ウサギ肉
「なぁ良太、ANOTHER WORLDってゲーム、おまえもやらなか?」
同じクラスの啓介が最近始めたゲームの勧誘にきた。正直ゲームのどこが楽しいのかさっぱりわからない。
「ゲームか・・・苦手なのよくわかっているだろう?」
「苦手というよりも、おまえの場合は飽きるのが早すぎんだよ。もうちょっと何かに熱中することはないのか?」
確かに飽きっぽいな。というか、2、3時間したらやる気がなくなるんだよ。
「まぁ。考えておくわ」
「断るときは、いつもそれだな。それよりも、ダイエット進んでいるか?」
「ほっといてくれ」
ダイエットか・・・ゲームよりそっちの方が深刻だ。親からは痩せないとお小遣いを減らすと言われている。
「お小遣いが減ったら買い食いが減って、痩せるでしょ」だって。食べて痩せる方法ねぇかな~~。
机に突っ伏しながら、まったりやっていると、女の子達の話し声が聞こえてきた。
「ねぇ。聞いた?隣のクラスのA子ちゃん。痩せたと思わない。」
「確かに痩せてたわね。どうやったの?」
「なんかゲームしてたらで痩せたんだって。」
「え~~ゲームなんかで痩せれるの?」
まったく、ゲームで痩せることが出来たら苦労はしないって。
「ほら、ゲーム中は何も食べる事ができないから、間食が減ったって。」
「A子ちゃん。お菓子大好きだもんね。でも、食べないで我慢できるの?」
「ゲームの中で食べてるって。結構美味しいって。」
「何それ。 なんていうゲーム?」
「たしか、ANOTHER WORLDだったかしら?」
ゲームの中で食べるのか、それは盲点だった。確かに、それで痩せることが出来れば・・・お小遣いも減らされずに、買い食いも出来、さらにゲームで食べることが出来るるって事だな。
よし。やるか・・・・
肉まんをコンビニで買って帰り、部屋に入り、パソコンを立ち上げる。
肉まんを食べながら、ANOTHER WORLDのホームページをみると、基本無料でダウンロードの必要なし。
うん、すぐに始めることが出来るな。肉まんを食べ終わったら、ログインだ。
食べ足りないな。もう一個買って帰れば良かったかな?
ログイン釦を押すと、3頭身の可愛いい天使が出てきた。
天使「キャラクターメイキングをします。ここではあなたの名前、性別種族、外見を決めます。ガイドに従って作成してくださいね。」
天使が言い終わると目の前に前進灰色の人型が浮かんでいた。
天使「まずは、名前を入力してください。不適切な名前や他の人が使用している名前は使用できません。」
名前の欄に「ブヒ太」と入力すると、
天使「名前はブヒ太さんですね。次に性別と種族を決めてください。」
種族は人族、エルフ、ドワーフ、獣人族が選べた。
種族は人族で、性別は男にした。すると目の前の人型が男の子になった。
天使「性別と種族が決まりましたら、次は外見を選んでください。特徴を選ぶと、こちらである程度外見を選びますので、その後で調整してください。もちろん全て自分で決めることも出来ますよ。」
特徴:「人族」「食いしんぼ」「ぽっちゃり」にすると、ぽっちゃりした、丸っこい男性になった。もうちょっと若くならないかな。
特徴を「人族」から「少年」にすると10代半ばの感じのぽっちゃりな男の子になった。
うん、こんな感じだ。「完了」釦をクリックすると、ゲームの中にいた。
まずは、スキルからか、槍、回避、物理耐性、光魔法、料理を選択する。
次は、ゲームの基本の冒険者ギルドに行ってみるか。
表示されている地図を頼りに冒険者ギルドにいくと、掲示板にクエストが掲示されていた。
これを取って、受付に行けばクエは出来るんだよな。まずは、スライム退治からか?
スライム退治のクエを取り、受け付けに持っていった。
「このクエを受けたいのですが。」
「クエを承認しました。頑張って行ってきてください。」
装備はくれないのか、とりあえず、武器と鎧だな。
武器屋と防具屋に行き、槍と皮鎧を買った。
これで、冒険者らしくなったか?とりあえず行くか。
クエを表示させて町の外へ
スライム退治(0/10)
槍でスライムを突っつくと、ぼよょょょんとスライムがふるえ、こっちに向かってくる。
「おりゃぁ」かけ声と共に槍で突くと、スライムは光となって消えた。
スライムがいた場所にはまるっこい物が落ちていた。
拾うと「???」が手に入った。鑑定しないとダメなのか?
とりあえず、クエを終わらせよう。
どんどん、スライムを突いて倒していく。10匹倒し終えると、
スライム退治(10/10)となっていて、クエ達成だ。
近くで採取をして、ギルドに報告をした。
これで、スキル枠が「戦闘」、「採取」、「ギルドクエ達成」で3つ増えたわけだ。次は・・・
「やぁ。ブヒ太さん。始めまして。俺はネズって言うんだが、ブヒ太さんは新人だろう?
少し一緒に冒険しないか?いろいろ教えてやるぜ。」
いきなり話しかけられたが、まだ知り合いはいないはずなんだが・・・
「ネズさんだっけ?知り合いじゃあないよな??」
「おそらくな。俺のギルドはシールズって言うんだが、ギルドの方針として、初心者の応援をしている。」
「初心者の応援なんてして楽しいのか??」
「ぶっちゃけて言えば、建前が応援で、本音がギルドへの勧誘だ」
「ぶっちゃけすぎだろ。」
「まあ、そういうわけだ。一緒にするのが嫌なら、聞きたいことがあれば相談に乗るぜ。」
「これ、食えるのか?」
スライムで倒してドロップした???を見せた。
「スライムのコアか、それは食えないぜ。このあたりなら、ツノウサギかジャイアントスパイダー、スリープシープぐらいかな?」
ジャイアントスパイダーって蜘蛛だろう。食えるのか??
「蜘蛛って食えるのか?って顔をしたな。俺は食ったことはないが、美味いらしいぜ。
ギルドには料理スキル持っている人が2人いるけど紹介しようか?」
紹介を頼むと、1時間後に待ち合わせってことなので、一番楽なツノウサギを狩ることになった。
鑑定スキルを覚えた。ドロップ品がなにかわからないと食べれるかどうかわからないからね。
ツノウサギがいる草原まで来た。
「ツノウサギは、戦闘になると仲間を呼ぶから、一人で狩るときは気をつけろよ。」
ネズさんは短剣を取り出すと攻撃を始めた。短剣を振るうごとにツノウサギは光となって消えていく。
このゲームは自分で攻撃しないとLVが上がらないから、一人で頑張れって言われた。
この辺は初心者でも問題ないということか?
ツノウサギの突進を受けるたびに、回復をするは目になったけど、狩っていくうちにLVがあがり、最後のあたりは余裕が出てきた。
50分ぐらい狩りをし、ウサギの皮とウサギの肉が100個を超えていた。
「そろそろ時間だし、戻るか。」
町の南門の前にまで来ると、人族の女性が立っていた。
「こんにちは、エリカよ。」
「こんにちは、ブヒ太です。」
「早速、行きましょうか。」
女性を前にすると、なんか緊張する。え?・・・どこへ?
訳のわからないまま付いていくと、建物の中に入り、さらに奥へと進んでいく。
「ここは工房よ。生産は全てここで出来るわ。」
「料理スキルは持っているわよね?」
エリカはフライパンやまな板を用意し、塩や胡椒を並べていく。
「もちろん持っているよ。」
「料理にレシピっていうのがあるのがわかるかしら?」
料理スキルを見ると確かにレシピはあるが、中にはなにも無かった。
「レシピはスキルを取得しただけでは手に入らないの。NPCから教えて貰うか、自分で作ってレシピを覚えるしかないのよ。」
なるほど。レシピがあれば、いろいろ作れるのだな。
「私がいくつか教えるよ。同じように作れば覚えることが出来るから。」
NPCからは説明を聞いただけで、レシピが手に入り、レシピから料理を作ることが出来るらしい。
今回はエリカさんの料理を見て、実践ということだ。
ウサギ肉1切れをそのまま焼いていき、塩と胡椒で味をつける。
次にウサギ肉を一口大に切り、焼いていき、塩と胡椒で味をつけている。
まあ、最初がステーキで、次がサイコロステーキね。そのくらいなら出来そうだ。
さらにウサギ肉を一口大に切って串で刺し、火であぶっていく。串焼きですね。
ウサギ肉で簡単なのはこの3つだそうだ。シチューとかも美味しいらしいけど、難しいので、LVが上がらないと作っても失敗すると言われた。
ウサギの肉をひたすら焼いていく、途中焼きが足りないとか、焼き過ぎとか言われながら、
1つが30秒ぐらいで仕上がるため、100枚焼いても50分ほどだ。
エリカさんはスパルタなのか、途中つまみ食いをするチャンスが一度も無かった。
教えて貰っているので、文句も言えないけど、もうちょっとゆっくり教えてくれても良いと思うけど。
工房は1時間で交代がマナーらしい(空いていれば再度申し込めば良いらしい)
作った料理を早速、試食してみる。
うん、なかなか美味しいが、この3品だと味が変わらないな。
ウサギ肉は今まで食べたことがないが、食べてみると、さっぱりしていて美味しいかも。
これは、ちょっと焼きすぎだな。こっちは、ちょっと、焼きが足りないな。
これにレモンなんか搾ったり、香草をまぶしても美味しんじゃないだろうか?
串焼きはタレがあれば、最高なんだが・・・・
そんな事を思っていたら、すでにほとんどの皿が空になっていた。
2人は苦笑していたが・・・
なるほど、この世界の料理はすぐ出来るし、美味いし言うことなしだな。しかも、いくらでも食べることが出来る。
次は蜘蛛の足か・・・
ギルドに入っても、ノルマはないと言うことなので、加入した。
エリカ師匠。これからも、よろしくな。