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第91話 裏切りの裏切りの裏切り、そして裏斬り

今日のツェンタリアさん

「ご主人様とヴァリスハルト様の口喧嘩は漫才を見ているようですね。ふーむ……あっご主人様、夫婦漫才に興味はございませんか? え、『まだ早い』?」


「相手の陣容を簡単にまとめるとこんなところでしょうか? 資金提供・武器開発クオーレ、各地の攻撃・カーカラック部隊の指揮ジーンバーン、あとは亡者を使っての撹乱・戦力の増強を図っている人物がいるはずですが……まああの人でしょうね」

●依頼内容「2国の裏切り者を殺せ」

●依頼主「パラディノス国王ヴァリスハルト・フェイグファイア国王ノイ」

●報酬「300万W+200万W」


「フォルストルで待ち伏せとは懐かしいですね」


「あぁ、だが今回はのんきなエアルレーザーじゃねぇ。傭兵集団ゲルト団長バンドゥンデンと元フェイグファイア機動部隊長のジーンバーンが相手だからな。しっかりと気配は消せよ?」


 ツェンタリアは「わかりました」と言って気配を小さくしていく。夜の闇が深いフォルストルに存在感が溶け切った俺達の小さな囁きが流れる。


「それにしてもなぜバンドゥンデンがジーンバーンに加担を?」


「バンドゥンデンが手を貸しているのはジーンバーンではなくクオーレだろうな。なにしろ金で動くのが傭兵ってもんだ。シブチンヴァリスハルトより待遇が良かったんだろ」


 バンドゥンデンはカーカラックのエアルレーザー襲撃時から行方不明となっていたが、ヴァリスハルトの徹底的な調査によって居場所が判明した。


「なるほど、それにしてもヴァリスハルト様には驚きました。まさか味方のバンドゥンデンに発信機と見張りを付けていたなんて」


「そりゃ1人で国を守ってきたのがヴァリスハルトだからな。昨日の今日で仲間になったバンドゥンデンなんざ簡単に信用するわけねぇさ」


「それにしてもあの見張りの正体……ご主人様は驚いたりはしなかったのですか?」


「まあベアンヅ使ってる時点でなんとなく予想はできてたさ。アレを正しく教えられるのはヴァリスハルトか賢人シュテンゲくらいなもんだからな。だから俺はアイツは殺しはしなかっただろ?」


「あ、そうだったのですか。私はてっきり小さな女の子だから手加減しているのかと」


「俺は敵対した相手に余裕を見せることはあっても手加減はしねぇよ。だから『あそこにいる』同業のバンドゥンデン君や昔からの付き合いのジーンバーン君も当然きっちり殺し切るつもりだ」


 俺の言葉にツェンタリアがハッと顔を上げてあたりの様子を確認する。そして夜の闇に紛れた濃紺の神父服と、紛れる気が全くない黒と黄色の服を見つけることができたようだ。


「……ほんとうですね。いつのまに」


◆◆◆◆◆◆


「よぅお二人さん。こんな夜中にフォルストルで密会とはホモかよ気持ち悪いな」


 俺はズンズンと歩いて2人に近づいていく。


「……ジーガー君、反応に困るので挨拶と罵声を一緒にするのはやめてくれないかな?」


「コロス」


 呆れているバンドゥンデンの後ろでジーンバーンがもう戦闘態勢に入っている。本当に煽り耐性が無い奴だな。


 そして更にその後ろから無音でツェンタリアが空槍ルフトを構えて突進してきている。俺を囮にした奇襲である。


「っ!?」


「避けられましたかっ!」


 ジーンバーンは殺気を察知したのか間一髪で木の上に飛び上がって避けた。ツェンタリアはそのままバンドゥンデンをスルーし俺の横に並び立った。


「すみませんご主人様」


「気にするな。圧倒的優位な側が仕掛ける奇襲なんてのは警戒されて当たり前だからな」


「……では今度はコチラが奇襲を仕掛けましょう」


 そう言ってバンドゥンデンが手をかざすと、地面から両手が生え俺とツェンタリアの足を掴む。それと同時の木の上のジーンバーンが2人に増えて襲い掛かってきた。ツェンタリアは「足が!?」ともがいているが、俺はニヤリと笑って右手をスナップした。


「残念だが、俺は圧倒的優位であっても常に奇襲は警戒してるぜぇ?」


 そう言って王扇ブァンを一振りすると俺とツェンタリアの周りに2つの竜巻が発生した。竜巻は飛びかかってきたジーンバーンを跳ね返し、地面に潜っていた亡者たちを抉り出す。その悲鳴に混じって「かかったザマスね!?」という声がしたを俺は聞き逃さなかった。


「またこの手かよっ!」


 横にいるツェンタリアをお姫様抱っこで回収した俺はその場をバックステップで離れる。そして以前と同じように今までいた場所でパーンと風船が割れる音。地面がジワジワと溶けていく。


 一息ついた俺がバンドゥンデンをニヤニヤと眺める。


「まさか俺が二度も同じ手に引っかかる奴だとは思ってないよな?」


「えぇ、もちろんですよ」


 しかし奇妙なことに奇襲が全て避けられたにも関わらずバンドゥンデンは微笑んだままだ。俺が「何がおかしいんだ?」と言葉を発しようとした瞬間、足がガクンと崩れた。風景が歪む。


「こ、これは!?」


「以前ベルテンリヒトの前で私が使われた手ですよ。まさか自分がやった事をやり返されるとは思わなかったでしょう?」


「いいザマだなぁジーガァ!?」


 しっかりと竜巻をガードしていたジーンバーンが勝ち誇った笑みを浮かべている。その横でビーネも「ダーリンの毒は世界一ザマス!」等とほざいている。


「なるほど、たしかに優秀な毒だ。『俺の分身でもキツいみたいだしな』」


「なっ!?」


 ビーネが振り返るよりも早く俺の死剣アーレが一閃された。それと同時に俺の分身に抱かれていたツェンタリアだったものからボワンと煙が出てバンドゥンデンの見張り役が姿を表した。


「ふぅ、毒を無効化にする薬を飲んでるとは言え生きた心地がしなかっただわさ」


「……やぁ、メイサ君」


 それを見たバンドゥンデンの眉がつり上がったのを俺は見逃さなかった。効いてる効いてる。


■依頼内容「2国の裏切り者を殺せ」

■経過「勝利を確信したところが狙い所」

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