表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

76/108

第72話 大 予 想

今日のツェンタリアさん


「死剣アーレ、昔は直視できませんでしたが……よく見ても意味がわからない武器ですねぇ。斬撃を飛ばしている感じでもないですし」


「安く売る気がないという割には500万Wは安い気がするのですが……何かお考えがあるのでしょうか?」

●依頼内容①「アップルグンド軍を止めてください!」

●依頼主「エアルレーザー国王エアフォルク」

●報酬「200万W」

●依頼内容②「死霊騎士団ベンジョブと空帝カイザールを倒してください!」

●依頼主「エアルレーザー国王エアフォルク」

●報酬「500万W」


「さぁて、残るはカイザール、お前だけだ」


 ベンジョブが倒れたのが見えたのだろう、『ウオオオオッ!』と騎士団の士気が上がる。


「ッッッ!!!」


 しかしすぐさまカイザールが反応した。騎士団を黒炎で狙う。この辺りは空の帝王を名乗るだけあって士気が戦いにどのような影響をおよぼすのか心得ている。


「おいおい、相手を見誤っちゃ困るぜぇ?」


 だが俺も伊達に完璧勇者と呼ばれてはいない。すぐさま死剣アーレを一振りして黒炎をかき消した。


「お前にゃ悪いが今回は撃退や施設の破壊ではなく明確に「倒す」任務だからな。二重の意味で失敗できねぇんだよ」


「そういえば随分とお安い値段で倒す任務を請け負いましたね?」


 ツェンタリアが首を傾げる。確かに今回は空帝カイザールと死霊騎士団ベンジョブを倒すにしては安い。もちろんそれには理由がある。


 俺は「いい疑問点だな」と言いながら風を操りそこらの石を高速でカイザールにぶつけはじめた。カイザールほどの大きな竜が相手では大したダメージにはならないだろうが説明する時間くらい稼げるだろう。ついでにいくつか空襲部隊ヴィンドの方にも飛ばしてエアフォルクの援護もする。


「まず1つ目、これは前にも説明したと思うが、ここでエアルレーザーの主力が負けるとパワーバランスがマズイことになる」


「なるほど世界的な情勢ですね?」


「その通り、んで2つ目、これはエアルレーザーの国内的な問題だ。つまり上客のエアフォルク失脚の可能性を考えてのことだな」


「失脚の話が出てきているのですか!?」


「んなわけねぇだろ。ただな、いわゆる『騎士団を捨てた俺』に対して何万Wも支払っている事をよく思わない騎士達もいるからな」


「……『いるかもしれない』ではなく『いる』のですね?」


 ツェンタリアの顔から表情が消える。


「まあな、ちなみにそういう輩は俺が騎士団で完璧勇者をやっていた時には『アイツはええかっこしいだ』とかほざいてたぜ」


「ッ! 度し難い馬鹿ですね!」


 珍しくツェンタリアが声を荒げている。しかし、もう俺の中では整理のついたことだ。それにツェンタリアはあまり器用な精神構造はしていない。騎士団に悪感情を抱いてしまえばそれが態度に出てしまうだろう。そのため俺はツェンタリアの毒気を抜くように、なるべく柔らかく微笑みながら言った。


「ありがとなツェンタリア。その気持ちだけで十分だ……さて、そんなわけで俺はカイザールを250万Wで倒さなければならないわけだが」


「ッゥッ!」


 俺が向き直るとちょうどカイザールが羽ばたいて逃げようとしているところだった。よっぽど石つぶてがうっとおしかったんだろうな。


「逃しはしません!」


「ゥゥッ……!!!???」


 カイザールの頭上をツェンタリアの白炎が掠めた。カイザールはバランスを崩しながらもなんとか着地する。声こそ発せられてはいないが表情からカイザールが焦っていることが俺には手に取るように分かった。


「判断が遅かったなぁ。ベンジョブを気にせずさっさと飛んじまえば逃げるチャンスもあったのによ」


 ヘッヘッヘと笑う俺の耳に「相変わらず悪役みたいな人たちですね」というエアフォルクの独り言が聞こえた。……よし、あとでしばいておこう。どうするべきか、水車を使おうか……


「ッ!」


 ギリギリと歯ぎしりしながらカイザールがこちらを睨んでくる。


「おっと……エアフォルクしばき方は後で考えるとして、今は目の前のカイザールを倒すことに集中しないとな」


 黒炎を纏ったベンジョブは死剣アーレでなんとかなった。しかし、骨を纏ったカイザールはどうなるか、どういう力を持っているのかは解らない。とにかく慎重かつ確実かつ迅速に倒す必要がある。


 そこまで考えて俺は「相変わらず無茶苦茶だよなぁ」と苦笑しながら死剣アーレを構えた。


「だがやるしかねぇか。俺は無茶苦茶な状況以上に無茶苦茶な実力をも持っているんだからな」


「私は何をすればよろしいでしょうか?」


 隣にいるツェンタリアが質問してきたので俺は少しばかり「うーん……」と考えこむ。


「ツェンタリアはとどめとか刺したいか?」


「え? はい。まぁやっぱり同じ炎を扱う相手ですので……」


 色々と考えた末に俺はツェンタリアの質問を質問で返した。ツェンタリアは俺の言葉の意図を測りかねたようだがやがて頷く。


「とりあえず好きに動いて良いぞ。後はこっちでそれが最適解になるように動いてやる」


 ツェンタリアは俺の言葉にフフッと笑ったあと「わかりました」と頷いた後、俺の目の前から姿を消した。すぐさま俺は集中して周囲の気配を探る。するとカイザールの近くでツェンタリアを発見した。どうやらカイザールの死角から跳躍し右頬を狙うつもりらしい。


「土石竜エイルダの時と同じパターンで攻めるたぁ、ツェンタリアも結構いい性格してるよな」


 以前フェイグファイアでカイザールの弟の髭を狙った時と同じ動きをするツェンタリアを見て俺は苦笑した。


「ッ!?」


 しかし、ツェンタリアは顔の高さに到達することなく、カイザールの右手によってはたき落とされる。


「流石にエイルダ様のお兄様だけはありますね」


 空中で体勢を立て直し俺の前に着地したツェンタリアがそうこぼす。


「……全世界の兄が弟より優れてる訳じゃねぇと思うんだがなぁ」


 などと言いながら両者の動きを俺は分析する。確かにエイルダよりもカイザールの方が反応が早かった。……しかし、いくら何でも早すぎる。どちらかと言うとあれはツェンタリアの動きを予言していたと考えたほうがしっくり来るスピードだった。やはり骨をまとっていることに秘密があるのだろうか? 本来ならば秘密を見極めてから行動を起こすべきなのだが、目下俺の後ろで騎士団が苦戦していることもあって悠長なことも言ってられない。


「チッ仕方ねぇ……こういう時はいろいろ試してみるに限るか」


 俺はツェンタリアの横に並び立ち、死剣アーレを構える。


 それを見たカイザールが笑った。


■依頼内容①「アップルグンド軍を止めてください!」

■経過「あとは任せたエアフォルク」

■依頼内容②「死霊騎士団ベンジョブと空帝カイザールを倒してください!」

■経過「カイザールには何かあるようだ」

ブックマークありがとうございます。剣片喰になりま……励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ