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第1話 遅刻した転校生は余裕です

 

 爽やかな朝日を全身に受けながらな春の風の心地よさを楽しんでみる。

 出だしとしてはいい感じだ。

 気持ちのいい朝、これには足取りも軽くなってしまう。


 俺の名前は虎馬月都(とらまつきと)。トラウマゲットって突っ込みは無しで頼む。

 俺は今日から新しい学校に通う。つまりは転校生ってやつな。5月という時期に突如として転校することになった高校2年の中途半端なイケメン男子だ。


 転校先は都内でも有名な進学校。でもなく、それなりの進学校で都内でもない。


 やけに中途半端が目立つけど気にしないでくれ。転校することになった理由も実に中途半端だ。両親が離婚するっていうから俺が先に家を出てやったのさ、離婚する前にな。

 両親もまだ離婚してないから家を出た理由としては実に中途半端なのだ、はっはっはっ。


「しかし素晴らしいこの行動力。そして、夢の独り暮らし!」


 気分は最高、俺はアパートを契約し引っ越しをした。しかも独り暮らし。

 さて、この学校にはどんな可愛い女の子がいるんだろうな。

 考えることはそれだけ。おっと別に女教師も嫌いじゃないぜ。

 でも結局は男なら誰もがそんな感じだろう。


 さて、俺のアパートから学校までは徒歩10分。裏道を通ればもっと早い。高校生の独り暮らしとしては最高だ。

 と言いたいが、実は今日は転校初日から寝坊して遅刻なのだ。まあ今更急いでも間に合わないので堂々と登校してるけどね。もうそこは正門だし。あっという間に着いた。


「おっはようごさいます」

 正門の前に美人の女教師がいたから元気に挨拶した。新任かな? えらく若いしアイドルみたいな顔をしていて凄く可愛い。おっ、こっちに来るぞ。


「君見ない顔だけど何年生? 一時間も遅刻してるんだよ。なんでそんなに堂々としてるの」

「一時間くらい大丈夫です。 時間は限りなくあるんですし。なぜダメなんですか?」

「え? 何なの君、そんなの当たり前のことでしょう? ルールなんだから」


 当然、そうだろう。確かに当たり前だ。しかし登校初日でこんな美人教師に会えるとは遅刻はしたけど今日はいい日さ。


「実はそう言って先生も遅刻じゃないんですか? 俺は転校生だから遅刻くらい許されますよ」

「! そ、それは」

 あれ? まさか図星か? 顔が赤いぞ。


「わ、私のことはいいんです。それに私は教師ではありませんから。私はここの生徒です」

「? じゃあなんでそんなコスプレしてるんだよ? 俺よりよっぽどルール守れてないじゃないか」

「うぅ、それは」

 

 あれれ? なんだ、更に顔が赤くなったぞ。言われてみれば俺と同じくらいの歳だ。2年生かな? けど化粧もしてるしとにかく可愛い子だ。


「コ、コスプレじゃありませんから。さあ、教室に行きますよ、学年は? クラスは? 転校生なら案内します」

「2年4組だよ」

「えっ!」

 なんだこの子、滅茶苦茶面白いぞ。おそらく同じクラスなんだろうけど。


「そ、そうなんですか。私も2年4組なんです。では改めて自己紹介します。私は星崎有栖(ほしざきありす)といいます、これからは同じクラスなのでよろしくお願いします」

「こちらこそよろしく。俺は虎馬月都、芸名じゃなくて本名ね」

「とらま? 珍し苗字なんですね」

「俺、昔はよくこのトラウマゲットで馬鹿にされて泣いたっけな」

「! ご、ごめんね。そんなつもりで言ったんじゃないから」


「はははっ。君って面白いよね。嘘だよ、嘘」

「なっ、酷い。からかったんですか? さあ、もう行きますよ。それに私も本名ですからね」

「? 俺は疑ってないよ。」


 正門を進むとデカい石造りのアーチがあった。凄い、立派じゃんか。

 俺達は靴を履き替え教室に向かう。生徒数700人の中途半端に規模の大きい学校、私立舞桜高校だ。

 じゃあ何故この学校に転校したかといえば、理由は簡単。試験なしで転入できたから。うーん、それにしても規模のデカい校舎だ。教室まで結構歩く必要があるな。


「結構歩くんだね」

「はい、うちの校舎は大きいですからね」

「そういえば、なんで星崎さんはスーツなの?」

「それは大きい声では言えません、聞かないで下さい」

「ふーん。わかった。言えないような事をしてるんだね」

「虎馬さんは意地悪なんですね」

「そうかな? 俺のことはツキトって呼んでよ」

「はい、じゃあ私もアリスでいいですから」

「OK、よろしくアリス」


 俺達はまだ歩く。どんだけ広いんだよ。ただひたすら歩く。

 まだ歩く、果てしなく。

 ・・・・まさかな。だが、もうそれしか考えられないぞ。


「・・・・あのさ」

「はい、なんでしょうか」

「さっき、ここ通ったよ?」

「そうですね」

「ええ? ちょっとアリス、もしかして迷ったのか?」

「えっと、そうかもしれません。むしろここが何処なのか見当もつきません」

「ふざけてる?」

「そう見えますか?」

「いや、全然見えないけどさ」


 さっきまでは確かに学校の廊下を歩いていた筈なんだけど? 気が付いたら廊下は石で囲まれたような不気味な造りになっている。そう、まるでゲームの世界のダンジョンのように。


「あれ、なんでしょうか?」

「んん? なんだあれ、あれってたしか・・・・」


 アリスが指差した先にあったのは石を削って造られた彫像。それも左右に五メートル間隔で置かれている。かなりの数だ。しかもその彫像、これってたしか?


「ガーゴイルの彫像だ。えらく趣味の悪い学校だな、どういうつもりなんだよ」

「ガーゴイル? なんだか気持ち悪い。こんな所があったなんて知らなかったわ」

「すげえ、秘密の隠し部屋で財宝とかあるんじゃないか? ボニー・ボッタ―の映画みたく」

「それどんな映画なの??」

「ゴーストとかデュラハンとか出てくるお化け学園物」

「よくこれ見てそんな冗談言えるねツキトは」


 さっきまでは確かにキレイでお洒落な、いかにもって感じの学校だったのに。なぜこうなった??

 不気味な彫像をすぎると鉄製の大きな扉があった。扉全体に奇妙な見たこともない文字が幾つも彫られている。


「お、扉ある? 入ってみようか」

「う、うん。誰かいるかもしれないわね」


 俺達は他に行くあてもないのでその扉を開けてみる。そこにいたのは・・・・。

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」


 そこにいたのは信じられないが、緑色の皮膚で分厚い甲冑をきた巨大な怪物。何やらムシャムシャと食っている。なんだこの化物は!? ええ!? 何食ってんのそれ? それ何??

『ドサリッ』


 となりでアリスが気を失い倒れたようだ。



お読み下さりありがとうございます。なんとなく現実世界で冒険してみたくなりました。

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