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木屋町ホンキートンク Ⅱ  作者: 鴨川 京介
第1章 スタッフ募集中!
9/39

09 また俺がしらないうちに新しい名前がついてるよね

 「あ、そういえば瑞月ちゃんも同じだからね。タヌキだけど。」


 パシッ


 「キツネじゃ、あほー。」


 うん、毎度のキレのある突っ込みありがとう。


 「所で何の話してはったん?」


 瑞月ちゃんもビールを頼みながら、手羽先にかぶりついてた。

 最近よくこの店に来てて、好物だって?うん、誰も聞いてないよね。

 俺の隣に座って、ぐいぐいビールを呷ってる。

 え~っと、何の話してたんだっけ?


 「そうそう、私たちも異界に連れて行ってほしいって話をしてたんです。」


 「え?異界に行けるの?うちも行きたい!」


 瑞月ちゃんも、はいッはいって手を上げてる。いいから、手を下ろしなさい。


 「どうせなんじゃから、今回の帝からの依頼、こやつらにも手伝ってもらったらどうじゃ?」


 おばば、オーク肉頬張りながら話すのはやめなさい。


 「え?何の話?帝からの依頼って何?帝って誰?」


 ああ、もう。せっかくその話の前まで説明が終わって、ひと段落ついてたのに、また説明しなきゃなんないじゃないか。


 「ふ~。本当にいらんことばっかしゃべって。どうせここまで考えて出てきたんだろうな。瑞月ちゃんを呼んだのも…。」


 「もちろんわしじゃ。どうせなら一辺に話をすれば済むじゃろうと思うてな。」


 どうしようかな。どっちにしろこんな店の中で話すことじゃないな。


 「うん、わかったよ。じゃあ、ちょっと場所変えようか。」


 「え?どこ行くの?」


 「俺の部屋。っていうかここの屋上。ペントハウスがあるんだ。今は住んでないけどね。俺の木屋町での拠点なんだ。」


 みんな興味津々のようだ。

 店を出てエレベーターに乗る前に、涼子ちゃんに頼んで、料理とビールや酒をペントハウスまで持って来てもらえるように頼んだ。

 このまねきビルは10階建てだ。2階から10階までは眷属の皆さんの拠点として、2種族ごとにフロアを割り振って使ってもらっている。

 もっとも、かなりの空間拡張を行っているようで、今現在どれぐらいの人たちが出入りしているのか、怖くて俺は聞けない。

 エレベーターのボタンは10階までしかない。しかし、隠しボタンがこのパネルにはある。俺は閉扉ボタンを押しながら軽く魔力を流した。

 するとどの階のボタンも押していないのに、勝手にエレベーターは動き出した。


 「え?どうなってるんですか?」


 沙織ちゃんが聞いてきた。


 「屋上へは俺らしか行けないように、ちょっと仕掛けがしてあってね。閉扉ボタンを押しながら魔力を通さないと、行けない仕組みになってるんだ。」


 「なるほど…。」


 沙織ちゃんと千春ちゃんと社長は感心しながら、エレベーターパネルを見ていた。

 すぐに屋上に到着した。


 「うわぁ、すごい。結構かわいいお家ですね。」


 千春ちゃんがそう言った。

 いえいえ、とんでもないですよ。中に入ってもらえばわかりますが…。


 俺は何となく予想していたが、おばばが『話すんじゃないよ。』って目をして、俺のこと見るんだもんな。この子たちまた目を丸くするんだろうな…。

 俺はペントハウスの入り口を開けて、みんなを中に招き入れた。当然瑞月ちゃんも付いて来ている。


 パンっ、パパパンッ


 クラッカーの音が鳴り響いた。

 …うん、いるような気がしたんだよ。もちろん気配は探ってたんだけどね。

 長の皆様方。


 「ようこそわれらのアジト『猫招きの巣』へ。」


 いや、いつからここって、そんな名前になったの?

 …ってか、ここ俺の家だよね。


 「いやいや、ここは俺の家だからね。あんたたちのたまり場になってるようだけど。」


 「まあまあ、そんなかたいことは言いなさんな。京介、さっそくその美人の方々を紹介してくれ。男はどうでもいいがな。」


 本当に現金な人たちだ。

 それにしても今日の長達、みんな若くなってねえ?人化してるのも初めてみるし。

 これってもしかして…。


 「ひょっとしておばば。俺が電話でアポ取りしてた頃から、既にスタンバってた?」


 「おぉ、そうじゃ。よく気づいたの。」


 よく気づいたのじゃねえよ。

 …あぁ、奥から愛とレティと輝乃が出てきちゃったよ。

 ……どうすんだよこのカオス。


 「初めまして皆様方。私たちは京介様のあやかしで愛、レティ、輝乃と申します。今後ともよろしくお願いします。」と、三人は皆に頭を下げた。


 「京介様のあやかしって…、ハルさん?どういうことか説明プリーズ。」


 社長、また目が点になってるよ。言葉もおかしくなってるし。


 「え~っと。こちらの男性陣は伏見稲荷に住んでいるあやかしの長達。そして今出てきた女の子三人は俺の持ってた電子機器、スマホとタブレットとパソコンが魔道具と融合して進化したあやかしたちなんだ。さっきちょっと話したろ?」


 俺はさも何もなかったかのようにさらりと説明した。


 「いやいや、ハルさん。そんなことって話してたっけ?あんまり次から次に衝撃がありすぎてよく覚えてない。」


 社長、今は流すとこでしょ。


 「こんな美人ばかり三人もいるなんて、聞いてなかったな。」


 「なんでハルさんの周りにはこんな美人ばっかりいるんですか?」


 千春ちゃん、そんな暗い声で言わないで。沙織ちゃん、また目が座ってきてますよ。


 「こんばんは。出前お持ちしました。」


 ナイスタイミング!!涼子ちゃん、今の君最高。

 え?なんで涼子ちゃんも座ってるの?店大丈夫?え?任せてきたから大丈夫って飲む気満々だな。

 みんな車座になってリビングのカーペットの上に座り込んだ。その前に床に直置きで料理の皿と酒が並んだ。


「…じゃ、とりあえず、今後もよろしくってことで、乾杯!」


 かんぱ~いと、みんながグラスを打ち合う。


 「…いやいやいや、『かんぱ~い』じゃないでしょ。ハルさん。まだ説明してもらってないことが一杯あるんですけど!!」


 「そうですよ。私たちを置いてきぼりにしないでください。」


 その後、延々と夜中まで説明させられた。

 女の子はこんな夜遅くまで男の家に居ちゃダメでしょ。

 …え?二人とも一人暮らしだから心配ない?

 彼氏が心配するでしょ。あ、ごめん。今の発言はなかったことにして。うん、見なかったことにするから。いきなりじと目で見るのやめて。


 …おじさん打たれ弱いって言ったでしょ。


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