ…。悪いな、俺は…多分…駄目だ…。お前…は…怪我は…無い…な」

「…キリクぅ…」

「よかっ…た。お…れの友…達はちゃん…と、お前を…助け…てくれたの…か」


少しずつ、目が虚ろになっていくキリク。既に少年すら見えていないのだろう。

もう、死がすぐそこまで来ているようだ。


「…でも…消えちゃったか…。ゲホッ!カハッ!」


口から血液を大量に吐き出すキリク。


「…ははっ…また会うときも…俺たち…親友が…いいなぁ。…じゃ…また…なぁ」

「キリク…?キリクぅ…?」


キリクは目を閉じ、静かに息を引き取った。

少年はそれでも親友だった物を揺すり続ける。

…しかし、親友の事だけを考えていて、自分の上に崩れ落ちてくる瓦礫に、少年は気がつかなかった。

――いや、気づけなかった。

後頭部を強打し、親友の亡骸の上に倒れ、意識が混濁する。


「……ハッ、ハッハッハッハ、ハーーーッハッハッハッハッ!」


そして…意識を失う直前に見た物が、一人の精霊が空から降りてきて高笑いしている所だった。


―――――――――――――――


「………ッ!」


あの時の少年――今は”ザナフ”と名乗っている――はベッドから飛び起きた。

そのまま、ベッドから降りて壁に近づく。

そして、傷のついた拳を振り上げ――


「…クソッタレがぁッ!!」


――叫びながら、拳と同じように、何年も殴られ続けて傷ついた壁を全力で殴った。


「…ハァッ…ハァッ…」


乱れた呼吸を整え、必死についさっき見た悪夢を忘れようと努力する。

しかし、七年間殆ど毎日見ている夢だから忘れられない。

この夢のせいで今日もまた、彼は不機嫌に一日を過ごすのだ。


「…ちっ、そういや今日から学校か…」


一人呟くと、先日ザナフの家に送られてきた制服、メヘルニーズ精霊学院の制服を引っ張り出し、別段格好良くもなく、かといってダサいかと言われればそうでもないふつーの制服に着替える。

そして、自室からリビングに行き、買い溜めしておいた腹が膨れるだけで特に味の無い携帯食と野菜ジュースを腹に入れ、家を出る準備が終わる。


学院に向かって歩いている最中、ふと忘れ物に気づいた。


(…アイツ持ってくるの忘れたな…取りにいくのもメンドクセーから今日はいいか)


――気づいたのだが、そのまま歩いて行ってしまった。



どうも、神羅です。

慣れない書き方にも幾分か慣れてきました。

それはさておき、

本作の裏の主人公”ザナフ”編第一話をお送りいたします。こちらはハイト編とは違い、ダークな風味にしていこうと思っております。

空の上!?の方もきちんと更新しますんで今後も宜しくお願いします。

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